そろそろ眠ろうかと腰を上げ、片倉小十郎は臥所に入ろうとし襖に掛けた手を止めた。 人の気配が、襖の向こうにある。「……まったく。仕方のないお方だ」 ふっと鼻から柔らかな息を出して、襖を開けた。「いつまで待たせんだ、小十郎」 開けた途端、ふくれっつらをして手枕で布団に寝転がっている主に文句を言われた。静かに襖を閉め、月明かりの中を滑り寄った小十郎は膝を着く。「政宗様がこられているとは、ついぞ知らなかったもので」 ふんっと鼻を鳴らした主、伊達政宗は布団を叩く。「早く横になれよ。この俺が、温めておいてやったんだからな」「それはそれは。政宗様が温石がわりになられるとは、恐悦至極。……ですが政宗様、なぜこちらへお越しになられたのですか」「何故だぁ? ずいぶんと無粋な事を言うじゃねぇか、小十郎。凍てつくように寒い夜じゃあ、眠りも浅くなる。こんだけ深く雪に沈んでいりゃあ、多少の声は雪に吸われる。となれば、決まってんだろ」 ニヤリとする政宗に、意図がわからぬととぼけた顔をして見せる。「決まっていると申されても、さっぱりと、わかりかねます」「say mean things」 身を起した政宗が首を傾げ顎を引き、顔を覗き込むように睨み付けた。「OK、小十郎。そういうつもりなら、こっちだってやりようがあるぜ」 ぽすんと小十郎の胸に顔を押し付けた政宗は、素早く小十郎の両手首を掴み身を反らす反動で引き倒す。「っ――!」 うつぶせに倒れ込んだ小十郎の顔を太ももで挟むと、素早く腕をひねり両手首を重ねて眼帯を外し、それで縛った。「俺の大切な眼帯だ。ひきちぎろうなんざ、思わねぇよな小十郎」「まっ、政宗様」「くすぐってぇよ、小十郎。顔を動かすんなら、目の前にある竜の熱を高めろよ」 太ももで挟んだ頭をわしづかみ、腰を前に押し出して下肢を小十郎の顔に押し付ける。政宗は、下帯をつけていなかった。「っ、はしたのうございますぞ」「アンタの寝床に忍び込むのに、はしたねぇも何も無いだろう? つまんねぇことを言う口は、これでも咥えてな」「むぐぅ」 親指を口に突っ込み開かせて、まだ勃ちあがっていない竜根を押し込む。頭を固定するように掴み、そのまま腰を動かした。「ぅぐっ……ふっ、ぅ、んむっ、は、ぁむ」「はぁ……あったけぇな――。小十郎、もっと、この俺を熱くさせてくれよ…………Let me boil to be burnt」「ふぐっ、ぅ、はむ、ちゅっ、ぅは……む、んふ、ぅう」 だんだんと小十郎の口内で硬さを持ち始めた竜根が、先端で小十郎の喉を突く。そのたびに湧き上がる嘔吐感にひくつく喉口が、政宗の亀頭を甘えるように刺激して、先走りをあふれさせる。「ふむぅっ、ぁふっ、がっ、ぁむっ、ちゅ……ふむ、んっ、んぅう」 目じりに涙を浮かばせる小十郎が、口をすぼめ舌を絡め竜根をしゃぶりはじめる。吸うたびにへこんだ頬を自身がいびつに歪ませている姿に、政宗は蠱惑的な笑みを浮かべた。「はぁ……いいぜぇ、小十郎。もっとやらしい顔を見せてくれよ」「んぐっ、ぉぐ……んぶっ、ふっ、んじゅっ、むはっ、は、ぁうぐ」 小十郎の頭を抱え込むようにして、政宗が腰の動きを速める。時折歯に擦れる淡い痛みが、ぞくぞくと政宗の背骨を甘く刺激した。「はぁ……いいぜぇ、小十郎――――はぁ、すげぇ……ぅ、もう、出そうだ」「ふぐっ、ぅ、じゅっ、はふっ、ぁ、んぐぅ」 目じりの涙が頬を伝い落ち、飲みきれなかった政宗の先走りと小十郎の唾液とまじりあい、顎を濡らす。腰を振る政宗の指が小十郎の髪を乱し、それが濡れた顔にはりついた。「はぁっ、ぁ、小十郎……こぼすなよ――っく」「ごぶっ……げはっ、ごほっ、ふっ、う」「ああ、こぼすなっつったろ。綺麗に、舐めとって筒に残った分も、吸い上げろよ」「ふっ、ぅ……ん、ちゅ、は、ぁうんっ、ん」 顔を動かし、丹念に竜根に舌を絡ませ口に含んで吸い上げる。うっとりとした息を政宗が漏らし、小十郎は濡れた唇を舐め顔を上げた。「はぁ……ご満足、いただけましたか」「Ah?」 