目が覚めると、そこは神棚のような場所だった。(なんだ――) 身を起こそうとするも、体が鉛のように重く、自由が利かない。背後に激しい水音が聞こえ、思い首を動かすと、滝が見えた。どうやら自分は、滝のそばにしつらえられた大きな神棚のようなものに、乗せられているらしいと、伊達政宗は判じた。(何故――) 記憶を呼び起こす。 朝から、一人で遠駆けに出た。そして、馬の足元を何かが走りぬけ、驚いた馬が棹立ちになり――(俺の首に、何かが巻きついた) 首に、圧迫感は無い。とすれば、それはもう取れているのだろう。首に何かが巻きついた後は記憶が無い、ということは気を失わされ、ここに運ばれた、ということになる。(何なんだ、一体) 自分を狙う相手は、ごまんといる。戦国の世で名を知られている自分を討ち取れば、名が挙がるだけでなく、奥州を手に入れることも出来る。しかし、それなら――(何故、こんなところに置かれているのか。 体の何処にも、痛みは感じない。怪我が無いのか、怪我をして相当の体力が奪われ、体が重く痛みを感じていないだけなのか。 滝の音を聞きながら、そのようなことに思いを巡らせていると「おお、目覚めたぞ」 男の声がして、おおいと誰かを呼んだ。(誰だ――) 目を凝らす政宗の前に、十数人の男達が現れた。どれもこれも、ただの百姓にしか見えない。「おお、良かった」「このまま目覚めねば、どうなっていたことか」 よかったよかったと、政宗が寝かされている場所を取り囲み、笑みを浮かべて口々に言い合う。「おい、アンタら――」 言いかけた政宗の声を、男たちが道を空け、一人の男を通して留めた。(こいつが、親玉ってワケか) 睨みすえる。男は、山法師の姿をしていた。「お目覚めかな。独眼竜」「一体、なんのつもりだ」「そう、睨まないでくれ。命を奪う気も、傷つける気も無い」 両手をひらひらとさせた山法師が「ただ、暴れられては困るので、自由を奪う薬を、飲んでもらったがね」 茶目っ気たっぷりの顔で言うのに「ッ!」 射抜く目をした。「良い目だ。竜神の供物には、竜を与えるのが良いという易の結果は、間違いでは無いな」「供物だぁ?」 なんとか、体を起こそうとする。それを助けるように、山法師が手を添えて政宗を座らせ、滝を見せた。「この滝には、竜神がおわす。雨を求めているのだが、一向に降らないんでな、よい手立てはないかと星を見れば、竜を捧げよと出た。居りよく、独眼竜が一人で山を駆けていたのでな、捕らえさせてもらったよ」 悪びれも無く言うのに「OK――アンタらの望むように、なったってワケか。で、供物にするってんのに、傷つけるつもりは無ぇってのは、どういう意味だ」「神の前を、血で汚すわけは無いだろう。髪が喜ぶのは、好色な舞――異国の全能の神も、相当な好色らしい」「――Ah?」 意味を判じかねた政宗にニヤリとした山法師が「こういうことだ」 政宗の後頭部を掴み、顔を床に押し付けた。「ッ、何――ひっ」 裾をからげられ、尻を持ち上げられる。「なぁに、最初だけだ」「何が……ッあ」 百姓らしい男の一人が、恭しく甕をささげて持ってくる。それを、むきだしになった政宗の尻へ垂らした。粘り気のある液体が、花の香りをさせながら、尻から太ももに流れていく。「もう少し、そう、右に」 山法師が告げ、甕を持つ男がたらす場所を変える。すると、太ももに流れていたそれは、政宗のひきしまった尻の谷をすべり、その奥にある花を濡らしながら流れ、牡に到達して床に落ちた。「ぅ、く――やめろ……」 冷たくぬるつく感覚に、虫の這うような怖気を感じて身を捩ろうとするも、何処にも力が入らない。すると、山法師はなにやら呪を唱え出し、政宗の尻の間に指を這わせた。「ッ――何……ッ、ぁ」 尻の間から袋まで、何度も撫でられているうちに、甘い疼きが湧きおこて来る。