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催淫術

 片倉小十郎は、もともと険しい顔立ちをさらに厳しくして、湾に浮かぶ巨大な異国の舟を見ていた。髪をぴったりと後ろに流すように固めているその顔は、精悍そのもので、頬に走る古傷が見るものに凄みを与える。
 が、異相ではない。通りすがりの女人が振り返るほどの美丈夫だった。男ざかりの年頃に似合いの、熟された色香を纏っている。主の天下が成るまではと思っているのか、真面目で無骨な性質だからか、男ぶりに反して色恋とは無縁だった。それが彼の持つ色気と交じり合い、妙な妖艶さを演出している。
 だが、当人はそんなことには気付かない。他者が彼を見て、好き心を湧き立たせるだけである。しかし助平心を持ったとしても、小十郎は天下に名が知れ渡るほどの武将。ヒョイと手を出すわけにはいかない。いわゆる高嶺の花、という状態で妄想の範囲でしか汚されたことがなかった。
 小十郎は整った眉をそびやかし、船に向かった。その船で、怪しげな信仰の儀式がなされているという情報を得たからだ。単なる異国の宗教、というものではない。隠された深層心理を暴き、それを表層に引き出して人心を救うという触れ込みのものだった。
 実に怪しい。
 その実態を知ろうとしたが、探索に放った者のことごとくが、手玉に取られて帰ってきた。それでやむなく、小十郎は自ら出向くことにしたのである。
 小十郎が甲板に入ると、黒い布を頭からかぶり、手燭を持った男が近付いてきた。顔は、まったく見えない。
「真実の自分をお知りになりたいのですか」
 問いかけに、小十郎は首を縦に動かした。黒衣の男は小十郎の前を行き、船室へ向かった。小十郎はそれを追った。船倉へと続く階段を、ゆっくりと降りていくごとに、空気が重くなっていくのを感じる。とても自己の解放を謳っている場所だとは思えない。
 やはり、怪しい。
 小十郎は気を引き閉めた。
 最下層に到達すると、入り口の両脇に立っていた、黒衣の者等に手を差し出された。刀を預けろと言う。武術の心得もあるから、小十郎はあっさりと刀を渡した。もともと、そう言われるだろうとは予想していたので、愛刀ではなくナマクラを腰に差して来ている。失ったとしても、惜しくは無い。
 扉が開かれ中を見れば、様々な年格好の男達がひしめいていた。ざっと見て五十人ほどだろうか。薄暗い部屋の中をゆったりと見回す小十郎に、部屋の奥にいた男が両手を広げて声をかけた。
「新たな同士が、いらっしゃいました」
 小十郎は男を睨んだ。縮れた赤色の髪をしている。肌は白い。鼻梁は高く、体躯もいい。よどみない日本語を使ったが、風体はどう見ても南蛮人だった。
「ちょうど、いまから本当の自分を引き出す儀式を行うところだったのです。よろしければ、貴方から始めましょうか」
 望むところだと、小十郎は招かれるままに前に進んだ。本当の自分など、引き出されなくとも十分に理解している。どんな胡散臭いもので人心を惑わせているのか、お手並み拝見といこうじゃないか。そういう意気込みで、小十郎は示された椅子に腰かけた。
 南蛮人は、人の良さそうな笑みを浮かべて小十郎を見た。見るからに身分の高そうな、規律正しい雰囲気の小十郎を陥落してやろうと、柔和な笑みの裏で薄暗い算段をしている。
「お名前を、お教え願えますか」
「本当の自分を引き出すんだろう。なら、当ててみればいい」
「なるほど」
 南蛮人は、近頃身辺を探りに来ていた者達の親玉は、小十郎なのだと判じた。小十郎は、堂々と南蛮人を見ている。名前くらい、調査済みだろうと予想していた。すぐに自分の名を言い当て、なんでも見通しているという顔をするに違いない。そう踏んでいた。なにせ探索に出した者のことごとく、この男の術中にはまっているのだ。自分の風体や名前などは、知られてしまっているだろう。