まるで政宗のいたずらに無理やり付き合わされたあとのような小十郎に、不機嫌に政宗のこめかみが震えた。「まったく。気が済まれたのなら、この腕をほどいていただきたい」 やれやれと心底あきれた様子の小十郎に、奥歯を噛みしめ瞬間的に湧き上がった苛立ちを抑え込む。深く息を吸いこんで怒りをなだめると、政宗は不敵に唇をゆがめた。「ああ、そうかい。そうくるんなら――」 素早く小十郎の体にのしかかり、着物の裾をめくりあげた政宗は下帯をずらして双丘の谷に咲く花に舌を伸ばした。「っ――政宗様」 ちゅく、と舌を押し込み唾液を菊花に含ませる。するとそこは待ち望んでいたかのように蠢き、政宗の舌に吸い付き唾液を呑んだ。「ぅ、は……ぁ、あ」「気の無いフリをしやがって……こんなにヒクつかせている上に、こっちはもうパンパンじゃねぇか」「ぁはっ、ぁ、政宗様……もう、おやめください」 下帯ごと政宗が掴んだ小十郎の牡は、硬く熱く凝っていた。「やめろだぁ? どの口で、そんなことが言えるんだ小十郎。俺をしゃぶって興奮したんだろ。さきっぽが湿ってるぜ」「ぁはっ、ぁ、あうう」 ぐりぐりと布越しに蜜口に爪を立てれば、体の下で小十郎が肌を震わせる。濡らした菊花に指を入れ、まっさきに狂乱の泉を強く押した。「っ――あ、ぁああっ、く、ぅう……んっ、ぅう」「無理に声を抑えようったって、無駄だぜ小十郎。素直になれよ」「ぁうっ、んっ、くぅう……ぅふ、ぁ、ぉう、ぉ、ぉあぁ……」 下帯ごしに蜜口を、内壁の一番乱れる箇所を爪で掻きまわされ、揺れそうになる腰を必死に理性で抑え込み布団を噛んで声を抑えようとする小十郎に、政宗の劣情は燃え上がる。むくむくと再び熱く育った竜根は、すぐさま淫孔を乱したいと政宗の理性に訴えた。「はぁ――たまんねぇなぁ小十郎…………今すぐに突っ込んで、掻きまわしてやりてぇぜ」「ひぐっ、ぅ、んぅう、むっ、ふ、ぅう」 ぶるぶると乱れそうになる体を抑えきれずに震える四肢が、快楽に染まっていく。指を抜き手を離した政宗が、胡坐をかいて小十郎の前に座った。「なぁ、小十郎……俺のコレで、思いっきり突き上げられたいとは思わねぇか?」 小十郎の目の前で、猛る牡を擦って見せる。小十郎の目が淫猥に淀み、求めるような悩ましげな息が唇から洩れた。「突っ込まれて、ぐちゃぐちゃに掻きまわされながら魔羅を扱かれたいだろう」 ぶる、と小十郎の体が期待に震えた。「言えよ……なぁ」 政宗の左目が、淫猥に光る。ぞくぞくと甘い疼きに全身を震わせながら、それでも小十郎はつとめて平静を装うと、悦楽を滲ませながらも軍師の顔を崩さない。「なさりたいのは、政宗様でしょう」「Oh, is it? まだ、そんな事を言うのかよ」 顎を掴み顔を持ち上げ、鼻を近づける。小十郎の目の奥に、しっかりと劣情が浮かんでいることを認めた政宗は、楽しげに短い息を吐き出した。「Ha! 上等だ、小十郎」 肩を掴み小十郎をひっくり返すと、手早く帯を解いて下帯ごと牡をきつく縛り上げる。そうして余った部分を馬の手綱のように引き、小十郎の肩にかけて再び小十郎をうつぶせにさせると、馬乗りになった。「素直にならなかった事を、後悔させてやるぜ」「ひぎっ、ぁ、あおぉお」 一気に貫くと、強く小十郎を縛り付けた帯を引く。乱暴にかき混ぜながら突き上げるたびに手綱を引くように帯を絞る政宗の下で、小十郎が獣のようなうめき声を上げた。「はっ、はぁ、ほら、どうした小十郎……素直に、イキてぇって言えば、外してやるぜ」「ぁ、は、こんっ、ぁ、ああ、ぐ、ぉ、おふっ、ぁ、は、ま、さむ……さまっ、ぁ、ああ」「くっ、すげぇ――食いちぎられそうだ」 政宗の呼気が快楽に乱れる。膨らみ切った小十郎の牡はギチギチと帯を食いこませ、放てぬ蜜で下帯を濡らし続ける。堰き止められ逆流する快楽が、小十郎の理性をむしばみはじめた。