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陰―小十郎(足軽×小十郎)
 夕闇迫る庭先を、片倉様の待つ部屋に向かい、歩く。片倉様は、声を戦で失った俺を時折お呼びくださる。それは、何かがあったとしても漏らす心配が無いからか、偶然か――――。
 どちらにしろ、俺にとっては良いことだ。声の代わりに、誰も知らない――――筆頭でさえ知らない片倉様を知っているのだから。
 戦で喉を斬られた俺は、声を失っただけで不自由なく体は動く。はじめは喋ることが出来ないことに苛立ち、心配をしてくれる同胞たちにあたりちらしもしたが、いつしか落ち着き、不憫に思うのか戦の無い間は目上の兵士らが按摩を頼んでは銭をいくらか握らせてくれた。俺の按摩は評判になり、ある時片倉様が野良仕事を終えて帰られた折にも俺は按摩をしていた。
「片倉様」
「ちぃーっす」
 俺たちのような者も気に掛けてくださる片倉様は、気軽に俺たちの溜まっている場所にもお越しくださる。慌てて居住まいを正した一人が、俺の按摩が上手いので皆でしてもらっていたところで、片倉様もいかがですかと言った。
「もし、そいつらの按摩が終わってもくたびれてなきゃあ、野良仕事の後の足でも、解してもらおうか」
 柔和に細めた目で、片倉様が俺を見る。バカみたいに口をあけて見惚れた俺の横で、俺らはいいんで片倉様をという声がして、ほらほらと背中を押された。
「それじゃあ、頼まれてくれるか」
 何度もうなずく俺に、片倉様はさらに笑みを深くして、無言でついてくるように促し、歩きだす。あの片倉様に触れる事が出来ると、心の臓がはち切れそうなくらい高鳴り、部屋に通された時は命が尽きるのではないかというほどに撥ねた。
「ふう。それじゃあ、頼むぜ」
 ごろりと無造作に床に転がる片倉様に、一礼をして手を伸ばす。うつ伏せの片倉様に馬乗りになり、首からゆっくりと解しはじめた。
「ぅ…………ッ」
 ため息に音がついて片倉様の口から漏れるたびに、ぞくりと背中に甘い痺れが走る。歳上で、涼やかな片倉様。一旦火が点くと仁王のようになる片倉様が、今俺に馬乗りになられて、無防備に触れられている。そう思うと、正直な俺の 身体はすぐに変化を始め、足と尻の境にあるツボを押すころには、すっかり立ち上がっていた。ばれないように、腰を浮かせて按摩を続ける。片倉様の尻は、他の誰の尻よりも弾力があり、絞まっている。腿も圧せば押し返してくる。自然、喉が鳴った。
「ん、ふぅ……………」
 心地よさそうに片倉様が息を吐く。不埒な考えを頭から追い出そうと軽く振って、ふくらはぎを揉み、足の裏に、足指の間に触れる。裏からは一通り終わったので、片倉様の身体をひっくり返そうとすると、片倉様は身体に力を込めて拒んだ。
「ああ、いや――――もういい。悪かったな」
 うつ伏せのまま片倉様が言う。目だけを向けてくる顔は、心地よさからか恍惚として見えた。口を動かしてみるも声が出ない俺に少し目を開いて、首の傷痕に目を落とし、片倉様が「そうか」と呟く。寂しげに笑いながらも、片倉様は身体を起こさない。ふと俺は、片倉様も俺と同じなのではないかと思った。疲れが溜まるとマラは勃つ。無意識のうちに野良着の裾から手を入れて握ってしまった。
「おいっ…………」
 焦りを含んだ声が聞こえるのと、我に返るのとが同時で、その時にはすでに俺の手のひらに片倉様のマラは握りしめられていた。熱く張っている――――。
 俺の中で何かが弾ける。そのまま牛の乳を搾るように、片倉様のマラを搾った。
「ッ――――」
 身体を強ばらせる片倉様に、更に俺のマラが熱を持つ。搾られた片倉様は、しとどに下帯を濡らされるので、俺は布を巻き付けるような手つきに変えた。
