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搾乳

 飲み水が腐る前に、入れ替えなければならない。海上で船に積んでいる水が腐ってしまうと、目も当てられない事態になる。
「兄貴、あっちに鳥の山が見えますぜ」
「よし、そんならその方角に船を進めようか」
 配下の者の報告を聞き、長曾我部元親はそう指示を出した。
 ほどなくして島影が見え、船を止め碇を下ろし、小船で岸に漕ぎつける。船の姿が見えたのか、どこからともなく人が集まってきた。
「お、人が住んでんな」
 小船の上で手を振れば、人々は手を振り返してきた。いきなり部外者を襲うような連中では無いらしい。とりあえずは大丈夫そうだと、元親は砂浜に足を下ろした。
「すまねぇが、水と食料をわけてもらえねぇか。もちろん、金は出す」
 集まった人々は顔を見合わせ、何事か相談をはじめた。集まっているのは屈強な体躯をした青年から壮年の男ばかりで、歓迎されているというわけではなさそうだと、元親に続いて島に足を下ろそうとした部下を、元親は止めた。
「オメェらは、いったん戻ってくれ」
「でも、兄貴」
「なぁに。心配いらねぇ。俺が一人でいきゃあ、連中も争う意思は無ぇってわかんだろ。それとも何か。俺の力量を疑ってんのか?」
「そんな!」
「この鬼に、万が一もありゃしねぇよ。オメェらは戻って、船を守っていてくれ。三日経って俺が戻らなかった場合は、上陸してくれ」
 頼むぜと元親に言われ、彼らは不満顔をしつつも従った。小船が船へ戻るのを、島の者らが眺めている。元親は両腕を広げ、隆々とした体躯を無防備にさらして島人に近付いた。
「俺らがこの島にきたのは、そういう経緯(いきさつ)だ。アンタらに危害を加えるつもりはねぇよ」
 島人らは何事かを話し合い、代表して一人が元親に声をかけた。
「ついてこい」
「わかった」
 元親が頷けば、島人らは元親を取り囲んだ。そのどれもが日にさらされ続け、光沢のある褐色の肌をしていることに、元親は感心した。
「オメェら全員、海の男か。いい色をしてんじゃねぇか」
「アンタは、ずいぶんと白いな」
 いぶかる目を向けられて、元親は肌よりも白い歯を、人懐こくむき出した。
「けど、この体はアンタらに劣らねぇだろう」
 ぐっと元親が胸を反らせば、隆々とした胸筋が強調される。一瞥した島人は鼻を鳴らしただけで、何も言わなかった。

 島人に連れて行かれたのは、大きな小屋だった。周囲に漁のための道具が干されている。感心して眺める元親に、島人の一人が小屋の中に入れと、戸を開けて顎で示した。
「邪魔するぜ」
 声をかけて元親が入れば、岩のように四角く逞しい体躯の男がいた。鬼と称される元親の長身に負けぬほど筋骨隆々なその男も、なめした皮のように光沢のある褐色の肌をしている。
「俺が、統領だ」
「俺は、長曾我部元親。世界中の海を巡ってみようと思って航海をしてんだ」
「まだ出航して間も無いのか」
「いや。なんで――ああ、これか」
 元親が自分の二の腕をさすった。
「どうにも陽に焼けない体質みたいでよぉ」
 男がものめずらしそうに元親を見る。
「なんでぇ」
「白い髪に紫の衣。白い肌」
「は?」
 ぶつぶつと男が言うのに、元親が右目をすがめる。
「紫の衣ってのは……ああ、もしかして、この眼帯のことを言ってんのか」
 元親は左目を覆う眼帯をなでた。
「元親、と言ったか。この島は、漁をする間だけ使っている、小さな島だ。畑などは何も無い。森に入れば果実がある。水もある。だが、分けるほどの食料は無い」
「そうかい。そりゃ、残念だ。それなら、アンタらの村のある島の方角を教えてくれよ。それと、水だけでも貰えるならありがてぇ」
