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卿からは、純潔を

 罠とわかっていても、捨て置けないものがある。
 片倉小十郎は左頬の傷跡をわずかに撫でて、眼前の館をにらみつけた。
「伊達軍は、誰ひとりとして欠けちゃいけねぇ」
 誰にともなく呟いて踏み込んだ館には、不穏な香の煙が充満していた。むせるほど強い、花の香りに似た甘い匂いに顔をしかめて廊下を進む。あまり吸い込まぬよう気をつけてはいても、香は皮膚にまとわりつき、染み込んで来た。
 呼んでも出てこぬ相手だとわかっている。だから小十郎は目的の相手がいそうな場所を目指して、無言で進んだ。
 藤の花が描かれた障子の前に行き着いて、後ろに撫でつけている髪を撫で上げて気合いを入れる。香が染み込んだ肌は、ほんのりと重く気怠くなっていた。
「呼び出しに応じて、来てやったぜ。松永ぁ」
 襖を開けて剣呑な声を響かせた先に、目的の男が三人の部下を従えて西洋式の椅子に腰掛けていた。部下の前には縛られ、ひざまづかされている伊達軍の者がそれぞれひとりずつ。
「片倉様」
「すいやせん、片倉様」
「お、俺たち……くぅう」
「情けねぇ声を出すんじゃねぇ。心配すんな」
 やわらかな声をかければ、部下たちが嗚咽を漏らした。苦笑まじりの吐息を漏らし、あらためて松永久秀をにらみつける。ほのかに薄暗い色香を漂わせているこの男は、国取りになど興味はない。人の持つなにかを奪うことをよろこびとしている。今回はなにを求めているのかと、小十郎は腰を落として臨戦態勢を整えながら問うた。
「今回は、なにが目的だ」
 文には、小十郎がひとりで来るようにと記されていた。なにかを持ってこいとは、書かれていなかった。
「ちょっとした遊びを思いついたとでも言っておこう」
「遊び、だと?」
「卿がそれに付き合ってくれたのなら、全員を無事に帰すと約束しよう。むろん、卿も含めて」
 含みのある物言いに顔をしかめる。
「五体満足で、と付け加えたほうが安心するのかもしれないが、それはあくまで卿の態度次第だな」
「なにを、させようってんだ」
「卿の誇り、自尊心――あるいは純潔をいただこう」
 まったく意味がわからない。全身に警戒を漲らせると、指を鳴らされた。松永の部下が刀を抜き、切っ先を伊達軍の面々に向ける。
「まずは、服を脱いでもらおうか。それこそ、一糸まとわぬ姿になりたまえ」
 久秀の言葉に合わせて、切っ先が伊達軍の者たちの喉に触れた。奥歯を鳴らした小十郎は、それに従う。刀を落とし、防具を外し、帯を解いて袴を脱ぐと、着物を腕に滑らせた。下帯姿になった小十郎を、久秀はからかう笑みでながめている。視線で促され、小十郎は下帯も落として相手の望む姿となった。
「これで満足か」
「それで部下を返してもらえるとでも思っているのかね?」
「遊びとやらを、とっとと済ませやがれ」
 ふむ、と鼻を鳴らした久秀が軽く手を振ると、どこからともなく黒装束の男たちが現れて、小十郎の刀や着物など、全てを部屋の隅に移動させた。
「さて……卿のその見事に鍛え抜かれた肉体を、味わった者はいるのかね。男でも、女でも、どちらでもかまわないが」
「それを聞いて、どうするつもりだ」
「どうもしない。ただ、問うてみただけだ」
 ふたたび久秀が手を振ると、黒装束の男たちが小十郎のそばに集まって来た。
「卿はそのまま、ただ立ち続ければいい。木偶のように」
 それが命令だと、小十郎は受け取った。どのようになぶられるのかは知らないが、玩具となっていれば全員が無事に帰れる。
