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太陽の下が似合う君へ

 床机の上に座らされ、真田幸村は身をこわばらせていた。これから、戦よりも緊張を強いられる行為を行う。いや、戦ならば身を滾らせ獣のように吼えながら、駆け回り槍を振るうことも出来ようが、この行為は身じろぎをすることさえも、幸村にとっては堪えがたい羞恥を浮かべるものであった。
 目の前には、幸村の好敵手である奥州伊達軍を率いる男、伊達政宗がうっすらと唇に笑みを浮かべて立っていた。端正な姿形に、右目を覆う眼帯が影を落とし、政宗の容色に凄みを与えていた。
 ごくり、と幸村は喉を鳴らす。このようなこと、承諾しなければ良かった。だが、酒の席であろうとも約束は約束だ。たがえることなど、武士としてあるまじき事だと腹をくくった。腹をくくったくせに、逃げ出したいと思っている。
「幸村」
 政宗が足を滑らせ、音もなく近寄ってくる。伸ばされた長い指が、幸村の顎を取り顔を上向かせた。
「そんなに、緊張をするなよ。と言っても、無理だろうな。Pussy Cat」
 喉を震わせる政宗の声に、幸村は目をそらした。その目じりが赤く染まっている。顎にある指を首に滑らせ鎖骨をなでて、政宗は顔を近付け唇を寄せた。
「っ!」
 ぎゅっと硬く目を閉じた幸村の唇も、硬く閉ざされている。
「いいさ。すぐに、やわらかく開かせてやる」
 ささやく声に、幸村の背筋が疼いた。口を開いてしまえば、甘い息が漏れてしまいそうで奥歯を噛みしめる。そんな幸村の貝よりも硬く閉ざされた体を開くため、政宗は武人として鍛え抜かれた、柔軟でたくましい彼の肌を覆う布を開いた。
「相変わらず、いい体してんな」
 政宗の指が幸村の盛り上がった胸筋の溝を撫で、外周を滑りわしづかむ。びくんと震えた幸村の褐色の肌に、政宗は目を細めた。白く長い政宗の指に掴まれた胸筋が、ゆがんでいる。その指の間から、赤みのある尖りが覗いていた。胸筋を掴んだまま顔を寄せた政宗が舌を伸ばし、ぺろりとそれを舐める。
「っ、ん」
 幸村の体が、さらに凝った。ぺろり、ぺろりと政宗は確かめるように舐め上げて、幸村の反応を見る。硬く目を閉じ口を閉ざした幸村は、背に腕を回し床机のふちを握り、堪えていた。ふっと頬を歪ませた政宗は、掴んでいた手を離し唇で尖りを覆った。幸村がビクリと震える。尖りを舌で転がし吸い上げ、軽く歯を立てもてあそべば、幸村の肌がうっすらと赤く染まっていく。堪える目元が震えていた。
「もっと、体の力を抜いたらどうだ。幸村」
 ふるふると幸村が首を振り、癖のある赤茶色の髪が揺れた。くすりと鼻を鳴らし、政宗は胸筋を外側から内側に揉みこみつつ、舌で尖りとたわむれる。だんだんに硬さを増したそこは、はじけばポロリと取れてしまいそうなほどになった。
「震えてるぜ」
「んぅうっ」
 口を離し指で摘めば、幸村の食いしばった唇から音が漏れる。政宗の唾液で濡れた尖りが、日の光の中で、つやつやと輝いていた。もう片方は、触れられてもいないのに、同じように凝り震えている。
「こっちも、してやろうか?」
 朝日の差し込む庭先で、このような行為をしても政宗は本当に羞恥を感じていないのだろうか。昨夜の酒の席で、猥らな話題になった事を幸村が咎め、夜に酒の席でするのに破廉恥も何もないだろうと政宗が返した。朝日の中で行為にいたったとしても、自分は破廉恥だとは思わない、と。羞恥すら浮かべる事もしないだろうぜと言う政宗に、幸村は酒酔いのまま「なれば、証明して見せよ」と叫んだ。その結果が、これである。