 元親の言葉が聞こえていないように、統領は考え込む顔で元親をじろじろと眺めていた。
「なんか、気になることでもあんのか? 焼けてねぇのが気にくわねぇとか」
「そうじゃない」
 統領は溜め息交じりに息を吐き、ちらりと小屋の入り口付近に固まっている男らを見た。元親は統領と男らを交互に見て、目顔で会話をしている様子に首を傾げた。
「……試練を、受けてみる気はないか」
 ややあって、統領が口を開く。
「試練?」
 唐突な言葉に、元親は目をしばたかせる。
「そうだ。試練だ」
「どういうことだ?」
「この島には、神の実がある。神の実は選ばれたものには、永久に海を行ける母なる泉が与えられるという」
「永久に海を行ける母なる泉?」
 統領はこくりと頷く。
「紫の衣をまといし白き海の御使いのみ、それを得られると伝わっている」
「それが、さっきの発言の理由ってわけか」
 ふうん、と元親は逞しい胸筋の下で腕を組んだ。
「おもしろそうじゃねぇか。試してもいいんなら、その神の実とやらの場所を教えてくれ」
「わかった」
 のそりと統領が動き、二人のやり取りを見守っていた男たちが道を作り、統領と元親は彼らの間を抜けた。
 統領はそのまま森に入り、元親も続く。その後ろから、男たちがぞろぞろとついてきた。
 森は存外に深く、少し入っただけで昼前だというのに薄暗くなった。うっそうと茂る草木を抜けて一刻ほど進むと、いきなり視界が開けた。
「こいつぁ」
 切り立った崖から、音を立てて水が流れ落ちている。滝のしぶきを浴びる場所に、一本だけ大きな木が生えていた。その気に子どもの拳ほどの大きさの、真紅の果実が実っている。
「あれが、神の実だ」
「ふうん」
 統領と元親が木に近付き、ついてきた男らは木々の間から出ずに二人を見守った。
 木の下に来た元親は腕を伸ばし、無造作に実をもぎとった。
「これが、神の実ねぇ」
 光りにすかしてみても、珍しい果物という印象しか受けない。
「俺たちが去った後、好きなだけ食えばいい。俺たちは戻る。神の実を食べるところは、誰にも見られてはいけない。頃合を見て迎えに来る」
「わかった」
 元親は頷き、彼らの姿が見えなくなるのを待った。
「よくわかんねぇけど、永久に海を行ける母なる泉ってのは、とんでもねぇ御宝の匂いがするぜ」
 ニヤリとしてかぶりつくと、ほどよい酸味が口一杯に広がった。
「んっ。こいつぁ旨ぇ」
 とたんに空腹を感じ、元親は食欲に促されるまま、次々に実をもいで口に運んだ。
「止まらねぇ」
 無心になって食べ続け、元親は満腹になった。
「ふう」
 膨らんだ腹を軽く叩き、ごろりと草の上に横になる。日差しは強いが、滝のしぶきがひんやりと空気をやわらげてくれている。
「ああ、野郎どもに土産にできねぇかな」
 つぶやいた元親の瞼が重くなり、ゆっくりと閉じられた。

 人の気配を感じ、元親は目を覚ました。目を擦り起き上がれば、統領と男たちの姿があった。
「ふぁ」
「体の具合はどうだ」
「どうっつわれても。別段、なんか変わった心地は……」
 言いかけた元親が、自分の胸筋に手を当てた。心なしか、張っている感じがある。
「どうした」
「いや、なんか、乳が張っている気がしてよう」
 ざわりと男たちの気配が揺れた。きょとんとする元親に統領が顔を近付ける。
「胸が、張っているのか」
「お、おう」
 真剣な眼差しと顔の近さに元親がたじろぎながら頷くと、統領はすばやく元親の背後に回り、盛り上がった元親の胸筋を掴んで揉んだ。
「うえぇっ。ちょ、何してんだよ」
「黙っておとなしくしていろ」
 よくわからないままに、統領の硬い気配に気圧されて、元親はおとなしく胸筋を揉まれる。その様子を、男たちが固唾を飲んで見守っていた。
