メニュー日記拍手

無心

 長曾我部元親は、畳の上に這いつくばるように頭を下げていた。それを、狐のように目の細い、役者のような優男が優雅に扇で自分を仰ぎながら、見つめている。
「すまねぇ! この通りだっ」
「元親はん。そない頭を下げてもらわれても、どうしようもないモンは、どうしようもないんです」
「そこを、なんとか!」
 額を畳に擦りつける元親に、ふう、と男は息を吐いた。
「手が無いわけでは、ありまへん」
「ほんとかっ!」
 がばっ、と元親が喜色を浮かべて顔を上げる。それに、ちろりと男は流し目をくれた。
「せやけどなぁ。これは、元親はんの自尊心やらなんやら、まあ色々と売ってもらう事になる方法やから、おススメは出来へんのや」
「自尊心なんぞ、野郎どもを守ることに比べりゃあ、クソみてぇなモンだ。その方法って奴を、教えてくれ」
 ずい、とにじり寄った元親の顎に、男は扇子を当てて持ち上げる。
「大店の主には、ちょっと変わった趣向の旦那さんが少のうない。その旦那さん方を垂らしこめれば、用立てを希望された金子は、あっちゅう間に集まります」
「垂らしこむ?」
「元親はんは、よう見れば恐ろしいほどぺっぴんさんや。おまけに、エェ体したはる」
 ぱちん、と扇子を閉じた男は扇子の先で元親の鎖骨を撫で、胸筋の谷をなぞり、盛り上がったその胸に色づく部分をくすぐった。
「っ、な、なんでぇ」
 ひくん、と反応し身を反らした元親に、くすくすと男が笑う。
「感度も、悪う無いみたいやし。どないしはります? 覚悟があるんやったら、すぐにでも手配させてもらいますけども」
 ニヤリとする男に、元親はぶるぶると体を震わせ、音がするほど奥歯を噛みしめた。
「本当に、そんなことで金子を用立ててもらえるんだな」
 凄味のある瞳を真っ向から受け止めた男が、扇子を開いて口元を隠す。
「元親はん次第では、希望の金子の倍、いや。それ以上を手にする事も、出来るやろうと踏んでます」
「希望の金子の倍以上」
 ごくり、と元親の喉が鳴った。
「どないしはります?」
 ぎゅっと目を閉じた元親の脳裏に、部下らの笑顔がはじけた。
「その話、乗った」
 目を開け、ぴしゃりと自分の膝を叩いて腹をくくった元親に
「ほなら、さっそく」
 男はニンマリと唇をゆがめた。

 裕福な商家の旦那衆が、膳を囲み酒を呑み、脂粉を匂わせた女をはべらせている。そこに、あの優男がいた。
「さて、みなさん。本日お集まりいただきましたのは、捕らえた鬼をご披露させていただこう思いまして、お呼び立てしたんです」
「ほう、鬼」
「その鬼は、大層金子に困っているとかで、無心に来たんですが、私には到底用意のできぬ大金。そこで皆さんに、鬼の芸を観ていただき、工面をしていただこうという次第で」
「何やら、面白そうな」
 旦那衆が、互いの目を見て話しにのるかそるかを考える。
「大層美しい鬼なので、おめがねにかなうことは、請け負いましょう」
「なるほど。だから、金子をたっぷり用意して集まれと、言って来たのか」
 初老の男の言葉に、男はニッコリとして腰を上げた。
「鬼の居る場所やから、屋敷の奥の座敷となります。乗られる方は、着いてきてください。乗らへん時は、ここでゆっくり楽しんで帰って下さい」
 男が襖を開ければ、背後で立ち上がる気配がした。廊下を進めば、旦那衆がついてくる。ちらりと肩越しに目をやって、呼び立てた旦那衆の全員がついてきていることを確認し、男はクスリと鼻を鳴らした。
