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呪詛タガエ

 苦虫をかみつぶしたような顔をして、長曾我部元親は人気のない一室に、所在無げに立ち尽くしていた。
 身を包んでいるのは、染みひとつない純白の襦袢。板敷の四畳半の納戸は薄暗く、がらんとしている。梁がむき出しになっているそこは、どこかほこりっぽく、かび臭かった。
 光の届かないその部屋に元親がいるのには、理由があった。
 海岸沿いを歩いている時に、ふらりふらりと水草のように――いや、白い亡霊のようであったから、クラゲと称したほうが似合いかもしれない――天海が、楽しそうに微笑みながら揺れているのを見つけたのだ。
「よぉ。なんだか、楽しそうじゃねぇか」
「ああ、これはこれは。西海の鬼こと、長曾我部元親さんではありませんか。うふふ――相変わらずの偉丈夫なお姿。金吾さんにも、見習わせたいものですねェ」
 くすくすと喉を鳴らす天海の周囲を見回しながら、元親が問う。
「金吾のヤローは、いねぇのか」
「いつもいつも、私と金吾さんが一緒にいるわけではありませんよ」
「ああ、まあ……そうか。そうだよな。なんか、いっつも一緒にいる印象が強いんで、つい」
 んふふ、と蕩けるように目じりを下げた天海が、そういえばと元親に問う。
「最近は、毛利さんとはお会いになりましたか」
「いんや。やっこさん、忙しそうでよォ。前までは長ったらしい、用件になかなか入らねぇ手紙をよこしてくれてたんだが、最近はちっとも送ってこねぇし、こっちの手紙にも返事をよこさねぇんだよな」
 腰に手を当て顎を撫でる元親に、そうですかと物憂げに天海が言った。
「なんか、あったのか……?」
 思わず声と眉をひそめた元親に、呪詛ですよと天海が言う。
「呪詛ぉ?」
「ええ……。自らを日輪の申し子と称されている毛利さんは、自身が呪詛を受けても跳ね返せると、お考えなのですが…………」
 ゆるくかぶりを振る天海の肩から、白い髪が流れるように零れて顔に影を作る。ますます眉をひそめた元親が、光のある右目を眇めて天海を覗き込んだ。
「なんか、あったのか――」
 ちら、と目だけを上げた天海が、そっと元親に耳打ちをする。
「呪詛返しの祓いを、うけてくださらないのです」
 日輪の加護があると常々言っている毛利元就が、僧侶である天海のことを、うさんくさく思っていることも知っている元親は、深く頷いた。
「ザビーのヤローの言う事なら、聞いたかもしんねぇがな」
「このままでは、毛利さんが危ういので心配でいてもたっても居られずに、金吾さんと別れて遠くから代理を立てて祓いを行える場所と人を求めて、こうして一人でうろついていたんですよ」
「ふうん?」
 わかったような、わからないような鼻息を出す元親に、そうだと顔を輝かせて天海が掌を打ち合わせた。
「元親さんなら、適任ですねェ」
「は?」
「毛利さんと長年の付き合いで、好敵手とも呼べる間柄ですから、きっと代理の祓いに適任だと思ったのですよ。ああ、でも一国一城の主である元親さんが、祓いの儀式を受けるとなると、人目を気にしなければいけないので、難しいですねぇ」
 大げさに肩を落として息を吐く天海が、芝居がかった声で嘆いた。
「ああっ、かわいそうな毛利さん! 自分のことを過信しすぎるあまり、呪詛による病で日に日にやせ衰え、青白い顔をして目を落ち窪ませていく姿を見ているしか出来ないなんて! 僧侶であるのに何もできないことが、うらめしい」
