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第一話を読む
黒い太陽(2)
 梁にぶら下げられながら、元就は足音と声を聞いた。足音からして二人。一人は通いなれた足取り。もう一人は、戸惑うような足音で近づいてくる。自分が吊るされている部屋の襖の前で止まり、抑えた声が聞こえてきた。
「本当に、あの毛利が――」
「百聞は一見にしかず。どうぞ」
 襖が開かれ、灯りが入ってくるのを閉じた瞼の裏が赤くなることで、元就は確認する。今は、昼――なのだろうか。時間の感覚が薄いのは、昼夜問わず慰みものとして扱われているからだ。男を知らなかった彼の体は、囚われ奪われたあの日からの行為により、男の味の違いすらわかるほどになっていた。――――自分の意思とは裏腹に。
 ごとりと灯り窓が開かれる音がして、室内に光が満ちる。自らに加護を与えてくれていたはずの日輪が、今は恥辱を余すところ無く人の目に晒そうとする。
――――悔いても、はじまらぬ。
 口内炎のように、喉に刺さった小骨のように苛んでくる痛みに、体内で呟く。策を練るには現状が把握できていなさすぎる。そのような時に、下手に動くべきではない。
「おお――――これは」
 声に、瞼を上げる。驚いた表情の男が醜いと、眉根を寄せた。ろくな働きもせずに禄だけを手にする捨て駒にすらならぬ輩と、判断した。
「あの毛利が――このような…………」
 ごくりと男が喉を鳴らして、おそるおそる近づいてくる。衣の変わりに絹帯で肌を傷つけぬよう吊るされた元就は、男の前に全てを晒している。
「どうぞ、存分にお遊びくださいませ。調教は十分に済んでおりますので、多少の無茶も大丈夫ですよ」
 男を連れてきた者の声が聞こえていないかのように、ふらふらと吸い寄せられるような足取りで元就の前まで来ると、ふふふとどす黒い笑み浮かべて言う。
「お久しぶりですなぁ。毛利殿――――貴殿にされた仕打ち、私は今でもまざまざと思い出されますぞ」
「――――貴様は誰だ。我は貴様など記憶に無いわ」
 ギリ、と奥歯を噛む音が聞こえた。
「そのような格好で言われても、負け犬の遠吠えのように聞こえますな」
「貴様ごときに、そのように言われる筋合いは無い」
「――――ッ」
 怒気をむき出した男が、振り向く。
「本当に、好きにして良いんだな」
「殺したり、腕を折ったりはなさらないでくださいよ。それ以外でなら、お好きに――――ですが」
「わかっている。約束は守る」
 何か、盟約をする代わりに自分は使われるらしい。
――――我が、駒とされるか。
 自嘲した元就の表情を、自分へのあざけりと思ったらしい男が、平手で元就を打った。
「っ――――」
「いい格好ですなぁ毛利殿。絹帯で吊るされておるなど、まるで天女のようでは無いですか…………しかし、尻からは馬の尾のように束の藁が出ているなど、また変わった趣向で――――どれ」
「ぅ――――」
 ずるりとわずかに尻に詰め込まれた藁束が引かれる。囚われて、犯されてからは常にコレが体内に収まっていた。
「おお――先は縄に編まれておるのですなぁ。引き出すと、毛利殿の熟れた箇所がうごめいて、なんとも――――いやはや、このような姿を見ることができようとは、思いもしませんでした。――――おや、一本抜けてしまいましたな。申し訳ない。それではコレは、コチラに納めておきましょう」
「ぁ――っ」
 奥歯を噛み、静止の言葉を耐える。そういう言葉を相手が望んでいることなど、とうに理解していた。征服欲を満たしたいがための陵辱。意識が飲まれぬ間は、そのような言葉を発したくは無かった。
 にやつきながら、まだ起き上がっていない元就の魔羅へ藁がゆっくりと埋め込まれる。息を呑み、耐える姿に男は喉を鳴らした。
「おお、これは惨い――――このような細い箇所に藁が…………もう一本、抜けてしまいました。これで根元を縛って差し上げましょう」
「ふっ――――くぅ」
 痛いほどに縛られ、息が詰まる。残忍な色を深めていく男の手が、尻を打った。
「ヒッ――――」
「馬はこうして、よく走らせますが、毛利殿はどのように走りますかな」
 尻を打つ乾いた音が部屋中に響く。打たれるたびに収縮する尻が、差し込まれた縄部分を強く締め付け、それが彼の魔羅を膨らませた。勃ちきらない間に締められた根元の藁が食い込み、差し込まれた先端のものが密封してくる。みるみるうちに形を変えた元就の姿に、男は狂喜した。
