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嗜淫の宴

 自分にこんな願望があるなんて、知らなかった。
 白く抜けるような肌が、月光を浴びて淡く輝いている。その表面には、汗とねばついた体液が付着していた。
「んぁ、あっ、は、ぁあ……あっ、あっ」
 鼻にかかった甘い声が、自分の喉から出ているとは信じられない。唇が喜悦にゆがんでいると自覚しながら、長曾我部元親は常人よりもひとまわり以上もたくましい肉体を劣情にくねらせる己を受け入れられなかった。
 酒の席で、たわむれにはじまった児戯に等しい破廉恥な遊びが、本気の情交に代わるなど誰も思いもしなかった。卑猥な冗談が飛び交う中、酒酔いに任せた冗談で胸筋を乳房に見立てて遊び女の真似をしたのが始まりだったか。それとも、若い衆が女の真似事をして大笑いしたのがきっかけだったか。
 今はもう、思い出せない。
 ただ肉欲に溺れる本能と、わずかに残った漢の矜持のはざまで揺れることしかできなくなっていた。
「んぁあっ、あ、ひ、ぃいっ」
 快楽の緊張に胸筋がビクビクと痙攣する。先端に色づく桜貝に似た愛らしい突起に、荒れた指が絡みついた。かさついた指でこすられて、甘い痺れに悲鳴が漏れる。
「はぁう、ぅうんっ、あっ、ああ」
 細い女の胴ほどもある太腿が、日焼けをした男の腕に抱えられ、間にそびえる陰茎に無数の視線が集まっている。触れられていないそこは、先端から淫靡な液を溢れさせ、血管を浮かせるほどに怒張していた。根元に茂るものは元親の髪とおなじく白銀だった。
「んっ、ぁ、ああ……ぁう、く」
 どういうわけか、男たちは弾む肉欲に触れようとはしない。乳首や脇、手首や首筋、足の付け根や足指などは恍惚の表情でしゃぶりついているというのに、肝心なところには手を出してこない。わかりやすく快感を得られる箇所を責められることなく、これほど乱れてしまっている自分への羞恥に快楽が増していく。
「ふぁあ、あっ、あ、ん、ぁあ」
 やめろ、という言葉は元親の喉から先に出ていかない。彼らを止める気持ちが少しも湧かなかった。
(なんで、俺は……こんなことを許してんだ)
 わからない。わからないが、気持ちがいい。恥ずかしいが、だからこそ充足を味わえるのだと奥底に潜む何かが言っている。
「んっ、ぅ……はぁ、あっ、ああ」
 コリコリと硬くなった乳首を指で転がされて胸がうわずる。紫色の眼帯に覆われていない右目が欲望に蕩けていた。
「ふは、ぁっ、ああ……あっ、んぅ」
 自分の肌を蹂躙している男たちの目は、獣性に満ちていた。獲物として見られている興奮に、元親の陰茎は淫猥な液を流し続ける。
「は、あ、ふぅ……あっ、ぁ」
 太腿を掴んでいる腕が持ち上がり、元親の尻は床から高く浮かび上がった。尻に指が食い込んで、左右に開かれる。奥にひっそりと隠れていた可憐な箇所が男たちの視線を受けて、ヒクリとわなないた。取り巻く空気に粘り気が増して、雄の匂いが強くなる。男同士の経験は無くとも、何を望まれているのかは容易に察せられた。
(ケツを、狙ってやがる)
 キュウンと心臓が委縮して、視線を一身に浴びている菊花も締まった。誰もが指を伸ばしたがっている。だが、実行に移す決定的な何かが欠けていた。誰もが淫猥な嵐の渦に巻かれていながら、飛び込む勇気を持てないでいる。酔いが足りていないのか、いままでの関係性が本能を押しとどめているのか。