「はぁ、ぁ、あぉおっ、ひ、ひぃっ、ぁ、は……ま、さむねさまっ、ぁふっ、くふぅん」「はぁっ、はっ、小十郎――すげ、ぁ、熱い……こんなに絡み付いて、欲しがってんのに、ぁ、まだ、認めねぇのかよ」「ぃあぁあうっ、ぅふ……は、ぁああ、政宗様っ、あ、ぁあ、も、もぉ、ぁ、ああっ」 涙を、よだれを垂らして喘ぐ小十郎が首をめぐらせ政宗を見る。だらしなく欲に溺れきった小十郎の顔に、政宗の腰が疼いた。「なんだよ……はっきりと言いたことがあるなら、言えよ――小十郎」「はっ、ぁあ、もぉ、ぁ、ああ」「もう、何だ? 奥に注いでほしいか。それとも、イカせてほしいか」「はぁ、ぁううっ、は、ぁ――――も……」「も?」 手を止めぬ政宗に追い立てられ、声を詰まらせながら必死に訴える。「……も、ぁ、はぁ、あっ、して、ぁああ、くださ――」「わかんねぇよ……もっと、ハッキリ言いな」 ぐり、と政宗が淫孔を抉った。「ぁひっ、ぁ、ああ――ひっ、ぁ、あう、政宗様っ、ぁ、ああ」「だから、何だ」 太ももをわななかせ、腰を振り乱して啼く小十郎が叫んだ。「どちらも――ああ、どちらも、致してくださいッ!」 自分の言葉に極まったのか、小十郎の嬌声がさらに高まる。ぺろりと唇を舐め剣呑に目を細めた政宗が、小十郎の腰を掴んだ。「I got you 望み通り、どっちもしてやるよ」 言い終らないうちに牡を縛っていた帯を解き、下帯を外して扱きあげながら突き乱す。「はぁっ、はっ、は……小十郎、はぁ、ほら……ぞんぶんに、声を上げな」「ひっ、ひぃいっ、ぁ、ああ、まさ……ね、さまっ、ぁあ、あぁああ」 首を振りながら腰を乱し、涙を流して快楽を追う小十郎の内壁は政宗を絞り上げ、擦られる牡は蜜をほとばしらせる。「もぉ、ぁあ、も、ぁ……でるっ、ぁ、あっ、政宗様っ、は、あぁ、政宗様――奥にっ、ぁあ、熱いものを、ぁあ、私の奥にっ!」「ああ……わかってる――小十郎…………たっぷりと、注いでやるぜ」「っ――ひっ、ぁ、あつ、ぅ、ぁ、あぁああ」 どぷりと奥に注がれた瞬間、小十郎の意識が弾け牡が蜜を吹き上げる。小十郎に注ぎいれながら、放つ牡を筒奥の蜜まで絞り出すように扱きあげながら注ぎ終えた政宗は、ふうと息を吐き汗で貼りついた髪を掻き上げ、小十郎の中から自身を引き抜いた。「はぁ……は、すげぇ、熱ぃ」 小十郎の手首を縛り付けていた眼帯を外し、ころりと横になって涙と唾液、政宗の欲液で汚れた小十郎の唇に口づける。ぼんやりと虚ろな目をした小十郎が、ゆっくりと焦点を合わせ、困ったように眉を下げながらも満足そうに笑む政宗に、薄く唇を持ち上げた。「まったく、貴方と言う人は……」「何だよ。素直にならねぇ小十郎が、悪いんだろう。それとも何か。俺に乱されるのは、もう飽き飽きだとか言うんじゃねぇだろうな」 唇を尖らせ、拗ねて見せる主の頬に手を添えて、いいえと小十郎が首を振る。「じゃあ、なんで拒んだ。そんな気分じゃ無かったからか?」 小十郎の心中を推しはかろうと、目の奥を覗き込んでくる政宗の虚となった右目に口づけ、ほほ笑んだ。「乱暴に、致したいとお思いだったのではないかと感じましたので、わざとあのようにいたしました」「Ah?」「私が、冬となり野良仕事の時間分、空きが出来たとお思いだったのが、冬の間の作物の保存や今年の収穫高、土の状態をまとめ上げ次節の算段をしていたことが、お気に召さず不機嫌になられていたと推察いたしました」 しれっと言ってのけた小十郎に、ぽかんと口を開けた政宗は照れとくやしさを綯交ぜにした顔で舌を打ち、乱暴に頭を掻いてから小十郎の首に腕を回す。「ったく――かなわねぇな。小十郎には」「四六時中、貴方様の事ばかりを思っていますから」「畑の事よりもかよ」 拗ねたようにからかう政宗に目じりを柔らかくし、そっと唇を寄せる。「私の成すことは、何もかも政宗様の御為を思っての事ですから」 ふうっと息を吐き出した政宗が、額を重ねる。「なぁ、小十郎」「は」「ちゃんと、抱きてぇ」 くすりと、小さな笑みを小十郎がこぼす。「まったく、仕方のないお方だ」 そう言いながら、小十郎は全てを政宗に委ねた。2013/01/17