主、真田幸村の長い後ろ髪に櫛を通しながら「まったく。よくもまぁ、こんだけ盛大に絡ませられるよねぇ」「ぬぅ」 ぼやく猿飛佐助に、幸村はうなるしかできない。幸村の髪を梳くのは、彼の忍びである佐助の役目だった。佐助が、幸村の髪を他の者に触らせたくはないと言って、そうなっている。 二人は、情人の間柄であった。「そんなに、俺様に髪に長く触れてほしいわけ?」「なんだそれは」「だよねぇ。旦那が、そんな情緒にあふれたことをおもうなんて、あり得ないよねぇ」 さして落胆するふうもなく言う佐助に、首をかしげる。「はい、おしまい」 さらりと指通りの良くなった髪を、扇のように両手で広げ、幸村の肩に流す。「うむ、すまぬな」「どういたしまして」 満足そうな佐助に「佐助に、髪を梳かれるのは、好きだぞ」 にこりとして言う幸村に、一瞬言葉を詰まらせた佐助は「ああ、もう」 わきあがる温かな気持ちが押すまま、幸村を抱きしめた。「なんだ」「ほんと、旦那ってばわかってないよねぇ」「何がだ」 おとなしく腕の中に納まっている幸村に、にこりとして「髪に触れるっていうのは、色っぽいことなんだよ」 告げても、初心な主は何の事かがわからないらしい。(結構、大胆なこと、するんだけどねぇ) 意識さえとろかせてしまえば、遊女どころの騒ぎでは無いことになってしまうのだが(まぁ――わかっていないから、かもしれないけど) 年よりもずっと性に疎い幸村の額に唇を寄せて、髪に触れて、指に後ろ髪を絡めて唇に寄せれば「っ――佐助」 幸村の目じりに、朱が走った。「わかった?」 誘う流し目をくれながら、幾度も髪に唇を寄せれば「わかった、から……やめよ」 真っ赤になって俯いてしまった。(あらら) けれども、拒絶をする気色が無いので唇をニンマリとゆがめ「旦那ぁ」 甘える声を出して、膝に転がり見上げてみた。「撫でて」 太ももにすり寄れば、ふわりと相好を崩した幸村の手が、佐助の茜の髪に触れる。そっと、壊れぬように触れてくるのに目を細め「んふ」 心地よさげに身を摺り寄せれば、普段は世話を焼かれるばかりの幸村が楽しげに佐助を甘えさせる。「甘えすぎでは無いか、佐助」 揶揄するように言われて「たまには、こうやって労われたいんだって」 顔を太ももに擦り付け、足の間に顔をうずめた。「――っ」 ぴくん、と幸村が反応する。それに気づかぬふりをして、佐助は甘える猫のように頭を太ももに擦り付け、さりげなく額で彼の牡を刺激した。「さ、佐助」「なぁにぃ〜」 甘えているような、甘やかすような声を出して見上げれば、真っ赤になった幸村が、なんとも言えない顔をする。(そろそろ、いいかな) 判じて、わざとらしく「あれぇ? 頭に、なんか固いものが当たるなぁ」 言えば、幸村の体がそれとわかるほどに強張った。「ん〜?」 すんすんと鼻を鳴らして股間を嗅げば「佐助っ」 あわてたように呼ばれ、引きはがされる前に口を開いて布越しに咥えた。「ぁう」「ん〜っ、ん」 ちゅっちゅっと吸い上げて、子猫が乳を求めるように足の付け根と袋を揉めば、ゆっくりと幸村の足が開いていく。(ほんと、素直というか、大胆というか) 佐助の教えるとおりに開発され、開いた体は佐助の行為に従順であった。「は――ぁ」 佐助の唾液でぬれそぼった袴ごと竿を掴めば、びくびくと震えている。「旦那ぁ」 腹から胸へ頬を摺り寄せながら身を持ち上げて「俺様に、子種飲んでほしいって強請ってよ」 ちゅ、と鎖骨を吸えば「ぁ――ばっ、馬鹿を申すなッ、ぁ、あ」「えぇ〜。だって、なんか俺様ばっか欲しがってるみたいだろ? 不公平だと思わない?」 ちゅ、ちゅと鎧に隠れる場所に跡をつけていけば、肌が泡立っていくのがわかる。それと合わせて竿をこすれば「ぁ、は、ぁう――佐助、ぁ」 幸村の意識は情事のものへと変換された。「ねぇ、旦那ぁ…………俺様にされたいこと、いろいろ言って? 俺様が欲しいこと、ちゃんと口で伝えてくんなきゃ、不安になるんだぜ」 ことさら寂しげな顔をして見せれば「佐助」 首に腕が回り、顔を引き寄せられた。