(松永は、俺に屈辱を味わわせて楽しみたがっている)
 それに耐えていれば、捕らえられた者の命も自分の命も保証される。久秀が余計なものは欲しがらないと知っていた。
 小十郎の周囲に集まった男たちが、手を伸ばしてくる。足を肩幅に開かれたかと思うと、潜り込まれて陰嚢を咥えられた。
「うっ」
 誇り、あるいは純潔をという意味を理解して拳を握る。囚われている者の前で、痴態を繰り広げろというのか。
(副将としての誇りを傷つけるには、なるほど……悪趣味だがわかりやすい方法だ)
 それなら好きに犯されてやろうと腹をくくった。久秀は手を出すつもりがないらしく、ゆったりと足を組んでいる。
「片倉様ぁ」
「情けねぇ声を出すんじゃねぇ。全員、無事に帰るぞ」
 久秀が愉快そうに目を細める。にらみつけ、太ももに力を入れて陰嚢をしゃぶられる刺激を堪えた。ジワジワと快感が腰のあたりにわだかまり、力なく垂れていた小十郎の腰の槍が硬くなる。穂先が徐々に持ち上がり、見事に反り返って天を向いた。
「いいモノを持っているな」
「欲しいってんなら、くれてやる」
 不敵に笑うと、鼻先で笑い返された。
「卿のそれを味わうのは、私ではないよ」
 別の男が小十郎の胸乳に顔を近づけ、色の濃い場所に舌を伸ばした。チラリと舐められ、吸いつかれて、小十郎は鼻を鳴らした。
「乳が恋しいってんなら、帰ってオフクロの乳でも飲んでな」
「卿のそこから乳が出ないことは、百も承知だ」
  もうひとり、男が乳に吸いついて、小十郎はちいさくうめいた。ざわざわと産毛が逆立ち、トロリとした粘り気のある悪寒に全身を包まれる。たっぷりと乳を吸われて乳首が尖り、それに軽く歯を立てられると陰茎に電流が走った。
「んっ、う」
「片倉様!」
「心配すんな」
 頼もしい笑みを浮かべて、ハラハラしている伊達軍の面々に声をかける。
「囚われの身でできることは、なにもない。ただ、自分たちのために快楽に堕ちる男を、余すところなくながめているしかないのだよ」
 クックっと喉を鳴らした久秀を、全員がにらみつける。視線をさらりと受け流した久秀は部下に命じて酒を用意させた。
「二度は見られぬ演目だ。たっぷりと楽しめばいい」
 ゆるりと酒を楽しむ久秀に威嚇の視線を向けたまま、小十郎は胸乳と陰嚢を口や舌でなぶられつづけた。たっぷりと唾液を含ませられた乳首は腫れ上がり、甘い痺れをまとわせて震え、陰嚢はパンパンに膨れ上がった。快感を引き出された肌は火照り、股間に鼓動を感じるほど精をみなぎらせる。
「く、ぅ」
 ちいさなうめきと共に、短槍の先端から先走りがこぼれ出た。それは次々にあふれて陰茎を伝い、下生えを濡らして陰嚢に到達する。トロトロと快感の証を流す小十郎の姿に、囚われの部下たちはゴクリと喉を鳴らした。その様子に、久秀は口角を持ち上げる。
 それからたっぷりと、四半刻(三十分)ほど舐られ続けた小十郎の体に異変が起こった。触れられてもいない陰茎が激しく脈打ち、太ももに緊張が走る。グッと腹に力を入れて予感に備えても、本能的な現象には逆らえなかった。
「くっ、う……っ」
 えもいわれぬ衝撃が全身を駆けめぐり、脳天を突き抜けると同時に絶頂を迎える。ビクンと震えて噴射する姿が、見学者の目にさらされた。
「ふ、ぅ……う」
 余韻を垂らしながら、緊張を解いた陰茎が力なく折れる。膝が折れそうになるのを、かろうじて堪えた小十郎は胸を喘がせた。
 快楽に潤み、絶頂の余韻を宿した瞳に久秀を映す。
「これで、満足か」
「そう考えているのなら、卿はずいぶんと甘く、初心な男だな」
 これで終わるとは、小十郎も考えてはいなかった。あらためて覚悟を固め、余裕を示すために不敵に笑う。
