激しく木がぶつかる音が響いている。その合間に気合の声が差し込まれ、林の中にこだましていた。「ふっ」「くっ」 木刀で斬り込んだ伊達政宗の剣先を、二本の棒を重ねて真田幸村が受け止めた。幸村と政宗の顔が近付き、獰猛な笑みを交わし合う。集約していた力点を弾けさせ距離を置いた二人は、同時に構えを解いて気配をゆるめた。「さすがでござるな、政宗殿」「政に精を出しすぎて、なまっているとでも思っていたか」「そのようなことはござらぬ」「どうだかな」 軽口をたたきあい、近付いた二人は草の上に腰を下ろした。ちち、と頭上で小鳥がさえずる。「真剣でやりあえねぇってのが不満だが、アンタを殺しちまうわけにはいかねぇからな」「某が負けると思われておいでか」 むっとした幸村に微笑み、ひと房だけ長い彼の後ろ髪を掴んだ政宗が唇を寄せた。「あ、あうっ」 とたんに、幸村が顔を赤くして言葉を失う。いつまでも初心な反応を示す彼に目じりを緩め、政宗は顔を寄せた。ぎゅっと目を閉じ待ち受けた幸村の唇に、唇を押し付ける。「足りねぇ」 幸村の唇を舐めてつぶやく政宗に、幸村はそっと目を開け瞳で問うた。「熱が、治まらねぇんだよ。こんな中途半端に滾らせられて。アンタも、そうじゃねぇのか」 政宗の言わんとしていることを察し、幸村は目をそらした。「それは、某も同じ思いにござる。もっと、全力で政宗殿と打ち合いとうござる。なれど」「なら、コッチで解消するしか無ぇだろう」 政宗の指が幸村の首に下がった六文銭にかかり、ゾクリと幸村は身を震わせた。「三途の川の先にある、快楽地獄にご招待ってな」 人の悪い笑みを浮かべた政宗に、幸村が身をこわばらせた。それが拒絶ではなく羞恥であることを、政宗は知りすぎるほどに知っている。「このようなところで」 戸惑う幸村の頬に唇を寄せ、政宗がささやいた。「屋敷でスルよりは、見つからなくていいだろう? アンタ、声を抑えられなくなっちまうからな」「んなっ、そ、それは政宗殿が、その、なんと言うか」 真っ赤になった幸村がゴニョゴニョと呟くのに、鼻から息を漏らした政宗が唇を寄せて答える。「俺が、アンタを最高に気持ちよくさせちまうから、悪いんだろう」 全身を赤く染めた幸村のこわばりを解くように、政宗は丁寧に唇を押し付けた。「熱くなろうぜ、真田幸村。こっちなら、何の遠慮もなしに出来るだろう」 真っ赤に身を凝らせたまま、こっくりと幸村が頷く。鍛え抜かれた幸村の胸筋をなでれば、幸村は政宗の首に腕を回す。唇を重ね、互いに衣を脱がしながら舌を絡め、肌身をさすった。幸村の筋肉の溝を政宗の指が滑り、胸の尖りを捉えて捏ねれば、ふるりと幸村のまつげが震える。「ぁ、んっ」 瞼に口付け、政宗は指にかかる幸村の色づきをもてあそぶ。ゆっくりと彼の野欲を誘い出し、引き寄せ全身に広げて行けば、幸村は驚くほど猥らな大輪の花となる。「は、ぁう、んっ、政宗殿」 ささやきに口付けで答え、政宗は彼の首を吸い、鎖骨に歯を立て胸乳を吸った。「んふっ、ぁ」 脇を撫で、臍を探り按摩をするように手のひらで肌をさすれば、幸村の日に焼けた肌の赤みが増した。もどかしそうに内腿を擦り合わせる彼が、政宗に無意識に訴える目を向ける。「kitten which is obedient in greed。