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にほひ(政宗×幸村)

 灰色に染まっている世界を、縁側に座って見つめ続けている背中に視線を投げる。空を見上げているらしい相手を、どのくらい眺めていたのだろうか。
 頬杖をついていた腕に反動を付けて体を起こし、歩み寄る。
 ふっ、と振り向いた目がつまらなさそうに自分を捕らえ、すぐに離れた。
「一向に、止む気配がありませぬな」
 かろうじて漏れなかった溜息の気配を感じつつ、隣に腰を下ろし、彼の代わりに吐息を漏らした。
「こう雨続きじゃ、体にカビでも生えちまいそうだな」
 くすり、と笑う気配に目を細めながら手を伸ばし、頭を掴んで引き寄せ、顔を埋める。
「ま、政宗殿」
「ここは、晴れのまんまだな」
 うろたえた気配に、むっとしたものが混じった。
「Don't mistake そういう意味じゃねぇよ。」
「そういう意味、とはどういう意味でござる」
 憮然としている頬に唇を寄せると、一瞬で強張った体に笑いがこみ上げる。
「いちいち硬直するクセは、どうにかしたほうが良いんじゃねぇか」
 抗議をしようとした唇を塞ぎ、言葉を発するために開かれた箇所に舌を差し入れる。しっかりと頭を掴んで固定し、逃がさぬように口内を絡め取る。
「んっ、ふ――ッ、ふ」
 苦しげに寄せられた眉。腕を掴む手は、政宗を押しのけようとしたのか――ただ、しがみつくだけになってしまっているそれが、背に回る時の相手の熱を思い出し、その熱を起こすための舌技を相手に施す。互いの唇の隙間から溢れる唾液が伝う顎が仰け反るように体を被せ、押し倒そうとすると腕を掴んでいた手が離れ、床と自分の体を支える衝立に変わった。
「ッ、このようなところで――ッ」
「なら、何処ならいいんだ」
 わずかに上がっている息。上気した頬に、政宗の内の牡が獲物を見定める。
「真田幸村」
 熱っぽく名を呼ぶと、ビクリと体が大きく震えた。
「ど、何処も、良きところなど、ござらぬ」
「Fun?」
 する、と政宗の手がすべり、幸村の下肢に触れる。
「あっ――」
「なら、これはどうするつもりだ」
「ふっ、触れなければ、しばらくすれば治ま――ッ」
 抵抗される前に握りこみ、掌全体で揉みこむようにすると奥歯を噛み締めうつむかれた。ふわり、と彼の髪が香る。
 目の前に来た旋毛に唇を寄せ、呟いた。
「アンタは、晴れ間の匂いがする」
「えっ――ぁ、ッ」
 驚き、思わず開いた唇から甘い音が漏れた。慌てて口を塞ぐのに目じりを柔らかくしながら袴の隙間から手を差し入れ、下帯の横から陽根を取り出す。ためらう素振りなど見せずに口に含んだ政宗に、幸村は息を呑んだ。
 雨音とは違う水音が耳に届く。両手で必死に口を塞ぎ、ふぅふぅと指の合間から漏れてしまう息を留めようとするのを嘲笑うように、政宗は丹念に唾液を絡め、滲み出る子種を舌で掬い、吸い上げ、自分の指に落として双丘の奥にある繊細な洞窟へ塗り込める。
「んっ、ふっ――ひ、んぁ……はー、はー、ぁ、んぅうっ」
 ぎゅう、と足の指を握り締め、太腿に力をこめて堪えようとする姿に絶頂が近いことを悟る。とめどなくあふれ出る子種を丹念に彼の体に戻し、自分を受け入れる場所を濡らし、広げる。口内に含む熱に感化され、政宗自身も熱くなっていく。
「ま、さむね、どのぉ」
「Ah――」
 甘さを堪えた声で呼ばれ、わざと糸を引くように唇を離して見せ付けると、目が合った瞬間に目の前の牡が震えた。ニヤリ、と口をゆがめる。
