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冬の気立ち始めて、いよいよ冷ゆれば也

 吐く息が白い。色を変えた庭木を横目に見つつ、片倉小十郎は主の寝所へと足を進めた。
「政宗様」
 膝をつき声をかけるが、室内からは何の返答も無い。ふう、と息を漏らした小十郎は、襖に手をかけた。
「政宗様」
 声をかけて膝を滑らせ、室内へ。外気よりは、いくぶんか温い空気が漂っている。それを逃さぬよう、すぐに襖をぴったりと閉じて、小十郎は主・伊達政宗の枕元に膝を進めた。
「政宗様」
 三度呼んでも、返事は無い。
「失礼します」
 政宗の身を隠している綿入れをつかみ、それを剝ごうとした小十郎の手首がつかまれた。
「朝餉の仕度が整っております」
 あきれを含んだ小十郎の声に、隠れていた政宗の頭が、綿入れから覗く。いたずらっぽく光る左目と、虚の傷跡となった右目が、小十郎に向けられた。
「寒い」
「これから、もっと寒くなります。この程度で寒いなどと仰られては」
 言いかけた小十郎は、つかまれていない手を政宗の額に置いた。
「風邪はひいてねぇよ」
 政宗が楽しそうにささやき、つかんだ小十郎の手首に唇を寄せる。開いた薄い唇から、熱い息と舌を零して小十郎の指に絡めた。
「……政宗様」
 小十郎の声がひそめられる。咎める気色の息に、クスクスと政宗は鼻を鳴らして小十郎の指にたわむれた。
「つまらぬ悪戯をなされますな」
「つまんねぇか?」
 どこか挑戦的な政宗の目に、小十郎は息を詰めた。二人の視線が、互いの意図を伝えあう。政宗の無音の声にひきずられぬよう、小十郎は枕元にある眼帯に手を伸ばした。
「No、小十郎」
 半身を起こした政宗が、小十郎の膝に頭を乗せる。
「それを着けるのは、後だ」
 眼帯に伸びた小十郎の手は、政宗の背に落ち着いた。
 政宗が、つかんだ小十郎の手指に唇で甘える。小十郎は、幼子をあやすように政宗の背をなでた。
「小十郎」
 艶めく唇を、政宗が小十郎に向けた。細いアゴをつかんだ小十郎が屈み、唇を寄せる。
「あっためろよ。そうしたら、起きる」
 腕を伸ばし小十郎の首に絡めた政宗が、ねだるように命じた。
「おたわむれを」
「俺と、たわむれろ」
 視線が交錯する。小十郎は主の右目に舌を伸ばし、愛撫した。ぶるっと政宗が震え、小十郎の帯に手をかける。政宗の手が小十郎の帯を解き、鍛え抜かれた胸筋があらわとなった。小十郎は主の右目を愛撫したまま、政宗を横たわらせた。
「今日より寒い日は、どうなさるおつもりか」
「Why not? 毎朝、こうすりゃあいいだけだ」
 小十郎の眉がひそめられる。政宗は楽しそうに、そこに唇を押し付けた。
「収穫も済んで、畑にかける手が空いているだろう? それを、俺にかけりゃあいい」
「そのような……」
「どこも、戦をしている場合じゃない時期だ」
 雪深い地方の戦は、収穫期の前から雪解けの時期までは、自然と無くなる。進軍が出来るような状況ではなくなる上に、冬の厳しさとの戦いがあるからだ。だから、今のうちにと政宗は小十郎の耳に唇を寄せた。
「Love me 小十郎」
 政宗の息が小十郎の理性に絡む。政宗は小十郎の肩に唇を寄せ、鎖骨に歯を立てた。下帯を解いた政宗の手が、小十郎の牡をつかむ。
「あったけぇな」
「政宗様」
「ただれるぐれぇ、熱くしてくれよ」
 ぐっと強く、政宗が小十郎の牡を握った。息を詰めた小十郎のアゴを、政宗が舐める。
「朝餉が出来ているんだろう? さっさとデカくして、俺ん中にぶちまけろよ」
「……はしたのうございます」
「お前相手に、取り繕う必要なんざ、ねぇだろう」
 なぁ、と艶めいた息を吐く政宗の唇を、小十郎が唇で塞いだ。
「んっ、ふ……は、っ、あ、こじゅ、んぅう」
 舌が絡む。政宗の指が小十郎の髪を探り、広い背にしがみついた。
「はっ、ぁ、ん、ふ、ぅう」
 政宗の左目が、とろりと輝く。ちゅっと軽い音を立てて顔を離した小十郎は、そのまま政宗から身を離した。文句を言いかけた政宗は、小十郎の中心が天を向いていることに気付き、言葉を飲み込む。
「あまり時間がございません。遅くなれば、何を詮索されるかわかりませんから」
 着物を落とした小十郎が、刀の傍に寄る。丁子油を手にし、鋭く目を細めた。
「丹念に御身を熱くさせることは叶いませんが、よろしいか」
 ニヤリとした政宗が、もろ肌脱ぎとなった。
「上等。体の芯まで、熱くしてくれよ」
「承知」
 楽しげに挑むような目をした政宗が、足を開いて小十郎を招く。主の足の間に膝を着いた小十郎は、政宗の唇に顔を寄せ、腰をつかんで耳元でささやいた。
「失礼します」
「何……おわっ」
