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抽悶の多い凌履窴

 こんなことになるなんて、思ってもみなかった。
 長曾我部元親はぼんやりとした目で、澄み渡った青空を見上げた。さわやかな景色とは裏腹に、体には生臭い独特の匂いがたっぷりと染みついている。体温で強くなる匂いに鼻孔をくすぐられると、体の奥が熱くただれた。ヒクリと動いた肉輪から、たっぷりと注がれた粘液が零れ落ちる。
 ふう、と息を吐いた唇は、淫靡な笑みに歪んでいた。
 のそりと人の気配が動いて、元親は気だるい腕を持ち上げた。
「まだ、足りてねぇのか」
 叫びすぎて、声はかすれていた。喉が渇いている。が、欲しいのは水ではない。ねっとりとした、喉の渇きを癒すのにはふさわしくないものだ。
 自分の体に起こった変化を、理解しているわけではない。ただ、本能が受け入れていた。
 元親の抜けるような白い肌には、無数のうっ血が散っている。鍛え抜かれた肉体の、盛り上がった胸筋にぷっくりと浮かんでいる蕾は、うっ血よりも鮮やかな色に染まっていた。ツンと尖って存在を主張している箇所が、可憐にわなないている。
 みっしりとした肉体は、白濁した液にまみれていた。白銀の髪は汗で湿り、左目を覆う紫の眼帯は肉欲の液で濡れている。
 本当に、どうしてこんなことになってしまったのか。
 考えることもおっくうで、それよりも体の底から湧きおこる劣情をどうにかしたくて、元親はたっぷりと愛撫された体を起こした。
「まだ、食い足りねぇってヤツはいるか?」
 唇を舐めれば、手が伸びて来た。
「食い足りないのは、そっちだろう? いやらしい孔が、もっと食いたがっているぜ」
 細身の女の腰ほどもある、たくましい太腿が開かれる。元親は膝を引き寄せて、与えられる衝撃を待った。ズンッと深い場所に衝撃が走る。
「ひぎっ、ぁ、い……いいっ」
 息が詰まるほどの衝撃に、うっとりと目を閉じると、ガツガツと腰を打ちつけられた。奥をこじ開けるほどに長い欲棒の先から、いやらしい液があふれている。濡れそぼった元親の肉壁が、それを吸おうと蠕動した。
「は! あんだけ食い散らかしておいて、まだこんなに絞まるのか」
 男が勇躍し、元親は嬌声を放った。
「んはぁあっ、ひっ、ひぃいっ、あ、ああ、奥っ、あ、はぁああ」
 亀頭のエラで奥の扉をめくられて、元親は啼いた。焦点を濁らせた笑みは、凄絶な色香を漂わせている。それを見た男たちが、ひとり、またひとりと元親の傍に戻り、天を向いた腰のものを扱いた。
「さすがは、西海の鬼だ。どんだけヤッても、枯れやしねぇ」
「しかし、こんなにスキモノになるとはなぁ。ヤりはじめは、生娘みてぇに硬かったのによぉ」
「こんだけの人数にマワされ続けたら、嫌でも慣れるだろうぜ」
「だからって、堕ちるの早すぎだろう」
 堕ちたのはオメェらだと、元親は犯されながら心中でうそぶいた。俺の体から、もう離れられねぇだろう?