「みなさん、おそろいで鬼の座敷においで下さり、鬼に変わりましてお礼を申し上げます。この襖の奥に、鬼を捕らえておりますんで、どうぞ心してお入りください。そして、ここでのことは、けっして他言せぬよう、よろしゅうお頼申します」
 全員がなずいたのを確認してから、男がサッと襖を開ける足を踏み入れた旦那衆は
「おお」
「うぅむ」
 声を上げた。ぱたん、と男が襖を閉めた座敷には、足を広げ柱に縛られ目隠しをされた、裸身の元親がいた。
「これは」
「成程、美しい鬼だ」
 元親の前には、旦那衆の人数分の膳が置かれていた。そこに座るよう、男は旦那衆を促す。
「さて。それでは皆様。膳の上にあるものを使い、どうぞ鬼の肌を確かめてください」
 旦那衆が膳の上を見ると、陰茎ほどの太さと長さを持つ荒縄を捩じりあげたものや、びっしりと鱗が彫られた張型、先の潰された布団針、絹糸や皮の拘束具などが並んでいた。ほう、と息を漏らした旦那衆の中で、一番恰幅の良い男が鳥の羽を手に取り
「では早速」
 と元親に近づいた。
「これは、ほんにきめ細かい、綺麗な肌や」
 目隠しをされた元親は、自分の身にこれから何が起こるかわからない。緊張に体をこわばらせながら、これも野郎どもの為だと歯を食いしばる。そこに
「んっ」
 やわらかな羽で脇腹がくすぐられ、元親は肌を震わせた。
「ほう、ほう」
 確かめるように、羽が脇腹から胸筋の枠を滑る。くすぐったさをこらえる元親の肌に、旦那衆の気配が集まった。
「どれ。では私も」
「ふっ」
 無数の羽が元親の肌を滑る。脇に、胸に、首に、太ももに、羽が触れて肌をなぞる。
「鬼は、やさしくされるのが心地よいらしい。鬼の角が、少し持ち上がりましたぞ」
「ううっ」
 声に、元親が羞恥を浮かべて呻いた。それに、性的な笑みが広がり空気に溶けて、元親に伝わる。
「どうれ」
「ふぁっ」
 羽で陰茎の先を撫でられ、元親の口が開いた。クビレを、幹を、先端を羽が撫でる。
「ぅ、んんっ、んぅ」
「おや。鬼の口がまた閉じてしまいましたな」
「残念、残念」
「ほなら、こうしてみましょか」
 鈴口に、男が羽の骨を突き立てた。
「っはぁあ」
「おお、口が開いた開いた」
「鬼は、羽より骨のほうが良いらしいな。どうれ」
 しこりはじめた胸の尖りを羽の骨でつつかれ、陰茎をつつかれて、蜜嚢が脈打ち始める。
「ふぁ、あっ、あ」
 肌を泡立たせる元親が、沸き立つ快楽を堪えようと総身に力を入れれば、胸筋が盛り上がり、太ももがみっちりと強張った。
「おうおう。なんとも、逞しいことや」
「鬼の珍宝も、こない立派やったんやなぁ。へそまで反り返って、見事なモンや」
「んぅっ、ぅううっ」
 鳥の羽で弄ばれて、元親の胸乳は硬くしこり、陰茎は見事に張りつめ存在を示していた。
「鬼の角は、やはり恐ろしいもんやし、これで縛っておきまひょか」
 皮の拘束具を手にした男が、元親の根元をきつくしばる。
「ひっ、ぅう」
「どれ、もう一つ」
 クビレの下にも拘束具を着けられて、元親は陰茎の息苦しさに胸を喘がせた。
「はぁ、はっ、はぁあ」
「どうです。この憐れな鬼のけなげな姿に、いくら出します」
「せやなぁ。もっと鬼が頑張ってくれるんやったら、大八車に千両箱を運ばせても、えぇけどなぁ」
 その言葉に、元親の喉が鳴った。
「ほな、鬼さん。大八車いっぱいの千両箱、稼いで帰れるよう頑張りましょ」
「は、ぁう」
 くりん、と男が元親の乳首を撫でる。