 よよよ、と泣き崩れる天海の姿に、言葉に、元親の脳裏に透けるように白い肌をした元就が、今よりもっと血の気を失い、目の下に暗いものを浮かべる姿が走った。
「っ! 天海さんよォ……俺が、代理で呪詛払いを受けりゃあ、毛利は助かるのか」
 しなをつくり手で顔を覆って嘆く天海の肩を掴み、元親が覚悟を秘めた目で言えば、天海はそっと元親の本気を窺うように目を上げて、すぐに逸らした。
「確実とは、いえませんが――そうですね。通常の祓いよりもずっと過酷で、大変な儀式になってしまいますが…………ああ、そう――そうです。一国一城の主である元親さんを、そんな儀式で消耗させるわけには参りません。ああ――私の言ったことは、聞かなかったことになさってください」
 顔ごと背けてしまった天海に、元親は覚悟を秘めた声で告げた。
「鬼と呼ばれるこの俺が、耐えられねぇはずは、無ぇだろう。どんなことでも、耐えて見せるぜ。だから、天海――毛利を救う術があるってんなら、俺にその祓いってぇのを、施してくれ」
 それを聞きながら、天海がひっそりとほくそ笑んだことに、元親は気が付かなかった。

 そうして天海は人気のない、誰にも邪魔をされることのない空間で、身を清めた後に護摩を焚き読経を受けた純白の衣のみを身に纏って待っているようにと、元親に告げた。
 元親はすぐさま屋敷の一番奥の納戸を片付け、身を清め、天海の用意した襦袢と左目を覆う眼帯のみを――下帯もと言えば、却下をされた――身に着けて、所在無げに部屋の中で天海の準備が整うのを待っている。
「ああ、すみません。すっかりと準備に手間取ってしまいました」
「う、わぁああ――。ああ、脅かすんじゃねぇよ」
 唐突に元親の背後に煙のように湧き出た天海に、大げさに後ずさりをして元親が驚く。首をかしげた天海が、悪びれもしない顔で謝罪を口にし、いそいそと部屋の四隅に子どもの腕ほどの大きさのろうそくを立て火を灯し、なにがしかの粉をブツブツと何かを唱えながら振りまいた。
「なんでぇ、そりゃあ」
「毛利さんの呪いを、こちらに向けるためのものですよ。さあ――元親さん。貴方は今から呪詛を受けるべき、か弱き贄です。呪いの元に、毛利さんではなく貴方のほうが御し易いと思わせねばなりません。……大変に心苦しいのですが、動きを封じさせていただきますね」
 心底申し訳なさそうな顔をしながら、どこか楽しげな気配を漂わせる天海が、どこに持っていたのか小舟を舫えるほどの、太い荒縄を取り出した。いそいそと結び目を作り放り投げ、梁に引っ掛けると元親に頭の後ろで肘を重ねるように腕を組んでほしいと言う。よくわからないまま言われた通りにした元親の肘を揃えて結わえた天海は、ぐるぐると手首まで縄をかけ、脇を通して元親の胸筋の下を通し、胸と肩甲骨を十字に縛り上げるように、上半身に縄をかけた。ぎち、と締まった縄が、元親の逞しい胸筋を強調するように縛り上げる。
「く――」
「ああ、食いこんで痛みますか…………こんなに、ぎちぎちに締め付けているのですから、当然ですよね。我慢をして下さい。これも、毛利さんを狙う呪詛を全て、こちらにおびき寄せるために必要な事なのですから」
「ん……こんぐれぇ、かまわねぇよ」
「ああ、そうですか――そうですよね。西海の鬼ともあろう方が、この程度で根を上げるわけは、ありませんからね」