「ふ、ぁ……あっ、んぁあ」
 しかし愛撫は止まらない。元親の白い肌に、男たちに吸われた痕が増えていく。左目を覆う眼帯よりも濃い色は、情動の強さを表していた。
「ふ、ぁ」
「兄貴……いやらしい液が、尻まで垂れてますが……チ〇ポ、扱かれてぇんですか」
 震える声でかけられた問いは、期待が含まれていた。元親が答えれば、彼らは遠慮を忘れて蹂躙をするだろう。黙っていれば、このまま双方生殺しだ。
(俺は……俺は、どうしてぇんだ)
 わからない。正常な判断と態度を取るならば、全力で抵抗をして全員の頭を小突いて、やりすぎだと叱るべきだろう。だが、そうしたくない気持ちがある。
(なんで、俺ぁ)
 多くの者をまとめあげて、導いていく立場であるはずの自分が、凌辱されたがっているのか。わからない……わからないが、このままではらちが明かない。
「ん、ぁあ……イッ、イキてぇ」
 だから元親は、ずるい言い方をした。頼むのではなく、ただ自分の体の状態を口にした。扱いてほしいと頼まずに、男たちの手が自分に伸びる道を選んだ。
「兄貴、ビクビクに脈打ってますもんね……つらいでしょう」
「楽になりたいですよね」
 ふたつの声が陰茎に触れて、先端と根元に柔らかな刺激が走った。
「はふぅんっ……は、ぁ」
 うっとりとした吐息が漏れる。亀頭と舌先でくすぐる男と、下生えをかきわけて根元を舌でなぞる男の呼気が、濡れた肌を心地よくざわめかせる。
「んは、ぁ、ああ……は、ぁう」
 獣が水を飲むようにチロチロと舐められて、元親はうっとりと目を細めた。快楽に波打つ腹筋に別の男の舌が這い、乳首が吸われた。
「んほぉ……ぁ、はひぃ」
 パンパンに膨らんだ陰嚢をしゃぶられて、快感の緊張に太ももが膨らんだ。浮かんだ肉筋を舌でなぞられ、全身をビクビクと痙攣させる元親の尻に軽く歯が立てられた。
「ひっ、ぃ……ぁ、ああ」
 いよいよか、と覚悟を決めた元親は、菊花に濡れたものが触れるのを感じた。ググッと押し込まれたそれは、ヒダをほぐすようにうごめいている。細めた舌で割り開かれているのだと、元親は目を閉じた。たっぷりと濡らされた後は、自分を慕う男たちの怒張に蹂躙される。未経験の肉壁が緊張に収縮した。
「ふぁ、あ、ん……は、ぁふ……うっ、ぅ」
 陰茎にまとわりつく舌の持ち主は、次々に変わっていった。誰もが元親の体液を譲り合っている。もどかしい刺激は拷問に等しかった。吐き出す寸前で留め置かれている蜜が、脳みそをふやかせる。
「ぁはううっ、う……く、んぁ」
 小刻みに震える元親の鼻に、嗅ぎなれた青臭い匂いが届いた。誰かが射精をしたらしい。それにつられたのか、短いうめきが聞こえて精液の匂いが濃くなっていく。
「んぁあっ、あ、ふ、ぅうっ」
(俺は、まだだってぇのに……っ、なんで)
 俺も、と言いかけて口をつぐんだ。ねだれるほどに理性は溶け切っていない。あと一歩のところで正気を手放せない己が歯がゆい。鍛え抜かれた筋肉を膨らませて、元親は耐える必要が見いだせない劣情に抗った。
「兄貴ぃ」
 泣き出しそうな声で呼ばれた。ねっとりとしたものが肌に塗りつけられる。ひとりがすると、他の者たちもそれに倣った。男たちの精液が元親に塗布される。そのうちの指のひとつが、おそるおそる菊花に押し込まれた。
「ひぅっ、あ、ああ」