 くるん、と政宗の体が反転する。小十郎は政宗の体を綿入れの上に伏せ、尻を持ち上げると丁子油を秘孔に垂らした。
「んっ」
「冷たいでしょうが、すぐに熱くなりますので」
「っあ」
 節くれだった小十郎の指が、慣れた手つきで政宗の秘孔に沈む。指はすぐに政宗の快楽点に触れた。
「ひっ、ぁ、は、いきなりソコっ……あ、はぁう」
 たっぷりと丁子油を使った小十郎の指は、すべらかに政宗の秘孔を蠢く。空気と油の混ざる音が立つほど激しく、小十郎は政宗の内側を掻き混ぜた。
「ふっ、んくうぅ、ぁ、こじゅ、ぅは、ぁ、ソコばっか、そん……っ、は、ぁ、あ」
 綿入れにしがみつき、小さく震える政宗の陰茎が透明な液を垂らす。それが床に落ちぬよう、小十郎は手のひらで包んだ。
「はふっ、ぁ、はぅうっ、こじゅ、ぅんっ、ぁ、こじゅうろぉ」
「そのように腰を振って……。こらえ性の無いお方だ」
 小十郎の手に陰茎を擦りつける政宗が、眼帯をつかんで投げつけた。投げられた眼帯は、小十郎の脇をすり抜けて落ちた。
「誰が、ぁ、こんな、性急に追いたてたと……っ、ふ、もぉ、来いっ!」
 瞳を潤ませ欲する政宗に、小十郎の喉が鳴った。
「最初に申し上げたはずです。丹念に御身を熱くさせる事は、かなわぬと」
「はぅんっ」
 小十郎が肉壁に軽く爪を立てて指を抜く。ビクンと跳ねた政宗の尻に唇を寄せ、小十郎は猛る熱を秘孔に押し当てた。
「政宗様」
 伺うように、小十郎が声をかける。
「来い」
 主の求めに応じ、小十郎はひといきに熱を押し込んだ。
「くっ」
「がっ、ぁはぁああっ」
 政宗は反りかえり、四肢に力を込めた。穿たれた熱に快楽点を抉られて、小十郎の手の中で政宗が弾ける。
「っ……」
 絶頂にひくつく政宗の肉壁が、小十郎の欲を絞る。それにひきずられぬよう腹に力を込めた小十郎は、絶頂の余韻に痙攣している政宗を突き上げた。
「んはぁあっ、ぁ、は、ぁはぁおお」
 深く抉られ、政宗は絶頂の感覚を持続させられる。下肢に添えられたままの手と、内側を蹂躙する熱に身をくねらせて、声を限りに叫び悶えた。
「ぁ、はぁあっ、こじゅ、ぅああ」
 しっとりと赤く染まる政宗の肌に、小十郎の息が上がる。政宗の内部で丁子油と小十郎の先走りが混ざった。
「はひっ、ぁ、あはぁあ、も、ぁ、こじゅ、ろぉ」
 あふれる唾液を飲む余裕すらなくなった政宗が、荒波のような快楽の果てを求める。
「政宗様」
 小十郎の声が掠れて熱い。余裕を失いかけた小十郎の気配に、政宗の魂が震えた。
「っは、はんっ、ぁ、はぁああぁあああ!」
 快楽のその先に、政宗の意識が解き放たれる。高く吼えた政宗と共に、小十郎も果てた。
「く、ぅうっ」
 吹き上げた小十郎を、政宗の媚肉が残滓すらも飲み干そうと蠕動する。数度擦りつけて全てを注ぎ終えた小十郎が、くたりと弛緩した政宗の背に唇を寄せた。
「政宗様」
 息の中に音を含め、小十郎が体を離す。ひきとめるように動いた媚肉に、小十郎の胸が疼いた。唇をひきしめ堪えて、政宗を抱き起こす。
「は、ぁ……朝から、とんでもねぇ嵐に遭った」
 汗ではりついた政宗の髪を、小十郎が指でそっと撫で払う。
「ただれるほどに熱くしろと申されたのは、政宗様です」
「見事に、理性を焼き切ってくれたな。小十郎」
 満足げに目を細めた政宗が、小十郎の頬の傷に唇を寄せた。
「頭も体も、すっかり覚めた。最高の朝餉だったぜ、小十郎」
 目を丸くした小十郎が、すぐ渋面になる。
「きちんとした朝餉も、お召し上がりください」
「Of course 入るところが、違うからな」
 小十郎が、苦い顔をする。クックと楽しそうに喉を鳴らして、政宗が小十郎の首に甘えた。
「畑の世話が無くて、さみしいだろう? これからは毎朝、俺を耕せよ」
 小十郎の鼻に、政宗が唇でじゃれつく。
「そうして、この小十郎の種を御身の畑に受け取ると?」
「春になって、芽吹くかもな」
 歯を見せて笑う政宗の幼い笑みを、小十郎がふわりと包む。
「この胸には、すでに芽吹いているものがございます」
「……知ってる」
 笑みを静めた政宗が、小十郎のたくましく盛り上がった胸筋に顔を埋めた。
「思いの蔓で、俺を縛れよ。小十郎」
 離れる事のないように。
 言外の言葉を受け止めた小十郎は、政宗の髪に唇を押し当てた。
「この小十郎、すでに政宗様に絡め取られているものと思っていたのですが」
 政宗が小十郎の胸に歯を立てた。
「誰にも渡すつもりはねぇ」
「それは、こちらも同じ事」
 瞳を重ね、互いの目の奥を見つめながら唇を重ねる。誓いのような確認を胸に刻むため、視界を閉ざした。

2014/11/06



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