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政宗×幸村
 草の上に転がって、伊達政宗と真田幸村は空を見ていた。ここは、甲斐と奥州の境にある山の中。その中である程度の広さを持った場所に、二人は馬を駆けさせてひっそりとやってきていた。目的は、刃を交えるためである。
 戦国乱世に、おいそれと一廉の武将が――政宗にいたっては一国一城の主が、国境に共も連れずに現れるなど考えられないことではあるが、並の腕ではない二人は監視の目が厳しい従者の目をかいくぐること以上に危険だとは思って居なかった。実際、数十名ほどの相手であれば一人でカタをつけることが出来る。それほどの力量の二人がここに居るのは、互いの力量を認め、様々なしがらみを抜きにして好敵手と認める相手と仕合うためであった。もちろん、そのようなことは大手を振って出来るはずもない。そこで二人は人目につかぬ場所を選び、度々刃を交えることにしていた。知られることが困るので、死合いはしない。それでも十分に並の人間からすれば命を落としかねないほどの政宗の剣技と幸村の槍さばきは、木々を震わせ獣を遠ざけた。
「ちょいと、Heat UPしすぎたか……暑くてかなわねぇ」
 秋口であるというのに、まだ遅生まれのセミが声の限り叫んでいる。時折流れる風は生ぬるい。仕合い後の休息を求める体が一向に静まらない。
「なれば、政宗殿。水浴びなどいたしませぬか」
 むくりと起き上がった幸村が、子どものように笑む。
「水浴びか」
 起きた政宗が木々の先に目を向ける。二人が居るところよりも奥に入ると、川がある。そこに、互いの馬を止めていた。
 それを同意と受け取ったらしい幸村は、早速歩き出した。政宗もそれに続く。幸村の揺れる後ろ髪が楽しそうな獣の尾を思わせて、目を細めた。
 木々の間はひやりとした空気が漂っており、先ほど居た場所よりもうんと涼しい。二人の姿を見つけた馬が、ぶるると鼻を鳴らした。それぞれの馬の鼻面をなでてやり、幸村は早速ふんどし姿になる。あまりに無防備な彼に苦笑を浮かべながらも、政宗は装備を解いた。
「おお、ひやりとして、気持ちようござるぞ、政宗殿」
 ばしゃばしゃと水を跳ねながら川中へ進む幸村が、ざぶりと頭までを水に浸す。すぐに顔を出して泳ぎ始めた。どうやら、一部が深くなっているらしい。足だけを水に浸け、流れを楽しみながら泳ぐ姿を見つめる。長い髪が水面に揺れている。それがくるりと舞って、こちらに顔が向いた。
「河童みてぇだな、アンタ」
「なっ、河童とは、失礼ではござらぬか」
すいぃと寄ってきた幸村が、政宗の足を掴む。
「shit」
 引きずられ、濡れた草に滑った政宗が落ちる。
「油断すれば、河童に川底まで連れて行かれまするぞ」
 顔を覗き込んできた幸村が逆光で陰る。ぽたりと彼の髪からしずくが落ちてきた。浅い川底は腰を沈めるくらいの深さで、底にひじを突き顔を水面に出している政宗の傍に、たゆたう幸村の髪が文様を描いていた。
「真田幸村――――」
 不思議そうな顔をする頬に手を伸ばす。そのまま頭の後ろを掴むと、疑問符を浮かべたままの顔が近づく。目をそらさぬよう捕らえながら、唇を重ねた。
「っ――政宗殿ッ」
「Ah――――逃げんなよ。もっかい、来い」
「な、何を」
「何って、kissに決まってんだろう。ほら」
「まさむ――っん」
 硬く閉ざされた唇を舌であやし、ぎゅうと閉じた瞳に微笑む。いつまでたっても、何回しても慣れる様子のない幸村に、政宗の胸は甘く疼く。
 開いてしまえば、たやすく溺れるというのに。
「んぅ、う」
 唇が開き始める。ここで慌ててはいけないことを、政宗は重々承知していた。口付けたまま体を起こし、両手で頬を包み撫でながら啄ばみ続ける。猪突猛進を体現する彼が、こういう行為において消極的に――拒否をするわけではなく戸惑いばかりを見せてくる姿は、人見知りをしている子どものようで、自分が酷く汚らしいものであるかのような錯覚を覚えた。それが、心地いい。汚し、堕としてしまいたいと、背骨に甘露が走る。
「ぁ――――は、ぁ」
 硬く閉じていた目蓋が開き、潤んだ瞳に自分が映っているのを確認してから、口付けを深くした。
「んぅうっ――んんっ、ぅ」
 頭を、肩を抱きかかえて口内を貪りながら、相手の体液を吸い、自分の体液を喉に流し込む。息苦しさに目じりに涙を浮かべはじめたころ、やっと唇を離した。