「おい、早く変われよ」
「まだ、突っ込んだばっかで、すぐに出るモンじゃねぇって。もっと味わわせろよ」
 ほうらな、とほくそ笑む元親の顔に、ずいと陰茎が差し出された。
「仕方ねぇな。なら、とりあえずコッチで楽しむか」
 鼻をつままれ、息の道を口に限定されて、元親は大きく口を開いた。そこに、陰茎を押し込まれる。
「ぐぼっ、ぉ、ぐぅう……う、んぉおっ」
 喉奥を突かれると、息苦しさに涙があふれた。それを見て、男たちが優越の笑みを広げる。
「おら、手が空いているだろう。扱けよ、淫欲の鬼」
「その呼び名は、いいな。おまえはこれから、西海じゃあなく、淫欲の鬼だ」
「淫蕩の海でイキまくる鬼ってか。ふるってるな」
 下卑た笑いを浴びながら、元親は両手に陰茎を掴んだ。どいつもこいつも元親を求めて、熱くたぎらせている。余った男たちは元親の肌に陰茎を擦りつけたり、乳首に指を伸ばしたりと、めいめいに楽しみはじめた。
「んぐっ、んぉ……ほっ、ぉぐぅうっ、んぶぅう……っふ、おぅううっ」
 口の中に、もう一本突っ込まれる。縦横無尽に口腔を冒されて、元親は舌を動かし双方の亀頭を舐った。
「んっ、ほぅ……いい舌使いができるようになったじゃねぇか」
「これも、俺たちの教育のたまものだな」
「くっ、ぅう」
 元親の秘孔を味わっていた男が放った。ドプリと熱いものを注がれて、元親も精を漏らす。
「出したんなら、さっさと変われよ」
 ズルリと柔らかくなったものが抜けて、注がれたものがつられて流れた。すぐに別の陰茎が突き入れられる。
「んほぉおっ!」
 二本目は、長さは標準だったが太かった。ミチッと肉壁が悲鳴を上げる。何本も咥えさせられ、広げられていなければ痛みを覚えるかもしれない。それほどに太い肉欲の持ち主は、ゆっくりとした動きで元親を味わった。
「んっ、ほぁ……ふ、ぅおお……ぉうんっ、は、はふぅう」
「おいおい、腰を振ってんぜ。もっと激しくされてぇってよ」
「焦らして遊んでもいいだろう? ガツガツ行くだけじゃ、つまんないしよぉ」
「後が詰まっているってことも、考えてくれよな」
「悶える姿を見るのも、一興だぜ」
 そう言った男が、たっぷりと酒の入った徳利を持ち上げる。
「鬼の媚態を眺めつつ、一杯やるってヤツはいねぇか?」
「そいつぁ、いいな。旨ぇ酒になりそうだぜ」
「んぐっ、ぶっ、ぉぐっ、げほっ、げほ」
 口の中で弾けられ、むせた元親の頬を別の陰茎がつつく。
「咥えられてぇのは山々だが、イイ声を聞きたくもあるしなぁ」
 舌を伸ばして咥えようとした陰茎が、遠ざかった。
「んぁっ、は、あはぁうう……んっ、く、ぅううっ」
 解放された元親の喉から、甘く艶やかな啼き声がこぼれ出た。
「おう、いい声だ」
「どいつが一番、いい音色を奏でさせられるか、勝負といくか?」
「そりゃあ、なかなか風流な思いつきだなぁ」
 ゲラゲラ笑う男たちは、陰茎を屹立させたまま盃を手に酒宴をはじめた。元親に埋まっている男が、極太の張り出しで肉輪の口を小刻みに擦ってめくる。
「は、はぅっ、んぁ、あっ、はくぅうっ、んぁ、あっ」
 入り口の強い刺激に、媚肉の奥がヒクついて不満を訴えている。元親は太い腕を伸ばして、男の肩を掴んだ。
「あ……奥、に……来いよ……ぉ」
「あぁ? 肉奴隷が、なにを偉そう……にっ?!」
 元親は男を押し倒し、のしかかった自重で陰茎を奥まで呑み込んだ。
「ひはぁあっ、はっ、ぁあっ、く、ぅうっ」
 男の肩を地面に押しつけ、腰を振り立てて陰茎を味わう。
「おいおい、何やってんだよ」
「腐っても鬼ってところか。すげぇ力だな!」
「犯されたくてたまんねぇってか。いやらしい鬼だぜ」
「啼かせるはずが、泣かされるってか?」
「情けねぇなぁ。アンアン言わせてやるんだろぉ」
 やんややんやとはやし立てられ、組み敷かれた男が怒りと羞恥で真っ赤になる。けれどその顔は、元親の肉筒の心地よさにとろけていた。
 なにが肉奴隷だと、元親は腹の底で嘲笑った。オマエらこそが、俺にたっぷり絞られる肉奴隷だろがよ。
 凄艶な笑みをひらめかせ、元親は男を絶頂へと導いた。
「うっ、ううっ」
 男の精が元親の内部に放たれる。ゆらりと立ち上がった元親は、背後から体当たりされて前にのめった。四つん這いになったところで、胸筋をわしづかまれる。
