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蟹と酒

 長曾我部元親が、ほくほく顔で伊達政宗に差し出したのは、蒸した蟹だった。上機嫌で鼻歌をうたいながら、元親は蟹の足を折る。
「こいつに蟹の味噌をつけて食うのが、うまいんだ」
「なんで、皿も箸もないんだ?」
「いらねぇだろう。男はこうやって、豪快に折ってかぶりつきゃあ、いいんだよ」
 バキリと殻を割り、身を取り出した元親は、ガブリと食べてみせる。
「はぁ。旨ぇ」
 ほら、と差し出され、盃を下ろそうとした政宗は、ふと思いついた。
「なあ、元親」
「ん?」
「その、蟹の汁まみれの手じゃあ、盃がべたべたしちまうだろう。アンタが俺に蟹を食わせて、俺がアンタに酒を呑ませる。それで、どうだ?」
 楽しげな政宗に首をかしげ、すこし考えてから、元親はうなずいた。
「まあ、いいけどよ」
「なら、決まりだな」
 政宗が盃を差し出す。元親は首を伸ばして、酒をすすった。次に元親が蟹の身をつまんで政宗に差し出す。政宗が口を開いて、それを受けた。
「悪くねぇな。この手で盃は、ちょっと持ちたくねぇし」
「だろう?」
 政宗がニヤリとする。元親は、たくらみを含んだ隻眼の光に気がつかなかった。
 政宗が酒を元親に呑ませ、元親が政宗に蟹を食わせる。足を食べ尽くした後は、腹の身を指でほじくることになる。それをつまんで、蟹の味噌をつけたものを、元親は政宗に差し出した。政宗が口を開き、指ごと蟹にかぶりつく。ビクリと元親が震えるのに、気づかぬふりで政宗は指を舐めた。
「旨いな」
「だろう」
 わずかに早くなった動悸をさとられまいと、平静をよそおって、元親は自分も蟹を口に入れる。そしてまた政宗に蟹を差し出すと、またもや政宗は元親の指ごと、喰らいついた。
「……っ」
 指先を噛まれ、元親が息を詰める。爪の間を舌先でくすぐられ、股間が疼いた。
「おい、政宗……」
「ああ、蟹の汁が垂れてやがる」
「っ……ぁ」
 政宗の舌が手首を滑る。蟹の汁を追っているはずの唇に、手首を噛まれて元親はうめいた。
「どうした?」
「なんでもねぇ」
 総身に力を込めて、粟立つ肌を抑えつける。この食べ方をやめようと言えば、なぜだと追求されるだろう。そうなった場合、ごまかしきれる自信を、元親は持っていなかった。そんな元親を、政宗が観察する目で見ている。元親はそれに、気づかない。
「酒の番だな」
 政宗が銚子を手にする。
「おう」
 盃を求めて、元親は顔を寄せた。すると政宗は銚子から直接、自分の口に酒を含み、元親の唇に押し当てた。
「んうっ?!」
 驚く元親の唇が、政宗の舌に開かれる。ふたりの唇の間に、酒が流れた。
「ふっ、ん、んぅうっ、う……ううっ」
 酒の味が、互いの口腔を満たす。うごめく舌に、元親の息が乱される。口腔をくすぐられるのが心地よくて、ふくらみかけた下肢に、さらに血が巡った。
「んっ、は……なにすんだよ」
 元親の文句は無視された。
「ああ、もったいねぇ」
 うそぶき、政宗は口からこぼれた酒を、舌でたどった。
「おい……っあ」
 首を滑った舌が鎖骨に触れる。軽く噛まれて、元親はちいさな声を上げた。政宗の唇はさらに降りて、元親の盛り上がった胸筋の谷に触れる。
「んっ……」
「筋肉の道に沿って、酒が流れ落ちているぜ」
 クックと喉を鳴らした政宗が、銚子を手にする。肩を押され、倒れそうになった元親は、後ろに手をついた。上向いた元親の鎖骨のくぼみに、政宗が酒を注ぐ。
「お、おい」
 あふれる酒を、政宗の舌が追いかけた。端麗な顔つきの政宗が、剣呑な恍惚を浮かべている。あやしげな隻眼の光に、元親の腰が疼いた。
「俺は盃じゃねぇぞ」
 震えそうになる声を、必死に抑えて冗談めかした口調にする。政宗はほくそ笑み、元親の盛り上がった胸筋を両手で寄せた。
「っ、なんだよ」
「十分、その役目ができるだろう?」
「っ、あ」
 政宗の舌に胸筋に溜まった酒を、舐めとられる。胸乳を寄せ上げている手指が動き、胸の尖りがくすぐられた。
