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はじまりのM

 里の様子や米の収穫量の予想などを、片倉小十郎が主の伊達政宗に報告していると、唐突に政宗が「抱いてみてぇな」とつぶやいた。
「……は?」
 間の抜けた声を返した小十郎は、めまぐるしく思考を動かす。
 政宗は妻を娶ってもいい年齢。戦に忙しく、そちらへ意識を向ける余裕は無かったが、つぶやきを受け止めてみれば、なるほど交合に興味を持ってもおかしくない。むしろ、持つほうが自然だろう。
 そこまで考えた小十郎に、政宗がにじりよった。
「抱かせろよ」
「え」
 主の秀麗な顔立ちを見つめ、小十郎は彼が本気であることを悟った。と同時に顔が近付き、唇が重なる。小十郎が硬直していると、政宗は舌を伸ばし、小十郎の唇を舌先でくすぐりはじめた。
 小十郎は、どうしていいのかわからない。どうにか考えをまとめようと思うのだが、唇に触れるやわらかな感触と、妖艶に輝く切れ長の左目に、思考が邪魔をされる。政宗は小十郎の瞳の奥をうかがうように見ながら、唇の隙間に舌を差し込んできた。前歯をくすぐられ、唇を開くよう促される。
「小十郎」
 ささやかれ、小十郎の胸が不可解な疼きを覚えた。ふっと息を漏らした小十郎の歯が開き、政宗の舌が入り込む。
「んっ、う……」
 肩をつかまれ、唇の重なりが深くなる。政宗の左目が小十郎の瞳を捉え、様子を探るように舌が動いた。
 じわりと体の奥に熱が生まれ、小十郎は戸惑った。政宗が身を乗り出して、小十郎の膝の上に体を浮かせる。肩を押されるまま、小十郎は床に横たわった。
「ぅ、ふ……っ」
 政宗の舌が動く。小十郎はただ、硬直してそれを受けた。振り払うことも、進んで受け入れることもできぬ小十郎を、どう思っているのか。政宗は口腔をさぐりながら、小十郎の着物の襟をくつろげ、素肌に手のひらを這わせた。
「っ……」
 政宗の白く長い指が、小十郎の鍛え抜かれた胸筋を滑り、乳頭に絡む。指先でくすぐられ、指の腹でからかわれて、ムズムズとした感覚が生まれる。胸がうわずり、呼気が乱れた。
「……は、政宗様」
 かすれた声で呼べば、政宗が目じりを細めた。挑発するような笑みに、小十郎の心拍数が上がる。しびれたように体を動かせない小十郎を、政宗はしばらく見下ろし、首に唇を当ててきた。軽く吸われ、小十郎がうめく。政宗はそれに気を良くしたようで、肌のあちこちを吸ってうっ血を残した。
「……っ、ん」
 小十郎は拳を握り、喉に力を込めた。どうすればいいのか、わからない。なので、ただ、横たわっている。政宗の唇は小十郎の盛り上がった胸筋を滑り、乳頭に到着した。キュッと吸われ、小十郎は当身を食らったような声を出した。政宗が楽しそうに喉を鳴らし、小十郎の乳頭と唇でたわむれる。
 おやめください、と言えばいいのだとはわかっている。けれど小十郎の喉は、その言葉を通さなかった。ふつふつと、言いようのない感情が、湧き上がってくる。肌が高揚し、心がそれに感応している。
 政宗の手が帯に触れる。衣擦れの音に、小十郎は目を閉じて体中を緊張させた。下帯が解かれて息を呑んだ小十郎は、ふとももに力を込める。
「っ、ふ……」
 牡を指先でなぞられた。自分の体なので、そこがどうなっているのか、見なくてもわかっている。主に屹立した牡を見られ、触れられていると思うと、腰が甘く震えた。
 羞恥と快楽の責め苦が過ぎ去り、政宗が冗談とも本気ともつかない行為に、早く飽きてくれるよう、小十郎は理性で願い、本能で続行を望んだ。相反する自分自身に、小十郎は戸惑う。
「っ!?」
 ぬらりとした、あたたかなものに牡が包まれ、小十郎は目を丸くして、首を持ち上げた。まさかと確かめた目に、政宗の顔が下肢に伏せっている姿が映った。
