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お仕置きの仕返し
  蔵の中で、伊達政宗は腰に手を当てて憮然としていた。
 元服をなされたというのに、と小言を受けた後に世話役の片倉小十郎に蔵に押し込められたのだ。
「元服をしたんだから、もう少し大人扱いをしろってんだ」
 ふん、と鼻息荒く言い捨ててみても、蔵に押し込められるようなことをしたのだから、自分にも非があることは理解している。だが、無茶はしても無理をした覚えはない。ゆえに、齢十二の政宗にとっては注意をされても蔵に押し込められるほどとは思えなかった。
「俺を閉じ込めることが、クセになっちまってんじゃ無いのか」
 ぶつぶつと文句を垂れる。そう言ってしまうほど蔵に押し込められ慣れている政宗は、暗くなる前には小十郎が「反省しましたか」と顔を出すことを知っていた。その時間まで何をして過ごそうかと、蔵にある書物を漁り始めた。
 小十郎がおとなしくしない政宗を蔵に閉じ込めるのは、書物を読む時間を作るためという思惑もあるのだが、そのようなことに気付くはずもなく、政宗はまんまとそのとおりに蔵での時間を過ごしている。けれど、小十郎とて蔵にある書物すべてを把握しているわけではなく、子どもは思いがけないところから思いがけないものを見つけることもあり
「ん?」
 南蛮の書物を手に取った政宗が、そのわきに隠されるように布をかけられている本の端を見止め、それを引っ張り出して読んだことから思いもよらない目に合うなどと、想像だにしていなかった。

「反省を、なされましたか」
 空に茜が広がる時分、小十郎が閂をはずして蔵に入ってきた。いくつか書物を手にした政宗が、しおらしくうなだれて見せながら小十郎の傍による。その姿に目を細めた小十郎が
「部屋に、茶と菓子を用意しております」
 政宗の背中を押して促すときに、手の中の書物と袖内に何かを隠していることに気付いていれば、今夜の度が過ぎる悪戯を免れたかもしれない。
「こじゅうろ」
 不安げに、わざとたよりなげに見上げると、政宗大事の小十郎はしゃがみ、目線を合わせてきた。
「いかがなさいました」
 目をそらし、恥ずかしげに口ごもる政宗を急かすでもなく、地面と小十郎との間に視線を泳がせる主が胸に抱えている言葉を発するのを待っている。
「こ、今宵は――俺の部屋に来い」
 ぎゅう、と書物を握る腕に力を込めて唇を尖らせる政宗に、ほほ笑む。
「書物に、恐ろしいことでも書かれておりましたか」
 きゅ、と唇を引き結び、睨みつけるようにしながら
「来るのか、来ないのか」
 言及した主に、必ず参りますと小十郎は約束した。

 どきどきと、鼓動がうるさい胸を押さえつけながら、政宗は小十郎が来るのを待っていた。彼の前には湯呑と大福が置いてある。それを心配げに見つめながら、尻の後ろに隠している書物に意識を向けて、そわそわと落ち着かない自分をなだめる。
「失礼いたします」
 する、と障子が開かれ小十郎が姿を現したときは、飛び上がりそうになった。なんとか堪え、自分の前に座れと言う。
「まぁ、食え」
 盆を小十郎に向けて、押した。
「このような時間に食されては、寝つきが悪くなります」
「まだ、寝ねぇ」
 だから食え、と促して自分も食べて見せる。仕方のないお方だ、と言いたげな顔をして、小十郎が大福を口に運び、それが喉を降りるのを確認して心の中で「よし」とこぶしを握った。
「茶も、飲め」
 ほらほらと勧めると、首をかしげながらも小十郎は口をつける。満足げに頷いて
(あとは、薬が効くのを待てばいい)
 政宗は心中で呟いた。
 蔵の中で手に入れた書物らに紛れ、そこに記されていた南蛮渡来の薬もあった。効き目がどれほどのもので、どのくらいで効果がでるのかまでは読み切れず、小瓶にあったぶんすべてを大福と茶に仕込んだ。あとは、書物に書いてあったような仕置きを、蔵に閉じ込めた仕返しとして、すればいい。そのための道具も、政宗はひそかに用意をし、隠してあった。