 小十郎の予測に反し、南蛮人は「わかりました」と言って、小十郎の前に蝋燭を出した。蝋燭の火をはさんで、互いの目が一直線になるようにしゃがむ。座に集まった男どもが緊張し、室内の空気が張りつめた。
「火のゆらめきを通して、私の瞳を見てください」
 小十郎は言われた通りにした。眼光鋭く、射抜く気持ちで南蛮人の青い目を見た。どんなインチキをするのか、見極めてやるという気概だった。だが、それこそが南蛮人の望むものだった。寸の間も視線をそらされないことが、秘術のために必要だった。小十郎は南蛮人が、しめしめと心中でほくそ笑んでいるとは、少しも気づかない。南蛮人が使うものは、催眠術だった。小十郎のような生真面目な人間こそが、陥りやすい術である。
 炎を通して視線を絡めながら、南蛮人はブツブツと小声でなにやら呟いた。小十郎は少しも目をそらさずに、耳をそばだてる。全神経を南蛮人に向けていた。
 しばらくすると、小十郎の顔から険しさが消えた。トロリと瞳が濁ってくる。南蛮人の呟きは、耳に届かぬほどに小さいものだったが、小十郎の意識をじわじわと絡め取っていた。
「貴方の名前は?」
 小十郎の瞼が半ば落ちた頃に南蛮人が問うと、小十郎は素直に「片倉小十郎」と答えた。部屋にどよめきが響いた。鬼とも言われる猛将であり軍師でもある小十郎が、南蛮人の秘術に囚われたからだ。南蛮人以外の全員が、小十郎のことを知っていた。
 南蛮人は、これが噂の小十郎かと口の端をゆがめた。ここに来る男達は、どんな夢を見たいかと問えば、片倉小十郎という男と懇ろになる夢想を味わいたいと、言って来る者が数多いる。最初に言い出した男の望みを催眠術で叶えてから、それを望む者達が続々と訪れるようになった。小十郎は、本人の預かり知らぬところで南蛮人の術を広める事となった、いわば立役者的存在だった。
 ならばこの男を、今まで望まれるまま見せていた夢想のごとく操れば、自分への信仰は磐石なものとなると、南蛮人は考えた。
 南蛮人の唇が卑猥にゆがんだ。
「片倉小十郎。貴方の本当の姿を引き出しましょう」
 ゴクリ、と空気が期待と緊張に喉を鳴らした。そう思うほど、集まっている男達の気持ちがひとつになっている。小十郎はすっかり術中に陥っており、南蛮人の操り人形も同然だった。
「貴方は清廉潔白。不貞な事とは無縁の、色事に疎いという表層を纏っています。けれどその実は、正反対の性質をしているのです」
 南蛮人が言葉を切ると、部屋中の期待が膨らむ。
「私の言う事を復唱してください。貴方の真実の姿は、淫奔な獣と同等です」
「……俺の真実の姿は、淫奔な獣」
 抑揚の無い声で小十郎が反復すると、座がどよめいた。南蛮人が薄笑いを浮かべる。
 小十郎の表層は、まったくもって術中にあったが、奥底では彼の意識はハッキリとしていた。これはいったいどういうことかと、小十郎は焦っていた。自分の体が乗っ取られてしまった心地がしている。事実、南蛮人に乗っ取られていた。小十郎は必死に自分を動かそうと試みるが、指先すらも思うようにならない。
 くそっ。
 どういう術を使われたのかがわからないまま、小十郎は自分自身を人質に取られたようなものだった。
「片倉小十郎。貴方は性欲がすこぶる強く。そのために清廉であろうとしていたのです。貴方の普段の姿は、本性を抑えるために正反対の気質を演じていたのです」
 何を言っていやがる、と小十郎の意識は叫ぶ。けれど彼の体は、南蛮人の言う通りになっていく。南蛮人が「体中の性欲が、ムクムクと湧き上がってきたのではないですか」と言うと、体が火照ってきたし、飢えを感じた。肌身が粟立つような感覚に、背筋が震える。
「着物など、着てはいられないでしょう。貴方は生来、獣じみた性欲の塊なのですから。さあ、自分を受け入れて、邪魔なものなど脱ぎ去ってしまいなさい」
