年末になると、ただでさえ忙しい俺様の忙しさは三割増しになる。 俺様ってば、分身の術使いっぱなし。分身手当本気でほしいよ、まったく! ま、ぼやいていても時間が過ぎるだけで仕事が減るわけじゃ無いから、出来が良すぎる俺様は心の中でボヤきながらも手は動かし続ける。 あぁもう、ほんっと俺様ってば、えらいよな。勘定方の仕事まで、こなしちゃうんだぜ。 誰かさんたちが無駄にいろんなものを壊してくれちゃうから、経費がかさんで大変だっての。 おかげで、武田軍、真田忍隊は妙に大工仕事が板についちゃって――ま、川の治水とか、なんだかんだで使える技術だからいいんだけど――経費削減もお手の物ってね。 幸い、山に囲まれているから、材料には事欠かないし。 けど、どうしようもないものだってあるわけで、そこは俺様の腕の見せ所っていうか――ほら、おばちゃんとかさ、お店の娘さんとかさ、ちょいと流し目をくれればオマケをしてくれたりする…………って……ああ、なんだか少し、むなしくなってきた。 まぁでも、なんとか正月用の餅も用意できたし、今年は沢山水あめも手に入ったから、少し贅沢な正月料理や甘味もできちゃうから旦那、喜ぶだろうなぁ。 ほんっと俺様ってば、えらいんだから。 ねぎらいの言葉と一緒に、ちょっとイロつけた給金、出してくれないかなぁ、なんて―――― ガシャアアァアアアアアアアン ――――夢、だろうけど……って、ちょ、何、今の音……………………すっごい、すっごぉおおおおおおおおおおおおい、嫌な予感がするんだけど。っていうか、嫌な予感しか、しないんだけど………………「ちょ、何やってんのさぁああっ?!」 急いで派手な音の場所にたどり着くと、案の定――案の定……最悪な状態。「手伝おうと、思うたのだが」 何かの見本みたいに、割れた大瓶に突っ込んでる旦那が、ばつの悪そうな顔をして見つめてくる。「手伝おうとして、なんで水あめの瓶を、壊してんのさ」「う、む……」 予想は、大方ついている。旦那をはじめ、水あめをつまみ食いしようとする輩は、大勢いる。その対策として、他の黒豆やら慈姑やらを入れたものを前に置いていたんだけど…………誰かがつまみ食いをしようと動かして、こぼれた黒豆あたりを踏んで滑ったってところか。出かける前と、瓶や笊の位置、変わってるし。旦那は隠しているものを、わざわざ取り出してまで味見しようとは、しないしね。「ま、大体予測はつくけどさ」「まことか! さすがは佐助。この状況を見ただけで、どういうことかを判別できるとは。佐助こそ、日ノ本一の忍よ」「うんまぁ、それほどでもあるけどねぇ」 にこにこと褒めてくれる旦那は、綺麗に割れた瓶に背中と尻がはまって動けないみたいで、多分、その状態も俺が気づいていると確信していて、何も言わなくても助けてくれるだろうと信じて疑わない様子で――――少し、意地悪をしてみたくなった。「まぁでも、旦那に怪我もないみたいだし、瓶が全部壊れたわけじゃ無くて、良かったよ。高価な水あめが全部ダメになっちゃった、なんてことになったら、俺様泣いちゃう」 わざと旦那のそばに行かずに、関係のない散らばった黒豆らを集め始める。「うむ、すまぬ」「まったく、足元には注意してって、いっつも言ってるでしょ」「うむ」「紅蓮の鬼の通り名が、泣くよ」「――うむ」 もぞもぞと、旦那が動き始めた。じっとしていられない性分なんだから、ちょっとも我慢出来ないなんて仕方ないなぁ。「ああ、だめだめ旦那。動いたら残った水あめがこぼれるから、じっとしてて」「わかった」 ぴたりと、素直に動きを止める。ほんっと、戦場とは大違いだよねぇ。旦那の事を恐れているやつらが見たら、どんな顔するんだろ。「さ、旦那。下手に動くと割れたところで怪我するから――――」 伸ばしかけた手が、思わず止まった。倒れた時に着崩れたのか、自分で抜け出そうとしたときに肌蹴たのか――水あめが素肌に飛び散って、これは、ちょっと――――――――「佐助?」 