「なあ、幸村」
 返答がないので、政宗は再度、問いかけた。してほしいとも、してほしくないとも言えずに幸村は唇を引き結んだ。やれやれと政宗が息を吐いたのが、気配で伝わる。本当に、彼は羞恥を浮かべていないのだろうか。確認をしたいが、目を開くのが恐ろしい。自分が明るい場所で、どのようになっているのかを見てしまうのが、恐ろしい。
「なら、別の所にするか?」
 政宗の指が腹筋をすべり、ヘソをなでる。そこから下に指が進み、幸村は内腿を硬く閉じた。
「おいおい。そう頑なになんなよ。もう、熱くなってんだろ」
 下肢はまだ、布に覆われている。けれど幾度も肌を重ねているのだから、幸村が魔羅を凝らせていることを、政宗はわかっているのだろう。
「開けよ。足」
 膝をつつかれ、幸村は床机を掴む腕に力を込めて、足を開いた。力んだ胸筋が盛り上がり、胸の尖りが突き出される。唇を舐めた政宗は、幸村の帯を解き下帯も外し、下生えの中で頭をもたげる男根を日にさらした。
「ずいぶんと、興奮してんな」
 猥らに咲きかけた肌と清涼な朝日の対比がなまめかしく、政宗の腰が疼く。すぐにでも這わせ尻を割り開き、思うさま穿ち乱したいほどにそそられる。けれど、それでは面白くないと、政宗は彼の牡に手を伸ばした。
「んっ、ふ」
 くりくりと先端を摘んで捏ねれば、幸村は尻に力をこめて、心地よさに揺らめきそうになる腰を、必死に留めている。
「恥ずかしいか」
 問いながら、べろりと蜜口を舐めれば「ひんっ」と幸村が啼いた。
「夜の明かりの中で見るのとは、また違った趣があるな」
 からかいながら、政宗は幸村の下生えを指で探り牡を口に含む。クビレを舌先でくすぐり、上あごと舌で押しつぶすようにしごけば、幸村は口を閉ざしていられなくなった。
「んはっ、は、ぁ、あは、ぁ」
「やっと、開いたか」
 ニヤリとした政宗は、そのまま彼を一気にほぐしてしまおうと頭を振り、口内の熱を絶頂へと導く。元来素直な性質の幸村は、愛撫に抗うことも出来ず開いた口から嬌声を漏らし、太ももをわななかせた。
「ぁはっ、は、ぁううっ」
 心地いい。無意識に脳裏で呟いた幸村の目が薄く開き、朝日に照りかえる庭木の緑を捉えた。瞬間、自分がどこでどんな姿をさらしているのかを思い出し、床机を掴んでいた手で政宗の頭を掴んだ。
「っ、あ、政宗殿、なりませぬっ、こん、ぁ、所で、あっ、ぁ」
 性器への愛撫にわななく手は力なく、政宗の顔を押し離すことが出来ないまま、虚しく彼の黒く艶やかな髪に絡む。
「んふっ、ふっ、ぁ、政宗殿っ、ぁ、も、ぁ、ああっ!」
 じゅ、と強く吸い上げられ、幸村は涙をこぼしながら腰を震わせ、政宗の口内で果てた。
「ぁ、は、ぁあ――なんという、ことを」
 ぼろぼろと涙をこぼす幸村の目に、名残惜しそうに彼の牡を舐める政宗が映る。
「恥ずかしいか」
 こっくりと、子どものように幸村が頷いた。ふん、と鼻を鳴らした政宗が立ち上がり、何のためらいもなく裸身となる。
「幸村」
 言いながら、政宗が自身の牡を握って示した。それは雄々しく天を向き、堂々たる姿をしていた。ごくり、と幸村の喉が鳴った。
「しゃぶれよ」
 ぐっと息を詰まらせた幸村は、猛る政宗の牡を見る。ゆっくりと視線を上げて、政宗の瞳を見た。挑むような目をした彼に、羞恥など欠片も見えない。