「なら、さっさと済ませてもらおうか。こっちは暇じゃないんでな」
「そう、急くものではないよ……情緒というものを解さないのかね?」
「情緒だと?」
 文句を言いたくなるのを堪え、口をつぐむ。余計な会話はしたくない。一刻も早く囚われの者たちと帰還したかった。できれば、主、伊達政宗に知られる前にーー。
 言葉の続きがないと見た久秀が、余興を続けろと部下に指先で指示をする。小十郎の乳首に吸いついていた者たちは、乳首を指にかけて、そこがどれほど硬くなり、震えているかを見せつけるように引っ張った。
「ぐ、ぅうっ」
 うめく小十郎に声をかけようとした伊達軍の者たちを、視線で制す。余計な口は利くなと目で伝え、口の端に笑みを浮かべてうなずけば、うなずき返された。
(それでいい)
 久秀の狙いは恥辱にまみれる小十郎を、部下に見せることで自尊心と信頼、あるいは尊敬の念を傷つけ奪うことにある。心配の声を上げさせたいわけではない。ただ黙って、この見ず知らずの男たちに凌辱される自分を見ていろと、小十郎は心の中で告げた。
(命に代えられるもんじゃねぇ)
 犯されるくらい、どうってことはないと覚悟を示した小十郎に、部下たちも目元を引き締めた。彼らの心のつながりを見た久秀が、恍惚とした気配を目元に滲ませる。それを砕く瞬間の甘露を想像したのだろう。
(悪趣味な野郎だ)
 だが、政宗の刀をよこせと言われるよりは、ずっといい。
 陰嚢をしゃぶっていた男が背後に回り、尻の肉を開かれた小十郎の心臓がヒヤリとした。覚悟を決めたとしても、怖気が消えるわけではない。尖らせた舌で秘孔の口をつつかれ、グッと舌を押し込まれると吐き気が起こった。
「ぅぐ……う、うう」
 うめく小十郎の膝が震える。それをしっかり掴まれて、グイグイと舌を押し込まれてまさぐられた。乳首は指にもてあそばれて、理性の埒外で淫靡なよろこびを味わわされる。垂れていた陰茎に血がめぐり、たくましさを取り戻してそびえ立つ。そこを扱きたい衝動にかられたが、本能を理性で押しとどめた。
「んっ、う……くっ、ふ、うう」
 抑えきれない甘美なうめきが、喉や鼻から漏れ落ちる。拳を握るだけでは耐えきれなくて、太ももに爪を立てた。痛みに快楽が晴れたのは一瞬のことで、すぐに悦楽に見舞われた。執拗な愛撫に肌は火照り、わなないて息が乱れる。たっぷりと濡らされた秘孔はヒクつき、舌にすがりつくような動きを見せた。
「く、ふぅう……んっ、う」
 二度目の絶頂が迫ってくる。それから逃れられないと悟って、小十郎は欲望に従った。
「く、ぁあ」
 ドクリと陰茎が脈打って、精がほとばしる。ビクビクと痙攣し、残滓を吐き出す陰茎に手が伸びて掴まれたかと思うと、乱暴に扱かれた。
「ぅは……あっ、ああ……ぐ、ぅう」
 快感が引き伸ばされる。ガクガクと震える膝から力が抜けて、くずおれた小十郎は両端から脇に腕を入れられて、上半身を支えられた。乳首には依然、指がかかっている。陰茎を扱く手は、尻の谷に顔を伏せている男のものだった。
「う、ふ……んっ、はぁ……ぁ、くうぅ」
 いじられすぎた乳首は、これ以上ないというほど腫れ上がり、存在を主張して震えている。わずかな刺激さえ、背をしならせるほどの快感を生み出した。扱かれる陰茎はダラダラと淫らなヨダレを流し続けて、秘孔はすっかり舌との戯れを受け入れていた。自分の体の反応についていけない意識が混濁し、小十郎は淫蕩にぼんやりとする思考を奮い立たせようと気力を引き寄せる。
「無駄なことは、しないほうがいい。もっとも、私は抗われたほうが楽しめるがね」
