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「自慰」を読む
(自慰・続編) 政宗×小十郎
  深く息を吸い込み、細く長く吐き出してから、片倉小十郎は居住まいを正して座した。近づいてくる足音の主――伊達政宗を迎えるために、障子に体を向けて。
 ほどなく、部屋の前で足音が止まり、声がかけられた。
「いるか、小十郎」
「は」
 短く答えると、スラリと障子が開かれる。頭を垂れて挨拶をすると、踏み入れる音と障子の閉まる音が耳に届いた。
「――――誰か、居たのか」
 低く呟かれた政宗の声に、顔を上げる。
「誰も」
 いぶかるように片方の目を細くし、クンと鼻を鳴らした政宗は部屋を見渡す。誰かが居た様子は、見受けられなかった。
「如何なさいました、政宗様」
「牡臭ぇ」
 憮然とした声に、どくりと心臓が大きく鳴った。身支度は整えている。部屋の掃除もすぐに済ませた。が――香りは……自慰で放った折の香りは、消しきれなかったらしい。
「それは……私は、男ですから――野良仕事の後の汗の匂いが…………」
「違うだろ――これは、そんな匂いじゃねぇ」
 笑顔で流そうとした顔が、強張る。見下ろしてくる政宗の顔が冷ややかで、背筋に冷たいものが走る。
「誤魔化すな」
 唇を引き結び、小十郎は頭を下げる。
「誰が居た」
「誰も、居りません」
「うそをつくな」
「うそでは、ありません」
「なら――――」
 言いかけた政宗が、はっとして言葉を切る。その顔が、ゆっくりと卑猥に歪んだ。
「誰も居なかった……この部屋には、小十郎しか居なかった、というんだな」
「は。私しか、居りません」
「なら、そういうことか」
 声音の変わった主が、自分を蔑んでいるとでも思ったのか、小十郎が固い声を出す。
「お言葉ですが、政宗様――この小十郎とて男……なれば、察していただけることもあろうかと存じます」
「AH 十分に察したぜ。小十郎が、自分で自分を慰めていた、とな」
 カッと首筋が熱くなる。何かを口にしようと思うのに、言葉が思い浮かばない。
「小十郎……顔を上げろ」
 ぐっと、床についている手に力を込める。そろりそろりと折っている体を起こすが、顔をわずかに反らしていた。政宗が一歩、彼に近づき茶を所望するくらいの調子で、言う。
「俺の魔羅を、咥えろ」
「――――え」
 目を丸くして、言葉が脳に浸透できず顔を上げた小十郎に、腰に両手を当てた政宗が呆れたように言った。
「聞こえなかったのか。咥えろ、と言ったんだ。Did you hear it?」
 日常の延長で物を言っている、というような姿勢のままの政宗に、小十郎は瞬きを繰り返す。今、自分は、何を言われたのか。
「政宗様――今、この小十郎に伽を命じられたように聞こえましたが」
「なんだ、聞こえてるんなら、さっさとしろよ」
 ほら、と促すように一歩進んだ政宗の股間が小十郎の眼前に来る。目を白黒させる小十郎に、ニヤリとして手を伸ばし、指で唇をなぞった。ぞくりと小十郎の目が震えるのを、目を細めて眺め、促すように耳朶を指で揉む。小十郎の唇がゆっくりと開き、手が持ち上がり、政宗の腰帯を解いた。
「そうだ――――小十郎」
 政宗の声に艶が乗る。それに、先ほどまで小十郎の中にあった熱の種が反応し、熱い呼吸を吐き出させる。
「失礼、いたします」
 下帯を解くと、政宗の牡はすでに起立していた。それに伸ばされた小十郎の手を掴み、強く握る。
「口だけで、だ……」
「――――承知、いたしました」
 もう片方の手も寄越せと仕草で促され、両の手首を政宗にとらわれた格好で、彼の牡に舌を伸ばして口内に引き入れる。口腔で包み込むと、それは固さと熱を増して小十郎の鼻腔に、自分とは違う牡の香りを与えた。
「んっ――ふっ、む、んんっ」
「は―ぁ、小十郎……俺の魔羅で、顔が歪んでるぜ」
「ぐっ、んふ……むぁ」
 政宗の息が荒くなることに、口内の牡が獣臭く猛ることに、小十郎の牡もムクムクと天を仰ぎ始める。舌を絡め、吸い付き、頭を動かして擦る小十郎の口の端から、飲みきれなかった唾液と先走りの混じったものが垂れていく。その様子を眺めていた政宗が、小十郎の手首を掴んでいた手を解き、彼の頭を押さえつけて腰を動かし始めた。
「んぐっ――――ぁ、ふぐっ、うう」
 息苦しさに、目じりに涙を滲ませる小十郎の姿に、政宗は唇を舐めた。
「達くぜっ――小十郎…………ぅ、く」
「ぁ――っ、う」
 ぐい、と小十郎の口内から引き抜き、ほとばしる欲を顔に放つ。白濁した液で汚れた顔に、満足げに頷きながら顔を寄せた。
「obscene face」
 うっとりと呟きながら唇を重ねる政宗の手が、小十郎の下肢に伸びる。中心を捕らえ、握りこんだ。
「うっ――」
「もう、こんなにしてんのか……咥えて、感じたか」
 質問に、目を反らして返事とする小十郎に満足そうな顔で命じた。
「全部、脱いで見せろ」
 のどの奥に何かを詰まらせながらも、小十郎はゆっくりと自分の身を包む布を剥ぎ取っていく。それを、胡坐をかいて眺める政宗もまた、素肌を晒す。さすがに下帯に手をかけたときは、わずかに躊躇の色を見せた小十郎に、政宗の喉が鳴った。
「早く、見せろよ」
 固く目を閉じ、はらりと取り去った下帯の中から猛る牡を開放した小十郎に、口笛を噴く。
「――ずいぶんと、はしたねぇな」
「っ……申し訳、ございません」
「No 褒めてんだ」
「まっ、政宗様」
「Ah?」
「ご、後生、なれば……それは」
 牡に顔を近づけた政宗を、慌てて止める。まさか主に口淫をさせるわけにはいかないと止めた小十郎に、つまらなさそうな顔をした政宗は、すぐにイタズラを思いつき、唇を弓なりにしならせた。
「OK 小十郎。それなら、自分でして見せろ」
「じ、自分で……」
「そうだ。俺の目の前で、してみせろ。――――そこの灯明皿に、油が残ってんだろ。それで、尻も自分で広げて、俺を挿す準備を、しろ」
「し、しかし、それは……」
「出来ねぇんなら、俺が口で、舌で小十郎の菊花を広げる。俺に尻を舐められるか、自分で広げて突っ込まれるか、選べ」
「っ――ぅ…………」
 しばしの逡巡の後、小十郎は灯明皿の乗る文机に、体を向けた。