「く、ぅ…………」
 耐えかねた片倉様の声に、目眩がする。乱れた片倉様が見たいという衝動が押さえられない。
「やめ…………ッ!」
 先端を強く指で潰すと、片倉様は腰を跳ねさせて果てられた。痙攣するマラを、更に扱きながら片倉様を仰向けにする。果てた反動で虚ろになった片倉様の表情に、俺の中に獣が生まれた。
 片倉様の着物を剥ぎ取り下帯を外し、濡れたソレを片倉様の口に押し込む。止めようとした手を押さえる代わりに、手の中にあるマラを強く握った。
「んぐ、ぅ――――」
 片倉様がうめく。止めようとした手が引きつり、その合間に俺はマラに吸い付いた。
「ふ、ぅ……、ぅ、む、ぉ」
 じゅうじゅうと吸い付き、片倉様の液で濡れた指を菊口にそろりと忍ばせる。数回つついてから、ずぶりと中指を入れた。
「んぅ、クッ――――」
 片倉様の喉が動き、顎が反り返る。堪える為にぎゅっと噛んだ下帯から、じゅわりと染み込んでいた片倉様の液が溢れて左頬の傷に垂れた。
「んふぉ、ぉア――――ッ」
 片倉様が、足で床を掻く。俺は狂ったように片倉様のマラを吸い、中指を動かし、空いた手で自分のマラをしごく。
「かふッ――――ン、お、ァ…………ッ」
 片倉様の足が震えている。ひくつく菊口が指を食む。咥えたマラは容量を増し、片倉様は自分の液が染み付いた下帯を頬張り、髪を乱されている。乳首は硬く凝り、熟れた色で誘うのに、俺の口も手もすべて塞がっている。あと二本は腕が欲しいと思いながら、床に爪を立てる片倉様の指を見る。俺がもう一人居れば、いいのに――――。
「んふぉ、おぁアァッ――――」
 びくりと、俺の口の中でマラが大きく振るえ、さらりとした味の薄い液体が喉に流れてくる。最後の一滴すらも零さないように口をすぼめて吸引した。
「は、ぅふ――――ッ」
 甘い、鼻にかかった吐息が聞こえ、俺は片倉様のマラを口から外し、片倉様の上に放った。片倉様の胸に、俺の液が飛び散る。片倉様の顔は、涎と下帯に染み込んでいたものでベトベトになっていた。だらしの無い顔で、片倉様は俺の液を受ける。片倉様の口から下帯を外し、唇を寄せると止められた。息の整わない、虚ろな瞳の片倉様は気だるそうに体を起こし、自嘲気味の苦笑を浮かべて俺の頭を軽くあやすように叩くと、悪かったなと呟かれた。意味がわからず呆然としている俺に、片倉様は下がっていいぞとおっしゃって背を向ける。袖で口をぬぐい、身支度を整えた俺は夢を見ているような心地で、頭を下げて部屋を出た。
 片倉様は何を謝ったのだろうか。お咎めが、あるのだろうか。そんなことを思いながら、時折その事を思い出しながら切なくなる胸を抱えながら過ごしていると、再び片倉様から按摩を頼むという声がかかった。部屋に行くと、少しバツの悪そうな、はにかむような顔の片倉様が待っていらっしゃった。俺は頭を下げて、片倉様の体に触れる。
 それから数度、片倉様にお呼びいただき、按摩と伽をさせていただいていても、いまだ口を吸うことも繋がることも許されない。すんでの所で片倉様が子どもをあやすような顔で止める。
 いつか俺は、片倉様の口を吸うことが出来るのだろうか。繋がることが出来るのだろうか。あの唇に、俺のマラを含ませることが出来るのだろうか。
 そんな期待と切なさを胸に、俺は夕闇迫る庭先を、片倉様の待つ部屋に向かい、歩く。片倉様は、声を戦で失った俺を時折お呼びくださる。それは、何かがあったとしても漏らす心配が無いからか、偶然か――――。
 どちらにしろ、俺にとっては良いことだ。声の代わりに、誰も知らない――――筆頭でさえ知らない片倉様を知っているのだから。



2010/04/06



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