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鬼が狸に化かされる

 陽気な声が、遠くから流れてくる。酒気を帯びた長曾我部元親は上機嫌で、客間に徳川家康を案内した。
「ほら。もう布団も敷いてあるから、ゆっくり休め」
「ああ。ありがとう、元親。すまない」
 はにかむ笑みを浮かべた家康に、元親が慈愛を浮かべる。
「いいってことよ。天下人になってから、色々と忙しくて、まともに寝てねぇんじゃねぇのか? 俺んトコに来た時ぐれぇ、のんびり体をいたわれよ」
 元親の手が、家康の頬に触れる。親指で家康の目の下にうっすらと出来たクマをなでた。
「とれなくなっちまったら、それこそタヌキだぜ」
 ニヤリとした元親の口の端に、鋭い犬歯が覗いた。人一倍体躯のいい元親が、隆々とした胸襟を誇るように晒し、堂々たる姿で風を切って歩くさまは畏怖を与え兼ねないほどであるのに、こういう笑みを浮かべると、まるでイタズラ小僧のように愛らしく、親しみを相手の心に湧き起こさせる。西海の鬼と呼ばれる彼の屈託の無い笑みに、家康は困ったように微笑んだ。
「ほら、入れ入れ」
「ああ」
 家康と元親は、旧知の仲である。長曾我部軍の者らも家康を気安く思い親しみを持っているので、家康が政務にかかわる事で自ら赴くと聞くや宴会の準備をして彼を迎えた。その席を中座した家康は、彼らの心遣いを無にしたのではないかと、気にしている。元親はその気遣いに「気にやむ事は無い」と言葉にせぬままに、伝えていた。
「ほら。眠る前に、俺に渡してぇモンがあるんだろ? ったく。アイツらと来たら、政務で来たっつってんのに、仕事の前に宴会を始めちまうから、困ったモンだぜ」
「ははは」
 ぶつくさ言いながら家康と共に、元親が客間に入り明かりをつける。ぼんやりと明るくなった室内に、敷かれた布団が浮かんだ。
「そんじゃ、ま、文を見せて貰おうか」
「ああ」
 家康が床に座ろうとして、おっとと元親が腕を掴んで止めた。
「布団の上に座れよ。板間じゃ尻が痛ぇだろ」
「いや、それなら元親が座ってくれ。ワシは板の上でいい」
 元親が遠慮をする家康の腕を強引に引いて、布団の上に座らせる。「こうして、二人で座りゃあ、問題ねぇだろう」
 にっこりとした元親に、家康が頷いた。
「ほらほら。さっさと文を出しやがれ」
 手をひらひらとさせて催促する元親に、そうだなと家康が懐から文を取り出す。それと共に、ひらりと紙がこぼれ落ちた。
「ん?」
 元親が手を伸ばし、家康が首を傾げる。それが何であるのか思い出したのか、慌てて腕を伸ばした。
「元親っ」
「おっと」
 家康の慌てたようすに、イタズラ心をくすぐられ、元親が腕を上げて家康の手から紙を遠ざける。それを奪おうと腰を浮かせた家康が元親の肩を押した。
「おわっ」
 均衡を崩した元親が布団の上に倒れこみ、その上に家康が圧し掛かる。
「いってぇ」
「す、すまない」
 詫びる家康に悪童の笑みを浮かべた元親が、手にした紙を振った。
「まさか、春画を懐にしのばせていたとはな」
 家康の顔が、薄明かりの中でもそれとわかるほど、赤くなる。
「そ、それは……宴会の時に見せられて、持っていけと」
「ふうん? で、今夜は用件が済んだら、一人でこれ見て楽しむ予定だったってぇワケか」
 ニヤニヤとする元親の手から、家康が春画をひったくる。真っ赤になって目を逸らし、唇を尖らせた家康がつぶやいた。
「そういうんじゃない。断ったのに、懐に無理やり……」
「照れるな照れるな。天下人っつったって、人は人なんだ。年頃の若ぇモンが、興味無いっていうほうが、おかしいぜ」
 からからと笑う元親を、そっと家康が伺うように見る。
「元親も、その、興味があったりするのか」
「まあ、そりゃあな」