「はぁあ。揉みごこち、たまんねぇなぁ」
 グリッと乳首をひねられて、元親は喉をのけぞらせて悲鳴を上げた。
「んひぃいっ!」
「おうおう、今度はお馬さんごっこかよ」
「乳首に手綱をつけてやろうか」
 笑い声に包まれて、元親は乳首の刺激に目を細めた。尻に硬いものが当たっている。さっさとそれを突っ込みやがれと、元親は体を揺らした。
「はああ、雄っぱい吸わせろよぉお」
 背後からしがみついておきながら、何を言っているんだと呆れつつ、元親は背中に腕を回して男を引きはがし、抱きしめた。バフンと胸筋の谷に顔をうずめた男は、ヘコヘコと腰を動かしながら、胸筋を揉みしだきつつ乳首に吸いついた。
「ふはっ、ぁ、ああっ」
 キュウキュウ吸われる乳首から、心地いい快感が下肢へと走る。元親の陰茎がビクビクと脈打って先走りをこぼすと、ニヤニヤしながら近づいてきた男がしゃぶりついた。
「ぉほっ、ぁ、はぁううっ、んっ、ぉお」
 ジュルジュルと亀頭を吸われて、気持ちがいいと身もだえる。痴態に惹かれた男が、クパクパわななく秘孔に怒張した欲を押し込んだ。
「んぎっ、ぁひ……は、ぁああううっ」
「おうおう、グチョグチョになるぐれぇ子種を呑まされたくせに、こんなに絞まりがいいのかよ」
「んはぁあ、あっ、ああううっ」
「くっ、ぁあ……そうか。乳首と魔羅をしゃぶられて、より絞まりがよくなってんだな。こいつぁ、いいや」
「ひぎっ、ぁ、はぁううっ、んふぉおっ、いいっ、く……ああ、いい……」
 肉壁をえぐるように腰を回す男の抽挿に、元親は歓喜を示した。乳首はジンジンと痺れるほどに吸われ捏ねられ、犯される前よりも肥大している。過敏になった箇所への刺激は、脳髄を白ませるほどだった。
「ふはぁあっ、あ、ああんっ、あ、はぁあ、は、ぁあああうっ、く、ぁああんっ」
 ゴリゴリと内壁をえぐられながら、乳首も陰茎も吸われ扱かれ捏ねられて、元親は涙を流しながらあえぎつつ笑みを浮かべた。ここにいる男のすべてが、自分の糧となる。もう誰も、自分に逆らうことはできないのだと、肉体が確信していた。上位に立っている気でいる男たちのたわいない愚かさが、可愛くもある。
「んほっ、は、ぁはぁううっ、く、もっと……ああ、いい……もっとだ、ぁあっ」
 全身でねだる元親の耳に、勇ましい叫びが届いた。
「兄貴ぃいいい!」
 聞き覚えのある声は、元親配下の者たちだ。乱入してきた部下たちが、次々に裸身で無防備な男たちを叩きのめす。元親を犯していた男も、射精をするより先に蹴り倒された。
「大丈夫ですかい、兄貴!」
 精液でドロドロになっている元親の姿に、部下たちは痛ましく顔をゆがめた。元親はグイと顔の精液を腕でぬぐうと、会心の笑みを浮かべて立ち上がった。秘孔からドロリとこぼれた粘液が、太ももの肉筋を伝って落ちる。
 ゴクリと喉を鳴らした部下たちに、元親はいつも通りのさわやかな笑みを向けた。
「よく来たな、野郎ども! この奥に、湧き水がある。たっぷりと補充して戻るとしようぜ」
 かすれてはいるが響きのいい声に、部下たちは力強く「応」とこぶしを振り上げた。

 圧された男たちを放置して、元親は近くの川で体を洗った。さっぱりとした白い肌には、うっ血の跡が残っている。それさえなければ、いつもと変わらぬ雄々しい偉丈夫だ。どっしりと力強い足取りで戻ると、部下たちが湧き水を自慢の巨大船、富嶽にせっせと運んでいた。叩きふされた男たちは、木陰にまとめられている。気絶したままの男たちをながめる元親に、部下の一人が声をかけた。
「兄貴、あいつらどうしやす?」
「なにもできやしねぇさ。放っておきゃあいい」
「ですが……兄貴」
 部下の視線が元親の乳首に触れた。ピンと尖った乳首は、ふっくらと赤く熟れている。ニヤリとして、元親は部下の肩に腕を乗せた。
「吸いてぇのか?」
 とたん、部下は真っ赤になった。
「い、いや、そんな……その、兄貴」
「なんでぇ」
 視線をさまよわせた部下は、視線を落としてつぶやいた。
「もっと早く、兄貴を見つけらんなくって、すんません」
「なぁに、気にすんな」
「でも! 兄貴は……あいつらに……っ」
 グッと悔しそうに奥歯を噛んだ部下に、元親は顔を寄せる。
