メニュー日記拍手

とある大好きな絵師様の絵を拝見し、衝動的に一時間ほどで書き上げました話です。
御サイトへのリンク許可、ありがとうございます!

LOVE ME CRAZY

 何処までも落ちてゆく感覚に、はっと目を開く。手は、背は、床の存在を感じており
(夢――か)
 伊達政宗は胸を撫でおろした。
 細く息を吐き、体を起こす。肌が、うっすらと冷たい汗に覆われていた。
(情けねぇ)
 ゆるく頭を振り、顔を手のひらで覆い、ふと思いついて立ち上がった。
 ふらりと襖を開けて、漆黒に沈む廊下に、ひたりと足を乗せた。
 ひたり、ひたり――
 闇に竜の足跡が残る。
 浸り、浸り――
 闇が政宗を包み、溶かしてゆく。
 目的の場所にたどり着いた政宗は、すらりと室内の相手へ了承を得ることなく、襖を開けた。
「――政宗様」
 首をめぐらせた相手が、ほんの少し目を丸くして、すぐに招き入れる顔になった。
 ひたり――
 政宗を捕らえようとしていた闇を、襖を閉めて引き剥がす。肌に残った暗いものを纏ったまま
「小十郎」
 彼の右目――片倉小十郎へ、倒れこむように身を寄せた。
「いかが、為されました」
 抱きとめた小十郎の顔を見ようともせず、しがみつく。
「狂いてぇ」
 呟きに、小十郎の眉がひそめられた。
「俺を、実感させてくれ」
 かろうじて音を為している息に
「手荒くすることを、ご承知くださいませ」
 厳かに告げたとたん
「ぁうっ」
 政宗を投げ捨てるように床に倒すと、衣服をはがし
「ひっ、い、ぁあ――」
 乱暴に牡を掴み、しごいた。
「ぅ、ううっ」
 無理やりにしごきながら、尻の合間に舌を伸ばし、奥まった箇所を濡らす。
 時折、こうしてひどくされることを、政宗は望んだ。
 始めのころは小十郎も戸惑い、遠慮もあった。けれどそれでは彼の望むものは与えられぬと知り、このように乱雑な扱いをするようになった。
 自分という存在を、痛みと熱を持って確かめたい。生きていることを、実感したい。
 それは、この年頃の男子ならば、一度は経験をする感覚であった。戦場に出て、恐怖よりも高揚を感じる年頃の、生への強い執着とも思えるそれは、はしかのようなものだ。
 伊達政宗は、それに囚われている。
 失われた母の愛が、それを強めたのか。
 与えられた母の厭悪が、それを強めたのか。
 多くの人に囲まれ、慕われ、彼らの命を背負う重みが――囲まれておりながら深く横たわる立場の溝が、彼の闇を濃くしていったのか。
「ぁ、う、ふ、くぅうっ」
 政宗の牡から、先走りが溢れ始める。それが床に落ちぬように手のひらで受け止め牡に塗りつけ、手淫の速度と妙を深めていく。
「はっ、ぁ、ああう、く、ぅぁ、あぅ、っ、ぁ、ああ」
 政宗がこうして狂えるのは、彼自身の前のみであった。自制をあっけなく取り去り、乱し、痛みと熱を呼び起こせる自身の右目――その存在の前のみであった。
「はっ、ぁうっ、ぅ、ふ、んぅうっ」
 唾液で濡れた竜孔に、小十郎の指が含まれる。強張るそれを解きほぐし、生きている実感を与えるための杭を埋め込むため、唾液を足しては指を増やし、広げていく。
「ぁはっ、ぁ、くふ、ぁ、んぅう」
 政宗の爪が床を掻く。床板にひっかけ、それが割れてしまうことを懸念した小十郎が、着物を脱ぎ捨て彼の布も奪い去り、背後から抱き上げた。
「っ、ぁ、ああ」
 政宗の手が、所在を探して背中の小十郎に触れる。
「んっ、う、ふぁ」
 膝の上に政宗を乗せ、空気と先走りの混ざる音を立てながら、扱き、先の窪みに爪を立て、掻き出すようにすると
「ひっ、ぃぁ、ああっ、ぁ、あぉおっ」
 吼える口に、指を入れた。
「んっ、んむっ、ぁ、はぁ、んぉ、んっ、ぁむっ」
 舌を指でつまみ、口内を犯すと吸い付いてくる。まだ早いかとも思いつつ、自身の竜身が勃ちきってしまうよりは今のほうが、と判断し、わずかに体をずらして
「ぅ、く――っ」
「ひぎぅ、ぁ、あぉお」
 ほぐしきれていない筒へ、身を押し込んだ。
「ぁはっ、ぁ、あぉ、お、ぅあ、が、ぉ」
 貫かれた痛みに、呼吸を忘れる政宗の口を開かせ、首筋に噛み付いた。
「ぁ、痛ッ――ぁ、はっ、はっ、ぁあはっ、ぁ」
 別の箇所の痛みから、呼吸を思い出した政宗に目を細め、埋め込みきれていない自分を根元まで食ませるために、政宗の足を膝で持ち上げる。
「ぁおぉおお――ッ!」
 自らの重さで沈み、小十郎を根元まで飲み込む。蠢動する肉が小十郎の形をはっきりと脳に伝え
「はっ、ぁ、あぁ、あぁあああッ」
 政宗がはじけた。
「まだ、足りないのでしょう」
「ひ、ぃんっ」
 放ち終える前に強く握りこみ、政宗の竜身に子種を残す。括れを掴み、先端を爪で抉れば
「くっ――」
 小十郎を飲み込んだ肉壁が、絞まった。
「は、ぁ――政宗様」
「ぅ、んっ、ぁ、もっと――ぁ、狂わせろ」
「承知いたしました」
 低く、静かに耳に了承を注ぎいれ
「ひぎっ、ぃあ、あぁあ――ッ」
 牡を掴んでいた手を離し政宗の足を持ち上げ、埋め込んだ竜身を動かした。
「ぁはっ、ぁ、あぎっ、ぁあ、ぁう、ぉ、ぉお」
 政宗が、獣のような声を上げ、牡から子種を吹き出しながら涎をたらす。その姿に小十郎の熱が上がり凝り、竜孔を爛れさせる。
「んぁあっ、ぁ、あおっ、ひ、ひぁ、あぉおっ」
「くっ、ぁ、ふ――ッ」
 絡みつき、絞り上げる政宗の肉に、小十郎の息が上がる。それとともに、穿つ速度も速くなった。
「ひっ、ぃあっ、こ、じゅ、ぁ、あはっ、ぁ」
「ふっ、ん――政宗様……ッ」
「ぁあうっ、ぁ、あぃ、ぃ、いいっ、い、ぁ」
 涙と涎でぐちゃぐちゃになった政宗に唇をよせ
「くっ」
 ごぷ、と奥で熱を注ぎ
「はっ、あ、ぃあぁあああ――ッ!」
 それに追い立てられるように、政宗が精をほとばしらせた。
「はひゅっ、は、こ、じゅ、ぁ、まだ――っ、まだ、だ」
「無論、承知しております」
「ぃ、ひぃいッ」
 床に這わせ、尻を掴んで打ち付ける。
 ころあいを見計らって
「ふっ」
「ぃあッ」
 尻を叩いた。
「ぁはっ、ぁ、ぁおお、はひっ、ひ、ぃい」
 嬌声とも悲鳴とも取れる声を上げ、政宗が髪を乱して小十郎の熱を追い求める。応える様に、小十郎は政宗へ自分の熱を注ぎ続けた。
「ぃ、ぁあ、ひっ、はひっ、ぁ、あぁあッ」
「ふっ、く――ッ」
 乱れきり、意識を手放す寸前、どちらともなく腕を絡め、唇を重ねた。