 小十郎の体は南蛮人に従い、着物を脱いだ。意識は頬をひきつらせ、止めろと叫んでいる。必死になって体を取り戻そうとするが、自分の体だというのにちっとも言う事を聞かない。
 小十郎が裸身になると、あちこちからため息や生唾を飲む音などが響いた。南蛮人が蝋燭を遠ざけ、直に小十郎の目を見た。小十郎の意識は彼を睨みつけているのに、体は茫洋とした顔をしている。
「小十郎。貴方は自分を律するために、体を鍛え抜いていたのです。我侭で奔放な性欲を抑え込むために」
 それは違うと、理性の小十郎が叫ぶ。けれど体は、南蛮人の言う事を繰り返した。
「俺は、性欲を抑えるために、体を鍛えた」
「ええ。この盛り上がった胸筋も、見事に割れた腹筋も、美しい筋の走る腕も足も、何もかもが全て、性欲を抑えるためだけに鍛えられたもの。ですが、もういいのです。望むままに、性欲を貪っても。……小十郎。貴方はチ○ポが好きでたまらないのです。むしゃぶりつきたくて、仕方が無いのです。もう、ガマンしなくてもいいのですよ。試しに、私のイチモツを食べてみなさい。そうすれば、本来の貴方はますます表に出られるようになるでしょう」
 なんて事を言うのかと、小十郎は驚愕した。そんな事、するはずねぇだろうと理性が文句を言った。だが体は、南蛮人の腰に手を伸ばし、ゴソゴソと探って柔らかなままの陰茎を見つけると、おもむろに口に含んだ。
 小十郎の理性は驚愕した。止めろ止めろと叫んでも、体は南蛮人の陰茎をしゃぶり続ける。体を動かす事はできないのに、感覚は理性に伝わってきた。
 冗談じゃねぇ、と理性の小十郎は叫ぶ。テメェの汚ぇチ○ポなんざ、食わせるんじゃねぇ。
「どうです。おいしいでしょう?」
 南蛮人がそう問えば、小十郎の体は犬のように陰茎をしゃぶりながら「チ○ポおいしい」と答えた。
 理性の小十郎は頭を抱えた。どうしてこうなっちまったんだと、打開策を必死に探る。
「はふ……んっ、んは、チ○ポ、ぁあ、おいし……は、ぁ」
 ピチャピチャと音を立て、小十郎の体は南蛮人の陰茎をしゃぶった。その姿に、座の男達が羨望を向ける。南蛮人は、優越を押し殺して小十郎の髪を撫でた。キッチリと一分の隙も無く整えられた髪が、乱れ崩れる頃には、小十郎は淫靡な野獣と化しているだろう。いや、そうするのだと早くも勝利に酔いしれている。
「チ○ポをしゃぶっていたら、体がもっと、熱くなってきたのでは無いですか。乳首が疼いたり、チ○ポが切なくなったり、してきたんじゃないんですか。……遠慮せず、むしゃぶりついていいんですよ。乳首、弄りたくてたまらないでしょう? 自分で捏ねてご覧なさい」
 南蛮人の言う通り、小十郎は両手を自分の胸に当て、乳首を弄りながら勃起した南蛮人の陰茎に激しく食らいついた。
「んふっ、ふ、んぅうっ、は、チ○ポ、んっ、おいひ……っ」
 理性の小十郎は発狂しそうだった。早く自分の体の支配を取り戻さなければ、どんなウソを与えられるかわからない。体の感覚が理性にまで伝わるということは、こちらの意思を体に反映させられるはずだと、小十郎は必死に「やめろ、やめろ」と念じた。
「乳首、気持ちがいいですか」
「はふっ、んぅ、乳首、ぁ、きもちぃ……はっ、チ○ポ、おいひ……んぐっ、ん、ふぅう」
 理性の小十郎の念は、少しも体に伝わらない。体の感覚が一方的に、理性に働きかけるだけだった。小十郎の陰茎はムクムクと育ち、天を向いている。南蛮人の先走りが口内に広がり、理性の小十郎は吐き気を覚えた。だが、体はそれをおいしいと言って、さらに飲もうとしゃぶりつく。
「ん、うぅっ、んふぅうう……はふっ、んむぅう」
「ああ、そう……それが貴方の本来の姿なのですよ、小十郎。は……ぁあ、貴方の大好きな飲み物を、今から差し上げますね。これを飲めば、貴方はもう自分を偽る事など、できなくなります」