「っ、は……政宗」
「sake that is tasty」
 政宗が低くささやく。その声に、元親の鼓膜がゾクゾクと震えた。
「政宗……なあ」
 片手で体を支え、もう片手で政宗の背に触れる。
「蟹、食おうぜ」
「俺は今、酒を楽しんでいるんだよ」
「ひとりで楽しんでんじゃねぇよ」
 キラリと政宗の目が光った。まずいと思ったが、もう遅い。
「なら、互いに楽しめばいい」
「まてっ、政む、ぅ……んっ」
 ふたたび唇がふさがれる。唇、舌裏、上あごと、丹念にくすぐられ、元親の心音は激しくなった。
「ふっ、んぅ、う……ふ、ぅう」
 酒よりも、政宗の舌技に酔ってしまう。元親の右目が淫蕩に濁った。下唇を甘く噛まれ、元親は震えた。
「は……政宗。なあ」
「もうすこし、酒を味わわせろよ」
「酒って……。全部、俺にぶっかけちまっただろうが」
「長曾我部元親という名器に、注いだんだ」
「はぁ? ちょ、政宗……っあ」
 政宗の唇が滑る。胸乳を下りた舌は腹筋をなぞり、ヘソに溜まった酒を舐めた。
「は……っ、う、ん……政宗」
 元親の胸の先がピンと尖り、震える。
「いじってほしそうだな」
「都合のいいように、解釈してんじゃねぇよ」
「なら、されたくねぇのか?」
 元親は言葉に詰まった。胸は甘く疼き、刺激を求めている。しかしそれを素直に認めるのは、政宗のいいように導かれているようでくやしい。
「なあ、元親」
 政宗が艶然とほほえみ、唇を舐めた。妖艶な姿に、元親の喉が鳴った。
「う、うう……」
「Become obediently、意地を張っても、いいことなんざねぇだろう?」
 政宗の息が、濡れた胸乳に触れた。淡い刺激に、元親の意地が崩れ落ちる。
「っ……いじってくれ」
「Good……かわいがってやるよ」
「んっ、あ、あぁ」
 政宗の唇に胸の尖りを含まれて、元親は鼻にかかった声を上げた。片方を指でつまみひねられながら、もう片方を強く吸われる。
「っは、ああっ、ふ、ぁあう」
 強い刺激の後は、もどかしいほど緩慢に愛撫され、元親は緩急のついた刺激に震え、腕の力を抜いた。横になった元親のたくましい体躯に、しなやかに締まった政宗の体が乗る。ひとまわりちいさな政宗に元親が腕を回すと、彼の体はすっぽりと包まれた。
「ふっ、ん、ぅう、あ、ぁあ」
 胸乳の刺激で昂ぶった官能が、血液に溶けて全身に行き渡る。透けるように白い元親の肌が、薄桃に染まった。
「んっ、ぁ、政宗ぇ」
 下帯が窮屈になるほど、欲が昂ぶっている。腰を揺らしてそれを示せば、政宗の膝で股間を擦られた。
「んはっ、ぁ、ああ、ふ、政宗、ぁ」
「なんだよ? はっきり言わねぇと、わからないぜ」
「んっ、ううっ、わかってて、やってんじゃねぇか、ああっ」
 膝頭で股間を抉られ、元親は胸をそらした。政宗の顔が、元親の盛り上がった胸筋に挟まる。
「なんだよ。もっとしてほしいのなら、そう言えよ」
 政宗に胸筋を噛まれ、元親は震えながらにらんだ。政宗は余裕の笑みを浮かべている。くやしいが、こうなればもう、かなわないとわかっていた。
「政宗ぇ」
 我ながら、情けない声を上げていると自覚しつつ、元親は自尊心よりも欲を選んだ。
「脱がしてくれよ……もう、キツくてならねぇ」
「具体的に言ってくれなきゃ、わからねぇなぁ」
 政宗がニヤニヤする。ぶん殴りたい衝動をおさえて、元親は足を開いた。
「チ○ポがきつくて、ならねぇんだ。……なあ、政宗」
「Ok」
「んっ」
 胸を吸った政宗の頭が、腹を伝って足の間に移動する。帯に手がかかり、元親は羞恥と安堵に身を硬くした。下帯が外され、怒張した陰茎が解放の喜びに奮い立つ。
「活きがいいな」
「んあっ」
 先端を吸われ、元親は甘く啼いた。政宗の唇が、陰茎をなぞる。ゾクゾクと背骨を震わせ、元親はあえいだ。
「は、ぁ、あ……ま、さむねぇ、あ、ああ」
 心地いい。焦らすような刺激に身悶えながら、もっと強い刺激を求める元親は、膝を立てて足を大きく開き、政宗の頬に手を伸ばした。