「こんだけ立派に盛り上がった胸やったら、乳が出るやもしれへんなぁ」
「揉んでみましょか」
 胸を、脇から中心へと持ち上げるように、手の平で包まれ揉みこまれる。乳首をつままれ捏ねられながらの行為に、乳首がジンジンと甘い痺れを帯びだして、目隠しの奥の元親の目が、とろりと淫靡な光を浮かべた。
「ううむ。出ぇへんなぁ」
「コッチは、トロトロあふれさせよるで」
「ふぁっ」
 牡の先を抓まれ絞られて、元親の腰が跳ねる。
「縛っとるのにあふれさせよるんは、相当たまっとるんやなぁ」
「しかし、鬼の先走りなんて珍しいもん、流すまんまや、もったいない。栓しとかんと」
 先端に冷たいものが押し当てられた。何を、と思う間もなく、それは蜜筒に差しこまれ
「ひっ、ぃいいぃいいい」
 元親は悲鳴を上げた。
「ほ。しっかりと呑みこんでもうた。鬼は、貪欲やなぁ」
「ひぃっ、ぁ、そこっ、ぁ、あぁ」
 蜜筒を先の潰した布団針で掻きまわされて、元親の筋肉が緊張で盛り上がる。それに喉を鳴らした旦那衆のひとりが、立ち上がり腰帯を解いた。
「あかん。鬼の舞を見てたら、股間がきつぅなってもうた」
「こりゃ、ちょっと鬼に呑んでもらわな、ならへんな」
「せやせや。そないしよ」
 旦那衆が次々と下肢をむき出しにし、元親に向ける。
「だれから、しゃぶってもらおうか」
「しゃ、しゃぶる?」
 頓狂な声を出した元親に、優男が耳元でささやく。
「大八車いっぱいの、千両箱ですよ。口を開けて、舌を出して」
「う、ううっ」
 言われた通りに元親がすれば、旦那衆が色めき立ち、牡の先を擦りあわせながら元親の口に押し込んだ。
「んぶぅうっ」
「これやったら、先っぽしか入れられへんなぁ」
「ほな順番に、しゃぶってもらうことにして、残った人らは見事な筋肉に、ぶっかけましょか」
「それがえぇな」
 旦那衆の話がまとまり
「それでは、御先に」
 そんな声が舌かと思えば
「んぐぉっ」
 喉の奥まで陰茎を突き入れられた。
「は、ぁ。鬼のクチん中、あったかくて気持ちえぇなぁ」
「んぐっ、んぶぅうっ、んっ、んふっ」
 神を掴まれ、容赦なくかき回されて、元親の口から唾液があふれる。それを飲み込もうと無意識に動く舌や喉が男を刺激し昂らせ、打ち付ける腰を早くさせた。
「はぁ、たまらん。鬼のクチが、こんなにえぇとは、知らなんだ」
「んぉぐぅうっ、んふっ、んぅううっ」
「ああ、えらいヨダレたらして。たまらんなぁ」
「鬼の珍宝が、縛っとるもんを引きちぎりそうに、膨らんで暴れとんで」
「袋も、こんなに膨らんで、かわいそうに。揉んでやろか」
「んぶぉおおおっ、んぐぅ」
 滲む涙が目隠しの布に吸い取られる。胸が痛いほどに疼いて、それに気づいたらしい誰かの手が、乳首を捏ねた。
「んほぉおぅっ、ぁふっ、ぉ、ほぁうう」
「ああ、もう、たまらんっ」
 声と共に、喉の奥に子種を吹き付けられて
「ぶふぉっ、げはっ、げっ、げほっ、ぅええっ」
 盛大にむせた元親の口から、鼻から、男の子種がこぼれ出る。
「ああ、なんちゅう姿や。たまらんっ」
 むせる元親の胸に、腹に、太ももに子種があびせかけられる。
「はぁ、はぁ、あっ、はぁあ」
「ほらほら、鬼さん。まだまだ、魔羅は沢山あんねんで」
「うぐっ」
 次の牡を咥え込まされ、胸を、陰茎を、蜜嚢を弄られながら子種を体中にまき散らされる。イカされぬまま子種を飲まされかけられ続けた元親が
「俺も、俺もイカせてくれよぉ」
 懇願すれば
「おうおう。可哀想に、可哀想に。よしよし、イカせてやろうか」