 ふ、と瞼を上げて身じろぐと
「ぁ」
 大きな手のひらが髪を撫で、目をそちらに向ける。やわらかく目を細めた自分の一部が、そこに居た。
「小十郎」
 呟くと、抱きしめられた。
「日が昇るまでは、まだ間がございます」
 ささやかれ
「そうか」
 肩に額を摺り寄せ、鼻腔を彼の香りで満たす。
「小十郎」
「は」
「痛ぇ」
 小十郎が、笑みのような吐息のような何かを、政宗の髪に柔らかく落とした。
「そうでしょうとも」
「――……」
「生きて、おられるのですから」
「――」
「こうして、生きておられるのですから」
「――そうか」
「はい」
 ふ、と政宗の気配が緩む。彼にまとわりつき、深い泥土に誘う闇が、小十郎の手によって拭い去られた。
「小十郎」
「は」
「お前は、俺だ」
 滲んだ声に
「右目と呼ばれているのは、伊達ではありませんから」
 冗談めかして応えると
「違ぇねぇ」
 政宗が唇をゆがめ、伸び上がり、小十郎のそれに押し付けてきた。
「いましばらく、ゆっくりとお休みください」
「Ah――」
 吐息のような声を唇に受けて、傷つくことで傷を乗り越えようとする手負いの竜を、小十郎の両腕がこの世につなぎとめる。――それは、竜が痛みを乗り越えられるまで続く、誰にも行えぬ、二人だけの儀式であった。

2012/06/25



メニュー日記拍手
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送