「毛利のひょろっこい体と、俺を比べりゃあ、どう見たって毛利のほうが襲いやすいと思うだろ。もともとの目的は、毛利だしな。それを、こっちに引き付けようってんだ。こんぐれぇ、どうってことねぇ。つうかよ、こんぐれぇで大丈夫なのか?」
 きらっと天海の目が光る。
「そうおっしゃられるのなら、このあたりで止めておくつもりでしたが……しっかりと縛りあげさせていただいても、大丈夫でしょうか?」
「おう。しっかりと、呪いの元ってぇのを誘えるぐれぇ、縛ってくれ」
「それでは」
 なんとはなしに、天海の声が弾んでいるように聞こえたのは、なんだか鼻歌交じりに作業をしているような気がするのは、気のせいだろうか。
 天海は余っていた縄を元親の股にくぐらせ、尻たぶを持ち上げるように足の付け根にまわすと、元親の足首を持ち上げて括り付け、ひざ裏を通した先を再び天井に向けて放り投げて、梁をくぐらせしっかりと結んだ。
「う……なんか、ちょっと、恥ずかしいな」
 白い襦袢のみを纏い、片足を持ち上げる格好で梁に吊るされた元親は、襦袢の隙間から男の茂みを覗かせるような格好になっている。
「ここにいるのは、私と貴方のみなのですから、恥ずかしがる必要はありませんよ、元親さん。襦袢も、着ていますしね」
「う……まあ、そうだけどよォ」
 もじ、と元親が身を捩れば縄が軋む。それに目を細め、天海は錫杖を握りしめぶつぶつ言いながら、四方のろうそくに何かの粉を振りかけた。
 ふわり、と甘い香りが室内に漂う。天海は、しかつめらしい顔をして口内で何かをブツブツと呟きながら、錫杖を打ち鳴らし元親の傍へ戻り、錫杖の先を元親の腹に突き付け帯を解いた。
「あっ」
 はらり、と帯が落ちる。縄で留められている上半身はそのままに、下肢の布が開き元親の牡が薄暗い室内にさらされた。
 羞恥を浮かべた元親は、何の変化も見せず錫杖を打ち鳴らし、ぶつぶつと唱えている天海を見る。ぐっと身に力を込めた元親は、羞恥を浮かべた自分を恥じ、戒めるように唇を噛んだ。
 元親の反応に、こっそりとほくそ笑んだ天海が竹筒を取り出し、中身を元親にぶちまける。むせるほどの花の香りに目を丸くした元親に、特殊なお神酒ですよと天海が微笑んだ。
「呪詛の元も、神仏の眷属ですからねぇ」
 しゃん、と錫杖を鳴らして印を結んだ天海が、濡れて透けた襦袢が貼りつき、ぷくりと形を浮かべた元親の胸乳の尖りに目を滑らせる。素知らぬ顔で元親の胸に錫杖の先を当て、ぶつぶつと言いながら胸筋をなぞり、そこをつついた。
「っ――」
 とたん、妙な甘痒さが痺れと共に湧き上がる。突かれるたびに痺れは膨れ上がり、錫杖の先がかすって別の場所を突けば、もどかしいと感じた。
(うぇ……ちょっと、これ、やべぇ)
 腰のあたりも疼きはじめ、元親は心中で焦る。天海は何も気づかぬ様子で、ぶつぶつと何事かを唱えながら錫杖を動かし元親の胸乳を探り、時折突き立ててくる。
(意識を、別んところに――)
 逃さなければと思うのに、滑る錫杖の先が生む刺戟に肌がわななく。胸乳の尖りだけであったはずの痺れは、胸全体へと広がり、ゆるゆると脇腹や背中まで包み込み、下肢へと伸びていく。
(うあ、ちょ――やべぇやべぇ、ちょ、う、わぁあ……)
 元親の焦りなど無視をして、彼の牡はゆっくりと頭をもたげる。気付いていないはずは無いのに、天海の態度が変わらないことに、元親の羞恥はさらに強まった。それが、肌身に触れる錫杖の刺激と、脳を包む甘い香りに煽られた欲の炎をさらに煽る。
