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山の精

 山の精という妖がいるという。
 その妖は、人を犯す事が何よりも好きなのだとか――。
「下らねぇ」
 暇に飽かせて怪談話をしていた者らが、そんな話を片倉小十郎に持って来た。そして昔、山の精が現れ人を犯し、子を産ませたという場所があるので行ってみないか、と。
「そんなこと言わずに。行ってみましょうよ、片倉様」
「なんでも、珍しい果実が実る木があるってぇ話ですぜ」
「人の足があまり入らない場所だから、土も豊かだって」
 ピクリ、と小十郎の耳が反応をする。野菜作りを趣味とする彼は、土壌作りに強い感心を持っている。豊かな土とはどのような手触りなのか、確かめてみたいという欲が湧いた。
「野良仕事も軍儀も終わっているんなら、ちょっくら、どうですか」
「遠くねぇのなら、付き合ってやってもいい」
 わっと兵らが喜ぶのに、渋々といった態で腰を上げた小十郎だったが、彼らに背を向けたとたんに頬をゆるめた。
 豊かな土か、と口内でつぶやく。今後の野菜作りの参考になるような場所なら、ありがたいと。

 そして小十郎は野良着で山に入った。背には籠を、手には鎌を持っている。頭は手ぬぐいで縛るといった様相で、彼が土壌に興味津々であることは、誰の目から見ても明らかだった。
 そうして小十郎は山の精が人に子を産ませたという話のある場所に到着した。
 踏むごとに足裏を包む柔らかさを有している土に、むせかえるほどの肥えた緑の香り。土に触れなくとも、全身で土壌の良いことを小十郎は感じ取った。
「こいつは、すごいな」
「片倉様。その先の果実は、何なんスかね」
 示された先に目を向ければ、大木に太い蔓が撒きついている。その蔓に、李のような実が生っていた。
「――? 見た事が無ぇな」
 小十郎が足を踏み出せば、蔓が動いた。
「何だ――っ」
 蔓が蛇のようにのたうち、小十郎の四肢に絡みつく。薙ぎ払う前に鎌は奪われ、小十郎は空中に吊り上げられた。
「くそ……何だ、これは」
「片倉様」
「来るんじゃねぇっ!」
 走り寄ろうとした者らを制止する。その声の迫力に、小十郎を案内した者らは身をすくめた。
「くそ……」
 手足に力を込めるが、びくともしない。何より浮いた状態では、力を入れにくい。
 ゆら、と小十郎の目の前で刃物が動いた。蔓が、小十郎から奪った鎌の切先を向けている。
「くっ」
「片倉様」
 蔓がしなり、小十郎が痛みに備えて歯を食いしばり、兵らが悲鳴を上げると共に、小十郎の帯が切られた。ぱらりと袴が落ちて、小十郎の下帯がさらけだされる。
「なっ……」
「ああ、よかった」
 小十郎が驚き、兵らが胸を撫で下ろす。
「待っててください、片倉様。その蔓、俺らが切りますから」
 兵の一人が刃物を手にすると、蔓が猛然と男に襲いかかった。
「うわぁあっ!」
 蔓はあっけなく彼らの持っている刃物を奪い、それらを彼らに向けた。
「くそっ……何なんだ、この植物は」
 ゆらゆらと刃物が兵らを囲む。怯える彼らをどう救えばいいのか、小十郎が頭をめぐらせていると蔓が動いた。
「なっ」
 蔓が無数の産毛から汁をしたたらせる。ぽたりぽたりと雫を垂らしながら小十郎に近付き、肌に絡んだ。
「くそっ」
 毒の類だろうかと身を捩るが、逃れられない。
「片倉様っ!」
 情け無い声が小十郎を呼ぶ。
「そんな声を出すんじゃね――おぐっ」
 兵らを叱りつけようとした小十郎の口内に、蔓が入った。多量の汁が喉を通る。
「ぐっ、ごほっ」
「片倉様あぁ」
 再び叱ろうとしても、蔓に邪魔をされて声が出せない。口内に入り込んだ蔓は液をしたたらせながら、小十郎の口腔を蹂躙した。歯茎や上あごを産毛に撫でられ、舌をくすぐられる。