「ま、政宗様」
 ふ、と政宗が目を上げた。薄い主の唇から、なまなましい男の一部が覗いている。政宗が、自分の牡を咥えている――!
「うっ……」
 意識で理解した瞬間、小十郎の欲が弾けた。政宗の口内に、小十郎の子種が飛び散る。
「あ、ああ……」
 なんということを。
 蒼白になった小十郎に、政宗はニヤリとして牡を吸い、喉を鳴らした。小十郎の目が、これ以上ないほど見開かれる。
「政宗様……なんということを」
 掠れ震える小十郎の声に、政宗は眉を上げた。
「Ah? 吐き出すのは行儀が悪いだろう」
 政宗の唇が、なまめかしく濡れ光っている。小十郎の全身が、火を吹いたように熱くなった。
「申し訳ありません」
 起き上がり、膝をそろえて頭を下げた小十郎の顎に、政宗の指がかかる。上向かされた小十郎は、淫靡な主の微笑みに胸をざわめかせた。
 言い表しようのないものが、自分の中に吹き荒れている。
「Don't apologize. 悪いと思うんなら、小十郎も飲めばいい」
 え、と音になるかならないかの、小さな音を発した小十郎の目の前で、政宗は袴を落として前をくつろげた。
 下帯が膨らんでいる。
 小十郎は喉を鳴らした。体中が飢えを覚える。目の前にある膨らみを取り出し、むしゃぶりつきたい。
「そんな顔、すんなよ」
 政宗の指が小十郎の髪を梳く。それだけで、背骨が甘美な蜜に満たされた。
「たまんねぇ」
 政宗の掠れ声に、小十郎の牡が震えた。
「なあ、小十郎」
 腰をかがめた政宗が、小十郎の耳元でささやく。
「しゃぶってくれるだろう?」
「……はい」
 恍惚として答えた小十郎は、引き寄せられるように手を伸ばし、政宗の下帯を取って唇を寄せた。
「ああ」
 うっとりと息を吐き、口を開く。両手を添えて、丹念に舌と唇で刺激する。火傷をしそうなほど熱く感じるそれを、小十郎は飴をねぶるように味わった。
「は、ぁ……政宗様」
「旨そうな顔だな」
 からかいに、小十郎は小さく震えた。
「美味しゅう……ございます……政宗様の魔羅……熱く、これほど立派にお育ちなされて…………ああ」
 快楽に胸を詰まらせる小十郎の下肢は、隆々と天を向き先走りをにじませている。乳頭は硬く凝り、甘く切ない疼きに震え、刺激を求めていた。
「収穫時だろう?」
 小十郎の趣味である野菜作りにかけて政宗が言えば、小十郎は艶冶な笑みを浮かべて幹をしごき、蜜嚢を咥えた。
「はい……ああ、政宗様」
 小十郎は身知らぬ自分の出現を、すんなりと受け入れ、政宗の牡を愛でた。味わえば味わうほど、体の奥深くが悦びで満たされる。にじむ主の先走りを舌で受け止め、弾けた子種を嚥下した小十郎は、新たな自分に目を細めた。
「ああ、政宗様」
 どうして気付かなかったのかと、不思議に思うほど馴染んでいる。政宗の足元にひざまずき、性的な支配を受けることを望んでいる。
「どうぞ、ごぞんぶんに」
 満足げにゆがんだ政宗の唇が、小十郎の唇に触れる。今度は、小十郎はためらうことなく口を開き、舌を招いた。絡む舌から、互いの子種の味がする。生々しい香りが鼻孔に触れて、小十郎の牡は痛いほどに張りつめた。
「ああ、政宗様」
 性欲に瞳を潤ませた小十郎は、政宗の与えるすべてを受け止め、性的に虐げられ、支配される悦びを、教えられるままに貪婪に覚え、淫らな獣へと変貌してゆく。そしていつしか、政宗の獰猛な野欲の瞳を見ただけで、体を疼かせ恍惚に浸れるほどに、淫蕩な存在となっていた。
「ああ、政宗様。この小十郎のすべては、貴方様のためだけに存在しております。……ですから、どうぞ、ごぞんぶんに」

2015/09/28



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