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リクエスト者:アンゾ〜様


右目記念日―小政
 ぱらり…………ぱら……………
 文机に向かって胡坐をかき、伊達政宗は書物をめくっていた。海を渡り、はるばるやってきた異国の書物だ。政宗の傍には、そういうものが数冊、置いてあった。それらを、頬杖をついて読む――というよりは眺めている。
「失礼いたします」
「Ya、入れ」
 すらりと障子が開かれ、眩しいくらいの月光に照らされた竜の右目――片倉小十郎が一礼をして、にじり入り、障子を閉めて頭を下げる。
 毎度のことながら、政宗はいちいちが手本のような所作の男に苦笑した。
「小十郎」
「は」
「もう少し、砕けてもかまわねぇんだぜ」
「政宗様のお申し出、毎度ありがたく存じますが、それでは下の者に示しがつきません」
「今は、誰もいないだろう」
「誰もおらずとも、いたしかねます」
 呆れた顔で鼻をならす政宗は、嫌味を口にしようとして、止めた。――――なら、なんで俺に…………。
 そこから先は、まだ言う雰囲気では無い。ここで言えば、駄々をこねるガキと同じ。
「で、何の用だ」
 話題を変える。
「そろそろお休みになられませ、と申し上げに参りました」
「ああ――――あと、これだけ読んだらな」
 たいして真剣に目を通していたわけではないのに、素直に従うことが躊躇われて、政宗はめくっていた書物を顎で指す。
「お体に障ります。日が昇ってから、続きをお読み下さい」
 眉間に皺を寄せた小十郎に気付かれないほど、薄く笑む。
「月がこんだけ明るけりゃ、昼間も同じだ」
「政宗様」
 咎めるような、困ったような声。
「I See 小十郎」
 仕方がないと、たっぷり言外に滲ませて書物を閉じ、立ち上がる。小十郎は障子を開き、政宗が出ると自分も書斎から出て障子を閉めた。寝室に向かう政宗の背後に従う。
 ふいに、政宗が立ち止まった。艶っぽい目で、顔だけを小十郎に向ける。
「小十郎」
「なりません、政宗様」
「誰もいやしねぇ」
 ため息と共に、甘く囁く。
「――――お部屋に戻られましたら」
「今、だ」
 ほら、と誘うように唇をついばむような動きをしてみせる。小十郎の目が、欲に揺れた。
「小十郎――――」
「なりませんっ」
 あと一押し、と切なく名前を口にした瞬間、押し殺した鋭い声が政宗から放たれる空気を斬った。
「チッ。つまんねぇ」
「つまる、つまらないの話ではございません」
 すぐに普段の様子に戻った政宗に安堵と落胆を抱えながら、小十郎が小言をはじめる。
「立場というものを、お考え下さい。あなたは――――」
「Oh noisy」
 くるりと振り向いた政宗が、小十郎の唇に自分のそれを掠める。
「政宗様ッ」
「下がっていいぜ。Good night 小十郎」
 悪戯な笑みで小走りに進みながら言う政宗に、まったくと呟く小十郎の唇は、柔らかな弧を描いていた。
 
 いくつかの政宗宛に届いた書状を手に、小十郎が書斎に向かう。
「政宗様」
「Ya、入れ」
「失礼いたします」
 入室し、頬杖をついて書物を眺める政宗は退屈そうに見えるのに、小十郎へ顔を向けない。集中しすぎているのか、見たままに気が抜けているのか。
 前者だろうと察しをつけ、小十郎は文机の横に書状を置く。
「小十郎」
「は」
 書状から政宗に目を向けるが、政宗は書物に目を落としたままでいる。
「あぁ、いや――――いい」
 惚けているような声音に、小十郎は首をかしげる。
「何か、気になることでもございますか」
「んん? いや、別に」
「どのような些細なことでも、この小十郎、お伺いしとうございます」
「Ah――――いや、なんもねぇ」