不思議そうに呼ばれる名前に、無垢な瞳に、喉が鳴る。鳴った瞬間、ざっと城内の人の動きと配置を脳内で整理した。 一刻(およそ二時間/江戸時代換算)ほどは、ここに居て何かをしていても、よほどの事が無い限り邪魔は入らない。「ん、なんでも無いよ。あ〜あ、旦那、べっとべと」 手を伸ばして、抱き起す。着物に、髪に付着した水あめが旦那の肌を伝う。「もったいないなぁ」 指についたものを舐めつつ、様子をうかがう。 反応なし。 ま、旦那がこのくらいで反応するわけ、ないか。鈍いんだから。それなら――「わっ、佐助」 頬についたものを、舐める。舐めながら、さりげなく胸元に掌を這わせ、ぬるりとしたものに助けられながら色づく場所に触れた。「な、なにをっ」「何って、もったいないでしょ」 髪についている水あめを取って、旦那の唇に押し付ける。ちろりと出てきた舌が触れた。「――甘い」「水あめだからねぇ。服も、髪も、べったべた」 言いながら、さりげなく脱がしていく。俺様の邪な考えなんて想像だにしていない旦那は、おとなしく脱がされて――――「っ!」 ――はくれない場所で、腕をつかまれた。「何、旦那。痛いんだけど」「そっ、そこは、かまわぬ」「なんで。べたべたして、気持ち悪いでしょ」「かまわぬ」 少し困った顔をして見せる。あのね、旦那。旦那はすんでの所で止めたつもりなのかもしれないけど、俺様の指はもう、王手かけちゃってるんだよ。「かまうでしょ、こんなに水あめにまみれてさぁ」「ッ!」 指を伸ばせば、簡単に旦那の下肢に指先が触れる。一瞬ひるんだ隙をついて、下から掬い上げるように握りしめた。「ほら、ね?」 言いながら、揉み込む。敏感な旦那はすぐに膨らみ始めて、抗議の声が抗議する前に破廉恥な声になっちゃうことを知ってしまっているからか、必死に奥歯を噛みしめている姿が、かわいい。「すっごい、ぬるぬるしてる」 耳朶に舌を這わせながら、するりと手を入れて下帯の内側に直接触れた。水あめにまみれた指は滑りが良くて、多少乱暴に扱っても痛くないよね? 旦那。「んっ、ん、ん、んっ」 抑えきれない音が鼻から洩れてる。胸の内がくすぐったくなって、ぱくっと鼻に噛みついた。「んっ、んんっ――ぷはっ」 息苦しさに、思わず開いた口にすかさず指を突っ込んで上あごを撫でつつ、舌を弄ぶ。もちろん、その間も大事な部分は揉み続けて。「ふっ、んぅ、ふぁ」 唾液が口の端からあふれてくる。旦那、口内も感じるんだよねぇ――はぁ。 うっとりとしながら、旦那に舐めてもらった時の事を思い出すと、俺様のムスコが元気になり始めた。――ま、旦那のほどじゃないけど。「ね、旦那。水あめが白く濁ってきたんだけど、どうしてかなぁ」「はっ、ぁ、あんっ、んむっ」 意地悪く聞いてみると、ぎゅうっとしがみ付かれた。完全に、途中で止められなくなってる。もう、俺様の思う壺。って、旦那を誘導できないことなんて、ほとんど無いんだけどね。「どしたの、旦那」「っ〜〜〜〜〜〜」 耳まで赤くして恨めしそうに見上げてくる姿が、嗜虐をそそるってわかってんのかなぁ。「もしかして、欲しくなった?」 わかりきった事を聞きながら、ひざ裏を軽く足で押して跪かせつつ上向かせる。 そういえば、ここんとこ、ご無沙汰だったよなぁ――。 旦那の長い後ろ髪についた水あめを絞りながら指に絡め、毛先ごと尻たぶの奥にある孔に挿れる。「っはぁ」 短い声を上げたけど、抵抗する気はもうなくなっている旦那の唇がわなないて、水あめよりも甘い息を吐き出した。「ね、旦那――もったいないから、水あめ、全部食べちゃって」 足で着物を手繰り寄せ、ついている水あめを拾う。旦那の指にたっぷりとつけて、それを旦那の孔に導いた。「さ、佐助」 うろたえる目に唇を寄せて、こうするのが当然って顔で旦那の指を使ってソコを淫孔へと変える動きを施していく。