 いったい何を飲ませる気だと、理性が悪い予感に顔を青白くさせたと同時に、南蛮人が射精した。小十郎の体は、むせながらうれしげにそれを飲み干そうと、陰茎をチュウチュウと吸う。
「んぐっ、げほ……はふっ、んっ、う、は、ぁあ」
 小十郎の陰茎からは先走りがダラダラと零れ、蝋燭の火にテラテラと光っていた。視点の定まらぬ目をして陰茎をしゃぶり、自ら乳首を弄りながら勃起している小十郎の姿に、集まっている男達の野欲が募る。それを存分に引き出してから、望みを叶えてやろうと南蛮人は思っていた。何もかも、自分の胸先三寸で、この場にいる誰をも支配できるという優越に浸っている。
「ああ、小十郎。それが貴方の本性です。精液を貪り、体を淫らに熱くさせる。それこそが、貴方の本当の姿なのですよ」
「はふぅ、んっ、ぁ……は、む」
 小十郎の体は、南蛮人の陰茎を離そうとはしない。南蛮人はわざと哀れむ顔を作って、小十郎の頬を掴み、自分の陰茎から引き離した。
「ああ、小十郎。そんなにチ○ポに飢えていたのですね。無理もありません。ずっと、自分をごまかしていたのですから。ですが、安心してください。ここには多くのチ○ポがあります。貴方の大好きなチ○ポが、食べ放題なんですよ。――皆さん。この憐れな同士のために、チ○ポを与えてくださいますね」
 南蛮人が厳かに言えば、場の男達は次々に下帯を外して、いきり立ったイチモツを小十郎に見せた。
 理性の小十郎が驚愕する。このままでは、全員の陰茎をしゃぶらされてしまう。早く自分の体を取り戻さねばと、必死になった。
 そんな内面の焦りは、小十郎の肉体には現れなかった。肉体はただ、乳首と陰茎を硬く凝らせ、濁った目でうれしげに多くの陰茎を見ていた。普段の小十郎からは想像もつかぬ姿に、男達の鼻息が荒くなる。誰もが、早く小十郎に「チ○ポを貪れ」と命じてくれと、南蛮人に心で訴えていた。
 南蛮人は、そう簡単に願いを叶えては、ありがたみが無くなると考えていた。なので小十郎の口内に指を入れ、口腔をまさぐりながら、次はどうしようかと考えた。小十郎の肉体は南蛮人の指をしゃぶりながら、乳首を捏ねている。陰茎からは、間断なく先走りが零れていた。
「小十郎。貴方は犯されることが、大好きなのです。これだけチ○ポがあるのですから、ケツ孔をチ○ポでグチャグチャにされたいとは思いませんか」
 理性の小十郎は悲鳴を上げた。肉体の小十郎は、幼子のように肯首する。
「ケツ孔を、チ○ポでグチャグチャにされてぇ」
 なんて事を言うんだと、理性の小十郎は自分を叱った。だが、その声はどこにも届かない。
「しかし、そのためには準備が必要ですね。これは貴方を傷つけないためにも、必要な事なんですよ」
 南蛮人は小十郎を促して、椅子にしがみつかせると、尻を男達に向けて突き出す格好を取らせた。南蛮人は、男達の性欲を極限まで引き出して、それから望みを叶えてやろうと考えていた。その方が、自分への崇拝度数が高くなるだろうと踏んでいた。
「ケツ孔をほぐしてくださいと、言ってごらん」
 南蛮人が、そっと小十郎の耳元でささやく。なんて事を言わせる気だと、理性の小十郎は憤慨した。小十郎の肉体はトロンとした目で「ケツ孔をほぐしてくれ」と、眠たそうな声を出した。
 南蛮人は満足げにうなずいて、神聖な儀式でも始めるように香油を運び、小十郎の尻の谷に垂らした。
「では、始めますよ」
 冗談じゃないと、理性の小十郎は悲鳴を上げた。小十郎の体はおとなしく香油を垂らされ、南蛮人の指を秘孔に入れさせた。
「んっ、ぅ……」
「どうですか。とっても気持ちがいいですよね」
「ぁ、は……気持ちいい」
 いいわけねぇだろうが、と理性の小十郎が叫ぶ。理性が感じているものは、違和感だった。クチュクチュと湿った音がする。尻で蠢く南蛮人の指の感覚に、理性の小十郎は怖気に見舞われた。だが、小十郎の体は陰茎を萎えさせる事は無く、うっとりと秘孔を指でほぐされている。