「それで、政宗様。お呼びになられましたのは、蔵の中で恐ろしげな書物を手にしたからと、お見受けいたしましたが」
 見透かされたか、と一瞬あせったが、そうであれば小十郎がおとなしくこうしているはずはない。そう気持ちを切り替え、時間稼ぎのために用意をした論語の書物を取り出した。
「読むぞ」
 元服前の、眠れぬ夜の定位置であった小十郎の膝に移動する。久しぶりの重みに、元服してから後に距離をとらねばと思っていた自分を拭い去り、小十郎は政宗が膝から落ちぬよう、腕を回した。政宗が坐していた背に本があったのを見止め、今宵は長い夜になりそうだと思いながら。

 論語を半分も読み進めぬうちに、小十郎は体の内に妙な熱があることに気付いた。
(なんだ。――)
 疼くような気配に、腰のあたりがムズムズとする。ふう、と吐き出した自分の息が存外に熱いことに、驚いた。
「小十郎――」
 不思議そうに、異変に気付いた政宗が顔を上げた。その顔に、どくりと体内のものが鼓動を始める。
(まずい)
 腰に、熱が集まり始めている。突然のことに困惑しながらも、とにかくこの場を辞さねばと小十郎は政宗を下した。
「申し訳ございません。政宗様――どうやら、この小十郎、気分がすぐれぬようですので場を辞させていただきます」
「俺と居ることが、原因か」
 息をのむ。右目を失って後の梵天丸時代に彼が受けた処遇が、小十郎の裡に浮かんだ。
「決して、そのようなことでは」
「なら、居ろよ」
「ですが」
 その間にも、恐ろしいほどの速度で生まれた熱が小十郎の背骨から這い上がり滲み出て、全身をむしばんでいく。
「小十郎」
 膝に乗せられた政宗の手が滑り、小十郎の口から熱い息が漏れた。
「どうした」
「っ、政宗様」
 身を乗り出した政宗の手が小十郎の股間に触れ、思わず突き飛ばした。
「こ、じゅうろ」
 こぼれるほどに見開かれた政宗の瞳が揺れている。してはいけないことを、自分はしてしまった。自責の念が小十郎の熱を煽った。
「も、申し訳ございません。政宗様――ですが、私はどうも病にかかった様子。決して、厭うてしたわけではございません」
 声が乱れる。腰のあたりから渦巻くものが、小十郎の脳にまで浸透しようとしていた。体が重く、けだるい。そんな小十郎の姿に、政宗は心中でしたり、と手を打った。どうやら薬が効いてきたらしい。
「小十郎」
 本欄の目的であった書物を手にし、小十郎に近寄る。
「なりません、政宗様」
 膝を擦りながら後退しかけ、胸が着物に擦れた。
「ぅ――」
 普段ならば、なんとも無いはずのそれが甘い痺れを産み、下肢に走る。動きを止めた小十郎の膝に、素早く政宗は座った。尻に、固いものが当たる。
「蔵で、見つけた」
 わずかな刺激にも腰が浮きそうになるほどの小十郎には、政宗の重さが辛い。けれど先ほどの幼い主の顔を思い出せば、無理に押しのけるわけにもいかなかった。無垢な瞳が、書物を読めと訴えてくる。必死に息を抑えながら開いたそこに描かれていたものに、絶句した。
「なっ――」
「西洋の拷問方法だとは思うんだが、わかるか」
 政宗が蔵から出た時に不安そうであったのは、これを見たからかと得心しながらも今はこれを目にしてはいけないと自分を諌める。けれど、生まれた熱はそれを欲し、目を逸らさせてくれない。
「小十郎」
 不安げに、あまえた仕草で政宗が胸に頭をすりつけてくる。乳首がこすれ、身が震えた。
「んっ――ふ」
「なぁ、それが何かわかるだろう、小十郎」
「これは」
「俺はもう、元服を済ませた。子どもじゃあ無ぇ」
 逃げる言葉に先手を打たれ、性的な拷問を受けている絵に脳を揺さぶられ、小十郎の体内で渦巻く潮が理性という名の小舟を飲み込もうとしている。
「なぁ、小十郎」
「は、ぁ、ああ」
 体を向けた政宗の手が、小十郎の牡を抑えた。思わず声が漏れる。
「っ!」
「あ、も、申し訳ござ――――ッ、政宗様!」
 政宗の手が、布越しに小十郎の牡を掴んだ。