「ぅ、うう――」
 ぶるぶると太ももを震わせる元親の牡が、犬が尾を振るように震えている。それに目を止めた天海が、にっこりとほほ笑んだ。
「どうやら、呪詛の意識はこちらに向いたようですねェ」
「へっ? うぇ……ちょっ、あ、ぅ、え、ひぎっ」
 にこにことする天海に、一体何がどうなってそういうことなのか判らない元親が、疑問を言葉にする前にそっと牡に手を添えて、懐から取り出した細い管を、牡の蜜口へあてがい押し込んだ。
「ぁ、は、ぁああうっ、が、ぁぎ、ぃいぃい」
 喉の奥で声をつぶし、声を上げる元親の見開かれた目に涙が浮かぶ。
「ああ――いいですよ……そう、その顔です…………ああ、いいですねぇ、いいですよ――そそります。ええ、とても、そそられますねぇ」
 楽しげな天海が、器用に口当をつけたまま小瓶を口に当てて中身を含み、そっと元親の蜜筒に突き立てた管に顔を寄せる。それを咥えると、口に含んだものを注ぎ込んだ。
「ぁひっ、ぁ、何……あっ、あ、ぁあっ、ひ、ぁ、ああうっ、んっ、くふぅ」
「ふふ……先ほど肌にかけたものと、同じものですよ。ああ……鬼が乱れ狂うさまを――泣いて乱してほしいと乞う姿を、存分に見せてください」
「んひっ、んんぃっ、ぁ、な、んだよ――それ、ぁあ」
「毒を持って毒を制す、と言うでしょう? 邪念には、邪念をぶつけるのですよ。ああ――ほんとうに、申し訳ないと思っているんですよ。貴方を、こんなふうに……いいえ、もっと狂おしく乱さなければいけないなんて――――僧籍にある者が、こんな非道を行わなければいけないなんて……ですが、これも全て毛利さんの為です。堪えてくれますね?」
「ふひっ、ぁ、は、ぁはぁぉお」
 ぎゅうっと牡を握られて、内外からの刺激に欲の象徴が、釣り上げられたばかりの魚のように跳ねる。
「毛利さんの為に、しっかりと体のどこがどうなっているのか……呪詛を撃退するために、詳しく私に教えてください――――できますよねぇ、元親さん」
「あひぅんっ、ぁは、あっ、はぁうう」
 蜜筒の管を捩じられ、牡の傘裏を猫の喉をあやすように撫でられて、元親は尻をきゅうっと閉めた。ぽこりと浮かんだ尻えくぼに、おやと目を細めて天海が手を伸ばし、くるくると円を描くように撫でた。
「うふふ。可愛らしいですねェ」
「は、ぁ、あ、ぁあ、ぁ、く、ぅう」
 歯を食いしばり、堪えようとしても全身が甘いものに包まれて、歯の根が浮く。先ほど蜜口に注がれたものが湧き上がる子種と交じり、どうしようもないほどの射精感をもたらした。
「ひっ、ひぃ……あっ、ぁ、あっ、あ、ああっ」
「どうしたんですか、元親さん。とても、苦しそうですよ」
 突き立てた管から、とろりとろりと先走りをこぼす牡に気付いていないはずは無いのに、天海は何も知らない顔で尻を撫でていた指を動かし、双丘の谷を上下に優しく撫ではじめた。
「はふっ、ぁ、あぉおんっ、ぁ、ああっ、て、んかぃい」
「はい? どうしました」
 ううっと唸った元親に、聖人のような顔をして問いながら、双丘の奥に咲く花に指先を含ませる。
「ぁうっ」
「おや、赤子が乳を吸うように、指に吸い付いてきますねぇ――どれどれ」
「ふひっ、ぁ、や、ぁあうっ、ぁ、あ、ああ」
 首を振る元親が強く目を閉じた瞬間、ぽろりと目じりに溜まっていた涙がこぼれた。