「気に病む必要なんて、これっぽっちもねぇぜ? 俺が油断して、あいつらの単純な罠にかかっちまったのが悪いんだ」
「それも、俺達が頼りなかったから……兄貴ひとりに任せちまって、すいやせん」
「オメェらの誰かが、巻き添えにならなくてよかったぜ」
「……兄貴」
「それよりよぉ、与吉」
 声を潜めて、元親は艶冶な笑みをひらめかせた。
「あいつらに好きに食われちまったせいで、どうやら俺はすいぶんとスキモノな体になっちまったらしいんだ」
「えっ」
「長旅じゃあ、女日照りの飢えも出てくるだろう? 俺で解消できるんじゃねぇか」
「そ、そんな……兄貴で、なんて」
 うろたえながら、与吉はまた元親の乳首を見た。目の奥に劣情を見つけた元親は、グッと胸を与吉に近づける。
「こんな体になっちまった俺をなぐさめちゃあ、くれねぇか?」
 ゴクリ、と与吉の喉仏が動いた。
「お、俺で……いいんなら。けど、兄貴……俺だけ、そんなイイ目を見ても、いいんですかい?」
「安心しろ。与吉だけじゃねぇ。俺に欲情できるってぇヤツは全員、食わせてもらう。鬼の相手をするんだからな、与吉ひとりじゃ荷が重いだろう?」
 安堵と落胆をない交ぜにした与吉の背を叩いて、元親は腰に手を当てると声を張り上げた。
「よぉし、野郎ども。水はこれで補充ができた。あとは、食料だ」
「それなら、兄貴。俺達、果物を見つけやしたぜ」
「獣も仕留めて、血抜きをしてます」
「兄貴が水を探してくれている間に、食いモンは補充できてます」
「そうか。そいつぁ、御苦労だったな」
「兄貴こそ……その」
 元親はパァンと胸を叩いて、小気味いい音をさせた。
「気に病むんじゃねぇよ。……この世で一番強い男は?!」
 大音声で元親が言えば、アニキと部下たちが声をそろえる。
「なら、俺が大丈夫だってぇことは、よぅくわかってんだろう? おう、野郎ども。これからムラムラするってんなら、ひとりでヌかずに、俺がたっぷりヌいてやる。なんなら、出航前に全員でひと暴れといくか?」
 ニィッと元親が犬歯を見せれば、とまどった顔を見合わせた部下たちが互いの様子をうかがった。
「俺には欲情できねぇってのか?」
「そ、そんなことはねぇです、兄貴」
「俺、助けに来たのに、すんげぇアイツらがうらやましくって」
「俺だって、兄貴に魔羅をぶち込んで、ヘコヘコやりてぇです!」
 わあわあと口々に言う部下たちに、元親は深く大きくうなずいた。
「そんなら今夜は、出航前に酒池肉林の宴と行こうじゃねぇか! もう子種は出せねぇって言わせてやるから、覚悟しておけよ、野郎ども!」
 木々を震わせるほどの歓声が上がり、部下たちは今夜の楽しみをじっくりと味わうために、キビキビと湧き水を船に積み込んだ。船旅の間の食料だけでなく、今夜の宴のための食糧も捕りに出かける。
「ついでに、アイツらを叩き起こして、酒を分けてもらうとしようぜ。この鬼をタダで食い散らかしたんだ。対価をもらっておかねぇとなぁ」
 元親の言葉を、部下たちはすぐさま行動に移した。引き起こされて連れていかれる男たちを一瞥し、元親は空を見上げる。
 こんなことになるなんて、思ってもみなかった。
 この俺が、抱かれる側になるなんてよぉ。
 水を求めて森に深く入り込み、罠にかかって荒っぽい島民たちの慰み者にされた。だが、その行為は元親の奥深くに眠る肉欲を呼び覚ましてしまった。抵抗していた自分が、いまでは信じられないくらい、体が疼いてたまらない。
 たった数刻前の自分と、今の自分は全く違うと元親は目を細めた。
 澄み渡った青空とおなじくらい、胸の裡がすがすがしい。
 こんなことになるなんて、思ってもみなかった。
 だから、船旅は面白い。
 獰猛な笑みをにじませて、元親は富嶽に足を向けた。島民たちは、もうすっかり元親の虜になっている。男たちは元親を征服しているつもりで、肉欲のために従属する立場となっていた。
 己の肉体ひとつで、元親はこの島を乗っ取った。船旅の新たな足がかりを得た元親は、次はどちらに舳先を向けようかと、陽光をちりばめた海面の先へ視線を投げた。
2018/03/29



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