そのまま唇を重ね、悲しそうに幸村から目を逸らして「俺様の独りよがりなんじゃないかって、不安になる」 低く、ぽつりとつぶやけば「佐助――そのように、不安にさせておったとは…………」 滲むように幸村が言い(よし) 心の中で拳を握りしめた佐助は「俺様にどうされたいか、俺様に触れられて、どうなっているのか――教えてほしい…………口で、ちゃんと言ってほしい。俺様も、言うからさ」 泣き出しそうな顔をして目を合わせれば「わかった。そのようにいたそう」 強く頷かれ「ありがと」 ちゅ、と鼻先に唇で触れた。「じゃあ、まず――俺様にされて好きなこと、教えて?」 問えば「好きな事……ぁ」 ふうむ、と考えるようにした幸村の股間を、やわやわと揉んだ。「そう――されたいこと」「ぁ、は……そ、それは」「ねぇ――旦那」「は、ぁう」 きゅ、と乳首を吸えば幸村の腰が跳ねて「旦那ぁ」 強請るように名を呼びながら、乳首を舌で転がし布越しに扱きあげ、先走りがあふれた頃と悟って先端を強く押しつぶせば「はっ、ぁ、ああう、佐助ぇえ」 幸村の声が、震えた。「旦那……ねぇ、どうされたい?」 ささやけば「じ、直に、触れてくれ」 ぎゅう、と目を閉じて言われた。「何処に、直に触れてほしいの?」「ぅ――その、今、佐助がふれておる所、に」「ちゃんと、教えて」 耳に言葉を注ぎいれると「魔羅に……直に、触れてくれ」「うん」 する、と手を布の下に差し込み、脈打つそれを握りこむ。「はっ、ぁ、ああ」 心地よさそうな声を上げた幸村に「触れたよ」 言えば、体中ですり寄ってきた。「佐助ぇ」 強請る声に「言って――全部。伝えてくれるんでしょ」 ちゅ、と頬に口づける。「し、扱いて、くれ」「うん」 言われるまま、扱く。「はっ、ぁ、あう、んっ、ふぁ、あ」 足を開き、強請るように腰を揺らめかせる幸村に「指で、いいの?」 ぴちゃ、と思いださせるように耳朶に濡れた音を聞かせた。「っ! ぁ、う」 びくんと震えた幸村が、恥ずかしそうに「く、口で……」「口で?」「して、くれ」「もっと、ちゃんと言って」「ううっ」 真っ赤になって恨めしそうにしてくるのに、思い切り不安な顔をして見せる。はっとした幸村が拗ねたような顔をして目を逸らし「口で、咥えてくれ」「何を?」「うう…………」「ちゃんと、教えて? 旦那が俺様に何をして欲しがっているのか、ちゃんと知りたいんだ」 寂しげな声音で抱きしめれば、覚悟を決めたらしい幸村の喉が、つばを飲み込むのが伝わってきた。「俺の魔羅を、咥えてくれ」 するりと佐助の体が滑り、幸村の牡を銜え込む。そのまま、もどかしい刺激だけを与えれば「吸い上げながら、擦ってくれ」 体を緊張させて告げてくるのにこみ上げる愛おしさを告げるように、頭を上下させながら強く吸い上げた。「はっ、ぁ、ああうっ、ぁ、は、佐助っ、ぁ、んっ」 幸村の指が求めるように佐助の髪をまさぐる。上あごと舌で括れから先を押しつぶすように捏ねれば「はぅうんっ、ぁあはうぅ」 とろけそうな嬌声が漏れた。「んっ、ん――旦那、きもちい?」「ぁ、はぅ、いいっ、ぁ、きもちぃ」 理性は、どうやら壊れたらしい。「もう、出そう?」「んっ、でるっ、ぁ、さすけぇ、ぁ、はぁう」 震える太ももが、佐助の頭を逃すまいと挟んだ。「んっ、じゅ……ッ、んは、ねぇ、旦那――飲んでほしい?」「はっ、ぁ、あう、さすけぇ、あ、あぁ……飲んでッ、ぁ、でるっ、ぁ、からぁ、あ、飲んでッ、ぁ、はっ、あうぅ」「ん――いっぱい、飲んであげる」「ふはぁううううっ」 つぷ、と秘孔に人差し指を差し入れて泣き所を強く押しながら吸い上げれば、腰を突き上げた幸村が高く啼き声をあげながら佐助の口内に放った。それを、わざと音を立てて飲みほし「ぷは――ごちそうさま」 浅く荒い息を繰り返す幸村に向かって、手を合わせた。「ね、旦那――まんぞく?」 甘えるように身を寄せて、目じりに浮かんだ涙を吸い取る。熱が凝った佐助の股間を押し付けるようにして甘えると「……佐助」 遠慮がちに声をかけられ「なぁに?」 とびきり、甘やかせる声を出せば、もじもじとしながら「佐助が、欲しい」 告げられた。きゅうんと胸が甘く喜びに震え、すぐにでも望むままにしたいという衝動をなんとか抑え込み「ちゃんと、言って?」 甘えれば「佐助の……魔羅を…………俺の中に、その……い、いれてくれ」 恥ずかしそうに言ってくるのに、飛び上がらんばかりの喜びを抱えながら「じゃあ、繋がる準備したいから、四つん這いになって、お尻、上げてくれる?」 