「ああ、かわいそうに――海賊が跋扈し乱れた西海を、この腕一つで倒し、まとめあげた鬼と呼ばれるほどの偉丈夫な貴方が、呪詛を代わりに受けているとはいえ、こんなふうに生娘のように肌を震わせ涙をこぼす姿は、なんともあわれで胸が痛みますよ――ふふふ。ねぇ、元親さん……私もつらいのです。わかってくださいますよね? ですから、どうか素直に身に起こっている感覚を、欲をすべて口に上せて教えてください。そうすることで、邪念に邪念をぶつけて相殺し、呪詛を祓うのです。さあ、言ってください、元親さん。体のどこが、どういうふうになっているのか――貴方が何を望んでいるのかを!」
 さあ、と言いながら深く秘孔に指を突き立てた天海が、ぐにぐにと内壁を淫靡に刺激し淫孔へと育て始める。ぷし、ぷしっと先走りをこぼす牡は天を仰ぎ猛る声を溜め、咆哮するときを待ちわびている。
「さあ、元親さん」
 笑みを含んだ天海の声が、そっと耳奥に吹き込まれる。それは元親の意識を絡め取り、あっけなく理性を砕いた。
「は、ぁ、ああ……イ、イキてぇ…………イキてぇよぉ」
「おやおや。西海の鬼ともあろう方が、そんな幼子のような言い方をされるとは。――もっと、具体的にどこがどうなっているのか、おっしゃっていただかなければ」
 ねえ、と言いながら縄で締め上げられた胸筋を撫でる。背後から両手で胸をさすり、濡れた布の張り付いた透けて見える尖りを抓み転がせば、うっとりとした息が元親の口から洩れた。
「ふふ。心地いいのですか?」
「ぁ、ああ……いいっ、は、ぁ」
「何が、どう心地いいのか仰っていただかねば――ねえ、元親さん」
「ふ、ぁ、あう、んっん」
「さあ、教えてください――どんなふうになっているのか。どこを、どうされると、どんなふうに感じるのかを。具体的に、はっきりと」
「ぁはうぅうんっ」
 きゅりっと尖りを捩じられて、元親が胸を反らす。耳に長い舌を差し込みながら、天海が劣情をあおる声を注ぎ込む。
「言えませんか? 言えなければ、何もほどこすことが出来ませんねぇ」
 す、と残念そうに体を離した天海を、はっとして元親が振り向いた。
「あ、あぅ……あ、あ」
 全身を震わせる元親を支える縄が、みしみしと軋む。薄く笑みながら肩ごと首を傾ける天海が、ゆっくりと遠ざかっていく。身を捩り縄から逃れようとしても、太い荒縄はびくともしない。淫欲に抱きすくめられた元親は、泣き出しそうな顔をして乞うた。
「まっ、魔羅が……魔羅が、もう、たまんねぇんだよ――子種が爆発しそうなぐれぇ溜まってて……だから、だから、扱いてくれよォ!」
 ぴたり、と滑るように遠ざかっていた天海が止まる。するすると近づいた天海が、鼻の頭を重ねてとろけるような笑みを浮かべた。
「いい子ですねぇ」
 すっと残像のように髪をひるがえし、腰を沈めた天海が口当を付けたまま牡に突き立てた管を咥え、じゅうじゅうと吸い始めた。
「ぃひっ、ひっ、ひぃいっ、ぁ、あぁああ、や、ぁああうっ、ひっ、それっ、あ、あああ」
 奥に溜まった子種を、自らの力では無く吸い上げられる感覚に、元親は顎を震わせ身を捩った。まるで漏らしているかのような感覚に、ぼろぼろと涙をこぼす。子どもが泣きながら駄々をこねているような様相に、ぞくりと胸を喜びに震わせた天海は、吸い上げた子種を手の平に乗せて、それを潤滑剤として鬼孔に指を入れ、乱し始めた。
「ひはっ、あ、ぁあううっ、ひぃううう」
 容赦なく泣き所を掻きまわす指に、快楽におののき震えながら、脆弱な子どものように元親が泣きわめく。
