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極楽情奴

 月の無い夜。海辺の岩場に座り、長曾我部元親は一人、酒を飲んでいた。彼の前には、誰も手にせぬ杯が一つ、酒を満たしておかれている。
「いい、夜だなぁ」
 しみじみとこぼしながら、塩を肴に酒を飲んでいた。
 元親の酒の相手は、海である。
 海に消えた、多くの仲間の魂と、飲んでいた。
 ゆっくりと酒を口に含み、海に消えた者たちの――海に流した者たちの顔を思い浮かべながら、静かな刻を過ごしていた。
 そうして夜も更けていき、腰を上げて浅瀬に足を踏み入れて
「今夜は、これで終いだ」
 徳利を逆さにし、海に酒を流す。
「また、来るからよ」
 しばらく海を眺め、踵を返そうとして
「――な」
 ふわり、と海面に人影が起き上がったのに、目を見張った。人影は次々と現れ、幸せそうな顔をして元親に笑みかけてくる。
「――おまえら」
 それは、彼が海に流した者たちの顔であった。
「海に抱かれて、幸せそうじゃねぇか」
 泣き笑いを浮かべた元親の傍に、滑るように寄った彼らが手を伸ばし
「冷たい、な」
 触れる手の、ひやりとした感覚に痛みを目に映した途端
「あっ」
 彼らの姿は霧になった。と、同時に――
「なっ、に……」
 海面を突き破るように、勢いよく無数の、蛇のようなものが現れた。それは、ぬらりと星の灯りに表皮を光らせている。頭と思しき場所は、細く長いナマズの髭のようなものが無数に生え、サンゴのようにも見えた。それが、元親をめざし絡み付いて
「くっ、ぁ」
 驚きに初動の遅れた彼の動きを封じた。
「なん、だ――ぁ」
(アニキ)
「え」
(アニキ)
 親しみを込めた声が、頭に響く。
「まさか」
 体中に絡み付く、ぬらぬらとした得体のしれぬものを見た。それが、喋るように髭のようなものを動かして
(アニキ)
「オメェら――なのか」
 呼びかけに応えるように、甘えるように元親の体に身を擦る得体のしれぬもの――触手が、彼に寄り添おうとむき身の胸や腹にからみ、下肢を覆う布を奪い、足を捉えて持ち上げ、彼の四肢を開いた形で持ち上げた。
「何――ッ、ぁ」
 ふるふると、柔らかな元親の牡に、細い触手が絡み付く。裏の括れを無数の髭でくすぐられ
「ぁは――ッ、ぁ、んぉ」
 ぶるりと身を震わせた。
(アニキ)
 呼ぶ声が嬉しげになり
「ぉほおッ」
 太い触手が口を開け、元親の牡を飲み込んだ。根元から絞り上げるように締め付けられる。細い触手の絡まった箇所への刺激が特に強く、裏の括れをくすぐられたままで
「ぉはぁあっ、ぁ、あおっ、ぉ」
 すぐに元親の牡は猛りきり、先走りを溢れさせ始めた。
(アニキ――アニキ)
 無数の声が、元親を求めている。声が響くたびに触手がうねり
「ぁひいっ」
 たっぷりの子種を生み出し始めた袋を無数の髭のようなもので揉まれ、急速に飲み込もうとして来る快楽の波に、抗う事も出来ずに意識が浚われ、飲み込まれていく。
「ぁおおっ、ぁ、あふぅう」
 あられもなく声を上げる元親が
(ああ、もう――出る)
 思った瞬間に強く吸われ、袋を絞られ
「ひぁっ、ぁっ、あぁああああ」
 勢いよく吹き出し、全て飲み干した触手は元親の牡から離れ
「ひぎっ、ぃ、ぃいいっ」
 髭のようなものを一本、牡の先へ挿れた。
(アニキ――アニキ――)
「ぃ、ぁあぉふっ、ぁ――な、に、ぁ」
 うねうねと、精の道で動くもの以外の部分が、牡の先をくるみ、撫でてくる。細い触手は変わらず裏の括れをくすぐり続けて
「ぁは、ぁおっ、ぉうんっ、ぁ、は、ぁあ」
 牡が、再び硬さと熱を取り戻した。
(アニキ――アニキ)
 腕に絡んでいた触手が、脇をくすぐりはじめる。みっしりとした胸筋を這うように髭を動かし、その先が胸の尖りに触れ、くるりと巻き付き、尖りの中心をくすぐるように動き始める。
「ぁは――ッ、く、くすぐって、ぇ……ぁんんっ、んぁ、はっ、ぁうッ、く、ぁお」
 やがて刺激は甘やかなものへと変わり、疼きとなり、脳の芯をしびれさせ
「ぁはっ、ぁ、あんっ、ぁ、あお、ち、くび――ッ、ぁ」
(アニキ――)
 期待をするような声が響き
「は、ぁあ、き、きもちぃ……ッ、ぁっ、あっ」
 それを喜んだのか、くすぐる動きが早くなり、牡の内部にあるものが、興奮したようにのたうちまわった。
「ふぁくっ、ぅうぁ――ッ、いっ、ひぃっ、い、ぃあぁあああ」
(アニキ――アニキ……)
 声が、縋るように、甘えるように、求めるように響く。慕う想いが直接流れ込んできて
「あっ、ぁ、や、ろぉども……ッ、おぉ」
(アニキ)
 応えるように、体中を這う触手が全て、強く元親に擦りついた。
