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告白
  ――――来たか。我を待たせるとは…………まぁいい、許してやる。
 突然呼び出され、驚いているのか。そんなに気を張らずともよい――――気が張るは、我の方だ。ああ、いや――――気にするな。そなたと知り合うて、どのくらいになるのか…………。まったく、そのようなことを今更思い出しても何の役にも立たぬというのに…………実際の期間よりも、ずいぶんと遠い昔より知己という間柄であったように思えるのだ。
 ――――何を、驚いている。我がそのようなことを口にすると思わなかったか。仕方がない――――我自身、驚いているのだからな。
 まったく、一体どうしたことなのか我にもわからぬ。ただ、こうして共に居ると海風が柔らかく思えるのだ。空もより高く――――玉のような輝きを降り注いでまぶしく、穏やかな心持ちになる。――――だが、それとは裏腹にざわざわと我が身の内に何やら煩く沸き上がるものもある。それを感じる度に、我は――――もっと傍に置いておきたくなる。
 もう少し、近う――――怖いか。
 迷うか。
 厭うか。
 我は…………いや、いい。躊躇うのも無理からぬこと。このままの距離で良い。話を全て聞いた上で、我が傍に寄るか――――このままの距離で置くか、決めれば良い。傍に寄れば――――触れたいと、触れようとしてしまいそうだからな。
 そのように目を開くと、零れ落ちてしまうぞ。――――そんなに驚くようなことを、我は口にしたか。――――したのだろうな。我にも、どうして良いのかわからぬ。ただ、共に居れば夢とも現つともつかない心地となるのに、去る頃になると真綿が胸をしぼりあげてくるような痛みが去来する。夜、眠る前などは――――月影の美しい夜などは、しみじみと二人で夜を語り明かしたいとも思い、やんわりとした痛みに侘しい心持ちになる。こうした心持ちになるのは、互いの前世の縁に何がしかあったとしか思えぬ。浅からぬ縁が、あるように思われるのだ。
 我の言うことが、わかるか。信じられぬか。
 唐突で、出来心の戯れと思うか。
 ――――まぁいい。我の伝えたい事は、それだけだ。理解は……出来ているだろう。厭うのであれば、全てを忘れて去るがいい。もし――――もし、そうでないのであれば、我が傍に寄り……日輪のような心に、触れさせてくれ――――


2009/10/07



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