「政宗殿は、恥ずかしゅうはござらぬのか」
 おそるおそる問う幸村は、裸身の身を縮こませた。
「Ah? 言っただろう。俺は、朝日の中でも恥ずかしくねぇってな」
「何故」
 幸村には、政宗がこれほど堂々としていられるのが、不思議でならない。問いに、政宗は軽く首を傾けた。幸村のまっすぐな問いの瞳を見つめ、仕方がないというように息を漏らし、両手で彼の頬を包む。
「わかんねぇか」
 その声音がひどく優しくて、幸村の胸が甘苦しく絞られた。
「アンタとする行為は、何もかも恥じる必要が無ぇからだ」
 幸村の目が、零れ落ちそうになるほど見開かれた。
「答えがわかったから、ここで終わりだなんて言うなよ? こんなになっちまってる俺を、おいてけぼりなんて許さねぇぜ」
 きらりと政宗の目が悪戯に光り、幸村は頬をゆるめた。
「政宗殿は、破廉恥にござる」
「Ah?」
 うれしげに、野欲の影も無く微笑む幸村に、政宗が目を眇めた。
「政宗殿は、もとから破廉恥ゆえ、破廉恥なことをなされても、羞恥を浮かべぬのでござるな」
「Ha? 何を言ってやが――」
 幸村が政宗の牡に手を伸ばし、口に含んだ。腰で揺れる幸村の髪を眺め、息を吐いた政宗はいとおしそうに彼の頭をなでる。
「んっ、ふ、ふんっ、ん、んちゅ、は、ん」
 ぎこちなく、けれど懸命に政宗を高みへ導こうとする幸村の姿は、このような行為であるというのに無垢そのもので、政宗は「Ah, crap」と口内で呟く。
「はっ、んっ、ちゅ、はふ、んぅ」
 穏やかな笑みを口元に漂わせ、政宗はあたたかな幸村の口腔を味わった。
「は、ぁ――幸村。もういい」
「んっ、なりませぬ」
 政宗が止めようと幸村の髪に指を絡めれば、彼は牡に激しくむしゃぶりついた。
「おいっ」
「んふっ、んっ、んぅうっ」
 必死になって頭を揺らす幸村が、きつく吸い上げしゃぶりつく。甘美な刺激に抗いきれず、政宗は絶頂を迎えた。
「くっ、ぅ」
「んぶっ、げほっ、ん、ぐふっ、は、はぁ、んっ、ん」
 喉に噴きつけた子種にむせる幸村は、それでも舌を伸ばし政宗の牡を舐め、苦労しながら粘つく液体を嚥下する。
「っ、ふ、ぅ」
 ほっと息をつく幸村に苦笑し、政宗は彼の顎に手をかけ上向かせ、唇を寄せた。ぬるりと唇が滑り、独特の匂いが鼻腔に触れる。幸村の子種を含んだ政宗の舌と、政宗の子種を飲んだ幸村の舌が絡んだ。
「んっ、ふ、はぁ、あっ、政宗殿」
 とろりと淫蕩にとろけた幸村の瞳に口付け、抱き締める。
「俺の、負けだ」
「えっ?」
「恥ずかしくはねぇが、朝日の中に乱れたアンタをさらすのは、ずいぶんと破廉恥だと気付いた。だから、俺の負けでいい」
「政宗殿」
 幸村の手が伸びて、政宗の背に回る。
「幸村」
 ささやきながら、政宗は幸村の耳裏に唇を寄せ、耳たぶを噛み、舌を伸ばして耳奥を濡らした。
「太陽に、こんなアンタの姿を見せるのは惜し過ぎるからな。部屋で、俺とアンタだけの空間で、ぞんぶんに絡み合おうぜ。Do you mind?」
 政宗の最後の言葉の意味はわからないが、それが問いかけであることを察し、幸村は近頃覚えた南蛮語を呟いた。
「いえす、に、ござる」
 はにかむ幸村が政宗を見つめ、政宗は穏やかな瞳で幸村を包む。互いに顔を寄せ唇をついばみながら、二人だけの空間へと移動した。

2014/02/12



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