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月にあてられ(M十郎)

 月光に満たされた室内で、片倉小十郎は着物を落とした。剣と野良作業で鍛えられた、健康的な肌色の肉体があらわになる。
 はじらいを漂わせる目元を伏せて、小十郎は下帯も解いた。あるかなしかの音を立ててそれが落ちると、小十郎の向かいに座している男――彼の主、伊達政宗が軽く口笛を吹く。
「いい眺めだ」
「……見慣れておられましょう」
 羞恥を堪えて小十郎がうめくと、政宗はちょっと首を傾けた。
「見慣れて、飽きられたいのか?」
「そういう意味では……」
「ほら、座れよ」
 うながされ、小十郎は腰を落とした。しかし膝をそろえての姿勢ではない。膝を立て、脚を開き、腰をわずかに浮かせて政宗に突き出す格好で、床に手をつき体を支える。政宗は満足そうに隻眼を細め、盃を口に当てた。政宗の白い喉が上下に動き、酒を飲み下す。その動きに、薄暗いよろこびの予感を覚えた小十郎の肌がうっすらと熱を帯びた。
 政宗が腰を浮かせ、傍らにあったススキを手に取る。
「ただの月見酒じゃあ、つまらないからな」
 ススキの穂で内ももを撫でられて、小十郎はうめいた。政宗はそれを楽しむ。穂先が陰茎に触れて、淡々と刺激された。むくり、むくりと陰茎が頭を持ち上げるさまを、じっくりと観察される小十郎の息が上がる。
「っ、……、……」
「いい顔だ」
 ささやく声は低く、笑いに震えていた。ゾクゾクと劣情が背骨を走り、小十郎の意識を痺れさせる。
「――は」
 思わず漏れた熱い息に、政宗が舌なめずりをする。白い肌と赤い舌の対比に、小十郎の心臓はとどろいた。
「政宗様」
「そんな、物欲しそうな声で呼ぶんじゃねぇよ」
「……も、申し訳ありません」
「まあ、いいさ」
 政宗がススキの穂を持ち上げ、切り口で小十郎の陰茎をつつく。クビレをくすぐられて、小十郎はうめいた。
「っ、ふ……、は、ぁ、あ」
「一輪挿し、とでもしゃれ込むか」
 ニヤリとした政宗の瞳が、いたずらっぽく輝いた。淫靡な興奮が小十郎の心を掴む。
「どうぞ……、お使いください」
 小十郎が腰を持ち上げると、政宗はススキを鈴口にあてて、ゆっくりと差し込んだ。
「ぅぐっ、ふ……、は、ぁ、ああ、あ」
 見た目は細いススキでも、蜜道にとっては充分すぎるほどに太かった。わずかな痛みを覚えながらも、蜜道を擦られる官能に小十郎は甘い声を放った。政宗の舌にチロチロとクビレを刺激され、痛みがなぐさめられる。
「んは、ぁ、あ……、政宗様」
 奥まで差し込まれたススキが揺れた。政宗が体を離して、じっくりと小十郎をながめる。陰茎からススキを生やした小十郎は、視線で愛でられる興奮にわなないた。
「……っ、ふ……、政宗様」
「いい月だな、小十郎」
 たっぷりと月光は差し込んでいるが、障子が閉じられているので仲秋の名月は見えない。
「障子を、開きますか?」
「開きてぇか?」
 意地の悪い問いかけに、小十郎は喉を鳴らした。
「政宗様の、望まれるままに……」
「なら、このままでいい」
「――は」
 政宗が手酌で酒を楽しむ。それを小十郎はじっと見つめた。政宗も小十郎を見つめている。その目は淫らな光を浮かべていた。
「風もないのに、ススキが揺れてやがる」
「それは……、この小十郎が震えておりますゆえに」
「Why? なぜ、震える」
「政宗様の視線を受けて、淫らに肌が疼いております」
 政宗の笑みが剣呑に深められ、小十郎の陰茎が跳ねた。ススキが大きく揺れる。
「ススキを抜いて、こっちに来い。小十郎」
「は。――んっ」
 尻を床に置いてススキを抜いた小十郎は、政宗の傍まで這った。
「おまえも飲めよ、小十郎」
 政宗が瓶子を持ち上げ、己の股間に垂らした。着物が濡れる。
「ほら……、小十郎」
 熱っぽい政宗の息に促され、小十郎は口を開いて着物を吸った。酒気を吸いながら首を動かし、政宗の着物を剥いで下帯にかぶりつく。
「んっ、ん……、ふ、政宗様……、もっと、この小十郎を酔わす美酒を」
「好きなだけ味わえよ、小十郎」
「は。――では、ありがたく」
 小十郎は歯で下帯をずらした。政宗の欲がブルンと飛び出す。たくましく育っているそれに、小十郎は喜々としてかぶりついた。
