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朝靄に乗じて

 近頃、畑が何者かに荒らされている。その時刻は、闇がいっそう濃くなる夜明け前らしいと、片倉小十郎はつきとめた。
「今日こそは、ひっとらえてやる」
 そう思い、小十郎は畑の傍の藪に身を潜めていた。
 ゆっくりと闇が濃くなり、朝日の昇る気配が滲む。ひやりとした夜気がゆるむのを、小十郎は肌で感じた。山の向こうに茜が見えて、大地が温められる。ひそやかに沈んでいた夜露が、日に温められて空気と混じり、霧になった。
 やっかいだな、と小十郎は眉根を寄せる。この分だと、朝靄は相当に濃くなるだろう。下手をすれば、一寸先も見えなくなるほどになるかもしれない。そうなれば、荒らす相手を捕らえることも出来なくなる。
 風の無い今朝は、靄が晴れるまでに時間がかかりそうだと、小十郎は心中で舌打ちをした。今日のところは、諦めるしかないか。
 そう思う小十郎の耳が、物音を捉えた。こちらに近づいて来るそれは、人の足音だった。一人ではない。畑を荒らしていたのは、獣ではなく人だったかと、小十郎は靄る視界に歯噛みした。これでは、相手を捉える事など出来はしない。
 足音は、徐々にこちらに近付いてくる。相手がどんな連中か、人数はどれほどなのかわからないままに、闇雲に出ていって、怪我をするわけにはいかない。今日の所は、畑が荒らされるのを、黙って見過ごすしかないかと小十郎が諦めたとき、ふいに足音が早くなり、小十郎へ向かってきた。
「っ?!」
 まさかこちらの位置が知られているとは思わず、小十郎は驚きに目を見張った。その目に、靄を付き破り伸びてくる腕が見えた。
「くっ」
 相手は、どういう原理かはわからないが、靄の中でも小十郎の姿が見えているらしい。見えぬ小十郎は、次々に伸びてくる手をかわしていたが、ついに足をとられて引き倒された。
「ぐっ」
「やっと、目当てのものが収穫できたな」
 男の声に、小十郎が目を鋭くした。
「ハナから、俺が目当てだったってぇことか」
「そういうこと」
 ヒヒヒ、と靄の奥から声が聞こえる。
「何が狙いだ」
「すぐにわかるさ」
 言うや否や、小十郎を捕まえている腕の一つが、彼の腰帯を解き着物を開いた。
「ああ、やっぱ、いい匂いがすんなぁ」
「土と汗と、戦場の匂いだ」
 男たちが恍惚とした声を出す。それに、ぞわりと小十郎の背が不快に震えた。
「テメェらの目的は……」
 何だ、と言う小十郎の声が掠れている。
「怯えちゃってんのかぁ? かぁわいいなぁ。これが、鬼の軍師。竜の右目かぁ」
 男たちの声は、あきらかに獲物をなぶるそれである。太くたくましい男たちの腕に押さえつけられた小十郎は、彼らの思惑を察した。
「何を、考えてやがる」
 声を絞り出す小十郎の鼻に、甘い香りが触れた。
「わかってんだろ。だぁいじょうぶだよ。最高の気分になれる薬を、手に入れてあるからさ」
「薬、だと」
 四肢に力を込めて、男たちの腕を払いのけようとするが、手足を抑える男たちは、自分の体重をかけて小十郎を押さえ込んでいるので、びくともしない。みしりと筋肉が唸るほど力を込めても、わずかも動きはしなかった。
「そんな怖い顔、すんなって。そそられすぎて、チ○ポが滾っちまうだろう」
 ゲラゲラと下卑た笑みの渦に包まれ、小十郎は悔しさに唸った。
「すぐに、チ○ポ欲しいって泣いてすがるようになるって。なんせ、南蛮渡来の最高の媚薬って、触れ込みなんだからな」
 小十郎の足が開かれ、下帯が解かれた。男たちが口笛を鳴らす。
「これが、竜の右目のイチモツか。立派なモンだなぁ」
「やめろっ、触るな!」
「すぐに、扱いてくださいって言うようになるって」
 やわらかな小十郎の陰茎を、男がそっと持ち上げる。別の男の手が伸びて、ガラスの瓶を開けた。そこに極細のスポイトを差し込み、中の液体を吸い上げると、鈴口に押し当て、突っ込んだ。
「ひぎっ、が、ぁ」