 いぶかる顔の小十郎に、今気付いたというような顔で目だけを向け、じわりと笑みを顔に広げる。
「なんもねぇよ。安心しろ、なんかあったら、真っ先に言う」
 わずかに身を乗り出して何かを言おうとし、とどまる小十郎に笑みを深くしてみせてから、話は終わったとばかりに意識を書物に戻す。そんな政宗に、何を言っても返事がないことを知っている小十郎は、一礼をし部屋を出る。
 障子を閉めて、少し考えてから、部屋の前に座して政宗が出てくるのを待つことにした。
 政宗の様子が、どうにも引っ掛かる。何か思うところがあって、それがまとまっていない。そんなふうに小十郎は受けとめた。しかし、常ならば会話をしながら考えをまとめ、結論を導きだす。それをしない政宗は、珍しい。会話をするまでに至らないほど漠然としているのであれば、ふいに口に出してみたくなる時が来るだろう。そうなった時に、必ず政宗は自分を呼ぶ。そう確信し、小十郎は時間の許す限り、傍に控えておくことにした。
 一刻半ほど経っただろうか。障子を開けて出てきた政宗は、ふと横を見てぎょっとした。
「小十郎っ! なんで――――」
「少々、気になることがございましたので」
 真っ直ぐ見上げる小十郎から外した視線を泳がせて、政宗は言う。
「ちょっとばかり、気になることが書物に書いてあってな、それを、考えてんだよ」
「どのような事か、伺わせていただけますか」
 顔を背けたまま、目だけで小十郎を見てすぐに視線を外し、きびすを返す。
「たいしたことじゃねぇから、こんなとこに座ってねぇで畑にでも行ってこい」
「政宗様ッ」
 腰を浮かせた小十郎を遮断するように、部屋に戻った政宗はピシャッと障子を閉める。そうされて強引に押し入るわけにもいかず、かといって場に留まるのも尻が落ち着かないので、政宗のいうように畑にでも出ようかと、心を残して小十郎が去った。
 しばらくして、そっと障子を開けて小十郎がいないことを確かめてから、政宗が書斎を出る。ずいぶんと用心しながら歩を進め、手近な者に声をかけた。
「おい」
「あ、筆頭。ちぃーッス」
「軽く、頼まれ事をしてくれるか」
「任せて下さいよ、筆頭!」
 グッと拳を握りしめて笑顔で応える相手を、指で招いて耳元に頼み事を伝える。目を丸くして政宗を見た者は、間近でニヤリとする政宗に「お任せ下さい」と力強く頷いた。
 
 土と汗の香りを身に纏う小十郎が、井戸端で体を拭いていると、こちらにやってくる者があった。
「片倉さまっ」
「おう、どうした」
「畑、行って来たンすか。精が出ますね」
「手抜きをすれば、そのまま収穫に影響するからな。――――まぁ、天候も関係するから、必ずいいモンが出来るとは限らねぇが」
「片倉さまのこだわり、ハンパ無ぇっス! 道具も一流なんスよねぇ」
「農民にとっちゃあ、農具は俺たちの刀みてぇなモンだ。きっちりと手入れをして使ってやれば、手に馴染んで一流になる」
「へぇえ」
 感心したように伊達兵士が農具に触れて、ためつすがめつ状態を確認する。
「本当に、手入れが行き届いてるっつうか、なんつうか………………野良着は、ほつれたりとかなんか、してきやしませんか」
「ん。ああ――――まぁ、使っていれば当然そうなるが、それも扱い次第で最小限に出来るからな。布も鉄も貴重で、なかなか手に入れられねぇ農民もいる。そいつらを思えば、自ずと扱いも丁寧になる」
「さすが、片倉さまっス! ああでも、ほら、なんか、なんか無いっスか。古くなったから新しいのが欲しいとか、予備があれば、いいなぁとか」
 へらへらと笑いながら言ってくる兵士に怪訝そうな顔をしながら、それでも真面目に考えて返事をする。
「――――いや、これといったものは無ぇな」
「そっスか…………」
「何だ。何かあんのか」