「はふっ、んっ、んむ……、ふっ、は、ぁ」
「うまいか?」
「んっ、おいしゅ……、ございま……、はむっ、ぅ、ふ……」
「そうか」
 政宗が懐から蛤の軟膏入れを取り出し、小十郎の目の前に出した。受け取った小十郎は政宗の陰茎をしゃぶりながら、軟膏を指ですくって自らの菊花に塗りつける。
「んふっ、ふ……、んは、ぁ、んっ、んんっ」
 淫蕩に瞳を濁らせ、己で己を犯しながら腰をゆらめかせる小十郎を、政宗は堪能する。あたたかくぬるついた口腔にむしゃぶられている陰茎は、脈打つほどになっていた。
「ま、政宗様」
「Ah?」
「小十郎の、もう片方の口でも味わわせていただけますか」
「なんだ。もう我慢ができねぇのか」
「はしたなくも、小十郎の奥が疼いてたまりません」
「しかたねぇな」
 政宗が顎をしゃくると、小十郎はそそくさと政宗に尻を向けて床に這った。両手で尻を開いて、自ら開いた秘孔を見せる。
「もう、このように熟れております。――政宗様」
「Ha! ずいぶんと淫乱になっちまったなぁ、小十郎」
 小十郎は口をつぐんだ。政宗の指が尻の谷をなぞる。ゾクゾクと肌身を震わせ、小十郎は熱杭が穿たれるのを待った。
「これも、俺の教育のたまもの……、か?」
 クックッと喉を震わせた政宗の腰の熱が、小十郎の秘孔に触れる。期待にキュンと締まったそこが、ひと息に開かれた。
「はぐっ、あ、あはぁああ、あ、……ぁ、お……、ふ、は、ぁ、あっ、あ……」
「いい具合だ、小十郎」
「は……、いつでも、政宗様のお慈悲をいただけるよう、鍛錬を行っており……、っ、は、ぁ」
「なら、最初からトバしても問題ねぇな」
「はいっ、あっ、あ……、あはぁあああ」
 ガツガツと容赦なく突きあげられて、小十郎は啼いた。政宗の律動に合わせて体を揺らし、快楽を追いかける。ブルンブルンと揺れる小十郎の陰茎は、よろこびの液を床にまき散らして絶頂を求めた。
「はっ。はぁおお、おっ、ふ……、政宗様、ああっ、政宗様ぁあ」
「とんだ暴れ馬だな、小十郎」
「んはぁあっ、あっ、もっと、あぁ、政宗様、あっ、ああ……」
「存分に味わえ、小十郎」
「はっ、はぁあ、あっ、は、あ、……、あぁあああ――っ」
「っ?! く……」
 大きく身を震わせて、小十郎が果てる。絶頂に締まった内壁が政宗を無理やりに破裂させた。引きずられた政宗の欲熱に打たれて、小十郎は大きく口を開き、声にならない悲鳴を上げる。
「は、はぁ……は、ぁあ……あ」
 余韻に恍惚とする小十郎から政宗が抜け出た。
「小十郎」
 尻を叩かれ、小十郎はハッとした。
「……も、申し訳ございません」
「それだけ、俺が欲しかったってことだろう? なあ、小十郎。――満足か」
 小十郎は振り向き、政宗の濡れた股間に目を向けた。胸を淫らに震わせながら首を振る。
「足りません。……この程度では、とうてい満足などできません」
「なら、高めろよ。おまえのナカをかき回したコレをしゃぶって、上に乗れ」
「――承知」
 答えるやいなや、小十郎は政宗の腰にとびかかった。喉奥まで呑み込んで、必死に政宗を高める。
「はふっ、んぐっ、ふ……、ふは、ぁ、政宗様……、んぅ」
「うまいか、小十郎」
「は、はいっ、ああ、おいし……、おいしゅうござ……、っんむ、は、ぁ……」
 政宗の指に頬の傷跡を撫でられて、小十郎は大きく震えた。
「は、ぁ……、政宗様」
「月の妖気にあてられた顔だな、小十郎」
 そう言う政宗の瞳も淫蕩に濡れていた。
「ああ……、政宗様。この小十郎をそのようになされたのは、あなた様です」
「わかってる。――今宵はぞんぶんに名月に魅了されようじゃねぇか。なあ、小十郎」
「ええ……、政宗様」
 政宗の腰から顔を離した小十郎は、主の肩に手を乗せた。政宗が艶然とほほえむ。小十郎は肌身を震わせて主の腰にまたがった。
「もっと、乱れたおまえを見せてくれ……、小十郎」
「政宗様の望まれるままに」
 肌身が重なる。
 獣となった二匹の竜のたけだけしい啼き声が、仲秋の夜気に立ち昇った。

2016/09/15



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