もっと、乱れて見せろ」「は、ぁあう」 胸の尖りを両方共に絞り上げれば、幸村が顎を反らせる。帯を解き裸身に剥いて、政宗も不要な布を脱ぎ捨てた。木漏れ日に照らされた林の中、二人の鍛え抜かれた肉体があらわとなる。政宗の下肢が猛っている事に、ごくりと幸村の喉が鳴った。「幸村」 政宗が手を差し出せば、幸村がそれを掴み起き上がり、促されるまま政宗の下肢に顔を寄せ、口を開く。下生えに指を絡めて口内に陰茎を引きいれた幸村の髪を、政宗が撫でた。「んっ、ふ、ふは、んむ」 丁寧に愛撫する幸村の口淫に危うさは感じられない。顎が疲れるほどに、政宗は彼に所作を教え込んでいた。「ふ、んぅう、んっ、はふ」 うっとりと陰茎をしゃぶる幸村と、さわやかな木漏れ日の対比は倒錯的で、政宗に甘やかで心地よいめまいを与える。しゃぶる幸村が腰を揺らし、自分の牡を高ぶらせるように政宗にむしゃぶりついた。「はふっ、はんぅっ、んっ、んううっ」 激しくなった幸村の行為に、政宗の熱が煽られる。必死になって食らいつく幸村の額を押して倒し、政宗は彼の口から陰茎を抜き取り、倒れた彼の胸に子種を撒き散らした。「っは、ぁ、政宗殿」 胸に散った政宗の蜜に手を乗せ、幸村が自分の胸に塗り広げる。膝を立て足を開き、腰を揺らめかせる幸村が、胸の尖りに政宗の子種を塗りつけ捏ねた。「は、ぁ、ああ、政宗殿、政宗殿ぉ」 甘えた声で求める幸村の陰茎に、政宗は素足を乗せて指の間に挟んだ。「はっ、ぁ、ああっ」「ずいぶんと、淫乱になっちまったな」「は、はぁあ、政宗殿がっ、ぁ、あ、こんなに、ぁ、は、某を」「I know、幸村。アンタをこんな体にしたのは、俺だ。これからもっと、猥らに鍛え上げてやる」「ひ、ぃんっ」 恋の話をしただけで、破廉恥と真っ赤になって叫ぶ男と同一であるとは思えぬほど、幸村は淫蕩を余すことなく体中で示し、政宗を求める。足で扱かれ腰を擦りつけ、自ら胸乳を乱して身悶えている。「はっ、はぁあ、政宗殿、ぁ、もっと、ぁあ、熱く」 幸村の求めに応え、政宗は幸村の陰茎を踏みつけ擦り、自らの牡を彼に見せつけるように扱いた。「これが欲しいか。真田幸村」「はっ、はぁ、ほ、欲しゅうござる、ぁ、政宗殿が、ぁあ」 身もだえ求める幸村が、身を起こして政宗の足にしがみついた。「っ、は、政宗殿。もう、ぁ、早く、某とひとつに」 うるんだ瞳で見上げる幸村の額に、OKと呟きながら体を折った政宗が口付ける。しゃがんだ政宗に促されるまま、幸村は足を広げて震える陰茎をさらした。「ずいぶんとゴキゲンじゃねぇか」「ひんっ、ぁ、政宗殿」 ぴん、と陰茎を指で弾けば幸村が情けない声を上げる。「政宗殿」「どうした」 声音に不安を見て取り、政宗は指で彼の陰茎をもてあそびながら問うた。「ぁ、は、なんでも、ござらぬ」「なんでも無いようには、見えないんだがな」 ううっと唸った幸村が、唇を閉ざした。こうなっては、おいそれと口を開かない。恐ろしく素直なくせに、妙なところで頑固な彼を、政宗は愛おしいと感じている。無邪気に猥らに求めてくるくせに、決して政宗に従いきらぬ強さを持ったこの男を、こうして我が者であると確認することが、どれほど政宗の魂を満たしているのか、癒しているのか、この男は気付いていないだろう。「幸村」 ささやき耳朶を噛みながら手淫をすれば、幸村がしがみついてきた。