 家康の目が彷徨った。
「け、経験が……あるのか」
 言いながら恥ずかしくなったらしい家康が、耳まで真っ赤にしながら目を閉じる。そういう話しの出来る相手が身近にいないのだろうと、元親は彼が可愛くなった。もともと、弟分のような相手であった。彼が成長しひとかどの武将となり、天下人となったことで薄れていた保護者のような心地が、元親の胸に蘇る。
 ぽん、と大きな手のひらを、家康の頭に乗せた。
「そりゃあ、まあな。俺くらいになると、みなと港に女ありってな」
 冗談めかして言う元親に、ぐっと家康が喉を詰まらせる。それに、元親が人の悪い顔をした。
「なんだ。ドーテーか」
「なっ、そんっ、も、元親っ」
 あわてる家康に、けらけらと元親が笑った。
「そうかそうか! ま、戦で忙しくて、そんなヒマもなかったんだろ。どうだ。せっかく、そういう話になったんだし、布団の上だし。ちょっくら予行練習でもしておくか?」
 慈しみを含んだからかいに、家康の目の奥が鋭く光った。けれど表層は困惑し照れたままの姿で、酒酔いの元親は、その一瞬の光に気付けなかった。
「おう。いざってときに、どうにも出来ねぇってなっちゃあ、女にも恥をかかせちまうだろう。俺を女に見立てて、練習してみるか?」
 元親が、たくましく盛り上がった胸筋に手を添えて、女の乳房を持ち上げるような格好をする。ニヤつく元親の胸に、そっと家康が手のひらを置いた。
「おっ?」
「では、そうさせてもらおう」
 赤い顔のまま、拗ねたように言う家康の髪を、両手で掻き混ぜるように元親が撫でる。
「おう。女はもっと柔らかくて、いい匂いがするモンだが、筋肉とはいえ乳も出てるし、肌は女にも褒められるからな。ま、好きなだけ予行練習させてやるよ」
「好きなだけ? 心置きなく、させてもらっていいんだな」
 確認をする家康の声の奥に潜むものに気付けず、元親は「おう」と豪快に微笑んだ。
「それじゃあ」
 ぐ、と家康が元親の胸を脇から掬い上げるように揉みはじめる。
「おいおい。女はもっと柔らけぇんだ。優しくしてやんなきゃ、痛がるぜ」
「優しく……こうか?」
 脇から胸筋の筋を追うように、撫でるように揉む。
「おう、そうそう。ちょっと、くすぐってぇな」
「練習をさせてくれるんだろう。だったら、ガマンをしてくれ」
「はいはい。黙っておとなしくしといてやるよ」
 からかわれてヤケになり拗ねているのだろうと、元親は判じた。
 家康の手のひらが、外側から揉み込むように元親の胸を揉む。だんだんと妙な心地になってきた元親が、そろそろ止めろと言う前に、家康が胸の尖りに唇を寄せた。
「うえっ?! い、家康」
 ちゅく、ちゅ、と胸乳を吸われ、元親が頬を引きつらせる。尖りに舌を絡ませたまま、家康が目を上げた。
「揉めば、吸うものだろう」
「う。そ、そうだけどよぉ」
「本番で、恥をかかせないよう、練習をさせてくれると言ったじゃないか」
 むう、と元親の唇が尖る。これは、どうやら本気で家康の機嫌を損ねてしまったらしい。童貞だのなんだのと、気にする年頃の家康が臍を曲げ切り、自分に「まいった」と言わせるつもりなのだろうと、元親は結論づけた。むくむくと妙な負けん気が、元親に起こる。
「おう。なら、好きなだけ練習しろよ」
 どうせ途中で家康は止めるだろうと、元親は高をくくった。自分からしても良いと言った手前、やっぱり止めろとも言いづらい。にっこりと笑って再び胸に吸いついた家康が、なんだか小憎らしく見えた。
「濡れて、赤みが増してきたな」
「うっ……」
 家康のささやく息が濡れた胸に触れて、くすぐったい。
「こんなに、硬くなって」
「ぁ、んな事、言うんじゃねぇよ。黙ってしやがれ」
 胸の尖りに歯を立てられて、元親は喉に息を引っ掛けた。じんわりと小さな尖りから広がるものが、体中を浮かせるように粟立たせ、体中がモゾモゾする。