「べ、別に何も無ぇっス。それじゃ、失礼しやした!」
 両手を振りながら否定をし、頭を下げてそそくさと逃げるように去る兵士を、小十郎は首をかしげて見送った。
 それから、兵士たちに似たようなことを聞かれることが多くなった。
 やれ、壊れそうで困っているものはないか。不足しているものはないか。欲しいものはないか。
 一体全体どうしたことかと首をひねる小十郎には、もう一つ気になることがある。主君である政宗が、ずいぶんとよそよそしいのだ。
 あの日からだ。
 南蛮の事が書いてある書物を見ながら小十郎に何かを言い掛け、やめたあの日から、政宗はどうも小十郎を避けているような気配がある。しかし、疎ましく思っているわけではないらしい。時折視線を感じ、振り向くと慌てて視線を反らす。何か、と声をかけると、別に、と答えて去ってしまう。一体、これはどういう事なのか。
「わからん」
 腕を組み、呟く。とんと見当がつかない。政宗の事は何でもわかっているような気になっていたが、まだまだわからないことがあるようだ。
――――慢心していたか。
 政宗の事に対して。
 失った彼の右目と呼ばれ、一心同体であるかのように錯覚し、見落としている事柄があるらしい。しかしそれの見当がつかない。兵士たちの事も、気になる。何故、最近になって自分の欲しいものを聞きたがるのか。
 それも、どうやら政宗の様子がおかしい事と関係しているらしい。
 軽く頭を振ってから、小十郎は政宗の元へ行く事に決めた。
 政宗は、台所に居るらしい。好奇心や探求心の強い彼は、料理にも興味を持ち、自ら調理を行うこともある。南蛮よりの書物に、目新しい調理法でも載っていたのだろうと思いながら、ひょいと顔を覗かせると政宗は何かを磨り潰している最中だった。
「政宗様」
「OH! ッ――――小十郎」
 ビクッと体を強ばらせ、すりこぎを放り出しかねない勢いで驚く政宗に、小十郎も目を丸くする。
「はっ、なっ……何だよ。驚かせんな」
「申し訳ございません。そこまで驚かれるとは思はず――――何を、なされているのですか」
「Ah、見りゃわかんだろ。料理だよ、料理。――――で、何だ。なんか、あったのか」
 ふうと息を吐き、調理台にもたれ、足も腕も組んだ政宗が、すねたような困ったような、残念そうな――――色々なものをない交ぜにした顔で小十郎を見る。
「ああ、いえ――――」
 なぜか酷く申し訳ないことをした気持ちになり、ふいと視線を外した小十郎につられ、政宗も目を反らす。しばらくしてから、視線はそのままで政宗が言う。
「なんも用が無ぇんなら、邪魔すんなよ小十郎」
「ああ、いえ…………その、最近、ご様子がおかしいと思いましたので、何かございましたか、と聞きに参ったのです」
 妙な緊張感を互いにまといながら、ちらちらと相手の姿を見ては目が合いそうになると慌てて外す。
「別に、なんもおかしくねぇよ。小十郎こそ、変じゃねぇか」
「それは、政宗様がそのような態度をとられるからです。――――最近、おかしいのは政宗様だけではございません。兵士らも、急に欲しいものは無いかなどと聞いてくるようになりました」
「Ah――――」
 ひくりとイラついたように政宗の片頬がひきつる。
「お心当たりが、ございますな」
 小十郎がキラリと目を光らせ、なんともいえない空気が常なるものに戻る。盛大にため息をついて、政宗が首を振った。
「The worst」
 舌打ちとともに悪態をつきながら、腰に手を当てて真っ直ぐに、睨むように小十郎を見る。
「西洋には、記念日にPresentを贈ったり、Partyをしたりするって、書いてあったんだよ」
 投げ捨てるような声音に、小十郎が眉根を寄せる。
「祝い事なら、ここ日の本でも行っているかと」