(まずい――) そうは思っても、指一本すらまともに動かすことが出来ず「ッ、は、ぁ――ッ、ぁ」 つぷ、と指を秘孔に突き入れられた。「やめっ、ぁ、あ……ッ」 液体に何か細工があるのか、それとも山法師の指技のなせることなのか、呪を唱えられながら内壁を擦られ、時折爪を立てられて、そこから生まれる欲が全身に広がっていく。身を動かせぬもどかしさが、意識が、暴かれる場所へと集中し、振りほどきたい感覚を克明に政宗へと知らしめてくる。「ひっ、ぁ、あう、ぅ、ぁっあ」 指が増やされ、広げられていく。政宗の牡は立ち上がり、垂らされる液体とともに先走りが床に落ちた。「ぅ、んっ、んんっ――はぅ、ぁ、やめっ、ぁ、やめねぇかッ…………くそっ、ぁ、あ」 山法師の呪を唱える声が高くなる。指が抜かれ、ぶち、と何かを千切る音が聞こえた。「はぁ……ぁ、何――ッ、ひ」 つぷ、と何か、丸くて固いものを尻に飲まされた。「何、を……ッ、ぁ、ああッ」 次々に、それが押し込まれる。増えていくそれは、戦慄く内壁の動きに合わせて転がり、重なり合い「ひっ、ぁ、ああうっ、う、ぁ、ああ」 緩慢な、けれど複雑な動きで政宗を乱した。「ぁ、ぬ、抜け……ッ、く、そ――ッ、はっ、あ、ぁぎっ、ぃあっ、あああ」 多量に飲まされたものを、再び突き入れられた指が掻き乱す。ぶるぶると牡が震え、先走りをあふれさせ「ッ! はっ、ぁ、あああぁあああ」 山法師が何かの呪を唱え終わったと同時に、触れられぬまま、政宗は達した。「おお、竜の蜜だ」 見守っていた男達の間から、そのようなどよめきが起こる。「はぁ、は――ッ、はぁ、ぁ、あぅ……ッ、ぁ」 触れられぬまま達した箇所が、ひどくもどかしい。擦って、余韻をすべて吐き出したいと思う政宗の体を山法師は起こし、脇息のようなものを二組、用意させ、政宗の足を広げた形でそれに掛けた。太ももの付け根から膝裏まで支えられる形になり、尻が浮いた状態になっている。力の入らぬ政宗の背を胸に受け、山法師は彼の胸へと手を滑らせた。「ふっ、ん――ッ」「良い、色だ」「てめぇ――ッあ、ぁあ」 山法師の手を追うように、甕を持った男は液体を政宗の体に落していく。それを受けた山法師の手は政宗の全身を這い、感覚を呼び起こしていく。「やめ、ぁ、ああ――ッ、く、そ…………やめっ、く、ぁあッ」 もどかしい動きをするかと思えば、歯を食いしばりかけると強くなる。胸を、腹を、足を這う指の動きに政宗の牡は再び立ち上がり、内壁は痙攣し「あっ、ぁ――ッ、あ」 コトン、と秘孔に飲まされた玉を、落した。「そのまま、すべての数珠玉を産み落としてしまえ」 耳元でささやかれ「ッ、誰が……ッ、は、ぁ、ああっ、あ、やめっ、やっ、ぁあっ、ぁ」 促すように、男が孔を広げて「ひっ、い、ぃいっ」 ひとつ、またひとつと、政宗が数珠球を産み落とす。「や、ぁ、ああ――ッ、み、るな、ぁ、ああ」 男達が、拝みながら政宗の産み落とす姿を眺める。「おお……赤く熟れたところより、竜玉が零れ落ちて」「入り口がひくついて……次が、出ますかな、おお、おお、出た出た」「ひっ、ひぃ、ぅ、くぅう」 コロコロと、政宗の中から数珠球が落ちていく。それがすべて落ちきったことを確認してから「今から、竜とひとつになってもらう」「はぁ……は、ぁ、何」 浅い呼吸を繰り返す政宗に、木彫りの竜を見せた。それに、たっぷりと液体をまぶし「はっ、ぁ、ああうう」 山法師は、木彫りの竜を政宗に埋め込んだ。「見よ! 今、竜がこの者の身に宿ったぞ」 おお、と男達の間からどよめきが起こる。「竜神よ、この者とひとつになりて、願いを聞き入れたまえ」「ひっ、ヒィ、やめっ、ぁ、う、動かすなっ、ぁあっ、ぁ」 たっぷりの液で濡らされた箇所は、抜き差しされるたびに空気を含み、グプグプと音を立てる。それを更に大きく鳴らそうと、山法師が乱暴に木彫りの竜を動かした。「ひっ、ヒィイ、ぁ、やめっ、ぁ、やめぁあぁああッ!」