「ガマンしてろよ。片倉さんよぉ。最初は誰でも、痛いもんだ」
「ひっ、ぁ、がぁ、お」
 蜜筒に、媚薬が流し込まれる。それはすぐに小十郎の肌に馴染み、吸い込まれた。
「たっぷり注いでやるからなぁ」
「ひぎっ、ぁ、が、やめっ、ぁ」
 それから三度、小十郎は媚薬を流し込まれた。最後に流し込み終えると、男はスポイトを小十郎の鈴口に刺したまま手を離し、薬が馴染むように陰茎を揉んだ。
「ぁはっ、く、ぅう」
「具合は、どうだい?」
「く、ぅ」
 じわりと、小十郎の腰の奥が甘い疼きを生み出す。性欲以外の何ものでも無いそれに、小十郎は呻いた。
「っ、放しやがれ」
「まだ、そんな口がきけるのか。さすがは竜の右目さんだ。なら、もったいねぇけど、持ってる媚薬、全部アンタに投与してさしあげるとするかねぇ」
「ぁ、何を、やめっ、ぁ、やめろっ」
「やめろと言われて、素直に聞く強姦魔はいないだろ? 楽しもうぜぇ」
 小十郎の足が高々と持ち上げられ、膝を肩に押し付けられる。靄の影から、自分の陰茎が怒張し震え、その先端に異物が差し込まれているのが見えて、小十郎は目をそらした。
「普通は、この瓶の三分の一でいいらしいんだけど。せっかくの極上の獲物だ。大盤振る舞いで、二瓶、まるまる注いでやるよ」
「ひぎっ、ぁ、やめ、ぁ、く、ぅうっ」
 小十郎の秘孔にスポイトが埋め込まれる。
「まずは、通常の適量」
「んっ、ぅううっ」
 ぬるりとしたものが、小十郎の内壁に注がれた。
「次は、その倍の量」
「ふっ、く、ぅう」
 注がれた液体が、小十郎の肉壁に浸みこんだ。
「三倍目」
「んぅ、ううっ」
 ぶるぶると、小十郎の四肢が震える。
「四倍」
「っ、う、も、やめ」
 感じたことの無い熱を体内に見つけ、小十郎は総身に力を込めた。
「五倍」
「っ、ぅう」
 下唇を噛み、沸きあがるものを小十郎が必死で堪える。
「六倍……これで、終わりだ」
「――〜〜〜ッ!」
 注ぎ追えた男が、スポイトで小十郎の内壁を抉った。声にならない悲鳴を上げ、小十郎が腰を震わせる。下唇を噛んだ小十郎が、興奮した獣のような息を吐いている事に、男たちがゲラゲラと声を立てた。
「さすがの片倉さんも、こんだけたっぷり媚薬を飲まされたら、メス犬になるしか無ぇよなぁあ」
「っあ、ひ、やめ、ぁ、あぁお」
 スポイトが抜かれ、代わりに沈んだ男の指が秘孔を広げ、無遠慮に弄繰り回す。
「嘘をつくなよ、片倉さん」
「軍師だから、俺たちをジらして興奮させようって腹なんじゃねぇのか」
「そんなことをしなくても、グッチャグッチャにしてやんよぉ」
「ひぁっ、が、ぁはぁううっ」
 手足を抑えていた手が離れ、小十郎の陰茎を扱き、鈴口に刺さっているスポイトで蜜筒をえぐり、蜜嚢を揉んで秘孔をいじくった。たっぷりと媚薬を肌に浸み込ませた小十郎の理性が、野欲に飲み込まれる。
「ぁ、は、やめ、ぁ、はぁあ」
「やめていいのかい? 片倉さん」
「ひっ」
 小十郎に触れる手が、離れた。朝靄の中、媚薬に溶かされた体を放り出され、小十郎は自分を抱き締め背を丸め、震えた。
「く、ぅうっ」
 今すぐにでも自慰をし、秘孔に指を入れてかき回したい。けれど、わずかに残った理性が、靄の奥で自分を見ているであろう男たちに、屈した姿を見せられないと叫んでいる。
「ほらほら、どうしたんだよ、片倉さん」
「いじってほしくて、たまんねぇんじゃねぇのか。こんなふうによぉ」
 小十郎の背後から伸びた手が、彼の尻を割った。
「ひぎっ」
 ずん、と重い衝撃を感じ、小十郎が仰け反る。その顎を掴んだ男が、深く小十郎を陰茎で貫いたまま、彼の首に噛み付いた。
「ぐっ、う」
「ケツの孔、チ○ポ突っ込まれて気持ちがいいだろう?」
「が、ぁ、誰が、ぁあ」
「やせ我慢は、体に毒だぜ?」
 男の手が、小十郎の鍛え抜かれた胸筋に触れる。そこにある尖りをひねられ、息を呑んだ小十郎の肉壁が締まった。
「っとぉ。いい具合に締まるじゃねぇか、片倉さん。チ○ポ咥える才能、あるんじゃねぇのか」