「元親の白い肌に、よく映える」
「だから……っ!」
 再び、家康が尖りを口に含み、もう片方を指の腹で捏ねる。
「触れていないこちらも、こんなに硬い」
「んっ、ぅ」
 胸筋を撫でながら胸乳を捏ねる家康の所作は手馴れているように感じられて、元親はじわじわと湧き上がる音が喉から漏れないよう、歯噛みした。執拗に胸乳をいじられ、そこから広がるものが全身に行き渡る。あわあわとした甘いものに、どうにも隠しきれない欲に従順な箇所が、頭をもたげはじめた。
 やべぇ、と思っても本能に従順なそこは、元親の思いなど無視して熱く育つ。
「元親……心音が大きくなっていないか? 肌も、少し赤みが差してきているぞ」
「だから、黙ってしろっつってんだろ……ぅむっ」
 開いた元親の口に、家康が指を差し込む。胸乳を吸いながら上目遣いに口腔をかき回す家康が、何かを探るように元親を見つめている。
「んぅっ、んっ、ふ」
 家康の指を噛むわけにも行かず、元親は家康の指に口腔を犯される。上あごをなでられ舌をくすぐられ、唾液の絡んだ指が動けば響く濡れた音に、頭の芯が甘く痺れた。やばいマズいと思っても、下肢の熱は止まってくれない。布団を握りしめ、なんとか意識を別の所に向けようと目を閉じれば、逆に触れられている箇所の刺激が鮮明になった。
「んふっ、んっ、ぁう」
 口の中や胸乳で快楽を得られるとは、思わなかった。そういう者がいるというのは知っていたが、自分がそうなるなどと、元親は夢にも思った事が無い。けれど今、家康にされて自分は下肢を熱くさせている。そう思うと羞恥が湧いて快楽を底上げした。
「んうっ、ふ、ぁ」
 口の端から唾液がこぼれる。下肢が疼いてもどかしい。胸乳は痺れて触れられる事を求めている。家康の手であさましさを暴かれた元親の肌に、家康が赤い痣を刻んだ。
「んふっ、ぁ、は」
「元親……感じてくれているのか? 予行練習として、教えてくれるんだろう。ワシの所作は、大丈夫なのか教えてくれ」
「ふはっ、ぁ」
 教えてくれと言われても、気持ちがいいですなんて言えるはずが無いと、元親が胸中で毒づく。
「んなっ、ぁ、自分で相手の反応を見て、判断しろ」
 胸を荒くあえがせながら、もどかしさに腰が揺れないよう堪えつつ、元親が吐き捨てるように牙を剥いた。
「そうか」
 わかったと頷いた家康が、太ももで元親の下肢を押し上げた。
「っ、ひ」
 ぐ、ぐっと太ももで擦られ、たくましく育った牡が待ち焦がれていた刺激に喜ぶ。本能の中枢に走る快楽に、元親が腰を突き出しすり寄せた。
「元親の魔羅が、硬くなっているのが布越しでもわかるな」
「ぁ、はっ、ばかやろっ、ぁ。やめろっ」
 家康が余裕タップリに首を傾げる。
「擦り付けてきているのは、元親だろう」
 かあっ、と元親の満面に熱が上った。くすくすと鼻を鳴らした家康が、元親のわななく唇に唇を押し付ける。
「感じてくれて、嬉しいよ。元親」
「何っ、んむっ」
 熱っぽいささやきと共に、家康の舌が口内に入り込む。舌を吸われ、腰が跳ねた。それに合わせるように家康が足で元親の牡を擦り、両手で胸乳をいじり倒す。
「んふっ、んぅうっ、んっ、んむぅう」
 強く布団を握りしめて堪えようとする元親の目じりに、涙が浮かんだ。踊る元親の腰が、求めるように家康の足に絡む。布を隔てた元親の牡は先走りを滲ませ、より強い刺激を望んでいた。
「は、ぁ――元親。すごく、いやらしい顔をしているな」
「はぁ、ふざけた事を言っ、んはっ」
「ふざけてなどいない。すごく、そそられる」
「ぁ、も……っ、家康っ、は、んっ、んううっ」
 家康の野欲に乱れた呼気を、元親は口腔で感じた。腰をすり寄せる元親の足に、家康の硬いものが当たっている。本気で自分に欲情をしているのだと、元親は目を丸くした。