 とうとう来たと、元親は心臓を跳ねさせた。指は内壁を探りながら奥へと進む。小刻みに痙攣する肉壁は、節くれだった太い指を追い出さなかった。指の動きは大胆になり、肉壁がほぐされる。
「んふぅ、うっ、く……ぁ、ああ」
 元親の声に苦痛がないと判断したらしく、陰茎の愛撫同様、菊花をまさぐる指も入れ代わり立ち代わり、元親を翻弄した。
「はふっ、ふ、ぁ……ああんっ、あっ、ひ、ぃいっ!」
 ある指が快楽点を発見し、元親は目を白黒させた。陰茎の先から液がブシッと吹き出すと、歓声とも吐息ともつかない声を男たちが漏らす。代わる代わる挿入される指は内的にある一点を探り当て、執拗にそこを責め立てた。しかし絶頂が近くなると、ふっと抜けてしまう。
(ああ、もぉ……たまんねぇ……くっそ)
 痛いほどに張り詰めた陰茎がつらくてならない。見ている者はわかっているはずだが、主張するために元親は体を揺らした。
「そんなに体を揺らして……もしかして、兄貴……突っ込まれてぇんですか?」
 期待のこもった熱っぽい声に息を呑む。射精を望む動きが、そっちに取られるとは思わなかった。ハッとした元親の内壁が収縮し、飲み込んでいた指を締め上げる。
「ああ、兄貴……そんなら、たっぷりと犯してさしあげますからね」
「な、ぁ……違う、俺ぁ……っ」
「心配しなくとも、俺たちだけの秘密にしますから」
 イキたいだけと言いかけて遮られた。陰茎を強く握られてうめいていると、尻孔にぬめり気のある硬いものが押し当てられる。
「あっ」
「いきますぜ、兄貴」
 グッと押し広げられ、あまりの圧迫に元親はのけぞった。
「か、はぁあああっ!」
 尻に肌がぶつかって、根元まで埋め込まれたのだとわかる。貫かれた衝撃に小刻みに痙攣し、衝撃に詰まった息を抜こうとするより早く、抽挿が始まった。
「ぁひっ、が、ぁぐっ、う、ひぃいっ!」
 数回突かれると、元親の陰茎は弾けた。キュウッと内壁が締まっても、貫く動きは止まらない。突き上げられるままに揺れる陰茎が精液をまき散らす。
「ぁ、はふぅうっ、あっ、あっ、ああ」
 射精の余韻を味わう間もなく与えられる刺激に、体中が甘い痺れに浸される。先走りを溢れさせて擦り付けられる陰茎が弾けて、体内に熱い液を注がれた。
「はひっ、は、ぁ、ああ」
 内側に満ちた液体が体に溶けて、脳髄を侵食する。ずるりと抜け出した熱の傘が入り口にひっかかった。
「はぅっ」
 めくられた菊花がクパクパとうごめき、次の陰茎が押し当てられた。
「ぉほうっ!」
 ズンッと重い衝撃とともに奥に来た熱は、さきほどのものより細身だが長かった。ブツッと何かが突き破られた感覚に、目を見開いた元親の脳裏に言葉がひらめく。
(き、気持ちいい)
 何度も奥のヒダを亀頭の傘で弾かれた元親は、あまりの快感に涙をにじませて獣のように吠えた。
「んおっ、おっ、おふぅうっ、ひ、はぁあっ、あぅ」
 声を上げるごとに擦る動きは速くなり、奥のヒダの先に熱波を叩きつけられた。
「ぅほぁああうっ」
 ビリビリッと背骨に悦楽の電流が走る。余韻が覚める前に次の欲情を呑まされて、雄たけびを上げた。
「んほぁあっ、はひっ、は、はぁううっ」
 肌のぶつかる音が響く。パチュンパチュンと濡れた音も合間に聞こえた。何本目かわからなくなるほど犯されると、グズグズに溶けた内壁は肉欲に媚びるようにまとわりついた。
 寸の間も陰茎を咥えていないと落ち着かない。ぐちゅぐちゅにかき回されていないと、物足りない。