「何か変調があれば言え」
 元親の胸筋を大きな手のひらで内側に寄せるように揉む統領に、元親は妙な心地になりつつ頷く。胸の張りが増し、なにやら胸の腺がうずきだした。
「あのよぉ」
「なんだ」
「いや、なんか、むずむずするっつうか、なんつうか」
「そうか!」
 統領が声を弾ませ、元親の胸筋を揉む手に力を込めた。
「う、うう、なんか、妙な具合になってきた」
 ズクズクと胸がうずく。
「そろそろか」
「えっ、ぁ、ああっ」
 耳元で統領がつぶやいたかと思うと、胸の尖りを摘み絞られ、元親は刺激と驚きに声を上げた。
「ああっ、なんでっ、俺っ」
 乳首が押しつぶされ、そこからピュウッと勢いよく液体が飛び出す。
「なんだよコレっ! なんで俺、乳が出るんだよ」
「これが、母なる泉だ」
「はぁ?」
 悦びに興奮した様子で、統領は元親の胸筋を揉みつつ、乳首をひねる。またもや乳が噴き出し、男たちはどよめきながら元親の胸に顔を寄せた。
「これが、神の水か!」
「母なる泉だ」
「んぁ、どういうことでぇ」
「母なる泉は腐る事も枯れる事も無い。母の乳と同じだ。長い航海、これがあれば飲むものに困る事は無い」
「そりゃそうだけどよぉ。そんなら毎回、俺は乳を搾られるってことになるじゃねぇか。いつかは、出なくなるんだろ」
 うろたえながら元親が問えば、統領が重々しく頷いた。ほっと元親が息を吐く。
「枯れる事を心配するのは最もだ。だが、安心しろ。枯れても復活をさせる術は心得ている。元親。選ばれし者よ。神の実の水を味わわせてくれ」
「味わわせてって……うわっ、ちょ、おい」
 元親の脇の下をくぐった統領が、首を伸ばして元親の乳に吸い吐いた。じゅうじゅうと吸われながら揉まれ、元親は彼を振りほどこうとするが、丸太のような腕で背後から抱きしめられ、身じろぐ事しか出来なかった。
「俺も、こっちで味わわせてくれ」
「うえっ、ちょっ」
 元親の乳が噴き出るのを眺めていた男が、空いている乳に吸いついた。
「んぁっ、ちょ、そんなに吸うなよっ、ぁ、ああ」
「吸わなければ、どんどん溜まって胸が張り、苦しくなるぞ」
「ぁ、だからって、んな、っ、ぁああ」
 胸を揉まれながら吸われ、元親は自分が乳を出している実感を味わう。舌と上あごで潰され吸われる乳首から、ドクドクと乳があふれ出る。それなのに胸の張りはおさまらず、それどころかますます溜まっていくのがわかった。
「んっ、んぁ、も、は、ぁあ」
「おい。次、俺にも飲ませてくれ」
「そんなに急くな。たっぷりと出てくるぞ。極上の味だ」
 かわるがわる左右の乳を揉まれ吸われ、元親の四肢は淡く痺れたように力が抜けた。吸われ続けた乳首が疼き、男らが変わる一瞬でも空気にさらされ、刺激が失せれば切なく震えた。
「はぁ、あっ、もぉ、あ、ぁあ」
「ああ、そろそろ日が暮れてしまう。飲むのは後にして、日が落ちる前に小屋に戻ろう」
 統領がそう言って、男たちは弛緩した元親を担いで小屋への道を急いだ。

 一刻ほど乳を吸われないだけで、元親の胸はパンパンになり、乳首からはトロリと液がこぼれた。
「はぁ、あっ、ぁ」
「神に選ばれし者に敬意を表し、杯を交わそう」
 男たちが魚を焙ろうと火を熾す。宴の準備を始める男らを眺める元親の胸は、どうしようもないほどに張りつめ、疼いた。吸われるときの、なんとも言えぬ充足と慈しみの心地が元親の意識を揺らす。あの心地よさが欲しくてたまらない。
「もうすぐ料理が出来上がる」
「酒も、このとおりだ」
 自分を置いて楽しげにしている彼らを恨めしく思うほど、元親は湧き出る乳に追い詰められた。
「酒よりも、俺の乳を飲めよぉおっ!」
 思わず叫んだ元親に、男たちは動きを止める。