 ねっとりと小十郎の乳首をいじくる男に、小十郎は嘲りの笑みを浮かべた。
「テメェらなんぞの、臭ぇチ○ポなんざ、国をやると言われても願い下げだ」
「っ! 優しくしてりゃあ、つけあがりやがって」
「んぁあっ」
 男の怒声を合図にして、再び小十郎の肌に男たちの手が伸び、舌が触れる。胸乳を吸われ、陰茎を吸われ蜜嚢を揉まれながら秘孔を突かれ、小十郎に満ちた媚薬が遺憾無く効力を発揮した。
「ぁ、はっ、ぁはぁううっ」
「オラオラ、さっきまでの威勢は、どうしたんだよ、片倉さんよぉ」
 縦横無尽に付き上げられ、小十郎の熱が上がる。出口を塞がれた子種が逆流するような感覚に、小十郎は涙を浮かべた。溢れる唾液と共に涙を流し、それでも最後の理性は手放すまいと堪える小十郎に、男が子種を注ぎ込んだ。
「くっ、ぅう」
「っ、あ、あぁああああ!」
 高く遠く吼えた小十郎の中で、彼の理性や尊厳を支えていた何かが、砕け散った。恐ろしいほどの勢いで、性欲が小十郎の全てを支配する。
「ぁ、ああ、は、は、ぁあう」
 濁った小十郎の目に、男たちは唇を舐めた。
「ったく。相当な我慢強さだったなぁ、片倉さん」
「さすがは、日ノ本に名を轟かせる軍師だってぇ、褒めておくか」
「だが、もうこの顔になっちまったら、おしまいだな」
 ずるりと小十郎の中から抜け出た男が、くずおれた小十郎の顎を掴んで、自分の陰茎で彼の頬を叩いた。
「ほうら、片倉さん。さっきまで、アンタの中で暴れ回ってたチ○ポだぜぇ? きれいにしゃぶってくれるよな」
「上手に出来たら、イカせてやるよ。イキてぇだろう?」
 男が、小十郎の陰茎を指で弾いた。
「ひんっ」
 ぶるぶると震える小十郎の泣き顔に、男が陰茎を押し当てる。
「貴方の臭ぇチ○ポをしゃぶるので、自分のチ○ポをいじってくださいって、言ってみな?」
「ぁ、あ」
「ほら。どうしたよ、片倉さん」
 ごくり、と小十郎が喉を鳴らし、男の陰茎を眺めながら蜜筒にあるスポイトを抜き、自慰をしながら秘孔に指を入れた。
「ふっ、んぁ、あっ、あ」
「こいつぁいいや! ガマンできずに、自分でケツをいじりはじめやがった」
 男たちが、手を叩いて喜ぶ。自慰をする小十郎の髪を掴み、男が顔を寄せた。
「指なんかじゃ、足んねぇだろう? 小十郎ちゃあん」
「ぁひっ、は、は、ぁあ」
「きちんと、大好きなモノをおねだりできるように、しつけてやんねぇとなぁ」
「ひふっ、は、ぁ、はぁううっ」
「アンタはこれから、肉便器として生きていくんだからな」
「んはぁおおっ」
 小十郎の秘孔に、陰茎が差し込まれる。ゆさぶられながら牡をしごかれ、乳首を吸われ、口内に子種を飲まされた。
「んはっ、はぁぉおっ、ひっ、んぐっ、んぶぅうっ」
 靄でよく見えぬ相手に犯され、媚薬に満たされた小十郎の体が、子種にまみれて淫靡な香りに染められる。ゆっくりと日は昇り、ようやく靄が晴れる頃には、小十郎はもう、竜の右目の顔を失っていた。
「ほうら、小十郎ちゃん。良い子でねだって見せろよ」
 目の前に陰茎を見せつけられて、髪を乱し子種と涙、唾液で濡れた顔に笑みを浮かべ、小十郎が求める。
「ぁ、は、チ○ポぉ、おいしいの、ぁ、しゃぶらせて、くらさひっ、はぁ、あ」
「しゃぶるだけで、満足か?」
「尻に、ぁ、ぶっといの、いれてっ、ぁ、グチャグチャに犯して、ぁ、早くっ、チ○ポ、チ○ポ欲しいっ、ぁあ」
「よく出来ました」
 下卑た笑みに包まれ、小十郎は恍惚と淫蕩の沼に沈んでいく。
「んはぁ、チ○ポっ、ぁ、おいひっ、はぁあ、奥っ、ぁ、もっと犯しっ、乳首ぁあ、ひねって、ぁ、もっと、ぁ、イクッ、イクゥウウ!」
 数刻後。
 いつまでたっても小十郎が自分の傍に来ないことに、不審を抱いた伊達政宗の元へ、片倉小十郎よりの秘密の荷という触れ込みで、つづらが届いた。それは、大人一人がゆうに入れるほどに、大きな荷物だったという。

2014/02/22



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