「んふっ、ぉ」
 そそがれる液を無理やり飲まされ、飲み切れぬものは口からあふれて喉を滑った。
「ぁあっ、片倉様ぁあ」
 液を飲むごとに意識がたわんでいく。叫ぶ兵らの声が遠くに聞こえた。
「んふっ、ぉ、おおぅ」
 ぬめる蔓が肌身を這う。小十郎の形を確かめるように、無数の産毛が細かに揺れて肌をゆく。くすぐったさに身を捩る小十郎の肌が、疼きを拾った。
「片倉様ぁあ」
 植物に刃物をつきつけられ、怯えるという情けない状態で、兵らは蔓に蹂躙される小十郎を見守る。蔓は汁を垂らしながら小十郎にまとわりつき、細い先端を彼の乳首の先に突き立てた。
「んぉうっ」
 ビクンと小十郎が強張る。男が使うことの無い乳腺の口を、蔓の繊維がくすぐり広げ、汁を滲ませる。胸の先から奥へと沁みる液体が、小十郎の体の奥にある濃密な性欲を刺激した。
「んふっ、ぅ、ぅう」
「片倉様の乳首に、何やってんだ。植物の分際で……っ、ひぃ」
 口だけは威勢のいい兵らが、植物に脅されて口をつぐむ。
「あ、おい……片倉様の魔羅」
「あっ」
 兵の一人が気付き、他の者らも小十郎の下肢の変化に目を向けた。彼らの声に導かれ、小十郎は陰茎に熱が走るのを意識させられる。
「んはっ、……はぁ、お前ら、見るんじゃねぇ」
「でも、片倉様」「見るなっ、ぁあ」
 蔓が小十郎の下帯を剥ぐ。ぱさりと落ちた下帯の奥に隠されていた小十郎の陰茎がさらされた。
「さすが、片倉様の魔羅だ」
「でっけぇ」
 兵らがゴクリと喉を鳴らす。
「見るなと言って……っ」
 蔓が小十郎の陰茎に絡む。くるくると撒きついた蔓の先が、鈴口に割り込んだ。
「ああっ」
 蔓が蠢きながら陰茎の内部を犯す。人に触られることのないはずの、胸乳の穴と陰茎の内部を乱され、小十郎は呻いた。
「く、ぅうっ、やめ、ぁ、あは、あ」
 蔓が零す液が体に沁みるたび、腰の辺りで渦巻く快楽が膨らんでいく。それを必死に堪えていた小十郎は、犯される自分を見つめる兵らの目に、淫靡な光を見つけた。
 ぞく、と小十郎の背骨が震える。
 犯されている自分を見て、彼らが興奮している。
「っあ、やめ……見るな」
 そんな目で、俺を見るな――。
 小十郎の望みは音にならなかった。蔓が再び小十郎の口を塞ぎ、液を飲ませる。探られる胸乳は疼き、陰茎は脈打って小十郎の理性を苛む。
「ふぐっ、ぅ、うう」
 屈辱と快楽が鬩ぎ合い、小十郎の欲を昂ぶらせる。それだけでも気が狂いそうなのに、蔓は小十郎の尻を開いて、奥まで暴いた。
「ぉぐぅううっ」
「片倉様っ!」
「片倉様の尻が開かれて……っ!」
 兵らの声に応えるように蔓が動いて、彼らに見せつけるように、小十郎の体を開く。尻の中で蠢く蔓の産毛が微細な動きで秘孔をほぐす。とめどなく流れる液が、小十郎の乾いた内壁をしとどに濡らした。
「んふぉおっ、ぁふっ、んぅう」
 犯されるはずの無い場所ばかりを開かれて、小十郎の目じりから涙が溢れた。きっちりと整えられた髪が乱れ、額にかかる。胸乳は恐ろしいほどに疼き、魔羅は爆発しそうなほど滾っているのに放てない。栓のされた魔羅の苦しみを増幅させようというのか、秘孔に蠢く蔓は泣き所を的確に責めていた。
「ふぐっ、ぁはっ、は、はぁぉおっ、やめっ、ぁ、あはぁあ」
 いつのまにか、小十郎は兵らの前に下ろされていた。足を大きく開かされ、下肢を彼らにさらされる。
「片倉様の尻、蔓の汁が溢れてグチャグチャで……ヒクヒク動いて、すげぇ」
 うっとりとした声に、小十郎の羞恥が震えた。
「魔羅もビクンビクン脈打って、すっげぇ苦しそうっス」
「んはっ、ぁ、見るな、ぁぐっ」
「見るなって言われても、目の前に出されちまったら、見るしかねぇっスよ」
「やべぇ……俺、たまんねぇ」
「俺も」