「ほら、旦那も自分で動かして」 時折、水あめを補充しながら、あやすように動かせば自慰なんて思いもつかないだろう旦那は、ご無沙汰ぶんも素直さと相まったのか、ぎこちなく俺様の補いがなくても指を動かしはじめた。 さて、次は俺様が気持ちよくしてもらおうか。 自慢の、旦那も大好きなイチモツにたっぷりと水あめをつけて、餌をねだる鯉のようになっている旦那の唇に先を乗せる。にっこり微笑みかけ「指はそのままで、口で、ね?」 促すと、赤子が乳を吸うように口を、頬をすぼめて舌を絡めてくる旦那の上あごに先端を擦り付ける。襞に擦れて気持ちよく、一所懸命な目じりに朱が挿しているのに体の芯が熱くなる。ぐんぐん大きくなるイチモツが、旦那の顔を歪ませた。「っ、あ、旦那っ、ん、口、放して……ッく」 不思議そうな顔で口を開けた旦那の舌の上で、放つ。勢いよく噴出したものが、顔中に広がった。「はぁ――旦那」「んっ、んくっ」 うっとりと名前を呼ぶと、口内に入った子種を嚥下する旦那に、旦那の体内に俺が滲みたことに、体の奥底が震えた。「さ、すけぇ」 震えた甘い声。潤んだ瞳。震える体。もう限界だって――繋がりたいって、訴えてくる。「旦那」 しゃがむと、首筋にしがみついてきた。腰を抱いて膝に乗るように促しながら、秘孔の状態を確認する。ひくつきながら指を内部に誘ってくるそこは、水あめでヌチャヌチャと濡れた音をさせていた。「すごい、やらしい音、してる」「ぅ、ん、うぅっ!」「あいたっ」 照れ隠しに、思いっきり頭突きをくらわされた。ま、そのお返しは、コッチで十分にさせてもらうけどね。「だーんなっ」 ちゅっと軽く唇を重ねて、着物についた水あめをかき集める。ごろん、と旦那を転がし、四つんばいにさせてかき集められるだけの水あめを全部、旦那の尻に詰めていく。「ふぁっ、んっ、んっ、ぁ、あぁ、さ、すけっ、っすけ、ぇえ」 尻を持ち上げる形で這う旦那が、もどかしそうに腰を振る。早く俺様を挿れてほしくてたまらないって、そんなに主張して…………。「はしたないなぁ、旦那。魔羅から床に、糸ひかせてる」「ひぁ、んっ、んんっ、ぁ、さ、さすっ、さすけぇえ」 甘い、涙声のような嬌声に心の中で舌なめずりをして、水あめでベタベタになった尻たぶに噛み付いた。「んひっ」 歯を立てた箇所を舐め上げながら、覆いかぶさり「おまたせ、旦那」 耳元で囁いて、一気に貫く。「っはぁあああ」 ぐぷっ、と音がして、難なく全てが飲み込まれる。小刻みに震えながら息を、声と共に吐き出す旦那のうなじに噛み付き、ゆっくりと腰を回す。「は、ぁ、ぁ、ふぁ、あ、ぁ」 肌をあわ立たせながら小刻みに声を上げる口に、指を入れた。「んふ、んっ、ちゅ、んは、ぁ、っ」 甘えるように吸い付いてくる旦那に応えるように、指と魔羅で甘やかす。「旦那、俺様の指と魔羅、どっちのほうが好き?」「んぅ、ふんぅうう、は、んむっ」 ぴちゃ、と濡れた音をさせる口も、ぬちぬちと絡みつく淫口も、美味しそうに絡み付いてくる。「んっ、旦那のナカ、はぁ、久しぶりで、きもちぃ」 うっとりと呟くと、きゅうっと内壁が絞まった。「旦那も、きもちい?」「はっ、んふっ、さ、すけぇ、んっ、は」 とろとろに甘えた声。ココが何処だかも、もう忘れてしまってるんだろうなぁ。「ね、旦那。あんまり声出すと――――ほら、ここ、俺様の部屋でも、旦那の部屋でも無いし」 眉根を寄せて、ことさら心配そうな声でひそひそと耳に流すと、はっと目を見開いた旦那が上体を起こした。その流れのままに抱き起こし、旦那を膝に抱える。「さ、すけっ、あ、ぅ」「なぁに、旦那。一旦抜く? 移動する?」 唇をわななかせ、真っ赤になって旦那がうろたえる。わかってるよ――我慢なんて、出来そうに無いってこと。「声、我慢して――ね、俺様も、我慢できない」 熱く、ねっとりとした俺の声は、旦那の心の襞をくすぐった。内壁の蠢動がもっともっとと、誘うように激しくなる。「ねぇ、旦那も、我慢できないよね? どれくらいぶりだっけ。