「んっ、んふぅう、っ、ん」
「はぁ、元親」
 家康がうっとりと呼び、元親の呼吸すらも支配するよう、口を吸う。下肢の熱がたまらないほど熱くて、元親は全身を身悶えさせ、家康の足に牡を押しつぶすように擦りつけ腰を振り、理性を凌駕した欲に従った。
「んふぅ、んっ、はぁあああ」
 どく、と着衣のまま欲を放つ。じわりと熱いものに濡れた下帯に包まれて、心地よさに羞恥が加わり、涙が溢れた。
「う、ぇ」
 達っちまった、と情けなくなる。そんな元親の心情を察したように、家康が彼の目じりに唇を寄せた。
「元親」
 甘やかすようにささやかれ、情けなさを募らせた元親が顔を背ける。
「もう、十分だろうがよ」
 拗ねた子どものようになってしまった元親に、家康が眉を下げて唇をほころばせた。
「まだ、終わっていないだろう?」
「えっ――おわっ」
 家康が手早く元親の袴を取った。濡れた下帯が、家康の目に晒される。
「こんなに、濡らして……」
 しみじみと言われ、元親は布団を握っていた手を、家康に伸ばした。
「もう、いいだろうが! 俺の負けだ。もう止めろ」
「負け?」
 肩を掴まれた家康は、心底不思議そうに瞬きをした。
「これは、ワシの性技を確かめているんだろう? どうしてそれが、負けという言葉になるんだ」
「へっ」
 自分のからかいが過ぎて、家康が仕返しをしているだけなのだと思っていた元親が、頓狂な声を上げた。くすくすと家康が「変な事を言う」と、元親の下帯に手を掛けた。
「まるで、洩らしたみたいだな」
「っあ、家康?!」
 濡れた下帯の上から根元を掴んだ家康が、元親の牡にかぶりつく。幹を揉むように噛まれ、ぞわぞわと快楽が背骨を走った。
「はっ、ぁ、もうやめろっ」
「途中で反故にしないでくれ、元親。ワシに教えてくれるんだろう? ならば、最後まで相手をしてくれ」
「さ、最後まで……って」
「むろん、最後だ」
 頬を引きつらせた元親に、家康がさわやかに返す。
「うぇえっ?! ちょ、本気でタンマ! 家康っ、おい」
 元親の抵抗を塞ぐように、家康は下帯から元親の牡を取り出し、生身のそれにむしゃぶりついた。
「ひっ、ぁ、は、ばかやろっ、家康っ、ぁ、あ」
 牡を口腔で絞るように吸い上げる家康が、元親の唾液で濡らした指を、尻の谷に這わせる。
「ひっ、ばか止めろっ、家康っ、いえやっ、ぁううっ」
 元親の抵抗を塞ぐように、家康は牡をしゃぶり蜜嚢を揉み、秘孔に差し込んだ指で秘肉にある快楽点を探った。すぐに、コリと指先に当たるものを見つけた家康が、執拗にそこを攻める。
「ぁひっ、いえやっ、ぁあうっ、そこっ、ぁ、そんなっ、ぁはぁあああっ」
 尻孔に、探られれば魔羅を擦られるよりもずっと心地いい箇所があるということは、聞いた事がある。けれどそれを自分が体感するとは、元親は想像すらした事が無かった。そしてそれが、ここまで激しい快楽を引き起こさせるなど、思いも寄らなかった。
「はぁおぅうっ、家康っ、いえっ、ひっ、ぁ、もぉ、やめぁあ」
 元親の理性を突き崩すように、家康は牡をしゃぶり蜜嚢をこねまわし、秘孔をかき回す。元親の思考がふやけて快楽にたわみ、きしんだ理性が深く秘孔をえぐられて弾けた。
「ひぃあはぁあああっ!」
 腰を突き出し、元親が射精する。
「んぐっ」
 喉奥に吹き込んだ牡臭い元親の子種を受け止め、家康は慎重に飲み下し、蜜筒に残るものも吸い上げ嚥下した。
「はぁ、はっ、はぁ」
 絶頂にあえぐ元親の濡れた瞳が、ぺろりと唇を舐めた家康を映す。
「っ! の、飲んだのか」
「ああ、もちろんだ」
 うれしそうな家康に、元親はわなわなと唇を震わせ、言うべき文句を音に出来ずにいる間に、家康に唇を塞がれた。
「んぅ」
 触れた舌が伝えてきた生臭さが、自分の放ったものの味だと気付き、元親が硬直する。
