長曾我部元親経由で手に入れた、南蛮の作物に関する書物。喜ぶだろうと思って、すぐに片倉小十郎の私室に出向き差し出した。 予想通り……いや、予想以上に小十郎の興味を引いたそれは、主である伊達政宗が私室に居ると言うのに、彼の存在を忘れてしまっているのではないかと思うほど、小十郎の意識を奪った。(つまんねぇ……) 真剣に書物と向き合う小十郎の私室で、床に転がって暇を体現してみるが見向きもされない。しばらくそうしていても暇が解消されることもなく、ころころと転がって小十郎の傍に寄る。(すげぇ、真剣な顔) 見上げ、持ち上げた頭を小十郎の膝に乗せても彼の手は書物から離れることは無い。(チッ……) 自分が与えたものであるのに、政宗はすこぶる面白く無いと唇を尖らせた。 小十郎の体に添うように身を起して書物と彼の顔の間に自分の顔を入れた。 じっと見つめてみるも、小十郎は書物から目を離さない。首に腕を回せば、書物をめくるついでのように、背を軽くたたかれた。(not worth a picayune) 小さな子どもを適当にあやすような態度に、鼻を鳴らす。ふ、と思いつき「小十郎」 耳元で名を囁き、甘えるように耳朶を唇で挟み、引っ張った。「――政宗様、しばしお待ちください」「Ah――アンタは、それを読んでりゃあいい。俺は勝手にする」 小十郎の耳裏に舌を伸ばし、首に吸い付き、頬を摺り寄せる。(動揺してやがる) クックと喉を鳴らしながら薄く唇を開き、必死にこらえている口の端を舐めた。「小十郎」 はぁ、と熱い息と共に吐き出せば、ばり、と紙の破ける音がした。「オイオイ、せっかくの貴重な書物を、破いてんじゃねぇよ」「政宗様」 小十郎のひくついたこめかみへ唇を寄せ、頭を抱え込むようにすれば「おわっ」 床に押し倒された。「なんだよ」「私を試されて、いかがなさるおつもりか」「Ah――? 俺がいるってぇのに、書物に夢中になる方が悪いんだろうが」「政宗様がくださったのではありませんか」「俺が去ってから、読めばいいだろ」「まったく、貴方というお方は」 小十郎の目が政宗を映したことに、満足そうに唇をゆがめて「Please love me」 吐息交じりに呟きながら唇を寄せれば、包み込むように口づけられた。「んっ、ふ、ぁんんっ、ん」 小十郎の頭を抱きしめ、与えられる口づけに酔う。身を捩るたびに乱れていく襟元に、唇が移動した。「は、ぁ――」 胸の脇に、小十郎の標が付けられる。こういう時にでも、万一にも人目にさらされぬような場所へ配慮しながら愛撫を行う相手が、身も世も無く自分を求めればどうなるのだろう。「小十郎」 小十郎の襟もとへ手を差し込み、はだけさせる。みっしりとした背筋を撫でながら、彼の手のひらが、唇が欲の熱を熾してゆくのに意識を委ねた。「は、ぁ……あ、ん、は」 壊れ物を扱うように、あくまでも優しいままの手のひらが、政宗の腰帯を解き、下帯に手をかけた。「んっ、ふ、ぁうん」 立ち上がり始めたものを根本から撫で上げられ、顎をのけぞらせる。形の良い顎に小十郎の唇が吸い付き「政宗様――」 艶のある声で呼ばれれば、頭の芯が震えた。「ぁ、は、んっ、ぁう、ふ」 緩慢に牡を擦られ、もどかしさに腰が揺れる。「こ、じゅ……んっ、は」 濡れた瞳で見れば、からかうような目とぶつかった。「ぁ、何――」「書物に、嫉妬なされていたのでしょう」「ぁ、んっ、ふぁう」 陰茎を擦っていた手がひるがえり、袋を掴んで揉み始めた。「ならば、書物を読む目のように、丹念に隅々までお相手いたしましょう」「ふは、ぁ、あう、んっ、そんなっ、は、ぁ、あう」 するすると下りた小十郎の唇が、震える政宗の陰茎の先に触れた。そのまま、ついばむように触れてくる。「ぁ、は、ぁう、こじゅ、ぁ、あふ、んっ、ん」 ひくん、ひくんと震える陰茎を、いつくしむように唇が触れ、袋を揉まれ「や、ぁ、あう、こじゅっ、は、ぁ、こんな、ぁ、足りねぇッ」 髪を掴み、肩を強く叩きながら足蹴にすれば「っ!」 くるりと体を回され尻を持ち上げられ、這う形になった。「おとなしく、なさっていてください」「ひ、ぅうんっ」 柔らかな尻の双丘の奥に咲く菊花へ、舌がのばされる。丹念に花弁をなぞられ、背骨に甘い疼きが走った。「は、ぁ、こじゅ、ぅう」 もどかしさに手を伸ばし、自ら擦りはじめた政宗へ「はしたのうございますな」「う、るせ……ぁ、アンタが、ぁ、ちゃんとしねぇから」 文句を言えば、小十郎の唇が動き袋を食んだ。「ふぁあうう」 菊花には指が与えられ、散らさぬように花弁が摘まれる。脈打つ陰茎は膨らみ切り、蜜を溢れさせて「本当に、はしたない」「ぁはぁああ」 小十郎の指が、絞るように先端を捏ねた。「は、ぁうっ、こ、じゅぅう」 自分を擦っていた手を離し、小十郎の手首を掴む。「も、ぉ……」 淫蕩に濡れた瞳を向ければ、仕方が無いと言いたげに息を吐かれた。「背を、傷つけてしまいますから」 背に、小十郎の熱が沿った。「このまま、致させていただきます」「ぁ、後ろからでも、んっ、かまわねぇから……早く、来いよ」 首をめぐらせ、唇を求めれば与えられた。「では」「ぁはっ、ぁ、ぐ、んぁ、あっ、ぁあ、あ」 菊花が小十郎の牡に開かれていく。蠢く内壁は小十郎を歓迎し、さらに奥へと誘いながら絡み締め上げる。「ふ、政宗様……そう締め付けられては――」「はっ、ぁ、あ、う、るせ、ぁ……デケェのが、ぁ、悪いんだろ、が、ぁあ」「お嫌ですか?」「ぁはっ、ぁ、う、んっ……んなワケ、ある、かよ、ぁあっ」 ぐん、と体を引き上げられ、膝の上に座る形にされて「は、ぁああう」 胸を捏ねられ、より強く小十郎を絞り上げた。「ひはっ、ぁ、あううっ、こ、じゅう」 床を蹴り、腰を振る。臍まで反り返った陰茎を震わせながら求める姿に「本当に、なんという――」 息を乱した小十郎が、熱っぽくつぶやく。「はっ、ぁ、こじゅ、ふ、んっ、もっと、ぁ、ああっ、ぁ」 全身を摺り寄せて甘えてくる政宗に「この私を、何もかもを忘れ、狂うほどに熱くさせられるのは、政宗様以外にはあり得ませぬ」 うなじに甘く口づけて「ゆめゆめ、お忘れなされますな」 理性を手放し、獣と化した。 さんざんに貪りあった後、再び書物を読み始めた小十郎の膝に頭を乗せた政宗は、ひどく上機嫌に鼻歌でも歌いそうな顔をして転がっていた。 今度は、小十郎の意識が書物のみに注がれていても気にはならないらしい。時折脇腹をつつき、あやす様に背を軽く叩かれれば、満足そうに目を細めた。 それはさながら、猫のようで―――― 2012/09/11