「ぅは……ぁ、あ……あ」
 南蛮人は丁寧に、男たちに見せつけるように、小十郎の秘孔に香油を塗りつけ広げた。しっかりとした下準備をしておかなければ、小十郎の体が壊れてしまう。彼ほどの人物を、使い捨てにするわけにはいかない。富と名誉を手に入れるために、小十郎は必要な人間だった。何度もこちらの思う通りに操って、多くの人間を自分に従わせようと考えていた。小十郎には、それだけの価値があると南蛮人は確信していた。
「ぁは……あっ、あ」
「気持ちがいいでしょう。ケツ孔を弄られるのは。チ○ポもビクビクして、イヤラシイ汁を垂らしていますね。なんて淫乱な体なのでしょう。これが、本来の貴方なんですよ、小十郎。さあ、言葉にして認めましょう」
 小十郎の催眠を深く、より確実なものとするため、南蛮人は小十郎に言わせた。
「ぁ、ああ……ケツ孔いじられるの、きもちいい……っは、チ○ポがビクビクして、イヤラシイ汁を垂らして……俺は、淫乱……ぁ、ああ」
 もうやめてくれ、と理性の小十郎は耳を塞いだ。こちらの声も意識も表に出ないのに、体に受けるものは伝わってくる。快楽がジワジワと小十郎の理性を蝕みだしていた。
「ケツ孔、指に絡んでヒクついているのが、わかりますよね。貴方はケツ孔をいじられてヨガる、発情期のメス犬と同じなのですよ。チ○ポも乳首も疼いて疼いて、たまらないでしょう」
 理性の小十郎は、迫る性欲に抗おうと必死だった。しかし小十郎の体は南蛮人の言う通りに、淫らになっていた。
「俺は……発情期のメス犬と同じ……っあ、はぁ、チ○ポも乳首も、ぁ、たまんねぇ……ケツ孔、すげぇ、ああ、イイ……っは、ぁあ」
 南蛮人は、パフォーマンスとして小十郎を秘孔だけでイカそうと考えた。小十郎が絶頂を迎えた時に、どの格好がギラギラと興奮している男達に強い影響を与えるかを考え、いったん指を抜いて小十郎に体勢を変える様に指示をした。小十郎の理性が、次は何をさせる気だと恐々とする。小十郎の肉体は椅子に腰かけ、自分で自分の膝を抱えて大きく足を開き、男達に体をさらした。
 低い呻きが部屋いっぱいに広がった。南蛮人は、やはりこの格好で正解だったなと、男達の反応に満足した。どの男達も南蛮人が、小十郎に彼らの陰茎を求める言葉を発するよう、促すのを鼻息荒く待っている。南蛮人は小十郎の陰茎や乳首を隠さぬように、腕を伸ばして秘孔に指を入れた。
「ぁはっ、ぁ、ああ……ケツ孔ぁ、あ、きもちぃ……乳首とチ○ポ……はっ、弄りてぇ……ぁあ、あ」
「もうすこしの辛抱ですよ、小十郎。貴方は、自分でするよりも、炙られなぶられ、乱される事が大好きな性欲の権化なのです。何よりもチ○ポが大好きな、淫乱なメス犬な貴方を、より深くすばらしい官能の渦に導くために、必要な我慢なんです」
「ぁ、ああ……俺は、チ○ポが好きな淫乱……なぶられるのが好きな、メス犬」
 理性の小十郎は狂ったように叫んだ。正気に戻れと肉体に向けて訴える。しかしやはり、体には何の影響も出なかった。それなのに、肉体が受ける快楽が、理性を追い詰め取り込み始める。
「んはっ、ぁ、ああ、ケツ孔、ぁ、ああ……っ、あ、あぁは、きもちぃ、ぁ、あぁ、う、うう」
 南蛮人が指を巧みに動かせば、小十郎の陰茎がブルブルと震えた。絶頂が近いらしく、緊張した彼の四肢の筋肉が盛り上がっている。たくましい胸筋は荒々しく上下し、乳頭が小刻みに震えていた。
「そろそろですね」
 南蛮人は秘孔の快楽点を強く刺激した。小十郎の肉体は大きくのけぞり、理性の小十郎は火花を見た。
「あっ、ぁ、ああぁあああ――!」
 小十郎の陰茎から、白濁したものが迸る。独特の芳香が部屋中に広まり、小十郎の理性はズタズタに傷ついた。多くの男達に見られながら、南蛮人の手で尻を弄られ絶頂を迎えたのだ。それも止む無いことだろう。
