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リス就日記


 西の国の大きな島に、西海の鬼と呼ばれる青年が住んでいました。
 大きな体で、髪は真っ白。紫色の眼帯をしているのが印象的な、鬼と呼ばれる青年は、長曾我部元親という名前でした。
鬼と呼ばれているくらいなので、怖い人なのかな、と思いましたか?
 いえいえ、元親はとっても気の優しい青年なのです。
元親のまわりにいる人たちは彼のことを、尊敬と親しみをこめて「アニキ」と呼んでいました。
 元親のところにいる人たちはみんな、ぴっかぴかの笑顔で元気に過ごしています。元親は、そんなみんなを見るのが大好きで、いつも一生懸命に働いています。
 元親のことが大好きなみんなも、いつも一生懸命に働きます。 だから、元親のところには山のように大きくてりっぱな船や、不思議なカラクリがたくさんありました。
 みんなはそれらを使って、わるい人たちをやっつけたり、お友達のところへ行ったり、魚を獲ったりして過ごしています。
 そんな元親たちのもとへ、ある日、突然、少し変わったお客様がやってきます。
 これは、その変わったお客様と元親のお話。

 天気のいい昼下がり。元親は食後の散歩がてら、みんなの様子を見に行こうと、ペットのピーちゃんと一緒にお出かけしました。
「あ、アニキ、散歩ですか」
「いってらっしゃい、アニキ」
「おう、ちょっくら行ってくるからよ。よろしく頼むぜ」
「まかせてくだせぇ」
 頼もしい返事に見送られ、元親は海辺の散歩に出かけます。
「あ、アニキ」
「今夜もウマい魚が食えますぜ」
「おう、そりゃ、ありがてぇな」
 漁に出ていた男たちが、収穫を元親に見せてきます。それに答えながら歩く元親は、海を広く見渡せる岩場にやってきました。
 ぽつりぽつりと木の生えたそこは、ちょうどいい木陰ができています。
「ちょっくら、休憩するか」
 木を背もたれにして座り込み、ふうと一息つきます。その足もとにピーちゃんがやってきて、くるりと羽の間に顔をうずめました。お昼寝をするピーちゃんの頭を撫でて、元親も目を閉じ、うつらうつらとしはじめます。
 ぽかぽかと気持ちのいい天気と、海の風が元親を包み込み、眠ってしまいそうになったとき
 ひゅうん、ぱふん。
 何かが、元親の頭の上に落ちてきました。
「なんだぁ」
 ぱちりと目を開けた元親が、頭に手を伸ばして落ちてきたものをおろしてみると
「なんでぇ。リスじゃねぇか」
 ふわふわのしっぽを持ったリスが、くるくると目を回して気を失っていました。
「この陽気で、うっかり日に当たり過ぎでもしちまったのか」
 聞いてみても、気を失っているリスは返事ができません。
 仕方がないなと、元親はリスを連れて帰り、看病をすることにしました。




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