 怪訝な小十郎に、憮然として政宗が続ける。
「そうじゃねぇ。なんつうか、個人的な記念日みてぇなもんを祝ったりするって、書いてあったんだよ」
 むっすりとした政宗に、はて、と小十郎は首をかしげた。個人的な記念日、と政宗は言った。過去の、今日にあたる日に何か記念になるような事があっただろうか。
 しばらく小十郎を睨むように見つめていた政宗が、右目の眼帯に触れる。そこで、ハッとした小十郎に呆れた顔をしてみせた後、ニヤリと笑った政宗が眼帯を外す。
「やっと、気付いたかよ」
 長い前髪の間から、傷痕が覗く。
「政宗様――――」
「今日は、俺が新しい右目を手に入れた日なんだよ、小十郎」
 勝ち誇った笑みの政宗が、眼帯を小十郎の胸に押しつける。それを受け取り、こみあげるものを抑えた小十郎が、膝をついた。
「政宗様」
「十二分に、記念日だろうが」
 何かを口にしようと動く小十郎の唇は、言葉を発する事無く強く結ばれる。それが笑みの形をしていることに、満足そうに目を細めてから、政宗は大げさなため息をついた。
「しかし、てめぇは何も欲しがってる様子は無ぇし、相当悩んだぜ」
 大きな独り言という態で発された言葉に、小十郎が立ち上がる。
「お言葉ですが、政宗様。そのようなことなれば、素直に私に話をしてくださればよかったのではございませんか」
「野暮言ってんじゃねぇよ。Surprisだから、面白いんだろうが」
「しかし、そういう事なれば、私のほうこそ感謝の意を表しとうございます」
「Ah?」
「政宗様のお側に置いていただけるどころか、右目とまで称されることを許されたことに、です」
「――――小十郎」
 微笑む彼の名を惚けたように呟き、慌てて擦り鉢を抱えた政宗がゴリゴリと何かを擦り潰す。
「じゃあ、祝われてやるから、何か今から考えてこい。――――ああ、食い物はやめろよ」
 言いながら、作りかけの料理を視線で指すと、承知致しましたと言いながら、右目は政宗に眼帯を被せた。
 
 他の誰にも祝う事の出来ない、二人だけの記念日――――右目記念日


 政宗の自室で、月光を肴に小十郎と差し向かいでほろほろと酒を組みかわす。襦袢姿の政宗の傍に居る小十郎も、楽な格好をしていた。
「Ah――――しかし、まさかアイツらがあんなことを思っているとはなぁ」
 軽く頭を振り、思い出し笑いを酒と共に飲み干す政宗に、小十郎も同意の笑みを浮かべる。どうやら、右目記念日は二人だけのものでは無くなっていたらしい。一人から二人、二人から三人――――と広まったものは、やがて伊達軍全員に知れ渡り、双竜の原点である日を皆で祝おうと派手な祭りの様相を持って行われてしまった。当然、政宗が用意をした食事など足りるはずも無い。それは当然、小十郎が食すべきだと兵士らは言い、彼らは自前で用意をした祝いの膳を酒と共にドンチャン騒ぎで楽しんだ。どうにもうまい酒宴の理由にされてしまった感もあるが、悪い気はしない。慕われていることが、何よりも嬉しかった。
「美味かったかよ」
「むろんにございます」
 ニヤリとした政宗が腰を浮かせ、小十郎の前にしゃがむ。
「俺にも、美味いモンを寄越せ」
 舌を舐め、政宗が杯を傾ける。月光を含んだ酒が、小十郎の首を濡らした。
「政宗様――――」
 わずかな動揺を含んだ声を無視し、小十郎の肌に染み込む酒に舌を伸ばす。舐めとりながら、耳元で囁いた。
「ぞんぶんに、味わわせてくれよ」
 着物を肩から落とし、小十郎の膝の上に座る。腕を回して頭を抱きしめながら言う。
「咥えてやろうか――――記念日だ。Serviceしてやる。それとも――――オマエが存分に奉仕してくれるか? 小十郎」
「政宗様、お戯れは――――」
「アァン? これが戯れに見えるかよ」