「もう、こんなに溢れて流れてんだよ! 早く吸ってくれよ」
 自ら乳を持ち上げるように揉んで、元親は流れ出る乳を男たちに示した。
「そうだ。せっかくの神の泉があるというのに、酒を飲むのもおかしな話だ」
「神の実に選ばれし者は神の御使い。その声に従わねば」
 男たちは宴の準備を取りやめ、元親の乳に吸いついた。
「ぁはっ、んぁ、あ」
 じゅうじゅうと吸われ、元親が身悶える。
「んぁ、もっと、はぁ、いっぱい吸えよぉ」
 吸いつく男の頭を手のひらで胸に押し付け、元親は笑みを浮かべた。体中が慈愛の熱に満たされる。
「んぁ、旨ぇか、は、もっと、もっと飲め。俺の乳っ、ぁ、もっと」
 元親に言われるまま、男たちは彼の乳を吸った。飲んでも飲んでも溢れ続ける元親の乳を、男たちがかわるがわる吸い続ける。
「んぁっ、そん、歯を立てんな、ぁ、オメェは強く吸いすぎっ、ん」
 胸を揉みつつ吸う男らの所作は、それぞれに違う。左右違う刺激を受ける元親の足が、その間にある牡の高ぶりに合わせて開いた。
「御使いが足を開いたぞ」
「そちらも吸えという事なのか」
 男たちはそう解釈し、元親の下肢をむき出しにして、そそりたつ陽根をしゃぶった。
「んはぁっ、ぁ、そっちは、ぁあ、チ○ポはぁ」
「心地よさげな顔をしているぞ」
「こちらの味は、また上とは違っているな」
「んはっ、ぁ、あ、チ○ポ、そんな吸っ、は、でるぅう」
 ぶるっと元親が腰を震わせ、陰茎をしゃぶっていた男の喉に欲を噴きつける。受け止めた男は、筒内に残るものも吸い上げようと、懸命に頭を動かした。
「はひっ、ぁ、そんっ、らめぁ、吸っ、ぁあ」
「次、変われ」
「ひっ、ひぃいっ、らめぁ、そっちは、イッたばっかで、そん、チ○ポらめぁ」
 男たちは元親の放つものを一滴も逃すまいと、胸にも下肢にも懸命に吸いつく。終わらぬ吸引に元親の意識はとろけ、快楽と慈しむ心とが綯い交ぜになり全身を覆った。
「はんっ、はぁあっ、ぁ、乳もぉ、チ○ポもぉおっ、ぁ、止まらねぇよぉ」
 目じりから涙をこぼす元親の乳を吸っていた男が、顔を離して首を傾げ、ぎゅうぎゅうと元親の胸筋を揉んで膨らみ震える乳首を眺めた。
「おい、どうした」
「なんか、出が悪くなったような気がしてな」
「これだけの人数で吸い続ければ、そうもなるだろう。枯れそうになった泉は、獣の理を使えばいい」
 統領が元親から男らを払いのけ、ヒクヒクと震える元親を四つんばいにさせた。
「全員、子種は十分に溜まっているだろう」
 男たちが頷き、そうかと納得の顔になる。陽根を取り出した男たちは先端を元親に向けしごき、彼の尻に放った。
「は、はぁ、ぁ、なに、ぃ」
 牡臭さに元親がボンヤリと問う。
「泉を復活させる方法を、教えておく」
 統領が答え、元親の尻にかかった男たちの欲液を指で集めた。
「獣は子を成し乳を出す。それと同じで、子種を注ぎ入れれば泉は再びあふれ出る」
「ぁ、どういう事、ひっ」
 集めた欲液を元親の秘孔に流し入れた統領は、そのまま指を押し込んでかき回した。
「はひっ、はっ、ぁ、何ぁ、尻っ、ぁあ」
「この奥に子種をぶち込むんだ」
「んぁあっ、そんっ、ぁ、そんな、ぁあっ」
 さんざんに乳と牡を吸われ続けた元親は、気だるい体に力を入れる事が出来ず、されるがままに開かれる。
「これぐらい解れれば、問題ないだろう。どれ」
「ひぎっ、は、はぁおおうっ」
 ずどん、と激しい衝撃に脳天まで貫かれ、元親は背を反らして吼えた。
「うむ。良い具合だ」
「ぁ、あひっ、は、はぁああ」
 統領が腰を動かし、元親の奥を突く。
「いぁあっ、そんっ、ぁ、トコぉお」
「もう少しだ」
「んぁっ、らめぁ、やめてくれっ、ぁ、やめっ、ぁ、ああぁあああっ!」
