メニュー日記拍手


ばか
 惚れた腫れたなんて、ガラじゃないから――――
 そ、と一瞬のスキをついて、薬を混入するなんて、わけもない事。だって、俺様、最高に優秀な忍だから。
 ふ、と違和感に気付いたが、見て見ぬふりをした。――こいつが、俺を殺すわけは無ぇと、信じているから。

 頭が、ひどく重い。
 体が、熱くてたまらない。
 風邪でも引いたのかと思ったが、どうにも違う――熱の位置が、低い。そして、何か……ぬめりのある感覚が――――
「あ、起きた?」
 ゆっくりと目を持ち上げた片倉小十郎の眼前に、濡れた唇を光らせた猿飛佐助の姿があった。
「ッ!」
 身じろごうとした肌に、縄が食い込む。そこで初めて、自分が裸身で縛り付けられていることを知った。
「な、に――」
「何って、見てわかんない?」
 坐した形で柱に縛り付けられ、その足の間に佐助の頭がある――だけでなく、彼は手に、小十郎の猛りを握っていて
「口淫、してんの」
 ふふ、と先端に口づけながら目を細めた彼に、眉根を寄せた。
「そんな怖い顔しないでよ――せっかく、気持ちよくさせてあげようってのに」
「縛られてしゃぶられる趣味は、無ぇんだがな」
「俺様も、別にしたいわけじゃないぜ」
「じゃあ何――っ、う」
 ちゅる、と佐助の唇が小十郎の先端を吸い上げながら含む。
「んっ――ふ、んむ、はぁ……おおき、ぃ――んっ」
 うっとりと呟かれた声に、牡が跳ねた。
「あんっ――もう、はみ出るだろ。おとなしくしててよね」
 しっかりと両手で固定した佐助が、しゃぶりつく。
「――ッ、ふ、んっ……や、めねぇか」
「ちゅ――やめたら、辛いと思うけど? 媚薬、仕込んだから」
「何――?」
「ふふ」
 きゅ、と根元を絞られて息をのむ。体中の血が集まっているような感覚に、めまいがした。
「おとなしく、俺様に気持ちよくされててよ」
 言いながら、脱いだ佐助が小十郎をしゃぶる。しゃぶりながら
「は――ぁ、んっ」
 自らを、扱き始めた。
「――ッ、猿飛」
「ふふ、すっごいヤラシー声……たまんない」
「は、ぁ」
 ぎし――
「ちょっとやそっとじゃ、解けないぜ? 擦れて痛いだろ――おとなしく、俺様にヤられててよ」
「く、ふ――」
「ふふ」
 体を起した佐助の肌を、ろうそくの明かりが浮かび上がらせる。いくつもの傷に、いつもなら唇を寄せて味わうのに
「く、そ――」
 身を捩っても、縄が肌に食い込み皮膚を擦るだけで、解けそうにない。
「猿飛――ッ、解け」
「やだよ」
 佐助の手のひらに、ハマグリの薬入れが現れる。その中にあるものを指で掬った彼が
「んっ――は、ぁ」
 手を後ろに回し、自ら丘の合間に咲く花を開いた。
 ごくり、と小十郎の喉が鳴る。
「は、すげ――欲しそうな顔して……んっ、はぁ……ね、見える? いつも、アンタを咥えてる場所」
 足を広げてしゃがむ佐助が、背に回した手で花を、もう片方の手で自らの陰茎を扱いて見せる。
「は、ぁ――ふふ……んっ、ぁ――すご……片倉の旦那の魔羅ってば…………牛の角みたいになってる」
 楽しげな佐助とは対照的に、小十郎の眉根は苦しげに寄せられ、生殺しの欲が渦巻く肌がもがき苦しむ。
「――ッ、猿飛…………解けッ!」
「やだっつってんだろ――もう。気持ちよくさせてやるって、言ってんだから――おとなしくしててよ」
 自らを乱していた手を止めて、小十郎の肩に掌を乗せる。そのままするすると腕を滑らせ、抱き着くように彼をまたいで。
「ぁ、ん」
 ゆっくりと、腰を下ろした。
「ぁ、き、つ――んっ、一回、出してもらってからの方が、良かったかも……」
 言いながら、先端だけを咥えた状態で
「はっ、ぁ」
「ッ、く――」
 小十郎を、手で扱き始めた。
「はぁ――ッ、は、このまま……、一回出して――ッ、ん」
「ふっ、――ふ、…………く、そ」
 自由にならぬ体ともどかしさに、小十郎が身を捩る。
「ぁ、そんなに暴れたら――」
 肌に食い込んだ縄が、小十郎の肌を破った。
「血、出てる――片倉の旦那、おとなしく……」
「出来るわけが、無ぇだろうが!」
 間近で咆えられ、思うよりも強い目の光に、息をのんだ。
「――抱きてぇ」
 滲むように告げられた言葉に
「何、言って……」
「抱かせろ」
 きゅ、と佐助の唇が結ばれた。
「忍相手に、言う言葉じゃないよね」
「なら、なんて言えば、相応しいんだ」
「従え、とか?」
「俺は、テメェの雇い主じゃあねぇだろう」
「犯したい、とか?」
「犯したいわけじゃあねぇ――抱きてぇんだ」
「――ばかじゃないの」
「かもな」
 佐助の目が、揺れている。
「猿飛」
 柔らかい笑みを浮かべ
「抱かせてくれ」
 告げた。
「――ッ!」
 怯えるように震えた佐助の手が、小十郎の頬を包み込み
「おばかさん」
 泣き出しそうな顔で笑いながら、唇を寄せてきた。
「馬鹿でいい」
 重なった唇に
「てめぇの全部――愛おしみたい」
 だから
「解いてくれ」
 想いを、注いだ。
「――ほんと、ばか」
 瞳を潤ませた佐助が、縄を解く。自由になった手で、無駄な肉を全て削いだ――傷だらけの体を抱きしめた。
「猿飛」
「うん」
「猿飛」
「――んっ、ぁ」
 名に、想いをこめて耳に注ぎいれる。何度も呼びながら、唇を落とし
「あ」
「何だ――」
「媚薬」
「ん?」
「辛くねぇの?」
「ああ」
 ちゅ、と瞼に口づけて
「辛いな」
「なのに、なんでこんな――」
「言っただろう」
 ニヤリとして
「犯したいわけじゃ、ねぇ」
 唇を吸い
「愛しみてぇんだ」
 だから
「性欲よりも、思いが勝ってんだよ」
 こぼれるほどに目を見開いた佐助が
「――――開いた口がふさがらないってのは、こういうことを言うんだろうね」
 うれしげに、縄で擦れた小十郎の肌を、舌でなぞった。
「痛そう」
「痛ぇな」
「解ける訳が無いのにさ」
「ああ」
「わかってるのに、なんで――」
「言っただろう――性欲解消のためだけの行為なんざ、する気はねぇんだよ」
「ばか」
 とん、と佐助の額が肩に乗った。
「てめぇは、何も悪くねぇ。――俺の所為にしておけばいい。俺が、猿飛……てめぇを抱きたいと思った。それに、付き合っているだけだと、思っていりゃあいい」
 髪に頬をすりよせ
「抱かせてくれ」
「ばか」
 甘えた響きを持った声に
「ああ――俺は、とんでもねぇ、ばかだ」
 とろけるような口づけを、返した。

2012/06/30



メニュー日記拍手
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送