肩に額を寄せて震える彼の髪に唇を寄せ、高みへと連れていく。「はっ、はんっ、んぁ、あっ、は、ぁ、あぁああっ」 ぎゅっと政宗にしがみつき、幸村が震えて子種を噴き上げる。それを指に絡めた政宗は、しがみつく幸村をそのまま膝に乗せて尻の谷を指でなぞり、秘孔を探った。「んっ、ぁ、は」「イイコだ」「ひぅっ」 彼の子種で濡らした指を食ませ、とまどう内壁をあやしてほぐす。探っているのはこの俺だと、政宗は無言で彼の体に教えた。「は、はぁ、は、んぁ、は、政宗殿、ぁ、は」 全身で政宗に甘えながら、幸村は手を伸ばし政宗の陰茎を掴んだ。「こんなに、熱く」 かすれた声でつぶやく幸村の顔は、政宗の肩に押し付けられて見る事が出来ない。強いてそれを見ようとせずに、政宗は彼の耳に唇を寄せた。「アンタに触れているからな」 はっと顔を上げた幸村が、あわあわと目を泳がせて再び肩に顔を寄せ、しばらくしてから再び顔を持ち上げると、さっと政宗の唇に唇を押し付け、また顔を伏せた。きょとんとする政宗に、幸村が唸る。「ひ、ひとつに、繋がりとうござる」「Ha! Ok 幸村。俺も、繋がりてぇ」 幸村の尻を掴み割り開いて持ち上げる。猛る牡を秘孔に合わせて突きながら彼を落とすと、衝撃に幸村が仰け反った。「ひっ、ぃあぁああっ」「ふっ、すげぇ、熱いな。溶けそうだ」「ぁ、政宗殿、ぁ、溶けて、くだされ。某の熱で、ぁ、溶け、っ」「ああ。アンタも、俺に溶けちまえ」 幸村の首に噛み付き、政宗が突き上げる。彼にしがみついた幸村も体を揺すり、互いに高めあう。「はっ、ぁあ、政宗殿、ぁ、ひう、んっ、は、ぁ、もっと、ぁ、ああ」「わかってる。こんなもんじゃ、済まさねぇぜ、幸村」 まるで打ち合いをしているかのような言葉を交わし、腕を絡め身を擦り寄せて、熱を絡める。「ひはっ、ぁ、政宗殿っ、ぁ、もぉ、ぁ、止まりませぬっ、ぁ、あぁ」「止まる必要なんざ、無ぇだろう幸村。このまま、行きつくところまで行っちまおうぜ」「ひぁあうううっ」 体を揺すり、唇を貪り、体という境界を超えよとばかりに求め合い絡まりあう二人の声が、木々にこだまし吸い込まれる。溺れるほどに熱を求め、幸村の限界に気付いた政宗が彼の牡の先を、こじあけるように爪で掻いた。「ぁひっ、は、ぁあぁあああっ」 ぷし、と決壊した幸村が子種を放ち、媚肉が政宗にしがみつく。絞り上げられた政宗も幸村の内側で弾け、熱を注いだ。「はぁ、はっ、は、ぁ、ぁあう」 喉を震わせた幸村が、とろりと目を濁らせて呆ける。かくりと崩れた彼の体を抱き締めて、ゆっくりと草の上に横たえながら体を離し、政宗もごろりと横になった。 絡まりあう間には聞く余裕すらなかった木の葉のさざめきや、鳥のさえずりが耳に届く。うららかな風に、先ほどまでの熱が幻のように感じられた。「政宗殿」 あえいでいた胸を落ち着かせた幸村が、そっと呼ぶ。顔を向けた政宗に、幸村が幸せそうにはにかんだ。「武人として、政宗殿と雌雄を決する事が出来ぬまま、泰平を迎えてしまった事は残念にござる。なれど」 そっと手を伸ばした幸村が、政宗の指に指を絡める。「なれど」 言葉に出来ぬ想いを乗せた幸村の笑みに、政宗は絡んだ指を強く抱き締め、思いを乗せた息を彼の唇に注いだ。 穏やかな風が、二人を包んで吹き抜ける。2014/02/14