 久秀の声が歪んで聞こえる。神経の全てが快楽に従おうとしていた。小十郎は胸を喘がせ、艶やかに濁った目を救うべき相手に向ける。彼らは一様に興奮をみなぎらせ、必死にそれを抑えようとしていた。自分の痴態に、部下たちが淫らな目を向けている。それが仄暗い興奮を刺激して、骨の奥から湧き上がる快楽を燃え立たせた。
「く、ぅううっ」
 愛撫に対する返礼が喉から溢れて止まらない。抑える気力も失った小十郎の尻に、細い竹筒が押し込まれた。奥まで飲まされたその先端から、ひんやりとした液体が流れ出る。秘孔の奥に潤滑油を注がれて、そのまま竹筒で内壁を擦られた。
「ひっ、ぁあぉ、うう……くふぅ……あっ、ぐぅ」
 乳首をひねられ、肉筒内を犯されて身もだえる体は、性欲に従順になれと理性を促す。扱かれる陰茎はしっかりと硬くなって、よろこびを示している。脳内で明滅する快感に理性が侵食される小十郎を支えているのは、視界に映る部下の姿だった。それが小十郎を竜の右目と称される奥州の副将にとどめ、快楽に堕ちようとする意識を苦しめていた。
「ふ、ぁああっ!」
 グリッと内壁の一部を抉られて、脳髄が弾けるほどの刺激に襲われた。そこを執拗に攻められれば、勝手に涙が湧き起こる。たっぷりと注がれた潤滑油がジュブジュブと水音を響かせて、小十郎の理性を溶かし、囚われの者たちの興奮を煽った。ギラギラと欲望にまみれた視線を守るべき相手に向けられながら内壁を乱された小十郎は、三度の絶頂とともに己の中で何かが弾けて崩壊する音を聞いた。
「は、ひぃい」
 甲高い悲鳴をあげて弛緩した尻から竹筒が抜かれ、乳首の手が離れたかと思うと床に這わされた。尻を持ち上げられ、谷に熱いものを押し当てられる。数度、尻の谷で扱かれたそれが、秘孔に突き立てられた。
「ひぎっ、ぁ、が……ぐ、ぉう……ふ、ぐぅ……う」
 こじ開けられた衝撃に目を見開いて、息苦しさにうめきを上げる。手負いの獣じみた声を発した小十郎は、目を白黒させながら、内部をズッズッと擦られる音を肌で聞いた。
「は、がぁ、う、おお……ふ、ぁぐ……うう、くぁあ」
 具合をたしかめるように抽送されて、床に爪を立てた。両肩は左右から押しつけられて、身じろぎすらもできなかった。やがて秘孔は陰茎になじんで媚肉に育ち、見ず知らずの男の欲にまとわりつくようにうごめいた。それと同時に快感が小十郎の意識に馴染む。
「ふはっ、ぁ……はぅ、う……んっ、くぅ……あっ、あ」
 とまどいを含みながらも素直な嬌声をこぼしはじめた小十郎と、食い入るように見つめている伊達軍の男たちの姿に、久秀は愉悦を浮かべた。
「卿らも、彼を犯したいかね?」
 たわむれの問いに、ハッとした伊達軍の者たちがなんと答えたのか、小十郎の耳には届かなかった。内部に押し込まれた陰茎の動きが早くなり、意識が千々に乱される。肌のぶつかる音に、グプグプと秘孔の口と陰茎の隙間から漏れる音が合わさって、淫らな旋律が生まれた。それに小十郎の嬌声が重なると、法悦の気配が漂う。
「んはっ、は、ぁううっ、く、ぁあ……はひっ、ひ、ぐ、ぉお、ふっ、んふぁあ、あ、くぅうっ」
 見知らぬ男の精が放たれ、小十郎の奥深くを濡らした。役目を果たした陰茎が抜け、出番を待っていた陰茎が小十郎を貫く。
「ぅ、はぁあっ!」
 先ほどとは違う速度で突き上げられて、喉を開いて悲鳴を上げる。穂先で抉られ、張り出しで掻き乱される媚肉は、勇躍する陰茎を歓迎するほど淫らになっていた。
「ひぎっ、ぁ、あぐぅううっ」
 今度の陰茎はずいぶん長く、突き当たりのはずの箇所をブチ抜かれた小十郎は涙を流して身をよじった。頭の芯が痺れるほどの快楽に、涙が止まらない。泣きながらヨダレを垂らし、のたうち回る小十郎の姿に、囚われの者たちの興奮も最高潮に達していた。