 自らの牡を擦りながら、政宗は目の前の光景に喉を鳴らした。
「はっ――ぁ、あ、くぅ……ん」
 上体を文机に預け、尻を政宗に向けた格好で、小十郎が自慰をしている。片手で自分の尻を広げ、牡を擦りながら腰を揺らしている。
「すっげぇ――もっと、広げて奥まで見せろよ、小十郎」
「っ、ぁ――も、これ以上の辱めは……御容赦いただきたくっ――は、んぁ」
「そうだな。そろそろ、俺も限界だ」
 ゆらりと立ち上がり、小十郎に近づく。自慰をしている指に指を絡ませ、そっと退けた。
「繋がるぜ、小十郎」
「ぁ――政宗様……っ、が、ぁあ――――」
 両手で小十郎の尻を割り、一気に突き入れる。そのままの勢いを殺さずに、穿つ。
「は、ぁああ――っ、くぁ……はっ、ひぐ、ぅう」
 強く、小十郎が文机にしがみつき、足で床を蹴る。逃げないように腰を掴んだ政宗の動きと合わさり、部屋に肌を打つ音と床に文机が擦れる音が響く。
「はっ、ぁ――こじゅうろっ、すげ……絡み付いて――はっ、はぁ」
「んぁっ――ま、さむねさ……くるしっ、は、ぁあ……そんっ、は、されては――っん、かはぁ」
 息苦しさに喘ぐ小十郎の牡が震えながら先走りを噴出す。もどかしさからか、手淫を始めた彼に目を細め、政宗はさらに乱暴にかき回した。
「ひぎっ、ぁああ――んっ、ふくぁ……はっ、はぁあっ」
「はくっ――ぁ、こじゅ、ろ……っ、も、出すぞっ――ぁ、くぅ」
「はひゅっ――まさむっ……まさむねっ、さま――はっ、ぁく、うぅ……んっ、はっ、はぁ、あ、んぁああああっ」
 政宗の牡が、小十郎の一点を突いた瞬間、彼の背がエビ反りに撓る。その反動で強く内壁が絞られ、爆ぜながら痙攣する小十郎の内で政宗が果てた。
「は――ぁあ……は、ぁ、ぅ」
 射精後の余韻に小刻みな声を上げて喘ぐ小十郎を背後から抱きしめ、荒い息を吐きながら首筋に唇を寄せ、名を呼ぶ。
「小十郎――」
「ぁ……ま、さむね、さま――」
 首をめぐらせた唇に唇を寄せ、ささやく。
「欲しくなったんなら、いつでも――来い」
 ふっと目元を柔らかくした小十郎が、ささやき返した。
「身が、持ちません」
 竜の戯れが、再開する――――。


2010/09/25



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