「ああ――いい……いいですよ…………ふふふ――さあ、はっきりと何がどうなのかを、言ってください。ねえ、言えますよね?」
「ひっ、ぃ、うう……っ、ひっ、魔羅、ああっ、す、吸われて……も、漏らしてるみてぇで、ぁ、や、ぁあ」
「何で、吸われているんでしょうねぇ?」
「ふっ、ふんっ、ぁ、あうっ、筒っ、ぁ、ああ、魔羅に、筒っ、ぁ、入れられて……っ、は、ぁあ、そ、それでっ、ぁ、吸われて――子種、奥から吸われて……はっ、ぁ、ああ、漏らしちゃっ、あ、ぁあ――イキてぇのにっ、ぁあ、イキてぇのにぃい」
「こうして、んじゅ――ふぅ……吸い上げていれば、楽にはなりませんか? イクのと、変わりは無いでしょう?」
 ふるふると、元親が首を振る。
「どっ、どんどんっ、ぁひ、あっ、子種っ、ぁ、ああっ、出るっ、からぁ……ちゃんと、イキてぇよォ」
「どうして、子種がどんどん出るんでしょうねぇ?」
「ひぁうっ、し、しりっ、ああ、尻の奥っ、ぁあ、掻きまわされてっ、ぁ、子種がっ、は、ぁあっ、でるぅう」
「では、この指を止めましょうか」
 そっと天海が指を抜こうとすると、尻に力が入った。
「おやおや。そんなに締め付けては、指が抜けませんよ」
「や、ぁ――抜くなよぉ……もっと、ぁ、ああもっと、してくれよぉ」
「ここを掻きまわしたら、子種が出てしまうんでしょう? でしたら、指を抜いて、吸い上げるだけにすれば、楽になるんじゃないでしょうかねぇ」
「や、だぁあ、はっ、ぁあ、尻がっ、あ、ぁあ、うずいてるからっ、ぁ、もっと、は、ぁあ、もっと、擦って、ぁはぁう」
「もっと――? では、指よりもずっと太いもののほうが、気持ちがいいかもしれませんねぇ。どうします、元親さん。指よりも、もっと太くて長いもので、お尻を掻きまわされたいとは、思いませんか。そうすれば、イけるかもしれませんよ」
 ちろりと牡の括れを舐められて、元親は激しく身をくねらせ、ぎしぎしと縄を軋ませた。
「されてぇ――太くて長いのでっ、尻っ、掻きまわされてェ! そんで、ぁああっ、イキてぇっ、思いっきりイキてぇよぉお」
「うふふ。かわいいですねぇ――淫蕩に沈んでしまえば、鬼と呼ばれるあなたでも、まるで赤子のように欲望に忠実に泣き声を上げるんですねぇ」
 くすくす笑いながら、元親の泣き顔を見つめる天海は彼の胸をまさぐり両方の尖りをつまみ、捏ねる。
「ふっ、ふぁ、あうっ、ひ、ぁううっ、ぃ、ぁうう」
「どうしたんですか? 胸をいじられるのは、お気に召しませんか?」
「ぅう……き、もちぃ、は、ぁあ……ちくびっ、ぁ、きもちぃ、けど――ほかんとこ、は、ぁあ、うずいて、ぁ、ああ」
「ああ、そうですねぇ――そうですよねぇ……どこもかしこも、疼いて仕方がないですよねぇ? ああ、なんて可哀想な元親さん! すべてをかなえてさしあげたいのですが、私の手は二本しかありません。ああ、どうしましょう」
「ふっ、ん、ふ、ぅうっ、ぁ、や、はぁ、あ……ちくび、ぃ、あ、ぁあ、は、もっと、ぁあ、強くっ、は、ぁあ」
「おやおや……ふふ。肌を朱に染めて、まるで年頃の少女のようですねぇ」
「ぁひぃいいっ、ひっ、は、ぁあ」
 元親の求めるままに、中心をこねるように強く乳首を捻り上げながら、天海は全身が性感帯となった元親を眺め楽しむ。
「おやおや、よだれまで垂らして。ふふふ、可愛らしいですねぇ。よいしょ、と」
 元親から離れた天海は、袴を持ち上げ自らの牡を脇から取り出し、元親に見せた.
