ふんふんふ〜ん、と機嫌よく小早川秀秋――通称金吾は鍋の支度をはじめていた。「新鮮なお魚は、格別だよねぇ」 見事な包丁さばきで、獲れたての魚を三枚におろし「ガラの出汁、いいコクでそう」 少し厚めに身を残した骨を脇に寄せ、捌いた身を刺身にしていく。「お魚の出汁は、お湯がしっかり煮えてから〜」 節をつけて言いながら、鍋の準備を進めていく金吾の傍に「お、なかなかの手つきじゃねぇか」「元親さん」 肩に網をかついで、長曾我部元親が現れた。「うめぇ鍋を食いたいってぇ、突然来たときは驚いたが――ほら、追加の食材だ」「わぁっ」 どさり、と下された網には、サザエや海老、アワビ、ウニなどが入っており「すごぉおおい」 目を輝かせながら、金吾がよだれをたらした。「イキがいいから、この海老なんか、ほら!」 立派な海老をわしづかみ、ぶちっと頭と胴体を千切って見せ「食ってみな」 金吾に差し出すと「わぁあい! いっただっきまーっす! はむっ――もぐぅもぐ……あまぁあああああいっ!」 感動に打ち震える金吾に、元親が心底嬉しそうに親のような目をして頷いた。「そうだろう、そうだろう。味噌はもとより、ぶりっぶりの身も甘いだろう」「うんっ、うんっ!」 貪るように食べる金吾を見ながら、元親も海老をかじり「うめぇ!」 酒が欲しいな、とつぶやいた。「ま、こんだけタップリありゃあ、皆に振る舞えるだろう」「うんっ、うん! すごい海鮮鍋が、出来上がるよ! ありがとう元親さぁん」「一人じゃ大変だろうから、ちょっくら手伝ってやるとするか」 どかりと腰を下ろした元親が、海老をむいて頭、身、ガラと分けていく。その手際の良さに「さすがは、西海の鬼だなぁ」 感心した金吾の言葉に「まあな」 まんざらでもない顔で、元親が答えた。 そうして作業を続け「ちょっくら、休憩でもするか!」「うんっ。お腹もすいたし」 手を止め、伸びをし、立ち上がった金吾が「うわぁあっ」 足を滑らせ桶を蹴飛ばし、倒れこむのを「危ねぇっ」 腕を伸ばして元親が受け止めた。「うう、ごめんなさぁい……ずっと座っていたから、足がしびれて」「いいってことよ。ああ、しかし派手にひっくりかえしたなぁ」 金吾が蹴飛ばした桶にあった海老味噌やらウニやらが、元親の顔や体に張り付いていた。「ああ、勿体ない」 手を伸ばして、元親の頬にあったウニをつまみ「んん〜、おいしいっ」 言った瞬間、金吾の腹の虫が盛大に鳴いた。「ああっ、もう、我慢できないぃッ」「え、おいっ、ちょ――こらっ!」 がばりと元親を押さえつけると、彼の体にまき散らされた海の幸に口をつけ「んん〜っ、おいしいっ」 舐め回し、味わっていく。「ぁ、こら、金吾――おいっ」「動いたら、せっかくの海の幸が落ちちゃうじゃないッ!」 止めようと動いた元親を押さえつける力は、存外に強く「こらっ、ぁ、金吾――ッ」 元親を巧みに組み伏せ、肌に舌を滑らせていく。「はむっ、はむぅ」「ぅ、ふ、んんっ」 肌の上を動き回る舌にぶるりと震えた元親の下肢が、じわりと熱を帯び始め「やべぇ、金吾――マジでヤベェ……ッ、は」「もぐもぐ……ん? 袴の中が膨らんで……この中にも、入りこんじゃってるのかな」「ッ?! 違ッ――金吾、やめっ、あ」 えいっ、とばかりにひん剥くと、ぶるんと立派な牡が飛び出して「わぁ……」「くっ」 目を丸くする金吾に、元親が羞恥に唸った。「なんか……すごい」「えっ、おい」 手を伸ばした金吾がソレを掴み「なんだか、磯の香りがする」 くんくんと鼻を鳴らしながら顔を近づけて「ちょ、おっ――ふっ」 ぱくりと根元までかぶりついた。「んっ、ん――ん……少し、しょっぱいかなぁ。はむ、はむ」「っ、あ、ちょ……ッ、はう、ぅう」 大きな金吾の口の中に収められ、舌と上あごで擦られたかと思うと、括れを絡め取られ、軽く歯を立てられ、吸い上げられて「んぉっ、ぉ、ぁ、ぉ……ッ、くは、ぁ、あぉおッ」 絶妙な技に血が凝り、金吾の口内で欲がのたうつ。「ん、むっ、んっ、はぁ――お汁が出てきた……んっ、じゅるっ、んっんっ」「はっ、ああっ、やめっ、あ、そんッ……吸ったら――吸っ…………ッ、はぁああ」 根元から強く吸われ、仰け反った元親が勢いよく欲を放った。「んっ、く……ぷは――すごい、濃い……カニミソよりもずっと、んっ、んっ――濃厚……んちゅ、じゅっ」「はぁ――あっ、あ、馬鹿野郎ッ、ぁ、達ったばっかで、そんっ、ぁ、吸った、ら、ぁ……ッ、ああっ」 びくびくと太ももを震わせる元親の声など、金吾の耳には届かぬらしい。容赦なく口内で攻め立て「はっ、ぁああああ――ッ」「んっ、く……ぷは。