「元親の味だ」
「言うなっ!」
「あはは」
 上機嫌の家康が元親の足を抱えて広げ、元親の尻を天井に向ける。
「何……する気だ」
「怯えないでくれ、元親」
「怯えてねぇよっ!」
「なら、良かった」
「っあ、ばかっ……ぅ、んんっ」
 家康が蜜嚢にかぶりつき、指を秘孔に押し込める。先ほど見つけた箇所をえぐりながら、ひくつく秘孔をほぐしはじめた。
「ぁはっ、そこっ、やめ、ぁ、って」
 腕を伸ばして阻止しようとするも、快楽に阻まれた元親の指は弱々しく、家康を押しのけられず掴むに留まる。柔らかな蜜嚢を食みながら、家康は極上の甘味を味わっているように、うっとりと息を漏らした。
「すごいな。元親のふぐりが、こんなに温かで甘いとは思わなかった。ワシに感じてくれているんだろう? 魔羅が震えて反りかえってるぞ、元親」
「ぁ、んぅっ、そんっ、言うな、ぁあっ」
「尻も、きゅうきゅうに指を締め付けて、求めるように絡んでくる。ああ、先走りが垂れているな」
「このっ、ぁ、変態野郎か、オメェはっ、ひぁう」
 熱に上ずった家康が、幸せそうにいとおしそうに、快楽に飲まれる元親を見つめた。
「変態か。そうかもしれない。――だが、それは元親だからだ」
「っ、何、言って……ぁはぁううっ、家康、も、ぁ、やめっ、ぁ」
 脈打つ元親の牡が、絶頂に向かっている。このままでは、蜜嚢と尻だけで放ってしまう。それはとてつもなく情けない気がして、なんとか阻止しようと家康の腕を掴む手に力を込めるが、家康の指は止まらない。
「ああ、元親……放つ姿を、見せてくれ」
「ひぁっ、やめぁ、あっ、家康っ、も、勘弁ッ、ぁ、しっ、はぁ、あっ、いやだっ、ぁ、でるっ、ぁ、あっ、ああぁあああっ!」
 ぶるんと震え、元親の牡が勢いよく欲蜜をぶちまける。それが飛び散り自分の顔にかかるのを、情けなさと羞恥を浮かべながら元親は見た。放つ自分の牡の向こうに、家康の顔がある。心臓を、不可解な熱が包んだ。
「は、ぁ……いえやすぅ」
 ぐずっと鼻を鳴らした元親をあやすように、そっと彼の尻をおろした家康が元親の鼻先に唇を寄せる。
「泣かないでくれ、元親」
「泣いてなんざ、ねぇよ」
「ワシが、嫌いか?」
「なんで、そんな話になるんだよ」
 むくれる元親の唇に唇を押し付け、家康は困ったように微笑んだ。
「ワシを、受け止めてくれ」
「は?」
 再び元親の足を抱えた家康が、開いた元親の足の間に股間を押し付ける。硬く凝った家康の牡が秘孔の入り口をつつき、元親は青ざめた。
「い、家康……?」
「元親は三回も達ったんだ。ワシも、元親の中で心地よくさせてくれ」
「ちょ、まて、まてまてまてまっ――が、ぁおふぅうっ」
 ずむん、と熱杭が元親の秘孔を押し広げ、侵入する。反らされた元親のアゴに唇を寄せ、家康は腰を進めた。
「くっ、狭い……が、絡んできて、奥に誘ってくる、な」
 苦しげに息を途切れさせながら、家康が奥を求める。
「はぎっ、ぁ、が、ぁおぉおうっ」
 体中の空気を押し出されるように、元親が大きく口を開いて腹の底から呻きを吐いた。
「は、ぁ。全部、入ったぞ。元親」
 息を乱し、家康が声を弾ませる。頭の芯まで圧迫され痺れたようになっている元親は、それに答える余裕がない。小さく震える元親の唇に、最高の愛おしさを込めた唇を押し当てて、家康は腰を動かした。
「ぁはっ、は、ぁおっ、ひ、ぁおうっ、い、えや、す、ぅう」
 元親の目じりに、涙が滲む。
「ああ、元親。すごく温かくて、心地いい。ワシを包み込んで、導いてくれる」
「ひんっ、はっ、はんっ、はんぁあっ、やっ、ぁあう」
 牡で秘肉を擦り続ければ、元親がポロポロと涙をこぼしながら首を振った。その仕草の幼さに、家康の胸が愛おしさに絞られる。
「元親――ああ、元親。もっと、ワシを感じてくれ。もっと、心地よくなってくれ……共に、心地よくなろう。元親」