「ははは。毛利殿は打たれても勃たせるような方でありましたか。このように痛々しいほどに張り詰めさせて。これでも、私は愛戯には自信がありましてな。どれ――――」
「っ――は、ぁあ」
 腹の底で男を馬鹿にした瞬間に与えられた刺激に、思わず喉を開く。裏筋を根元から舐め上げられ、ちろちろと括れを刺激され、甘やかなものが体に広がる。
「なんとも甘い声で啼かれますなぁ……下手な女よりも、よほど股間に来る…………ふふふ――日輪の天女の魔羅に溜まっている霊薬は、それよりもずっと甘いのでしょうな」
「は、んんっ――――ぁ、う」
 耐えるために薄く伏せられた睫が震える。意思とは裏腹に、素直に暴かれる体が恨めしい。
「おお――そんなに喜んでいただけるのですか。シッポをそのように揺らされて。がぜん、やる気が出ますなぁ」
 カエルのような声で男が笑い、魔羅にしゃぶりつく。ぬらぬらと蠢く舌の動きが嫌悪を催すほどに絶妙で、快楽に従順となった元就の体は逃れる場所を奪われた熱に支配され、白い肌を桃に染めた。
「はっ――ぁ、んぁ…………くぅ――んっ」
「そのように声を抑えずとも……もっと、狂ったように啼いていただけるよう、どれ――――このような趣向は、いかがですかな」
「ッ――――は、ぁああッ」
 男が、舌を胸の実へと伸ばす。片手で魔羅を擦り、片手で尻の縄を乱雑に抜き差ししはじめた。
「ひはっ――――はぅ、ぁ――あぁあッ」
「ん、ここが良いのですな――ここを擦ると、魔羅の跳ねが大きゅうなる」
「ふひっ、ふひぃいんッ――やめっ、やめよっ―――はっ、ぁああ…………ぁ、くぅううんっ」
 べろべろと胸の実をねぶられ、手のひらで魔羅を捏ねられ、縄に蹂躙される。一気に襲いくるものに首を振り、涙を滲ませ、口の端からは涎をたらす。男の鼻息が荒くなる。嫌悪が強くなる。恥辱が、快楽が、元就の体内で狂い踊る。
「はっ、はひゅっ――――ッアァ」
「こんなに根元に食い込んで、痛々しい――もう、十分に霊薬がたまっておるようですなぁ…………どれ」
「ん、はぁ――――ひ、ァアッ」
 魔羅の戒めが解かれる。びゅるっと噴出したものを、男が慌てて吸った。
「んっ――ふぅ、ぁ…………はっ、あぁ」
 じゅるじゅると、吸う音に耳を覆いたくなる。それ以上に、恍惚としたものが脳をしびれさせる。
「ぁあ――なんという甘露。寿命が伸びる心地がしますぞ、毛利殿……吸引されるのが、そんなに良いのですか。ふふ、では」
「は、んぁあ――――ッ、くはぁ」
 舌が絡みつき、口腔で擦られ、吸引されて腰がはねる。ぎしぎしと元就を吊るしている絹帯と梁をつなげている縄が鳴る。太股が戦慄き、理性とは逆に本能がより強いものを求める。意識が、呑まれ始める。
「んじゅ、はぁ――毛利殿、私のものも、毛利殿に負けず劣らずに猛ってきましたぞ――――ふふ……縄よりも貴殿を喜ばせられると思いますが、味わってみませんか」
 ずるり、と尻から全てが抜かれる。男が背後に回り、元就の菊花に亀頭をあてがう。
「おお、そんなに心待ちにしているように先を襞で撫でられると、愛おしくなってしまいますぞ――毛利殿…………さあ、穿ちましょうか」
「ひっ――――んぁあああッ」
 ずむりと赤く熟れた箇所に熱の塊が突き立てられる。無機質なものの変わりに収まったものに内壁が振るえ、蠢く。
「ぉほっ、毛利殿の肉筒は、なんとも…………とろけそうで――ほっ」
「はくっ――はっ、ぁんぁあッ…………ぁ、はぅあぁあああっ」
 容赦なくかき乱され、内壁が嬉しそうに男をしゃぶる。疲れるたびに小さく噴出す牡液を、案内してきた男が舐め取った。
「ひはっ、ぁ――ふくぅうんッ」
 尻を犯され、魔羅をねぶられ、背後の男が胸の実を指ですり潰す。元就の意識が堕淫に奪われ、二人の男をしゃぶり、しゃぶられ、体中に愛液を振りまかれて意識を失った彼の前で、彼を犯した男は血判書に名を記した。
「兵を捨て駒扱いしていた貴方が、このように駒として扱われるなど、滑稽ですなぁ――しかし、たぐいまれなる名器に、危うく溺れそうになりましたぞ」
 下卑た笑いを残して男たちが去った後、能面のような顔で元就は目を開き、薄く口の端に笑みを乗せた。




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