こうして――繋がるの」 旦那の魔羅は、かわいそうなくらいに張り詰めて、絡みついた水あめと子種が混じっている。先端を掌に握りこみ、やわやわと揉むと腰が揺らめいた。「ァ、は、ぁ、さすっ、け、ぁ、あ、は、ふぁ、あ」「うんうん、旦那――足りないよね。もっと、ぐちゃぐちゃにされて、わけわかんないくらいに熱くなって、いっぱい子種出したいよね」「ひっ、んっ、はっ、ぁ、し、しかしっ、こ、ここは――――あ、ぁ」「うん、だから――声、我慢してね」「んふぁは、くふぁああっ」 ぐるっ、と繋がったまま旦那の体をまわす。ねじれた内壁の快感に、ねだるように腰を振る旦那は剥がれない理性の皮に泣き出しそうな顔をしてる。――――ゴメンね、旦那。ちょおっと、イジワルしたい気分なんだ。「はひっ、さ、すけっ、ぁ、あぁっ、んっ、ふんぅうっ」「はぁ、ぁ、きもちぃ、すご、やらしー音して、はっ、旦那っ、んっ」 快楽に溺れたいのに溺れきれない旦那が、いやいやと首を振りながらも腰を振る。自分でもどうしようもなくなってきている所為か、目じりに涙が滲み始めた。「はぁ、旦那っ、いい、熱い――すごく、絡み付いて」「や、ぁあっ、っ、すけ、ぇえ」 涙声の嬌声。やば、すごい、クる――――ッ。「ぁ、すご――きゅうきゅう締め付けてくるッ」「ひはっ、ぁ、はふッ、は、はひゅッ、しゃ、しゅけぇ、らめぁ、あふぁあ」 ぽろぽろと涙を流しながら、どうしていいのかわからなくなっている旦那を抱きしめて、顔中に口付けながら、わざと音をさせるように穿つ。「らめぁ、あぁ、そんっ、は、あぁっ、あひぅ」「んっ、はぁ、旦那っ、水あめ――いっぱい食べたからっ、はぁ、ぐぷぐぷって……音、すごい、ぐちゅぐちゅで――俺様、溶けそう」「ひぅっ、ひっ、ひぅうっ、らめ、ぁ、声っ、ぁ、ああっ」「うんうん、声、抑えてね。ッ――はぁ、誰かに聞こえて、こんな姿、見られたら――ッ」「ひっ、んっ、ぁ、らめっ、しゃしゅけっ、そこ、らめぁ」「はぁ、も、旦那の魔羅、すっごい子種――いっぱい出して、止まらないんだ? もっと、びゅくびゅく噴出したいって、もっと弄って欲しいって、震えてる」「らめぁあ、しゃしゅけぁあ、ら、めぁあ、ひぅっ、も、ぁ、いくッ、ぁ、いくぅう――らめぁ、や、はひゅ、ひ、ぅ、はぁ、あっ、あっ、ああぁああっ」「あ、旦那ッ、そんな、締め――ッ〜〜〜〜〜くぁッ」 どくん、と旦那の魔羅が脈打ち、びゅるるっと子種を噴出した瞬間、俺様に絡みつく内壁の誘いに乗って、旦那のナカに注ぎ込む。全部飲干したがってヒクヒクと絞るように動くのが気持ちよくて、快楽に全てを飲まれた旦那の顔が淫猥すぎて、下卑た想いが頭をもたげる。――このまま、もっと突き上げ続けたい。「ふぁっ?! ぁっ、はんぁっ、あ、あふ、ぅうんっ」 旦那の意識が性欲に覆い尽くされ、蹂躙されつくした顔は――本当に、たまらないくらい愛おしい。誰も知らない、きれいな旦那が性欲に溺れきった淫らすぎる恍惚とした顔――――気持ちよさそうに子種を吹き上げながら、腰を振って強請ってくるなんて、誰が想像できるだろう。「ねぇ、旦那」「ひんっ、い、ぁ、ぉおっ、かひゅっ、はんっ、はんっ」 性欲に濁りきった目で俺様を見つめて、腕を伸ばして唇を寄せてくる旦那。ほんっと、かわいい。もう、最高にかわいい。かわいすぎて、俺様止まんない。――と、言いつつ、ちゃんと刻限は意識しているけどね。こんな旦那は、俺様だけが知っていれば――俺様以外が知っちゃいけないんだから。「しゃしゅけぇ、ぁあ、ひっ、ふぁあ、ふんっ、ぁ、あ、はんぁ、ぁあっ」 うんうん、旦那。わかってるよ――乳首も魔羅も、いっぱい捏ねてあげる。一旦終わりにしたら、少し待ってよ。ここを片付けて、部屋に行って、もっともっといっぱい、愛し合おう。久しぶりなんだから、重なり合えなかった時間を全部埋めてしまうくらい、熱く、絡み合おうね。ねぇ、旦那――――だから、もっと、いやらしい声をあげて、名前を呼んで?2011/12/28