 肉体のほうは、満足そうな恍惚に弛緩していた。南蛮人は小十郎に深く淫蕩の種を植えつけられたと、したり顔になった。これでもう、この男は南蛮人が言った通り、淫らな本性を持つ事となった。あとはそれを、思うままに引き出し操り、彼を使って富と地位を得ていくのみだ。
 だがここで、南蛮人は誤った。小十郎に対する男達の野欲は、南蛮人が思う以上に凄まじいものだった。南蛮人が男達に、小十郎を与えると言う前に、男達のガマンの尾が切れてしまった。
「う、ぉおおお」
 男達は怒涛となって、小十郎に押し寄せた。
「わ、わわ、ちょっと、待って……待ちなさいっ! ぎゃああぁあ」
 南蛮人は男達に乱暴に引き離され、蹴飛ばされてボロ雑巾のように床に転がり意識を失った。それを見ていた入り口の黒衣の男たちが、あわてて南蛮人を助け上げ、狂気に満ちた部屋から逃げた。南蛮人はこの後、姿を現す事は無く、小十郎はかけられた催眠が解かれる機会を失ってしまった。
 辱められた小十郎の理性は、男達の唸りにハッとした。男達が自分を囲んでいる。早く逃げろと肉体に命じるが、体は催眠効果にどっぷりと浸かっている。男達がむき出しにしている陰茎を見て、ニヤリとした。好物だという催眠をかけられた陰茎が、無数にあるのだから仕方の無い事だった。艶冶で獰猛な小十郎の笑みに、男達は勇躍した。
「ああっ、片倉様! 俺のチ○ポ、しゃぶってくだせぇ」
「片倉様のチ○ポ汁、うめぇえっ」
「乳首っ、片倉様のビンビン乳首やべぇっ」
「片倉さまぁあ、俺の、俺のチ○ポをケツ孔で扱いていいっスかぁあ」
 やめろ、やめてくれと理性の小十郎が叫ぶ。肉体は嬉々として、挑んでくる男達を迎え入れた。
「おぐっ、おぶぅうっ、んぶっ、チ○ポぉおっ、は、うめぇ、おぐふぅう」
 我先にと突き出された陰茎が、小十郎の口腔をかきまぜる。小十郎の肉体はむしゃぶりつき、喉の奥を突かれてえづきながらも喜んだ。乳首は摘まれ転がされ、しゃぶる者まで現れる。
「んぶぉおっ、ぁふ、乳首っ、ぁあ、すげぇ、ぁ、きもちぃ……もっと弄りやがれ、ぇああ」
 小十郎の体の望むままに、乳首はもみくちゃにされた。すると陰茎がたくましく育つ。そこにいくつもの舌が殺到した。
「ぉふっ、ぁ、はふぅあぁ、チ○ポっ、ぁ、俺のチ○ポ汁っ、ぁ、ああ、強く吸え、ぁ、物足りねぇ」
 すると男達は順番を決めて、ひとりが陰茎をしゃぶり、もうひとりが蜜嚢をねぶることに決めた。これなら小十郎を、より気持ちよくさせられるだろうという考えからだった。
 男達の中で、一番の人気は小十郎の秘孔だった。ここはどうあっても、ひとりずつしか楽しめない上に、小十郎を味わいながら自分も心地よくなれるという、最良の場所だった。我先にとなりかけたが、そこは小十郎が普段きびしく規律を諭しているからだろう。陰茎の時と同じように、自然と順番が出来上がった。
「ああっ、片倉様のケツぅう、夢にまで見たケツ孔に、俺のチ○ポがっ、ぁあ、入ってるぅうう」
 男が感激しながら突きあげる。小十郎は陰茎をしゃぶりながら、催眠で教えられたとおりに悦びの声を上げた。
「ぁぎっ、は、ぁあ、でけぇの、ぁあ、チ○ポぉおっ、ケツ孔にっ、ぁ、すげぇ、ぁ、好きぃい、チ○ポ好きなメス犬のケツ孔に……っ、チ○ポがっ、ゴリゴリぃ」
「片倉様、おしゃぶり止まってますぜ」
「おぐっ、おごぉおっ、んぉふっ、は、チ○ポぉお、口にもケツにもチ○ポ、ぁあ、チ○ポっ、うめぇ、あ、あひぃい」
「そっちばっか感じてないで、こっちの具合はどうっスか」
「ぃひぃいっ、乳首、ぁ、ねじっ、ぁ、吸っ……ぉほぉお、うれしっ、ぁ、あぁ」
「片倉様、もうイッちまいそうっスね。俺、飲んじゃって、いいっスか」
「んほぁ、あ、イクッ、チ○ポでるっ、ぁ、飲んでくれ、飲んでっ、飲ん……でるっ、で、でるぅはぁああ」
「くぅうっ、片倉様、すげぇ締め付け、ぁ、ああっ」