こくりと頷いた幸村が、それに従う。自ら秘所を晒してくる姿にめまいを覚えた。(今日くらい、調子こいちゃっても、いいよなぁ) 必死に理性を総動員し、すぐにでも暴きたい衝動を堪える。「旦那。おしり、自分で左右に広げて」 言えば、おずおずと伸ばされた幸村の手が自らの尻肉を開いて「こ、これで……良いか」 恥ずかしそうに問うてくるのに、佐助の中で何かが破裂した。「旦那っ!」「ひっ、ぁはぁううっ」 顔を寄せて舌を入れ、襞を舐めとり唾液を注ぐ。かと思えば軟膏を取り出し指にたっぷりと塗り付けて、柔らかな内壁を傷つけぬよう、けれど激しく指を差し入れ広げながら立ち上がった幸村の竿を擦った。「ぁはっ、ぁ、さすっ、さすけぇえっ、はっ、ぁううっ」 自分の尻を掴む幸村の指に力がこもり、指の間に盛り上がった肉に舌を寄せる。「旦那、きもちい?」「は、ぁうっ、いいっ、ぁ、いいっ、からぁ、あ、さすっ、さすけっ、ぁ、早くっ、あ」「ん? もう、イきそう?」「ひっ、ひんっ、ぁ、違ッ、ぁ、も、もぉ、ぁ、はやくっ」 幸村の手が尻から佐助の髪に伸び「ちょ、痛い痛いッ」「佐助の魔羅を、俺にくれっ!」 引きちぎらんばかりに髪を掴まれ文句を言えば、頭皮の痛みなど吹っ飛ぶようなことを言われた。「ちょ――え、え……?」「はっ、ぁ、はやく……指ではなく、ぁ、佐助を」 高ぶらせる動きを止めれば、肌を震わせる幸村が涙を浮かべて告げてくる。あまりの衝撃に固まってしまった佐助に、伝わっていないのだと判じた幸村は、だるいからだをなんとか動かし、佐助の首にしがみついて「佐助が、欲しい」 肩に顔をうずめて呟いた。「旦那ぁ」「うわっ」 感極まった佐助が幸村を押し倒し「俺様も、旦那のナカに入りたい」 心底嬉しそうに笑えば「早く、来ぬか」 とろける顔で誘われて「うん」 腰を進めた。「ひっ、ぁ、はぁうっ、ぁ、はう」「んっ、ふ――すご、熱い……旦那、ね、旦那は、どう?」「はっ、ぁ、おおき、ぃあっ」「苦しい? ちょっとずつに、しようか」 問えば、首を振られた。「お、奥まで――ッ、ほしい」 眉根を寄せて乞われ「ッ!」「ひっ、ぎぁううっ」 一気に奥まで貫き、金魚のように口を開け閉めしながら空気を貪る唇を、唇で覆った。「はぁ、旦那――ッ、ん、すご、絡み付いてくる……熱くて、溶けそう」「ぁ、佐助ぇ、ふぁ、熱い、ぁ、も、ぁ、早く――ッ、あ」「うん、うん――もっと熱くなろうね」「はっ、ぁ、ああうっ、ぁ、さすっ、ぁはぁあ」 佐助が腰を打ち奮えば、幸村も合わせて体をくねらせる。「ぃひぃいいっ、ぁ、あはうぅうっ、佐助ぇ、ああっ、佐助ぇ」「はぁ、旦那……ッ、きもちい? ね、きもちい?」「はぁうっ、いいっ、ぁあ、いい、ぁらぁ、さすっ、ぁ、ああ」「うん、俺様も、すっごく……ッ、きもちい、ぁ、子種、でそう……ね、旦那――旦那のナカ、いっぱい、だしていい?」「はっ、ぁう、こだねっ、ぁ、さすけのっ、ぁ、こだねぇ……ッ」「うん、そう……ねぇ、いい? だしていい?」「んっ、は、ぁあ、っすけ、ぁ、ほしっ、ぁ、ほしいっ、ぁ」「うん、いっぱいあげる……旦那――ッ」「ひっ、ぁ、あああっ」 ぐ、と奥まで突き入れて放てば、それに促されたように幸村も放ち、佐助のすべてを搾り取るように内壁が強くしまった。「は、ぁ――旦那ぁ、ふ、すごい、ぁ」「ぁふぅう、こだねぇ……さすけのぉ、ぁ、いっぱ――は、ぁううっ、いっぱいくるぅう」 意識などとうに失った主の、普段からは考えられぬ言葉に脳を揺さぶられながら「旦那ぁ……もっと、旦那の口から、やらしぃこと聞きたいなぁ」 腰を、ゆっくりと動かし始める。弛緩していた内壁は、まだ柔らかな牡の刺激にゆっくりと意識を取り戻し、互いに熱を呼び覚ましていく。「ぁう、佐助」「旦那のナカ、俺様の子種でいっぱいにしたいんだけど」 伺うように見れば「いっぱいに――ぁ、佐助の、で」 うわごとのように言われ「うん。ダメ?」 首をかしげた。「佐助ぇ」 とろりと淫靡に濁った幸村の目が笑みとろけ「佐助の子種で、いっぱいに……してくれ」 告げられた言葉に「うん」 唇を重ねながら答え、互いの望みを叶えあった。2012/8/25