「あ、……政宗ぇ」
「蟹を食おうと、言っていたな」
「へ?」
 政宗が、蟹足の殻を手にする。なにをするつもりだと問う前に、蟹の足先を鈴口に埋められた。
「はひっ、ぁ、ああっ」
 鈴口を蟹の足先で抉られて、元親はあられもない声を上げた。先走りがあふれる。それを受け止める舌の淡い刺激と、先端の激しい快楽にはさまれ、元親は足を泳がせた。
「ぁはっ、は、まさっ、む……あぁああ、そんっ、ぅう」
「どうだ。蟹の味は?」
「ぁんぅうっ、味っ、わかんな、あ、ぁああっ」
「旨くて、ヨダレを垂らしてんだろ? 洪水みたいに、あふれてるぜ」
「ひっ、ひんっ、ぁ、ぐりぐりっ、そんっ、ぁ、あああっ」
 元親は思わず足を閉じた。政宗の体を挟み、体を丸めて腕を伸ばす。
「ひんっ、ひぅうっ、それぇえ、あ、ああっ、まさっ、むねぇえ」
 神経の全てが陰茎に集中する。元親は涙を浮かべて訴えた。
「ぁはぁあ、それっ、ぐりぐりぃいっ、あ、ぁあ、こわれちまぅう」
「とっくに壊れてんじゃねぇか? ダラダラあふれて止まらないぜ」
「ひぅうんっ」
 懇願しても、政宗は鈴口を蟹の足先で攻め続ける。元親は先走りと涙をあふれさせ、啼き続けた。
「そんな、可愛い反応するんじゃねぇよ。……もっと、いじめたくなるだろう」
「ッ! やっ、ぁ……これ以上、なにす……ぅううんっ」
 元親の湧き上がる先走りを、政宗の指が尻の谷に導く。
「アンタの好きな場所、かきまわしてやる。……自分で足を抱えて、尻を見せろよ」
 暗く淫靡なほほえみに、元親は胸を轟かせた。言われるままに、自分で膝を抱え、胸に寄せる。
「ま、さむねぇ……」
 腰のあたりで欲が渦を巻いている。それをなんとかしてほしくて、元親は腰をくねらせた。
「Well done」
 低く艶やかに、政宗に褒められる。元親は下唇を噛み、足をさらに引き寄せた。獰猛な艶麗に顔をゆがめた政宗に蜜嚢を含まれ、秘孔の口を指の腹でくすぐられる。
「ふっ、んぅうっ、はふっ、うう」
「ヒクヒク動いて……、ねだってんのか?」
「んんっ、早くしろよぉ」
「ったく……、堪え性がねぇな」
「誰のせいっ……あ、ああ、あ……っ」
 政宗の指が秘孔に埋まる。蜜嚢をあやされながら秘孔をさぐられ、元親は喜びの密をしたたらせた。
「はっ、ぁ、ああっ、もっとぉ、なぁ、あっ、政宗ぇ」
 射精したくてたまらない。元親は自らを扱いた。
「おいおい。そんなにガマンが、できなかったのか」
「んぅうっ、さんざん焦らしたのは、ぁあっ、どこの、どいつ……あっ、うう」
「なら、お詫びに最高の思いをさせてやる」
 政宗の指が激しくうごめき、内壁の過敏な箇所を集中的に刺激する。元親は首を振って涙を流し、苦悶の狂喜を示した。
「ぁはぁああっ、すごぉお、あ、はげしっ、ぃああっ、いく、ぁあ、いくっ、いぁあああっ!」
 甘い叫びとともに、精を吹き出す。政宗の指が抜かれ、すぐさま太く熱いものが埋め込まれた。
「ふぁあああっ?!」
 放ち終える前に貫かれ、突き上げられて、元親は混乱した。
「ああっ、あ、はぁあっ、まさっ、む……っ、俺、まだっ……イッ……途中ぅう」
「イキながら突き上げられんの、好きだろう?」
「は、はぁうううっ」
 容赦なく攻めたてられ、元親は全身で政宗にしがみついた。
「らめぁあ、とまんねぇ、とまんねぇよぉおっ」
「そんだけ、気持ちがいいんだろう? 蟹のように、泡を吹くまで犯してやるよ」
「ひぃいいっ、政宗ぇえ、ああっ、いいっ、よすぎて、ぁあ、だめぁああっ」
 体中で政宗にすがりつき、身悶える。突き上げられながら口腔をむさぼられ、胸乳をいじられた元親は、宣言どおり泡を吹くほど乱され、声をからした。
「ぁひぅううんっ、らめぁ、ああ、もぉお、もっとぉ、も、しんじまぅううっ」
 忘れ去られた食べかけの蟹は、そっと現れた野良猫に持ち去られた。
2016/03/01



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