「んぉほぉおっ、チ○ポ汁、でたっ、ぁ、ナカにっ、ケツ孔にもきたっ、ぁ、んぶっ、げほ……チ○ポ汁いっぱい、ぁあ、体中にチ○ポ汁ぅう」
 髪を振り乱して悦びの声を上げる自分の体に、小十郎の理性は呆然とし、ジワジワと快感に侵食されていった。催眠効果の最終工程を、よりにもよって自分の部下達にされてしまっている。理性は本能に引きずられ、体と乖離していたはずが、砂のように崩れて消えてしまった。
 小十郎は南蛮人に言われた通り、身も心も快楽を貪る淫蕩な獣となってしまった。
「んほぉおっ、おぶっ、んぅう、チ○ポぉお、好きぃ、ああ、もっとぉお、はっ、はぁあ、乳首ぃい、ぁ、ぁひぃい、もっと、寄越しやがれぇえ、ぁ、ああぁあ」
 男達は代わる代わる小十郎を犯し尽くした。秘孔は注がれた精液が泡となり溢れるほど、グズグズになってもなお、陰茎を求めて蠢動した。あごが疲れるほど陰茎をしゃぶっていたので、腹が精液でいっぱいになっていた。それでも小十郎は、勃起している陰茎を見つけると舌を伸ばした。弄られすぎた乳首は大きく膨らみ、落ち着く事を忘れて男達を誘った。陰茎は絞られすぎて、サラサラとした液体を垂れ流すようになった。
「ぁはぁおお、チ○ポぉお、好きぃ、ぁあ、俺は、ぁ、チ○ポが好きな、発情期のメス犬……っ、メス犬ぅう、ぁあ、淫乱なメス犬ぅううっ」
 体中、精液にまみれて叫ぶ小十郎は、まさにその言葉どおり、発情期の獣だった。狂乱の宴は小十郎の意識が途切れてもなお、無理やりに目覚めさせられ続けられた。男達のすべてが、精液の一滴も残さず小十郎に捧げ終えるまで、終幕は訪れなかった。
 そうして散々に犯され乱れた小十郎は、自分の本性は淫蕩な獣であると信じ切った。南蛮人に言われた通り、体を鍛えているのは、それを隠すためであると。それと共に、自分なりの解釈として、思うさま淫靡を貪るための体力づくりでもあるという意味を付け加えた。
 小十郎の乳首は、治まることを忘れて、常に刺激を求めるようになってしまった。なので普段は、布に擦れて官能がかき立てられぬよう、晒を巻くようになった。秘孔はいつも陰茎をもとめて、入り口がヒクつくようになり、唇は精液を飲みたいと望むようになった。常に体が疼くようになってしまったので、小十郎は陰茎を戒めるため、下帯を着ける前に紐で縛る事に決めた。そうでもしないと、うっかり先走りが漏れてしまいそうだったのだ。
 小十郎の体の異変を知った者のひとりが、それならば栓をすればいいと提言し、飾りの無い簪を献上した。小十郎はその案を採用し、以来、尿道にそれを挿しておくようになった。
「……小十郎、最近、なんか雰囲気が変わったな」
 主の伊達政宗に問われて、小十郎はしれっとした顔で答えた。
「そうですか。何も変わってはおりませんが」
「Fun……?」
 年下の美麗な主、政宗の隻眼が疑うように細められる。その目に全身を見回され、小十郎はひそかに体をわななかせた。着物の奥にひそめている秘密を見通されているようで、興奮する。
「あの、政宗様」
 小十郎はうわずりそうになる胸を押さえて、問うた。
「犬は、お好きですか」
「犬? なんだ、突然」
「いえ……犬を調教なさるのは、お好きかどうかが気になったので」
 政宗は端正な顔をいぶかしげにゆがめながらも、答えた。
「まあ、嫌いじゃねぇな。芸を仕込んで、言う通りにできるようになりゃあ、可愛いし面白いんじゃねぇか」
「左様ですか」
「それがどうした」
「いいえ……別に」
「妙な奴だな」
 ふいと政宗が小十郎から顔を離した。主の長く繊細な指先を見つめる小十郎は、飢えた瞳で薄暗く淫猥な笑みを浮かべた。
 その夜、小十郎が主の部屋を訪れたかどうかは、わかっていない。

2015/08/30



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