「ガッチガチだな」
 言いながら、形を壊さぬように這う手に、上がりそうな声を必死にこらえつつ止めようとする小十郎の手をすり抜け、政宗の唇が彼の鎖骨をとらえた。
「ふ、ん――んぅ」
 そのまま口で胸元をくつろげ、乳首に吸い付く。
「はぁ、あ、ぁあ」
 薬の所為で過敏になった小十郎は、あられもなく声を上げた。
「なぁ、小十郎――その書物、どんなことが書いてあるのか教えろよ」
「んんっ、政宗様――なりません、それ以上は、ぁあっ、く、ぅ」
 止めようと口を開けば、嬌声が漏れる。何故このような、と奥歯を噛みしめ堪える小十郎を、ゆるゆるともどかしい動きで政宗が追い立てる。きゅうと乳を吸われながら形を確かめるだけの布越しの手淫に、より強い刺激を求めて自分の手を添えてしまいそうになるのを、奥歯を噛みしめ堪えた。
「小十郎の乳首、もげそうなぐれぇ勃ってんぜ。そこに書いてあることが、出来そうなぐれぇ」
 え、と意識が外れた瞬間
「はっ、ぁああっ、ああ」
 痛いほどの刺激が胸に走った。思わずのけぞり、そのまま倒れた小十郎の上に乗った政宗の指が、ねじきれるほどに乳首を抓んでいる。
「お、おやめくださ、ぁぐぅ」
 身悶えた小十郎が作った隙に、政宗は付け入った。袖に忍ばせていた縄を取り出し、小十郎の腕を縛り、左右の肩とつなげるようにそれぞれの太ももを縛った。しっかりと縛り付けるために、小十郎の股間に足を乗せて縄を引く。
「ぉ、あは、ぁ、ああ、あ」
「よし。これで準備は万端だな」
 満足そうに、縛られ身動きが取れず身を震わせる小十郎を、腰に手を当てて見下ろす。あとは、書物に書かれているようなことをすればいい。
「覚悟しろよ、小十郎」
「ぅ……く、な、なぜ、このような…………っ、は、ぁ」
「蔵に閉じ込められるほど、ガキじゃねぇってことを知らせてやろうと思ってな」
「だ、だからといって、このような淫らな――ッは、ぁ」
「だから、だろう。子どもじゃ出来ねぇことだからな」
 政宗にはもう、精通があった。そちらの教育も、知識として教わっている。
「な、なれど――」
「このままでいるのも、辛ぇだろ。小十郎――俺が、気持ちよくさせてやるよ」
 政宗の手が小十郎の帯にかかり、袴が膝まで下される。それ以上は縛る縄が邪魔をして脱がすことが出来ないが、目的の場所の素肌さえさらすことが出来れば問題が無かった。
「苦しそうだな」
 下帯ごしでも形がわかるほど、小十郎の牡は猛り切っていた。
 そっと下帯をはずすと、ぶるんと勢いよく飛び出したそれに目を丸くした後わしづかみ、先端を握りこむ。
「は、ぁ、ぁ、く、ぅ、う」
 容赦のない力に、小十郎の腰がうねった。
「すごいな」
 面白がり、政宗は何度も握っては離し、握っては離す。そのたびに腰を跳ねさせる小十郎の髪が乱れ、その姿に政宗の牡に熱が籠った。
「は、ぁ――」
 熱い息を吐き、着物を脱いだ政宗が幼い男根を小十郎に見せる。
「なぁ」
 促す主の手に、あの本があった。男の下肢を咥えながら穿たれる女の絵がある。すべらかな少年の肌にある欲の塊に、小十郎の喉が鳴った。首を伸ばし、それを含む。
「んっ、んちゅ、んっ、んく」
「はっ、ぁ、あっ、ああっ、あ」
 口淫など施されたことのない彼は、その心地よさに声を上げた。すぐに苦い蜜が滲み、快楽に肌を染め顔をゆがめる姿に、小十郎の理性が崩れた。
「んっ、んふぅ、んむっ、んっ、んっ」
「はっ、は、ぁ、こじゅ、ぁ、ああっ、ぁ、ああぁああ」
 食らいつき、舌と上あごで擦りながら吸い上げると、あっけなく政宗は子種を放つ。それを飲み下して主を伺い見ると、射精後のけだるさに呆としながらも恍惚を浮かべていた。それに、小十郎の牡が反応する。
「ま、政宗様」
 呼びかけられ、はっとした政宗が咳払いをしてからニヤリと唇をゆがめて体裁を取り繕う。十二の少年に、口淫は刺激が強すぎたらしい。そこここに、とろけそうな気配が漂う。そんな彼の危うさに、小十郎の欲が快楽を強請った.