「俺に咥えられてんのを、もっと見ていても、構わないんだぜ?」
「ッ――そ、そのような破廉恥な事ッ――」
「破廉恥なのは、アンタのチ○ポだろう。You See?」
「――そ、それは、政宗殿が」
「俺が、何だ。しゃぶられて、喜んでんだろ。―― different?」
「なっ、ぁ――ふ、ぅんっ」
 見せ付けるように先端を舐めあげると、鼻から甘い息が抜ける。相手の瞳を捕らえたまま、犬が水を飲むように子種を掬って見せると、快楽に酔う色が漂う。
「はぁ――どうしたぁ? 真田幸村……言いたいことが、あったんじゃ無ぇのか」
「ッ――こ、このような場所では、誰に見られるやもわかりませぬ故」
「シていい場所が無ぇって言ったのは、アンタだろう。なら、何処でヤッても、同じことだ」
「おっ、同じではござら――ッ! は、ぁああ」
 体内にもぐりこませていた指で一点を衝くと、背が弓なりにしなる。床に着いた彼の長い後ろ髪が描く模様を乱したい衝動に従い、政宗は自らの袴をたくし上げ、猛る自分を取り出して指を抜き入れ違いにソレを挿し込んだ。
「ひっ、は、ぁあぁああああっ」
「くっ」
 狭さに、息をつめる。拒もうとしない箇所に全てを埋め込み、口を大きく開けて天を仰ぐ相手を解すよう、着物の合わせ目に手を差し入れ、小さく存在を主張する箇所をつまんだ。
「んひっ、ぁ、あ」
「着たままだから、なんとでも誤魔化しが利くだろ」
「そ、ゆぅ――問題では、ぁ、はぁッ」
「なら、どういう問題だ」
 ゆっくりと、揺さぶり始める。
「よ、汚れて、しまっ、ぁ――ふ、くぅうっ」
 この期に及んでも堪えようとする相手に呆れたように息を吐きかけた。
「なら、達かなきゃ問題無ぇだろう。しっかり、堪えてろよ」
「そんな、無茶――ぁく、んはっ、ぁ、ああっ」
 乳首を捏ねながら、彼の内部の熱を味わう。唇を噛んで耐えようとする姿に、劣情の火が暗く燃え盛る。
「んくっ、は、ぁう――ひ、ぅん」
 しがみついてくる体から、日の光のような芳香が立ち上る。それを吸い込むように首筋に唇を寄せて噛み付きながら、互いの体に渦巻く炎を高めていく。
「ぁふっ、んぅう、ぁ、も――ま、さむねどの、ぉ」
「汚さねぇように、我慢するんだろ」
「ン、ぅうっ、ふ、ぁ、も、もぉ、ぁ、ああ、ぁ」
「OK――俺も、そろそろ…………」
「んっ、ぁ、まさ、むねどのぉっ、ひっ、ぁ、は――――〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
 ぐっ、と政宗が奥に突き立てて熱い奔流を注ぎいれると同時に、声にならない叫びを上げた幸村が自らを解放した。

 雨の御簾を、気だるさに包まれた体で眺めている。あの後、互いに治まらず、もつれ込む様に政宗の部屋へ移動し、熱をむさぼりあった。
「止みそうに、ありませぬな」
 ぼそり、と幸村が言う。
「まぁ、仕方無ぇだろう」
「いつまでも、奥州に逗留しても居れませぬ故」
 腕を伸ばし、顔を自分に向けさせて唇を重ねた。
「しばらくは、甲斐には帰れねぇかもな」
 問う瞳に唇を寄せ、胸中で呟く。
 ――太陽は、この腕の中に納めちまっているからな。
 のどの奥で笑いながら、政宗は雨音に耳を傾けつつ、日の香りを胸に吸い込んだ。

2011/10/18



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