「これで、貴方の望みをかなえて差し上げたいのですが、挿入のための準備が必要なのですよ。元親さん、お手伝いをしてくださいますか?」
「ああっ、なんでもする――なんでもするからぁ、はっ、ぁああ、も、疼いて、うずいてっ、ぁ、ああ」
「おやおや。それでは、縄を解きましょうか」
 ひゅっと風を切る音がして、元親の縄が解かれる。どさりと床に落ちた元親の目の前に、天海の牡があった。
「ふふふ……さあ、口にふくんで、たっぷりと濡らしてください。そうしなければ、挿入できませんからねぇ」
「は、ぁ、ああ……んっ、はむっ、じゅるぅ、は、はう」
 欲に惚けた元親は、言われるままに手を伸ばし、口を開いてしゃぶりはじめる。従順な犬のように這う元親の髪をなで、天海はうっとりとした息を吐いた。
「ああ――ああ、いいですよ、元親さん。ふふふ…………もっと、ああ、そうですねぇ――自分の魔羅をしゃぶっているような気持ちで、してくださいね」
「んっ、んんっ、んじゅっ、むっ、はぅ、は、ぁあ――も、ぁあ、いいだろ……早くっ、早くくれよォ」
「まったく、こらえ性が無いですねぇ。いけませんよ? ちゃんと、私の子種を飲んでくださらないと」
「ふっ、ふぅう、や、ぁあ、我慢できねぇっ……なあ、早くっ、は、はぁあ」
「あっ」
 蜜筒にあった管を引き抜き、元親が自慰を始める。必至になって自分を扱く姿に、ぞくぞくと天海の体が震えた。
「ああ、なんて――なんて、あさましい…………ふふふ。いいですねぇ。いいですよ――――もっと、もっと淫らにさせてあげましょう。それこそ、たっぷりと焦らし、子種にまみれたいという情動をおさえきれなくなるほどに」
「あっ、や、ぁあっ、やだっ、離せよっ、あ、あひぃい」
 解いた荒縄を手にした天海は、元親の牡を蹴り上げひるんだ隙に腕を取り、縛り付ける。そのまま牡を踏みつけながら、カエルを仰向けにしたような形に、縄をかけた。
「うふふふふ……いいですねぇ、いいですよぉ元親さん。ふふふ――踏まれて、先走りをこぼして……踏みつけられるのが、気持ちいいのですか? ああ、気持ちいいのでしょう!」
「ひっ、ひぃい、ふっ、踏まれて、ぁああ、魔羅のさきっぽ、は、ぁあ、踏まれて気持ちいっ、ぁ、ああっ、ぐりぐり踏まれて、気持ちぃ、ぁあ」
「あははははははは! いいですよ、いいですねぇ……もっと、ああ、もっと啼いてください! 畜生道に落ちた獣のように、はしたない啼き声を上げてください!」
「ひぃいいんっ、ぁあ、はぁあ、もっとぉおお、や、ぁあ、もっと、ぁ、ああ、うずいてっ、ぁあ、あああ」
「余った縄を、挿入してさしあげますよ」
「ひぎっ、ぁ、あああっ、ご、ごりごりぃ、ぁあ、ささくれがっ、ああっ、縄のささくれが、ぁああっ、ちくちくしてっ、ひっ、ひんっ、ひぃううんっ」
「うふふふふ……部屋隅のろうそくが消えてしまうまで、存分に焦らしながら、気持ちよくしてさしあげますよ――元親さん」
「ひんっ、ひぃいんっ、ひぁ、あっ、あぁあ、魔羅もぉ、ぁ、ケツもっ、ぁあああ、乳首もぉおお、いいっ、は、ぁあ、もっとぉ、ぁあ、もっとぉおおお」
「あはははははははは――――っ!」
 揺らめくろうそくの火に浮かび上がった影が、壁に張り付き不気味に蠢く。それが何度の闇に呑まれるまで、高らかな笑い声と嬌声が響き続けた。

 長曾我部軍のアジト深くにある一室で、今宵も狂乱の宴が繰り広げられている。
「く、ぅ――兄貴、もうっ」
「は、ぁあ、兄貴の乳っ、すげぇ……でかくて、はぷっ、んっ、吸い応えがありやすぜぇ」
「兄貴の脇、すげぇ、きもちいいっ、は、はぁ、あっ」