「この小十郎に、情けを――」
 思い出したのか、気付いたのか。はっとした政宗はあわてて文机の横にあった小さな墨壺のようなものを手にし、開かれた小十郎の足の間に座る。ふたが開けられ漂った香に、それが丁子油――僧が稚児を開くときに使う――であると悟った。
「すぐに、善くしてやる」
 丁子油を手に落とし、小十郎の菊の座にひたりと指を当てる。
「んっ――は、あ、ぁ、あ」
 政宗の指に、ためらいが見えない。幾度が入口を撫でた後、すぐにもぐりこんできた。
「ぅ、わ」
 締め付けてくる内壁に、政宗が声を上げる。先ほど口で絞られた時の快楽がよみがえる。ここに挿入すれば、どれほどの心地になるのか。
 好奇心が、政宗の指を動かした。
「ふっ、んっ――う、ぅ、ぁ…………く、ぅうっ」
 すべりをよくするために、溢れるほど丁子油を小十郎の尻に注ぎ、むちゃくちゃに指でかき回して広げる。やみくもなだけの未熟な技でも、薬で高ぶっている小十郎には骨が消え去ってしまいそうなほどの甘い刺激を与えた。
「すげぇ――小十郎のマラ……別の生き物みたいに跳ねてやがる」
 突かれるたびに脈打ち、先走りを吹き出す牡に政宗の喉が鳴る。好奇心に誘われ、鈴口に爪を立てた。
「ひぐっ、ぉ、ぉお、お、ぉお」
 吠えた小十郎に、まだ堪えることを知らない主は高ぶった衝動のままに指を引き抜き、小十郎と繋がった。
「ぁはっ、ぁ、あ、ぁああっ、ぁ」
 そのまま、待つこともせずに腰を振る幼い主の顔いっぱいに性欲が乱れていることに、小十郎の内壁が蠢動し、熟れきっていない性器に絡み付く。
「はっ、ぁ、ぁあ、こじゅっ、はふ、はっ」
「まさ、むねさまっ、ぁ、あ、ぁあ」
 政宗の動きに合わせ、小十郎の腰も躍る。ふと目に留まった胸の実を、政宗は腰を振りながら手を伸ばし、捏ねた。
「んふぉおっ、ぁ、あふ、ぁおお」
「ふはっ、ぁ、ああ――こじゅ、ぁ、すご、ぁくう」
 内壁が脈打ち、政宗の形に添いながら射精を促す。その感覚にとらわれた政宗は、乳首をいじくりながら小十郎を打ち続けた。
「ぁひ、ぁうぉ、ぁふ、ぐぁ、ぉ、ぉあっ、ひ、ひぃい」
「はぁっ、ぁ、あぁ、こじゅ、ろぉ、はぁっ、も、ぁ、イクッ、あ、イクッ、く、ぅうっ」
「ッ、は、政宗様ッ――あぁああっ」
 ぎゅう、と両の乳首がもぎ取られるほど強くひねられ、奥に弾けた政宗を感じながら、小十郎がびゅるると子種を噴射する。それがさらに政宗を絞り、初めて知った快楽に夢中になった政宗は、そのまま小十郎を穿ち続けた。どろどろに理性をとろかせすべてを欲に塗り替えられた小十郎が、普段の彼からは想像もつかないような言葉を、主の問いに答えるために口にする。
「はぁ、こじゅ、ろぉお――んっ、すげ、熱い……溶けちまいそうで――すげ、小十郎のマラも、びくびくして、ぁ、また、ぁ、イク、はぁ――小十郎も、イキてぇか、なぁ……んっ」
「ぁはあぁあっ、ま、政宗様ッ、あ、ぁあ、子種を、ぁ、この小十郎に全て注いで――ッ、ぁ、ああ、い、イク、ぁ、私も、は、ぁあ、ま、また……放ったばかりというのにっ、ぁああっ、こ、堪えられませぬっ」
「すげ、ぁあ――乳首いじられて、俺にぐちゃぐちゃにされて……ッ、はぁ、気持ちい……ッ、かよ」
「ぁああ、良いっ、ぁ、政宗様に突き上げられながらッ、ぁ、はぁあっ、乳首をっ、ぁ、されて――良うございま…………ッ、あ、も、ぁあ、くぁ、い、いぁ」
 脳の芯まで痺れる甘さに酔いしれて、二匹の竜が月に咆えた。

 泥のように眠る幼い主の額にかかる髪を、そっと掻き上げる。
「ぅ、ん」
 ころりと寝返りを打った姿に目じりを下げ、だるい体を無理やり起こした。性に体制のない主は、体力が切れるまで小十郎を責め、その合間に縄を解かれた小十郎は、薬の所為だけには出来ない高ぶりが促すまま、最後には自ら上に乗り腰を振った。
「まったく、とんでもないものを持ち出されましたな」
 そっと、政宗が蔵から持ち出した書物を手にする。薬の所為か十分に解されていたからか、それとも主の性器が幼かったゆえか、小十郎の尻に痛みは無かった。立ち上がり、どろり、と内部にある主の子種が下りてきたことに眉を動かし堪え、気を失う前に主が呟いた言葉を噛みしめる。
「いかなことがあろうとも、この小十郎――ずっと、お傍にお仕えいたします」
 静かで確かな誓いを残し、主の朝餉を整えるため、小十郎は朝日に身を滑らせた。

2012/03/22



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