「はっ、ぁ、見るな、ぁ、見るなぁあっ」
 小十郎の願いをあざ笑うかのように、蔓は彼の秘孔を開いて兵らに見せつけ続けた。興奮した兵らの息が、小十郎の脳を揺さ振る。
「片倉様のケツ、すっげぇ気持ちよさそう」
「魔羅がもうギンギンで、しゃぶってあげてぇ」
「あ、ぁあ、言うな……あ、ぁ」
 兵らの言葉が、小十郎の理性を削る。兵らはいつのまにか、植物に刃物をつきつけられているのを忘れて、小十郎に手を伸ばした。
「うはっ。やっぱ片倉様の魔羅、ガッチガチになっちまってる」
「はふぅうっ」
 陰茎を掴まれ擦られて、小十郎は思わず快楽の声を上げてしまった。
「気持ちいいんスね。すぐ、慰めますから」
「はふっ、やめっ、ぁ、は、はぅう」
 舌が陰茎に絡む。心地よくて、小十郎はうっとりと目を細めた。
「なら俺は、乳首を吸うっス。汁流し込まれて、辛かったでしょう」
「んはっ、ぁ、ああっ、乳首、ぁ、そんっ、吸……は、ぁあ」
 乳腺に刺さっていた蔓を抜かれ、乳首を吸われて、小十郎は顎を仰け反らせた。
「なら、俺はコッチを」
「ふはっ、ぁ、はぁうぅ」
 もう片方の胸乳にも兵が吸いつき、小十郎は心地よさに四肢を弛緩させた。すると蔓がゆるみ、小十郎の体が地に落ちる。
「片倉様」
「ああ、片倉様」
 彼をここまで導いた兵らが、うわごとのように小十郎を呼びながら舌を伸ばして、蔓の液にまみれた小十郎を舐めた。
「んはっ、はぁあ、あ、やめ、ぁ、お前ら……ぁ」
「そんな、心地よさそうな声で、やめろなんて言わないで下さいよ、片倉様」
「俺ら、片倉様とこうすることが、夢だったんスから」
「な、ん……だと」
 だとすれば、これは彼らの計略だったのだろうか。
「考えるのは後にしましょう、片倉様。ほら、尻がクパクパ動いて、埋めてほしそうにして……すっげぇヤラシーっス。すぐに俺で塞いで差し上げますね」
 足を高く持ち上げられ、硬いものをあてがわれて、小十郎は頬を引きつらせた。
「待て……おいっ、まさか」
「待てねぇっスよ」
 ずむ、と重い衝撃が小十郎を貫く。
「ぁがっ、は、ぁおぉ……お、ぅう」
「ぜんっぜん、痛くねぇでしょ? すぐに、気持ちよくしますから」
 揺さ振られ、小十郎は自分の体の変化に気付いた。内壁を擦られるのが、この上もなく心地いい。ぬめる液体が摩擦の熱をやわらかなものとし、快楽だけを生み出している。
「はっ、はふぁあ、あ、尻が、ぁあ」
 穿たれるたびに、体中が甘く疼く。
「片倉様、俺のしゃぶってくださいよ」
「おぐっ」
 猛る陰茎を口内に突っ込まれ、擦られた。にらみつけようとしたが、それより先に快楽が脳髄を痺れさせる。
 これは何だと思う先から、兵らの手で快楽を引きずりだされ、暴かれる。彼らの性欲に翻弄されているうちに、小十郎の意識は淫蕩にどっぷりと浸かりきってしまった。本能だけが、残される。
「は、はぁ、ああ、お、ぉふぅう」
 小十郎は自ら尻を突き出し、彼らの精を求めた。胸乳の刺激が無くなれば自分で指を当ててねじり、口を開いてしゃぶることを望み、陰茎を揺らして子種をまきちらす。
 貪欲に快楽を求める彼の姿が、そこにあった。
「ぁはおぅうっ、まだだ……もっと、は、精を寄越せ……っは、足りねぇ、もっと、もっとだ」
 戦場のように凄みのある笑みを浮かべ、唇を舐める小十郎は神々しさすら漂うほど、蠱惑的に洗練された獣となっていた。
「んはっ、まだだ……もっと、ぁあ、俺を犯せ、もっとだ」
 彼らに嵌められたことなど、どうでもよくなるほどに小十郎は猥らに雄々しく咲き乱れ、満ち足りぬ体を持て余し、より強い精を持つ者を求めて屋敷に戻った。

2015/01/08



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