「んや、ぁ、あああっ、家康っ、ぁ、は、家康ぅうっ」
 人よりも体躯の良い、隆々とした筋肉を誇る美丈夫が、荒くれ者ぞろいの海の男たちに兄貴と慕われ、彼らを束ねている元親が、自分の腕の中で可憐な姿を見せている。自分につき上げられて、あえいでいる。たまらぬ心地よさに、家康の腰が速さを増して、元親を攻めた。
「ぁひっ、やっ、ぁあ、いえやっ、はぁううっ、ぁはおっ、おふぅう」
「ああ、元親、元親――っ!」
 打ちつける家康が元親の秘肉をえぐれば、絡む肉にきゅうんと強く絞られて絶頂に達する。
「くっ」
「ひっ、ぁ、やあぁあああっ!」
 内壁に注がれた濁流とえぐられた刺激に、元親が放つ。射精の緊張に絞られた内壁を、家康は残滓を搾り出すために擦った。
「んひっ、ひ、ひぃいい、や、ぁ家康ぅうっ」
「はぁ、まだだ、元親。まだ、このまま、もっと」
 放ったばかりだというのに、家康の牡は熱を取り戻していた。
「ぁ、やぁあっ、そんっ、ぁ、達ったばかで、ぁ、まだ、ぁ、出てんのにっ、ひっ、ひぃい」
 元親が放ち終えぬ間に、家康は容赦なく内壁をえぐり掻き回す。家康の熱を受け止めた事で砕けた元親の理性が、修復されずにグズグズに溶かされる。
「元親。すごいな……ワシの魔羅にからみついて、求めるように締め付けてくる」
「ぁひっ、や、ぁはぁあうっ、熱いっ、ぁ、はぁ、も、ぁ、とけるっ、ぁ、あはぁあ」
「ワシも、溶けそうだ」
「ひんっ、ひぃあおおっぁ、はぁあう」
「元親。すごいな……また、こんなに硬くして。ワシの腹に当たってるぞ」
「んひぃい、やっ、ぁ、ああ」
 終わらぬ快楽に泣く鬼を、家康が愛おしさで苛み続ける。
「やっ、ぁ、くるっ、ぁ、くるぅうっ」
「ああ、そうだ。元親……また、放つぞ。受け止めてくれ」
「やっ、ぁ、もぉ無理っ、ぁ、はぁあああっ!」
「ふっ、はぁ。――すごいな、元親。元親の乱れた姿に、いくらでも子種が湧いてくる。枯れるまで、付き合ってくれるだろう?」
「ぁ、らめぁ、もぉ、ぁ、こわれっ、ぁ、こわれりゅ、ぁううっ、あふれてっ、ぁ、も、無理ぃ」
「そうは言っても、まだまだ締め付けてくるぞ? 元親」
「はんぅうっ、ぁ、はぁあ、からだっ、おかし、ぃああ」
 震えて存在を主張する元親の胸乳を、彼の内壁をえぐりながら、家康の唇が慰める。
「おかしくなればいい。元親。もっと、もっとグズグズに溶けて心地よくなってくれ。身も世も無く乱れることを覚えて、ワシが欲しいと求めるほどに」
「んひっ、ぁ、ああっ、ちくびぃ、ぁ、きもちぃ、は、ぁあ」
 その声に応えるように、家康が胸乳に歯を立てる。
「ぁひぃいっ」
 刺激に元親の内壁が締まり、えぐる深さが強くなり、輪廻する快楽に捉えられた元親は、家康の熱に踊り続けた。
「ぁひっ、は、はんぁあっ、いえやすぅうっ、や、ぁあ、きもちぃ、ぁ、と、とまらねぇよぉおお」
 しゃくりあげながら身もだえ快楽の僕となった鬼を、家康は容赦なく愛し続ける。
「止まらなくていい。元親、そのまま快楽の泥土に浸り、ワシを求め続けてくれ」
「ぁはぁううっ、らめぁ、あはぁうう、ぁはおぉ」
「気持ちいいだろう? 元親。ワシの魔羅で、掻き回されて」
「いいっ、ぁ、あはぁあ、きもちいっ、ぁ、尻っ、ぁ、魔羅ぁ、ぐちゃぐちゃっ、ぁ、きもちぃ」
 理性を完全に失った元親の淫蕩に濡れた瞳に、狂気をはらんだ優しい笑みを浮かべる家康が映った。
「いざという時に困らないよう、予行練習をと言っていたが……元親。予行練習無しの本番で、こんなにワシを感じて狂ってくれているなんて、うれしいよ」
「ぁひぃいい」
 狸が、鬼をだまし捉えた。

2013/12/17



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