 元親の懇願虚しく、統領は子種を吐き出した。
「ふう。さあ、次だ。飲んだ分、たっぷりと返さなくては」
「あ、ぁあ、や、ぁあ」
 ブルブルと震える元親の尻に別の陰茎が刺さる。
「はひぃっ、ぁ、ああっ」
 ズンズンと突き上げられるままに元親は揺れ、子種を注がれる。その度に胸が疼き、慈しみの気持ちが戻ってきた。
「んぁっ、ぁああっ、は、はぁあ」
 がむしゃらに突いてくる牡が愛おしく感じられ、注がれる子種が愛らしくてならず、元親は自ら尻を突き出し腰を振った。
「はっ、はぁあ、もっとぉ、ぁ、奥にっ、チ○ポ、ぁあ」
「そろそろ、泉も復活している頃だろう」
 統領が元親の胸を掴んで乳首をひねる。
「ああんっ」
 ビュッと乳が飛び出した。
「この体勢じゃ、泉の水が飲めません」
 男の言葉に、統領が頷く。
「たしかにそうだ。ああ、じゃあ、あれを使おう」
 統領が干していた投網を指差し、男たちは元親を抱えて運んだ。投網を外し、元親の手を横木にくくりつける。
「これならば、子種を注ぎながら吸える」
「は、はぁ、あっ、早く、ぁ、乳ぃ、吸ってくれよぉ。奥に、子種くれよぉ、チ○ポでかき回してくれよぉお」
 わずかな時間の刺激の喪失がもどかしく切なくなるほど、元親の意識はグズグズに溶けていた。涙目で訴える元親の白い肌に、褐色の男たちが群がる。乳を吸い、牡を吸い、秘孔に陰茎を突きたててかき回す。
「んはぁあっ、きもちぃ、ぁあ、すごぉ、はんっ、はふぅうんっ」
 ギシギシと横木が揺れるほど、元親は身もだえ叫んだ。体の内側から溢れて止まらぬ熱にふくらんだ元親の四肢は、たくましい筋肉の形をくっきりと浮かび上がらせ、焚き火の明かりが白い肌の陰影を深くする。
「はっ、ぁ、乳が張って、ぁ、もっと、もっと強く吸って、ぁ、ああっ」
 子種を注がれるたびに湧き出る乳を、男たちが吸い上げる。吸った分を戻そうと、男たちは元親に子種を注いだ。
「ひんっ、ひぃいっ、きもちぃ、きもちぃいっ」
 焚き火が消え星明かりのみになっても、元親の嬌声は途絶える事なく響き続けた。

 翌朝、元親は色づきを濃くし、膨らんだ胸筋を抱えて浜辺に向かった。手を振れば、元親に気付いた船の男たちが急いで小船をおろし、元親を迎えに来る。それを元親は慈愛に満ちた瞳で眺めた。
 元親が目覚めてすぐに船に戻ると言った時、統領は自分たちの島に来ないかと誘った。神の実に選ばれた者は、村を統治するにふさわしいと膝をつき、元親を崇めた。
 元親は首を振り、大切な仲間たちがいるのだと告げた。神の実を手にしたのは、彼らと共に航海をする手助けになればと思ったからだと。
 元親にいささかの揺らぎもないことを見て取り、統領や男たちは残念がりながらも、見送れば未練が残るからと元親を送り出した。良い経験が出来たと、伝説は真実だと証明できたと言う統領と、硬い握手を交わして元親は彼らと別れた。
「兄貴ぃ!」
「おう!」
 元親が手ぶらであることに、迎えの者らは首を傾げた。
「なんの収穫も無しですかい?」
 元親がニヤリとする。
「とんでもねぇモンを、手に入れたぜ」
「えっ」
「そいつぁ、いったい何なんですか。兄貴」
「全員の前で披露するぜ」
「こっそり、先に教えてくださいよぉ」
「船に戻ってからだ。ほら、さっさと帰るぜ」
「ちぇ」
 そう言いつつも、元親がなにやら楽しそうなので、迎えの男たちも笑みを浮かべる。
 小船に乗った元親は、腐らず無くならない飲み物を手に入れた肉体を、彼らに披露し与えることに、文字通り胸を膨らませ、腰をうずかせながら、慈母の笑みをたたえていた。
2014/05/23



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