「はっ――はぁ、ぁ……」
 肩で息をしながら呆けた瞳が映しているのは紛れもなく情欲で、それが開花した時の彼のはしたなさを思い、政宗の喉が鳴った。
「幸村――いい顔、してんじゃねぇか」
「ぁ――何、を」
「何もクソも無いだろう。Kissだけで、触れなくとも分かるぐれぇに膨らませてんじゃねぇか」
 はっとした幸村が慌てて膝をそろえて、牡を隠す。
「いまさら、隠すなよ――もう十分に俺に弄られて、達く所も見せてんだから」
「まっ、政宗殿――――そのようなことを口に出すのは、おやめくだされ」
 耳まで赤くしながら体を丸める彼を抱きしめ、耳元に唇を寄せる。
「覚えてんだろ――何度も俺に、どんなふうにされて達ったのか」
「っ――――」
 幸村が息を呑む。身を硬くするその肌があわ立っていることを確認しながら、腰に腕を回す。
「そう、恥ずかしがるんじゃねぇよ――――俺だって、アンタと変わらねぇ」
 耳の中に舌を差し入れると、細く高い声が幸村から洩れた。
「俺が、どんなふうにHeat UPすんのか、存分に咥え込んで、覚えているだろう」
「はっ――ぁ、あ……」
 幸村の手が緩慢に動き、政宗の肩を掴む。わずかに震える指先に目を細め、にやりとしながら耳の裏を舐めた。
「喰らいつくしてぇ」
「ぁ――っ、あぁ……ま、まさむねぇ、どの」
 震える睫に口付け、物欲しそうに変わった彼の顔に意地の悪い顔を見せる。
「まぁ、アンタがしたくねぇってんなら、止めてもいいんだがなぁ」
 はっと目を見開き、何かを言いかけ言葉を飲み込む幸村が、強く政宗の肩を掴む。
「なんだよ、言いたいことがあるなら、ハッキリしな。アンタらしくねぇぜ」
 顎を引き、恨めしそうな目を向けてくる姿に、にやつきながら首をかしげてみせる。しばらく眺めていたが、何も言いそうに無いので肩の手を払い、政宗は川べりに座りなおした。足を開き、膨らむ部分を幸村に見せるようにわざと突き出す。
「したくねぇんだろ。だったら、仕方が無ぇよなぁ。俺はこんなになってんだけどよ」
 幸村の顔が、淫猥を映す。ゆっくりと、吸い寄せられるように近づいてくる彼が餌に釣られた獣のようで、飼いならしたいと思わせる。
「まさむねどのぉ」
 薄く荒い呼吸で呼ばれる名前は、頼りなく甘やかな響きを持つ。自分の足の間に座り込んだ幸村の髪を掻きあげて、期待をしている顔に喉を鳴らした。
「口で言えねぇんなら、行動で示せばいいんじゃねぇのか」
 ふっと幸村の瞳が揺れる。額を政宗の股間に摺り寄せ、ちらりと見上げてくる。
「whichever you want」
「い、意地が悪うござる」
「俺はハッキリと示したぜ。それとも、わからなかったのか。なら、言ってやる。アンタが顔を寄せてるソレを、今すぐ口ん中に突っ込んで喉の奥まで飲ませてぇし、ケツに突っ込んでかき回してもやりてぇ。――――啼いて縋って乱れるアンタを見てぇんだ。I erect. Please copula」
「なっ――は、破廉恥な」
「アンタはどうなんだよ、真田幸村。人の股間に顔寄せといて、どの口が破廉恥だなんて言ってんだ。――――忘れたとは言わせねぇ。その口で俺を欲しがって、しゃぶっただろう」
 幸村が顔をそらす。否定の言葉は無い。透明度の高い水は、幸村の下半身を隠さない。
「水に浸けても、そこまでになってんなら出さなきゃ治まらないだろ。隠すなよ」
「そ、某――は……」
「Ah――言ってみろよ」
「ま、政宗殿に、触れとうござる」
 肩をすぼめて俯く姿にため息をつき、顎に手をかけて顔を上げさせる。掠めるような口付けをして、口の端をあげた。
「合格点にゃ程遠いが、アンタにしちゃあ上出来だ」
「政宗殿」
「Do not relieve. 合格点には程遠いと言っただろう。上手にしゃぶれ――そうすれば、アンタが今してほしいこと、してやるぜ」
「ぅ――――」
 恨めしそうな顔で睨んでくる幸村の鼻先に口付け、促すように腰を突き出す。目を彷徨わせてから、そろそろと幸村の手が伸びて政宗の牡を被う布を取り去る。ぶるんと飛び出したソレにビクッと震えてから、まじまじと見る幸村の唇が甘い吐息を洩らした。
「アンタの所為で、こんなになってんだ。慰めてくれんだろ」
「ぁ……某の、所為――で」