 その頃になると、理性も何もあったものではなかった。
「そんなにチ〇ポが欲しいんですか?」
 嗜虐的な色を含んだ声に、興奮が増す。
「んぁあっ、欲しい……もっと、ぁ、奥をブチ抜いてくれよぉ」
 懇願は男たちの情欲をあおり、元親の劣情をさらに高めた。ひくつく秘孔から、泡立った精液が零れ落ちる。ぐにぐにと胸筋を揉まれ、乳首をつねられながら肉壁をえぐられると、えもいわれぬ恍惚を味わえる。
「ぁひぃいいっ、は、ぁあ、もっとぉ、あ、ああ」
「淫乱ですねぇ。うれしそうな顔をして……兄貴のチ〇ポ、イキッぱなしで、だらしないですぜ? 縛っておきましょうか」
「んぁあっ、あっ、紐……っ、や、ぁく、ううっ」
 酒を入れていた徳利の首に巻き付けていた細縄で、きつく陰茎を縛られた。ビクッビクッと脈打つたびに、縄が食い込んで痛いけれども気持ちいい。
「ぉ、はぁあ……はぁううっ、チ〇ポ……食い込んで、あっ、縄ぁ……あっ」
「痛いんなら、舐めてあげますね」
「ぅひっ、は、ぁあ」
「ねぇ、兄貴。そんなにチ〇ポが好きなら、しゃぶってくださいよ」
「ぉぐっ、う……むっ、ふぅ……ん」
「うまそうに食いますねぇ。次は、俺のチ〇ポも味わってくださいね、兄貴」
「んぉふ……ふぐぅ……んぅお、おふぅ」
 目を動かすと快楽にたわんだ視界に、たくましい陰茎がいくつも映った。それぞれが何度、元親の内側に欲情を注いだのか。誰も覚えてはいないだろう。いじられ過ぎた乳首は腫れあがり、真っ赤に熟れて吸われるのを待っている。
「次は、背後からいきますよ」
 大柄な男が元親を膝に抱えた。座位で貫かれた元親の前に、ふたりの男がしゃがんで舌を伸ばす。両方の乳首を吸われ、陰茎と陰嚢を指でもてあそばれて、元親は体を揺らして喜びを表した。
「んはぁ、は、ぁふう……お、ほぁあ、ああっ、あ」
「ちょっとも待てないって乳首が主張してたんで……どうです、兄貴? 乳首を吸われるのと、ケツ掘られるのと、チ〇コいじられるの、どれが好きですか」
「ふおぁあっ、ど、どれもぉ……いいっ、ぜんぶっ、ぁ、ああ」
「欲張りだなぁ。ま、それでこそ俺らの兄貴だ!」
「全員を受け止められる度量と体力は、さすがっスね」
「兄貴ぃ……俺のチ〇ポ、出そうなんで慰めてくださいよぉ」
 唇に亀頭を擦りつけられて、元親は口を開いた。先端を舐めようと舌を伸ばせば、喉奥まで押し込まれる。
「ぉぐっ、う……っ」
「ああっ、兄貴の口、すっげぇ気持ちいいいです……ケツもいいですけど、こっちも最高だぁ」
「兄貴、脇を閉めてください。俺、兄貴の脇でいイキたいっス」
「なら、俺は指で……チ〇ポにぎにぎしてください」
「ぁあ、兄貴ぃ」
「兄貴、すっげぇエロい顔でヤバいですよ」
 体の表面も奥も精液にまみれた元親は、求めてくる彼らが可愛く思えた。嗜虐的な目をしながらも縋りついてくる男たちを、甘やかせている気分になる。全力で受け止めてやりたいと、快楽の先にぬくもりを見つけた元親は、全員の精液を絞りつくしてやろうと決めた。
「は、ぁあ……もっとぉ、あっ、チ〇ポ……くれよぉ、いっぱい、ナカに……ああ、ほらぁ、ここに……なぁ」
 足を広げて誘う元親の媚態から、逃れられる者はひとりもいなかった。
2019/10/22



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