 同情めいた声が耳に届き、胸や腹、太ももが撫でられ、そこにある旦那衆の子種が集められた。
「気持ちよう、させたるからなぁ」
「っ、ぁ、ああっ、そこはっ、ぁ、ひぅうっ」
 つぷ、と秘孔に旦那衆の子種を集めて濡れた指が押し込められる。ぐりぐりと動くそれが内壁の泣き所を見つけて
「ひはぁあああっ」
 元親が腰を突き出し叫べば、蜜筒の中を布団針が掻きまわし、蜜嚢が揉まれた。
「ひっ、ひぃいっ」
「そんなに胸を反らして。ああ、いじってほしいんやな」
 きゅり、と乳首を絞られる。そのままぐいぐいと引っ張られて
「はぁああっ、もげっ、ぁ、あ、もげるぅうっ、乳首もげっ、ぁんはぁああ」
 首を打ち振り、元親が啼いた。
「可愛らしいなぁ」
「ひぃいっ、ひっ、そこぉ、ぁ、そこ、らめぁ、ああぁ、ケツぅうっ、ひっ、熱いぃ」
「うんうん。とろとろに溶けてきよるわ。指に絡んで、すがってきよる」
「もっと太いの、挿れたったほうが、えぇんちゃうか」
「せやな。いきなり竜頭は辛いやろから、縄のほう、挿れたろか」
 指が抜かれ、秘孔に何か太いものが押し当てられて、元親の口が引きつった。
「ぁ、な、に」
「もっと、気持ちよぉなれるで」
 ぐりぐりと捩じりながら押し込まれて
「ひはぁあああっ」
 胸を反らせて叫んだ元親の陰茎がこわばり、ぶるぶると震えた。
「は、はぁ、あ、あぁ、あは、はぁあ、あ」
 全身を震わせながら、舌を覗かせあえぐ元親に
「出さんと、イッてもうたわ」
 旦那衆が、くすくすと笑った。
「こんなに震えて。出したくて必死やなぁ」
「ひはぁううっ、ふんっ、ぁ、はぁあ」
「どうれ。もっと、気持ちよぉさせたろ」
「ひぎぃいっ、は、はぁああううっ」
 捩じりながら縄を抜き差しされ、袋をしゃぶられ胸地を吸われ、元親が首を打ち振り泣きわめく。目隠しがずれて、淫蕩に浸り切り潤んだ瞳が現れた。
「ああ、元親はん。あんたがこんな、可愛らしいなんて、知らんかったわ。どや。心地えぇやろ」
 ぐりぐりと秘孔を刺激されて
「はっ、ぁあ、きもちぃ、ぁあ、ケツ、きもちぃ」
 舌を覗かせたまま、元親が答える。
「元親はん、そろそろ本当にイカせて差し上げましょか」
「は、はぁあ、イキてぇっ、イキてぇ」
「よしよし。ほなら、拘束具を外したろ」
「んはっ、はぁあ、ぁあ、もっと、ぁあ、扱いてっ、は、はぁあ」
 拘束具を外され、根元から扱かれて元親が腰を揺らめかす。
「素直な子ぉは、大好きや」
「ひんっ、は、はぁっ、あ」
「気持ちえぇか?」
「き、きもちぃっ、ぁあ、ごしごしっ、ぁ、もっと、はぁあ、きもちぃ」
「胸は、どやろ」
「んひぃいっ、ぁあ、絞るっ、ああ、絞って、ぁ、もっと、は、疼いてっ、ぁ、うずぅうふぁああっ」
 どく、と下肢が鼓動を刻み、元親が子種を吹き出す。
「おお、元気がえぇのう」
「ほらほら、もっと。留めてたぶん、全部出しぃや」
「ひぃいっ、ぁ、らめぁ、イッてるのに、扱いたらっ、は、はぎぃいいっ」
 縄が抜かれ、鱗の生えた張型、竜頭を突き入れられて抉られる。容赦なくかき回され陰茎を扱かれ、蜜嚢をもみくちゃにされて、元親の目の奥で火花が散った。
「ひぎぃいいっ、うろこっ、ああ、ごりゅごりゅうううっ、ぉほぉうううっ、らめぁ、れるぅう、ちがうのっ、れちまぁうううっ」
「違うの? 鬼の、次は何が出てくるんやろか」
「楽しみやなぁ」
「ひぃいっ、らめぁ、きもちぃけどっ、らめっ、あ、はぁああぁあああ」