「はっ、ぁああっ、ぁ、あううっ、ぁ、ふぅああっ」
 悶える元親の尻の間に触手がくねり、体表の粘液をたっぷりと擦り付けてくる。
「ぁ、ああっ、や、何――ぁ、あ、まさ……か、おい…………まさか」
 頬をひきつらせた元親の予感は的中し
「ひぁ――あっ、やめっ、やめぁ、あっ、ぁっ、そんっ、ぁ、探るんじゃっ、ぁ、あっ」
 後孔のひだを確認するように撫で、ゆっくりと探りながら無数の髭が侵入し、粘液を流し込んでは傷つけぬように奥へと進んだ。
「ひっ、ぃ、いっ、ぁおぉっ、おっ、ぁぎっ」
 侵入途中で、内壁の快楽のツボを見つけた触手が
(アニキ)
 嬉しげな声を元親に聞かせ
「ぃひぃいいいいっ」
 執拗にそこを責めた。喜びに満ちた気配が触手の間に広まり
「ぁおぉおおッ、あ゛、あ゛……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
 容赦のない愛撫を繰り広げられ、元親は顎をのけぞらせ、咆えた。
(アニキ――アニキ――)
 子どもがはしゃぐように、触手が呼ぶ。
「あ゛あ゛ッ、ち○ぽっ、ち○ぽがぁああッ」
 痛いほどに張りつめたそこは、内部に蠢くもののせいで放てず、出口のない子種は袋を膨らませる。
「はぁ、ぁおおっ、ぉおおんっ」
 その袋から子種を押し出すように揉みしだかれて、涙とよだれを垂らしながら、元親は叫んだ。
「もぉおっ、ぁ、ぁあっ、出るっ、ぁ、た、のむからぁあっ、ぁ、出させっ、ぁ、あ゛――ッ、イかせてくれぇええっ」
 応えるように、管をふさいでいたものが抜かれ、後孔を激しく乱され牡を、袋を絞られて
「んあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
 たまりにたまった子種を、勢いよく噴き出した。
「ぁあ゛あ゛っ、ぁふぅおお」
 解放感に恍惚とした元親の顔は、笑みを浮かべているようで
(アニキ)
 触手たちに悦びが広がる。その幸せをもっと与えたいと思ったのか、体中の性感帯を呼び起こし、どこもかしこも敏感になった元親を愛し、絞られすぎた乳首の、広げられた乳腺からは乳がこぼれはじめる。それを舐めるように動く触手が、足りぬと言いたげに膨らんでいる胸筋を包みもみあげた。
「ぁあっ、ぁ、おっぱ、ぁ、あぁあ、でっ、出てッ、あ、俺の、おっぱいが、ぁあ」
 理性などとうに消え失せている元親が、声を震わせ自身の体の変化を口にする。
(アニキ)
 他の箇所の事も告げてほしいと、触手は彼の顔を下肢が見えるように持ち上げた。
「んほぉおっ、ぁ、ああおっ、ぁ」
 元親の視界に、放った後も容赦なく擦りあげられ、絞られて放ち続ける牡が見えた。
「はぁあっ、ぁ、ち○ぽぉおっ、と、止まらねぇ、ッ、ぁあ、止まらねェよぉおっ」
 噴き出す液は、すでに透明となり
「ぅひっ」
 ぷし、と音を立てて、泡立ったものが噴き上がった。
「あへぇええええ」
 潮を噴き上げる元親に、見えぬ後孔の触手は存在を主張しようと激しく出入りをしながら身をくねらせつつ、髭のようなもので細やかな刺激も忘れない。
(アニキ)
 呼ばれ
「あぁっ、ケツっ、ぁ、ケツが――ッ、あつ、ぁあ、熱い――ッ、ひぅううっ、ぁ、ドロドロでっ、あ、も、腹が、ぁ、いっぱいにっ、ぁ、ああっ、あふれっ、あふれるぅう」
(アニキ――アニキ……)
 触手の喜びが元親の快楽と絡み合い、溶け合って、極楽情奴を作り出す。
「おっぱいも、子種もっ、あ、ぁあっ、と、止まらねぇえっ、ぁあっ、枯れるッ、枯れちまぅううッ」
 焦点の合わない目で叫ぶ元親の口元は、笑んでいるように歪み
「ぉほぉああっ、あぎっ、ぁぐぅおおっ、ケツぅうっ、ケツ、ぁあ、ひっ、広がりすぎてっ、ぁ、あっ、ぐちゃぐちゃっ、ぁ、壊れッ、ぁあ、そんっ、ぁ、したら……ッ、壊れちまぅううッ」
 声音は何処か、楽しそうにも聞こえた。
(アニキ――このまま、ひとつに)
 初めて、呼び名以外の言葉が響き
「ひっ、ひと、つ、ぅう……ッ」
 繰り返した元親に
(溶けて、ひとつに)
 優しい熱望に
「溶けッ、ぁあ、溶けるッ、ぁううっ、ぁ、あんっ、あ、ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
 元親は身も心も、暖かな悦びに包まれながら、夜明けを迎えた。

「よぉ――待たせたな」
 新月の夜。長曾我部元親は、必ず人気のない海辺へ現れる。裸身となり、海水に足をつけた元親に、無数の触手が絡み付き――――――

2012/7/20



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