「どうだ。竜の鱗を感じるか……掻き回される感覚が、あるか」「んぁっ、ぁ、やめっ、ぁ、う、鱗ッ」「そう、鱗だ……鱗の一枚一枚が、内壁に絡み、掻き乱している。――違うか」「んっ、ぁ、ああっ、ぁあ」「どうだッ!」 恐ろしい速さで、捻りながら何度も突かれ「はぁああっ、鱗っ、ぁ、鱗っ、ひっ、ぁ、掻いてッ、掻い……ッは、ぁああう」 首を振りながら、言った。「そうか――ほら、見ろ皆の衆。独眼竜が、竜神と繋がっている箇所を」 男たちの視線が、抜き差しされる箇所に集まり「すげぇ――ひくつきながら、竜神様を飲み込んで」「おお――魔羅より滴るは、霊薬では無いのか」「やっ、ぁ、みっ、るな……ッ、見るなぁあ――ッ!」「なぁに、独眼竜。すぐに、見られねば物足りぬように、なる。さて」 政宗の体を転がし、尻を男達に突き出させて「竜神を、祈りを込めてこの者に突き立て、掻き回せよ。この者の放つものはすべて、霊薬となろう」 厳かに告げれば、男達は色めき立った。「ひっ、ひぃ、ぁ、ああっ、やめっ、ぁ、あぁああ」 我先にと政宗の肌にむしゃぶりつき、埋め込まれている木彫りの竜を掴んで掻き回す。魔羅に、袋に、足に、無数の唇が吸い付き舌を這わせ、余ったものは政宗の体を抱き起こし、胸にまで吸い付いた。「ひっ、ひぃいいいっ、ぁ、やめっ、やめぁ、ああッ、そんっ、ぁ、あはぁあっ」 放てば直ぐ、余韻に浸る間もなく別の口が吸い付いてくる。落ち着く暇も無く、全身に絡みつく男たちの唇が快楽の渦を巻き起こし、政宗の意識を奪っていく。「おっと……留守な場所が、あったな」 立ち上がった山法師が、前を寛げ、政宗の髪を掴んで「ずっと喘いでいるんなら、噛み千切られる心配は、無さそうだな」 猛る牡を口に押し込んだ。「んぶぅっ――んぶっ、んぐっ、んぁ、ぉ、おぁ、あっ、はっ、ぁあ」「雨乞いが通じて、雨が降る頃には――体中、どこを触っても感じるように、なっているだろうぜ」「んひぃいいいいっ!」 高く上る政宗の嬌声が、天に雲を呼ぶ頃には、牡の臭いにまみれた淫魔が誕生していた。「政宗様は、まだ、見つからねぇのか!」 雨の中、片倉小十郎は声を張り上げ、人を指揮しながら、自らも山に分け入り、主君、伊達政宗の姿を探していた。 遠駆けに出るといってから五日が経っている。二日前から降り出した雨で、捜査は難航していた。(政宗様――ッ!) 失踪直後は、伊達軍の誰一人、政宗の無事を疑うものはいなかった。けれど、こうも見つからないのであれば、と弱音を吐き出すものが出てきた。(政宗様) 無事に決まっているといいながらも、小十郎の胸には痛みと寒気が沸き起こる。(どうか――御無事で!) 雨に煙る視界の悪い山中を、政宗の姿を求めて探し回る。 ふと、目の端に何か――人影のようなものがよぎった気がして、小十郎は駆けた。「政宗様!」 はたしてそれは捜し求めていた人物で――出かけたときの袴姿ではなく、なにやら神事の際の衣装めいたものを着ていることが少々気にはかかったが、それよりも生きていてくれたことが重要で「政宗様!」 駆け寄ると、こちらに倒れこむようにしてきた政宗を、受け止めた。「よくぞ……ご無事で」 滲むような声の小十郎を「小十郎」 夢の中にいるような声で、政宗が呼んだ。「――政宗様?」 いぶかる小十郎に「熱い」「熱が、おありか。――すぐに屋敷に戻り、温かな粥でも」 言いかけた小十郎の唇を指を立てて止め「そんなモンより、もっと――熱くて旨いモンが良い」「――え?」 そこに、政宗を探し回る伊達軍の者たちの声が響いた。「ずいぶんと、探し回ってくれたみてぇだな」「は――」「たっぷりと、労ってやらなきゃ、なんねぇな――最高のPartyで…………ああ、小十郎は、特に、天国を味わうほどに、労ってやるぜ?」「……政宗様?」 艶のある笑みを浮かべた政宗の手は、小十郎の下肢を撫で―――― 2012/07/18