「せっかくの宴だ……卿らも存分に楽しむといい」
 蠱惑的な誘惑に、誰も抗えなかった。刀を向けられ、しぶしぶと従っている風を装ってはいたが、誰もが小十郎に肉欲の限りを尽くしたいと望んでいた。
 ふたり目の精を、おそろしく深い箇所に飲まされた小十郎は、笛の音に似た乱れた呼吸を吐きながら、欲望をみなぎらせている陰茎が、自分に向けて並んでいるのを見た。その先にある顔を見て、息を飲む。
「オメェら……っ」
「すんません、片倉様」
 申し訳なさそうにしながらも、彼らは自分を救うために犯されている小十郎に、ためらいなく欲望を突っ込んだ。眺めている間に昂ぶらせていたものを、全力でぶつけられた小十郎は髪を乱して甘く吠えた。
「く、ぅう、片倉様……締めつけ、すごいっス! 持っていかれそうなくらい、ヤバイです」
「ぁ、はぐぅうっ、んぁっ、く、そんっ、あ、はぁあっ」
「片倉様、すんません、すんません! 俺、イッちまいます」
「ぅは、ぁ、ああっ」
「すんません、片倉様……次は、俺ッス」
「んぁっ、待て……ぁ、ひぎぃいっ」
「う、ぉお……ヤベェ、片倉様のケツ、最高すぎて腰が止まんねぇッス」
「ひっ、ひはぁ、ぁく、ぅお、ふぐぅ」
 遠慮もなしにがっつかれる小十郎の陰茎は、とめどなくヨダレを撒き散らして突き上げに合わせて揺れている。それを掴んだ誰かの手に、牛の乳を絞るように陰茎を絞り扱かれた。
「ひぎぃいっ、ぁ、あはぉううっ、んはっ、は、あああうう」
 強すぎる快感に顎をそらして、遠吠えをする小十郎の口に陰茎が差し込まれた。
「ぉほっ、片倉様、さらに締めつけが……くぅうっ、気持ちいい」
「んぐっ、ぶっ、ぉぐ……んぉふ」
 喉の奥を突かれ、えづきながらも無理やりにしゃぶらせられる小十郎の口の端から、飲まされる先走りとヨダレが溢れて床に落ちた。
 男たちに囲まれて、存分にもてあそばれる小十郎の目が正気を失い、淫蕩に濁りきるさまを、久秀はゆったりと盃をかたむけて酒を味わいながら堪能する。欲望に正気を失った、助けに来たはずの相手に犯される姿は最高に惨めで、哀れで、美しかった。
「いい音色だ」
 意識を恍惚に溶かせた小十郎は、性の本能に従って愉悦に吠えて身をくねらせながら、男を咥える術をすさまじい速さで習得していく。捕虜であり交渉の種であった人質も、夢中になって肉欲をむさぼる姿に触発された、彼らを捕らえていた者たちにも許可を与えて、小十郎を犯させる久秀は、ひとり静かに狂宴をながめ続けた。
「この姿を見せたら……いや、ここにいる者すべてが精根尽き果てるまで蹂躙すれば、もとの体には戻れなくなるな。そんな体を抱えて、卿がどのように過ごすのかを静観するのも、また一興」
 久秀のつぶやきが、乱れきった小十郎の耳に届くことはなかった。九人の男に蹂躙される小十郎の体は、男の味を覚えきり、もはやそれなしでは生きられぬほどに調教され尽くしてから、捕虜となっていた者らとともに、丁重に館に送り返されることとなる。
 親切心からではなく、政宗になにかあったと知らせるための、久秀の演出だった。
 意識を失った小十郎を受け取った政宗がどうするか。目覚めた小十郎が肉欲にまみれた体を持て余すかどうか。想像を膨らませて楽しむ久秀の愉悦を気にかける余裕など、陰茎に教育されている最中の小十郎にあろうはずがないーー。

2018/05/04



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