 勝ち誇ったような、艶を含んだ笑みが月光により妖しさを膨らませる。唇を舐める政宗に、軽いめまいを覚えながら理性を総動員させた。
「なりません、政宗様」
「何をガマンしてやがる。立場だなんだと無粋なことを言う気じゃねぇだろうな、小十郎。それとも、何か――――」
 政宗の右手が、自分の魔羅に伸びる。
「テメェを思って、自分で慰めとけ――なんて言う気か、小十郎」
 瞬間、小十郎が政宗を押し倒す。ゴッと派手な音がして、我に返った小十郎の髪に、政宗の指が絡んだ。
「も、申し訳ございません」
「悪いと思うなら、打った頭の痛みなんて忘れてしまうくれぇ、悦くしてくれよ」
 ごくり、と小十郎の喉が鳴る。
 「俺を満たせ――――小十郎」
 一旦体を起こした小十郎が、乱暴に着物を脱ぎ捨てる。現れた肌に、今度は政宗が喉を鳴らした。
 「久しぶりだ。最高のPartyにしてくれよ、小十郎」
「承知いたしました」
 甘えるように腕を伸ばす政宗の背に腕を回し、眼帯を咥えて外す。表れた傷跡を丹念になぞる小十郎の下で、政宗の息が徐々に荒くなった。
「政宗様は、ここも悦いのですな」
「――――つまんねぇ事言ってんじゃねぇよ。触れているのが、小十郎だから、だ」
 光の残る瞳が、甘く切なげな色に揺れる。そちらにも唇を寄せて、手のひらで政宗の形をなぞっていく。顔――首――肩――背中――胸――腹――――
「くすぐってぇ」
 わき腹を撫でると、政宗がつぶやいた。両手を顔の上で交差させている。薄く柔らかく笑んだ小十郎が、鼻に唇を寄せた。
「なんか、品定めをされているみてぇだな――――茶器かなんかになった気分だぜ」
「お嫌ですか」
「嫌じゃ無ぇよ――――小十郎相手なら、どんな触れ方だって、かまやしねぇ」
「政宗様――――」
「ッ――ア」
びくん、と政宗が跳ねる。小十郎の手のひらが、余すところ無く政宗の形を確かめる。布団を握り締めた足の指に舌を這わせ、口内に指を引き入れる小十郎の目に、蜜を垂らしながら震える政宗が映る。もどかしそうに動く足を肩に乗せ、舌を這わせながらソコに顔を近づけていく。
「ッ――こじゅ、ろ…………ァ」
 甘さを押し殺した声が、内腿に口付けられて溶ける。
「ァ、ア――――アァッ」
 ヒクンヒクンと脈打つ魔羅と同じ感覚で、政宗が息を弾ませた。
「ンな、触り方ッ――」
「どのような触り方でもかまわぬとおっしゃられたのは、政宗様です」
小十郎の熱い息が、濡れた政宗の魔羅にかかる。触れられる期待にブルルと震えたソレに目を細め、付け根からゆっくりと舐めあげた。
「は、ぁああ――――」
 うっとりとした声が漏れる。それに口の端を弓なりにしならせて、ゆっくりと頬張り舌で転がす。
「ン、ふ――ァ、こじゅ、ろォ」
政宗の指が小十郎を求めて伸ばされる。潤んだ瞳に、自分のイチモツを咥えた小十郎の姿が映ると、政宗は戦場にいるような目で笑った。
「Excellent」
 ため息のように呟かれた言葉に目を細め、小十郎は強く吸いながら頭を上下させた。
「んァ――――は、ァ――――」
 うごめく政宗の腰を押さえ込み、口内で圧迫しながら擦りあげる。溢れる蜜を吸う音と、飲み込みきれなかった液が空気と混ざり合う音が響いた。
 「ンッ、ン――」
 小十郎の低いうめきの合間に、ジュ、くぷ、ジュル――と濡れた音が溢れる。
「は、ふぅ……っく、ァ――――」
 ビクン、と大きく跳ねて放つ直前、小十郎の口から開放された魔羅がふいに行き場を失って痙攣する。
「こ、じゅ……?」
「政宗様に御作り頂いた夕餉以上のものを返さねば、私からの贈り物とはなりますまい」
「Ah?」
「存分に、高みへと昇り、溺れていただきたく――――」
「ッ! か、はァ」