「ああ、すげぇ――兄貴のケツぅ、も、食いちぎらせそうで――こんな、ドロドロに子種があふれるぐれぇなのにっ、は、ぁあ、すげぇ」
 複数の屈強な男たちが、一人の男に群がっている。
 海の男にしては日に焼けていない、透けるように白い肌。けれど群がる男たちよりもずっと逞しい体躯をした、彼らが兄貴と呼び敬い慕っている長曾我部元親が、彼らの子種にまみれながらも淫猥に唇をゆがめ、嬌声を上げていた。
「は、ぁあっ、ぁ、もっと、ぁあ、は、子種っ、ああ、もっと、はぁ、牡くせぇの、ぁあ」
 自ら口を開き足を開き、手を伸ばして淫行を求める。そんな彼の姿に、男たちは恍惚とした欲を浮かべ、湧き上がる欲を一滴残らず搾り出し、元親の望むままに振りまいた。
「ぁあっ、兄貴――俺もっ、ぁあ、俺も、もぉっ」
「兄貴……はぁ、魔羅、気持ちいいっスか? こんなにビクビクさせてんだから、気持ちいいんスよね…………ねぇ、兄貴ぃ」
「ばっかヤロー。もっと、兄貴をジらしてやんなきゃだろうが。……ねえ、兄貴。魔羅ん中に、これ入れて擦られんの、好きなんスよねぇ」
「ひぎっ、ぁ、あああぅ……ひ、ひぃいんっ、ぁあ、もっとぉ、ぁ、ナカからも、あ、外からも扱かれて、は、ぁあ、いいっ、ぁあ、きもちぃ」
「兄貴ぃ……乳首も、よくねぇですかい? ほら」
「ぁはぁあああんっ、ぁ、あはぅうんっ、ひっ、そんっ、ぁあ、そんなにっ、ねじっちゃ、ねじっちゃ、ぁああ、もげるっ、ぅう、は、ぁあ、あ、ぁはうう」
「く、ぅう……兄貴、すげぇ、締め付け――俺の魔羅が、食いちぎられちまいますぜっ」
「ぁはぁあううっ、ごりごりぃっ、ぁあ、太いのォおっ、は、ぁあ、もっと、ぁああ、もっと、ぐちゃぐちゃにっ、ぁあ、子種っ、飲ませてくれよぉおっ」
 天海に呪詛祓いと称して施された淫行に、すっかり身を作り変えられた元親は、性に貪欲となり男たちに声をかけ奥の部屋へ誘い、こうして淫らな宴を催すようになっていた。
「ひっ、ひんっ、ぁ、ああっは、ぁああうっ、ぁ、あはぁあ、いいっ、ぁあ、もぉ、ぁあ、らめぁ、は、ぁあ、でるぅっ、子種っ、ぁあ、くるっ、くるぅうう」
「ダメですよ、兄貴。もっと我慢したほうが、ずっと気持ちよくなるんでしょう?」
「やっ、ぁあ、やぁああ、もぉ、はっ、ぁあ、魔羅がっ、ぁあ、はちきれちまっ、ぁあ」
「なら、奥から吸い上げましょうか」
「ぁひぅうう、それ、やっ、ぁあ、やっ、ぁああうう」
 天海が元親にしたように、男の一人が筒を牡に突き立てて吸い始める。ぶるぶると身を震わせる元親が、どろりとした艶に瞳を濁すのに、男たちが喉を鳴らした。
「ああっ、兄貴――どこまでも、いつまでも、ついていきやすぜっ、兄貴!」
「全身全霊で、兄貴を守ってみせやすぜ、兄貴ぃいいっ、はぁああ、たまんねぇっ」
「あひっ、ひ、ぃいいんっ、ぁひっ、きもちぃっ、きもちひぃいいんっ、は、ぁはぁああ、もぉお、ぁああ、牡臭ぇのっ、ぁ、はぁあ、旨ぇ、はっ、はぁあ、んぐっ、じゅうう、ぶはっ、は、ぁあ、もっと、ぁあ、ぜんぶっ、ぁあ、子種にまみれてぇっ、ぁ、ああああっ――――」
 淫に目覚めた元親は、人々を包み込む太陽のような温もりの中に、艶めいた月光の艶やかさも身に備え、ますますの求心力を備えることになった。
「ぁ、はぁあああんっ、ぁあ、いいっ、ぁはぁあああっ」
 嬌声を上げ続ける元親は、天海の言葉を未だに信じきっており、毛利元就が体力を回復したころに、徳利でも下げて様子を見に行こうと考えていた。

2013/02/10



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