あれ? 薄くなった」 首をかしげて、ぺろりと唇を舐めた金吾の目に、大きく開かれた元親の足の間――普段は人目にさらされることの無い場所が、映った。「なんだか、ウナギとかが隠れてそうな感じ、するなぁ」 つぷ、と濡らさぬままに指を突き入れ「ッ! ぁ、何、してやが……ッ、ぁ、ああッ」 淫らな気だるさを纏った元親は、ロクな抵抗もできずに尻を暴かれた。「ん〜、ここ、コリコリしてる」「ひっ、ぁ、そこっ、そこはぁっ、ぁあ」 泣き所を見つけた金吾が指で探ると、元親の腰が跳ね、牡の先にぷくりと汁が湧き上がった。「あはっ、すごい」 子どものようにはしゃぎ、金吾は執拗に一点を責めはじめる。「はひっ、ひっ、ぉふうっ、きんっ、ご、ぉああっ、そっ、ぁ、や、ひぃいっ」 相手の様子をおもんぱかることなく、肉付きの良い指を動かし、元親の魔羅が跳ねるのを楽しげに見ていた金吾が「そうだっ」 思いつき、脇にあったサザエのむき身を手にして「んぉっ、ふ、ぁ、あうぅう」 元親の孔に詰め込み始めた。「ふふ。海の生物ごっこだよぉ」 にこにことして、詰め込んだ場所に舌を入れ、サザエを探り、吸いだし、咀嚼し嚥下して「僕は、蛸だぁあ! 貝の身ほじって、食べちゃうよぉ」 くすくす笑いながら、元親の尻を指でほじくり舌を差し入れ、広げていく。「はぁっ、はひぃ、ぁ、も、ぁ、やめぁ、あっ、きんっご、ぉあぁ」 ぷし、ぷし、と元親の牡が小刻みに潮を吹き出し、そのたびに金吾は「貝の抵抗だぁ」 と嬉しそうに言って、根元を強く握りしめた。「はぎっ、ぃあお、ぁ、も、もぉ、や、やめぁあっ、あおぉ」 足で床を掻く元親の肌は、しっとりと汗で覆われ牡の香りを放ち「元親さぁん」 息を熱くした金吾が股間を抑え「僕のが、ウツボみたいになっちゃって、すごく……熱いんだぁ」 ぼろん、と魔羅を取り出した。 それは、ウツボでも大物の部類にはいるほどに立派なもので「――ッ」 ごくり、と元親が喉を鳴らし、熱い吐息を漏らしながら目を見張るほどであった。「元親さんの岩場の影で、休ませてね」「え……ッ、ちょ、おっ、ぁ、が、ぁぉおおっ」 金吾の指と舌で解され、真っ赤に熟れてひくつく場所に、金吾のウツボが収まった。「はぁあっすご……ッ、あぁ、絡み付いて、あったかくて――気持ちいいよぉ」 うっとりとしながら欲のままに腰を動かす金吾の激しさに「ぁぐぉっ、おううっ、いっ、ぉおっ、おっ、はぁおおっ」 元親が吼えて仰け反り、欲を吹き上げ続ける。「はっ、ぁあっ、すご――きもちい、ぁあ、いいよぉっ、すご、ぁあっ」 快楽の声を発しながら、ずんずん突き上げる金吾が「はぁ、おいしそうな実があるぅう」「ひぃいっ」 元親の乳首にむしゃぶりつきながら「んっ、くうううっ」「ひはっ、ぁふぅううううっ」 どぶりと子種を吐き出した。「はぁ、はぁ……は、ぁあ、元親さぁん……すご、ぁあ――気持ちいいから、もっと、してもいいよねぇ」 余韻が去る間もなく再び腰を振り出して「やめぁ、らめっ、らっ、はぅあぁあ、こっ、壊りぇ――こわりぇちまっ、はひゅっ、はぁあぁああ、いっ……いっぱ、ぁ、あふれっ、ぁあっ、あふれりゅぅう!」 元親が満腹だと訴えても、金吾は自分が満足するまで貪りつくし、熱を食わせ続けた。 元親に欲のすべてをぶちまけて、満足をした金吾は我に返り「あわわ、どうしよう」 ぐったりと虫の息の元親の姿に慌てふためくも、妙案が浮かばず「と、とりあえず……美味しいものを出せば、許してもらえるよね」 鍋の支度を再開した。 鍋を完成させても元親は目を覚まさず、とりあえず長曾我部軍の誰かに見とがめられでもすれば危ないと、引きずって岩場の影に隠し、そしらぬ顔で皆に鍋を振る舞い、食べ終えると、コッソリと掛け布を持って未だ眠り続ける元親に掛け、自分は与えられた場所で眠りについた。 翌朝、寝ぼけた頭で褥の上に座り、ぼんやりしていると「よぉ。起きたか。金吾」 間近に聞こえた声に、びくりと震えて姿勢をただし「も、元親さん。――おはよう」 頬を引きつらせて顔を向けると「なんだ。シケたツラしてんなよ」 陽気に親しみを込めて、背を叩かれた。「お、怒って無いの」 恐々聞くと「何を、怒らなきゃいけねぇんだ」 首を傾げられ、ほっとした。「それよりよぉ、金吾ぉ」 元親が肩を組んで耳に口を寄せ「海の生き物ごっこ、また、やんねぇか?」 ひそやかに告げてきた元親の声には、淫が滲んでいた。 小早川秀秋の狂乱の性が開花し、二人目の餌食となったは西海の鬼。彼の全戦全勝の閨物語は、まだまだ始まったばかり――かもしれない。2012/7/06