「そうだ。アンタに突っ込みたくて堪らねぇんだよ――どんだけ熱いか、知ってんだろ」
「はっ、ぁ――――政宗殿……んっ、ん――ほむっ、ぅん」
 何かに操られているような所作で、幸村が口内に牡を納める。丹念に舌を絡める口淫に、返事のように時折腰を動かして上あごや頬の裏側を突くと歪む顔が、更なる劣情を生む。
「あぁ――そうだ。んっ、上手くなったじゃねぇか」
「ぅん――ほぇらりぇへも、ふうぇしふわふぉふぁふぁむぅ」
「何言ってっか、わかんねぇよ。――あぁ、口離すな。わかってるよ。褒められても嬉しくねぇって言ったんだろ」
「んむぅ――――んっ、んぐっ……」
 顔を上げようとした幸村の頭を押さえつけて、喉の奥まで突き立てる。頭を持ち上げようとするが、しっかりと固定されて動かないので、再び行為を続けるしかなくなった幸村は、再開するとすぐに淫らな衝動に支配され、ふんどしを脱ぎ自慰を始めた。
「なんだ、俺に触れられるまで我慢できねぇってのか」
「んっ――ふぁ……まさむねどのぉ」
 抑える手を離すと、鼻にかかった声で呼ばれる。苦笑しながら立ち上がるよう促し、牡に触れている手を除けさせると臍まで反り返った姿が見えた。
「破廉恥って言っているアンタが、最高に破廉恥じゃねぇか」
「ぅ――い、言わないでくださ……はぁあああっ」
 幸村の言葉が終わりきる前に、根元から先端まで舐めあげる。丹念に形をなぞるように舌を這わせ、時折歯を立てるとプクリと蜜が溢れた。それを指で掬い、双丘の奥に咲く菊花へ塗りこむ。
「ひっ――あぁああ、ま、さむねぇ、どのぉお……は、くふぁあっ」
 政宗の肩に、幸村の爪が食い込む。がくがくと震える足を支えるかのように、政宗は指を挿し入れて広げた。
「んぁ、あ――は、くぅう……んぅ」
 堪えきれなくなった幸村が、政宗の頭を抱きかかえるようにして体を折り、覆いかぶさる。耳の傍で啼く声が政宗の息を荒くし、股間を戦慄かせた。
「――――もう、限界だ……そのまま、腰を落とせ。早く、入りてぇ」
「あぁ――政宗殿……んっ――ぅく、は、ひぁああ」
「くっ――ぅ」
 そろそろと腰を下ろした幸村の菊花に牡の先端が触れた瞬間、腰を抱いて一気に貫く。顎をそらして叫んだ幸村が、挿入の刺激に牡を揺らして高く欲を吹き上げる。それに引きずられないように奥歯を噛んで耐え、射精の余韻に弛緩した内壁を進み、蹂躙した。
「ひぁ――はっ、はんぅ……あぁあっ、ふぁ」
「ぅ、く――すげぇ、熱い――わかるか、幸村ッ」
「はふぅううんっ――ま、まさむねっ……どのぉおっ――くふぅう…………き、気が――変にっ」
「はっ、はぁ――は……なっちまえ」
「んぁああああ――っめ――そこっ、らめれごじゃっ…………ぁううううんっ」
 むちゃくちゃに突き上げ、掻き回し、追い立てながら追い立てられ、二人の熱い呼吸が、鼓動が交錯する。政宗の先走りで内壁が塗れ、空気と混ざる音が響く。
「すげ――やらしい音が……聞こえるか、っ――はぁ」
「んひぃ――いっ、は、ぁああ――そこばかりっ……そこっ、あ、ぁああっ」
 全身で政宗にしがみつきながら、幸村の腰が揺れ動く。それに合わせるように、逆らうように政宗も踊り狂う。
「はぁあっ、も、もぉ――ぁ、はぁ……ぁああぁああああ」
「く、ぅうっ――――はっ」
 どちらからなのか判別がつかないくらいの僅差で、互いに熱を放ちあう。幸村の体内に注ぎ、政宗の腹へぶちまけ、強く抱きしめ合いながら痙攣し吐き出し終えると、最初のように草の上に寝転がり、空を見上げて荒い息を整える。
「っはぁ―――最高のPartyだったぜ」
「ぅ――そ、某は、わ……わかりませぬぅ」
 真っ赤になり、顔をそむけた幸村に微笑んで、体を起こした政宗が覆いかぶさる。
「おい」
「何、でござるか」
「こっち向けよ」
「また、意地の悪いことを申されますまいか」
「いつ俺が意地の悪いことを言った」
「さっき、さんざんに言うておられたではないか」
 唇を尖らせる幸村に苦笑して、声音をやわらかく、甘くする。
「こっち、向けよ」
 ぴくっと反応した幸村がそろりと政宗を見ると、とろけそうな笑みを浮かべた彼が見えた。
「ぁ―――」
 薄く開いた唇に、みたらし団子の餡よりも甘い口づけが、触れる――――。



2010/08/30



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