 ギュリ、と魔羅の先端がすりつぶされる。達するのではなく搾り取られたモノが溢れた。それを指に絡めた小十郎は、政宗の菊花に塗り広げ、秘所を押し開く。
「ぉ、ふ――――ァア、はひッ」
 オコリのように体を震わせた政宗が激しく足を泳がせ、手を伸ばして小十郎の肩に爪を立てる。両肩に政宗の膝を乗せ、覆いかぶさるようにするとバタバタと背中を蹴られた。
「政宗様――」
 うっとりと呟かれた声は荒く上ずっている。欲に目を濁らせた小十郎が、喘ぐ政宗の唇を吸った。
「ン、ふぅ――――ァア」
 狂ったように首を振り、小十郎にしがみつく政宗の首に何度も唇を寄せながら指を抜き、猛る己の魔羅を菊花に添える。
「――――政宗様」
 熱いため息と共にささやかれた名前に、政宗は喘ぐ唇に笑みを浮かべ、どろりとした欲にまみれた瞳を不敵に歪ませた。
「余裕、こいてんじゃねぇ――――ギリギリのクセに」
 クッと喉の奥で笑われ、苦笑とも慈しみともつかない顔をして小十郎が唇をついばんだ。
「まだまだ、私も未熟なれば――――」
「この俺相手に余裕かますなんざぁ、許さねぇッ」
 ガッと小十郎の首に噛み付き、付いた歯型に舌を這わせ、熱い息を吐き出す。
「Enter the inside」
 甘くささやかれた言葉に、小十郎は一気に政宗を突き上げた。
「ガッ――――ァ、ア」
「ッ……申し訳ッ、ございません……政宗様――ァ――――これ以上、堪えようもなく、ッ」
「OK 小十郎――それでいい……は、ぁ――――好きなように、突き上げろ」
「――――承知ッ」
「ひ、ァ…………アァアアアア――――」
 ぐん、と奥まで突き上げられたかと思うと、乱暴にかき回される。ひくつく内壁が小十郎に絡み、彼の先端から零れたものが政宗の中を濡らし、満たす。
「まッ――ハ、ァ……っ、ね、さまッ」
「んぅッ、じゅ、ろ――こじゅッ……」
 うわごとのように互いの名を口にしながら、あえぎ、熱を高めていく。互いの体の境界が失われ、時が――月が二人を見失う。
「ふ、ぁくッ―――ろ……ォ、こ――ゅろ」
「ン、ふ――――ッ、む……ね、さッ―――ハ、ァ」
 竜が絡み合い、溶け合う瞬間――――
「んっ、はぁああああ――――」
「く、ゥウ――」
 鼓動のように二人の体が跳ね、痙攣した。
「は、ぁ―――は…………ん、こじゅ――ろ」
 余韻で泥のように重くなった体を動かし、汗で顔に張り付いた髪を掻き上げながら虚ろな瞳で覆いかぶさる相手の名を呼ぶと、ぎゅうと強く抱きしめられた。
「どうした――」
 浅い呼吸を繰り返しながら、薄い笑みを唇に乗せ、小十郎の髪を指で梳いた。
「政宗様――――」
 息が整いきれていない声で名を呼ばれ、頬を頭に擦り寄せ――――
「うん?」
 甘い音で、先を促した。
「もうしばらく、繋がっていても構いませんか」
 肩に顔をうずめたままの呟きに、少しだけ大きく開いた瞳を柔和に細め、髪に唇を寄せて囁いた。
「Ha! つまんねえ事を、聞くんじゃねぇよ小十郎」
――――――――アンタは、俺の体の一部なんだから

アンゾ〜様よりのお題「こじゅまさ。筆頭が小十郎のお誕生日を何らかの形でお祝いしてあげている感じ。『誕生日』としましたが、特に誕生日でなければならない事もありませんので、 照れている…もしくは動揺している…普段とは違った小十郎が見てみたい」
ということで、ある意味誕生日的なイメージで書かせていただきました! 初カプ初こじゅまさ! めさ楽しかったです! が、お題をクリアしているのかどうか…………。こじゅ、普段どおりのような気がします(汗)祝いきれてもいないような…………? す、すすすみません; リクありがとうございました! 

2010/05/18



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