 ぷし、と元親の牡が決壊し、さらりとした液体が噴き上がった。
「こりゃ、えぇわ」
「海の鬼の潮吹きとは」
 笑い声が降り注ぐ中、元親は泣きながら潮を噴き上げる。
「ふえっ、ぇ、と、とまらねぇよぉおお」
「そのまま、イキッぱなしでいれば、えぇんちゃうか」
「そろそろ。ワシらのんを味おうてもらおか」
「ひふっ、は、はぁあ、あ、んぁあああああっ」
 ずるん、と竜頭が抜かれたと安堵の息を吐き出せば、旦那衆の一人が猛る牡を元親に突き入れ掻きまわしはじめた。
「おおっ、こりゃすごい。あんだけ縄と竜頭で解したいうのに、すごい締め付けや」
「そらあ、こんだけ立派な筋肉しとるんやから、ちょっとやそっとじゃ、ゆるまへんやろ」
「そなら、ゆるむまで、頑張ってみよか」
「鬼と私らと、どっちが強いかっちゅう勝負やな」
「鬼が買ったら、大盤振る舞いしたろ。頑張ってワシらに買って、たんまり儲けや。元親はん」
「ひっ、はひぃいいいっ」
 打ち付けられながら胸乳を弄られ陰茎をこねまわされ、元親が嬌声を上げる。
「ぅほ、こりゃすごい。あふれるほど子種注いだいうのに、まだ、こんな締め付けてっ、くぅうっ」
「尻もよぉ絞まっとるからやろ。よぉ鍛えてはるわ」
「はっ、はぁああっ、ぁはぁううっ」
「心地はどうや、元親はん」
「ぁはぁあ、おくぅうっ、じゅぶじゅぶっ、はぁ、もぉ、飲めねぇよぉお」
「負けを認めるんやったら、大八車に半分くらいの金子しか、払えへんなぁ」
「んぁあっ、やっ、まだっ、ぁ、まだイケるっ、ああっ、ひっ、乳首がっ、ぁ、痒いっ、ぁあ、からぁ、いじってっ、ぁ、いじってくれよぉお」
「おねだりも、可愛らしいなぁ。元親はん、前から綺麗な顔と、たまらん体しとる思てたけど、予想以上や」
「ひぅうっ、んっ、んぅう」
「ああ。子種と涙で汚れた顔も、そそるわぁ。そら、しゃぶって顔を歪ませて見せてくれへんか」
「ぉぐっ、んぶぅうっ、んじゅっ、んはぁあっ、はぐぅうっ」
 旦那衆に囲まれ乱され、元親は快楽の海を泳ぎまわり
「はぁ、ふぅ、もう、あかん。もう出ぇへん」
 ぱたり、と旦那衆の最後の一人が倒れるまで、淫蕩の波を泳ぎ切った。

 元親の前に、豪勢な膳が用意をされている。その前に、あの優男がニコニコと座っていた。
「ずいぶんと、大金をせしめましたなぁ。元親はん」
「おう」
「なんや、あんま嬉しそうには見えへんねぇ? どないしはりました」
「ん。いや、その。助かった。礼を言うぜ」
 目を泳がせて頭を下げた元親に、優男は目じりを緩ませた。
「お役にたてて、こっちも嬉しいです。最初に言っていた金子の倍以上、手に入れられたやろ? これで、新しいカラクリの研究も、進みますやろ」
「おう。その、それで、なんだ」
 鼻先を掻きながら言いよどむ元親に、男が首をかしげる。
「また、ああいう座を作っちゃくんねぇか?」
「まだ、足りてへんのですか?」
「いやその」
 鼻を描いていた手を胸に当て、元親が淫靡に唇を歪ませる。
「疼いて、仕方ねェンだよ。胸も、魔羅も、ケツもよぉ。体中が、むずむずして治まらねェんだ」
 優男は、にっこりと優しげに目じりを下げた。
「元親はんを欲しい言う方は、ぎょうさんおります。いくらでも、稼げるだけ稼いでお帰りください」
 淫蕩な鬼が、快楽の海に船を出す。

2013/08/09



メニュー日記拍手
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送