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串差し

 真田幸村の口が、せわしなく動いている。ふっくらとした頬はさらにふくらみ、目元はうれしげにゆるめられていた。目の前にある団子を、次々と串のみに変えて行く幸村の姿を、伊達政宗は呆れと感心、愛おしさを交えた瞳で眺めていた。
「馳走になり申した」
 口内にあるものを嚥下し終え、茶で口をすっきりとさせた幸村が頭を下げれば
「いい食いっぷりだ。もてなす甲斐もあるってもんだぜ」
 にやりと政宗が口辺を歪ませる。細められた隻眼が、鼻梁の整った政宗の細面に、凄みを与えた。美貌の青年に艶めいたものを感じた幸村の頬が、ほんのわずか赤くなる。それに頓着する様子も無く、政宗はただ微笑んでいた。
「あ。申し訳ございませぬ。政宗殿は何も食しておられませぬのに、某のみ、このように」
 気恥ずかしさを感じた幸村が目を彷徨わせ、自分が食べ尽くした団子の串に目を止めて、もごもごと頭を垂れる。
「俺が食えって言ったんだ。気にする必要なんざ、無ぇだろう」
 こくり、と幸村の頭が動く。座り心地の悪そうな幸村の様子に、政宗のイタズラ心が動いた。膝を進め、幸村の顎に政宗の手がかかる。
「……?」
 指に促されるまま幸村が顔を上げれば、政宗がイタズラ小僧のような顔をした。
「なら、俺はアンタを食わせてもらうぜ。真田幸村」
「え――? 何を申さ……むぐっ」
 言いかけた幸村の唇が、政宗のそれにふさがれる。言葉を放とうと開いた口に、政宗はやすやすと舌をしのばせ、口腔をまさぐった。目を白黒とさせる幸村は、上あごをくすぐられて驚きから覚めた。
「んうっ、んううううっ」
 抗議の音を口内で受け止めた政宗が、楽しげに目を細める。瞳の奥の剣呑に、幸村の背骨がゾクリとした。
「んっ、ふ……」
 鼻から漏れる幸村の息に、甘さが交じる。大きな瞳に色気が差して、政宗は名残を惜しむように唇をついばみ、顔を離した。
「は……政宗殿」
 ささやきのように漏れた名を掬うように、政宗の舌が幸村の唇を舐めた。
「I feel like I'm being drawn into your eyes」
 吐息のように紡がれた政宗の、いつもよりも低くひそめられた声に、幸村の胸から熱いものが込み上がる。南蛮語はわからないが、政宗が何を求めているのかが、口付け以上に伝わってきた。
 きゅっと唇を結んだ幸村の満面が、赤い。けれど先ほどのように目を迷わせることは無く、まっすぐに政宗の視線を受け止め、見返している。凛とした光に、政宗の心臓がわなないた。
「最高だ」
 濡れた唇に呼気が触れる。やわらかな唇が重なり、互いの体に腕が回った。
 角度を変えて口付けを繰り返す。深く顔を重ねるたびに、政宗の右目を被う眼帯が、互いの肌を隔てる壁に感じて、幸村は政宗に無言で問いかけた。政宗も無言で応じ、幸村の望みに承諾を告げる。
 目じりをとろかせた幸村の手が、政宗の髪を探り眼帯を解いた。隠されていた古い傷跡に、幸村の舌が伸びる。
「は、ぁ……政宗殿」
「幸村」
 幸村が政宗の頭を抱えて、深い右目の傷をいとおしむ。政宗は幸村の顎を愛で、首に指を這わせると、鍛え抜かれた褐色の肌をあらわにさせた。
「……ぁ」
 細く長い政宗の指が、幸村の盛り上がった胸筋の尖りに絡む。指の腹でくすぐられ、硬さを引き出した政宗は顔を寄せた。
「んっ、ぅ」
 ぬめる舌にもてあそばれて、幸村の肌が粟立つ。閉じられようとする幸村の足の間に、政宗はすばやく身を挟んで下肢を包む布を剥いだ。
「は、ぁあ、あ」
 政宗のすべてが、幸村の下肢に血を集める。熱を持った欲の印を、政宗は指先で弾いた。
「ひんっ」
「ずいぶんと、ゴキゲンだな」
「ぁ……も、申しわけござらぬ」
 政宗の揶揄に、幸村の全身が朱に染まる。
「なんで謝る」
「そ、れは……某が、はしたなく、その」
 言いながら身を小さくする幸村に、包みこむような苦笑を浮かべた政宗は、ふと彼が食べ尽くした団子の残骸に目を止めた。
「もっと、あられもない姿を示せよ。幸村」
 手を伸ばした政宗が、串を手にする。悪い顔をする政宗に、幸村は疑問符を浮かべた。無垢とも言えるキョトンとした顔に、嗜虐心を疼かせた政宗は、幸村に見せつけるように、彼の下生えを探り、屹立した先端を舌先でくすぐる。
「っあ」
 端正な政宗の薄い唇と、隆起した自分の陰茎。
その光景に、幸村は胴震いした。
「Show a lewd dance」
 ねっとりとした声に呼応するかのように、幸村の牡が震えた。幸村の瞳を鋭い眼光で縫い止めた政宗は、彼の陰茎を掴み、手にした串を鈴口にあてがう。
「ま、政宗殿……?」
「Never fear」
 震える幸村の声に答えた政宗が、串を押し込んだ。
「あ、ぁ、あぁ――っ」
 驚愕に見開かれた幸村の瞳に、政宗は舌なめずりをしながら、串を牡に沈めて接合部分を舐めた。
「ひふっ、ぁ、は……く、串が、ぁ、ぁ」
 わななく幸村の唇を、なだめるように政宗は指先でなぞった。
「団子の気持ちが、わかったか?」
 クスクスと喉を鳴らしながら、政宗は幸村を抱きしめる。驚愕と恐怖に彩られた瞳の奥に、淫靡なものがちらついている事を確認し、政宗は串をねじった。
「ぁは、ぁ、ああ、ぅ」
「イイ顔だ」
「ふぁ、あ、そんっ、ぁ、トコぉ」
 泣き出す寸前の子どものような顔で、幸村が喘ぐ。内腿を震わせ腰を揺らめかせる幸村の体は、意識とは裏腹に新たな快楽を貪欲に受け止めていた。
「気持ちがいいのか?」
 政宗が耳奥に声を注げば、幸村は首を振る。けれどそれが羞恥から来る嘘の否定であると、政宗にはわかっていた。
「自分で突っ込んどいて何だが……。俺以外に内側を探られて心地よくなられちまうのは、少し妬けるな」
 冗談めかして遊ぶ政宗を、幸村が恨めしそうににらむ。
「っ、ならば……政宗殿が、某に、その」
 入ればいい――とは口に出せずに、幸村が硬く目を閉じ顔を背ける。紡がれなかった声を聞き、政宗は「Ok」とつぶやいた。幸村から離れ、丁子油を手にした政宗は、幸村の足を持ち上げると、肩に乗せて彼の尻を割った。
「……っ」
 何をされるのか幾度も教え込まれた幸村が、身を硬くする。どれほど体を重ねても、まるで初めてのように身を強張らせる彼の内腿に、政宗は唇を這わせた。
「は、ぁ、あ」
 甘い声が幸村の喉を滑る。引き締まった尻を割り、ひっそりと咲く菊花に丁子油を塗り込めれば、幸村が仰け反った。
「んは、ぁ、ああっ、あ」
 政宗の指が内壁を探るたび、幸村が啼く。知り尽くしている政宗は、幸村の好む場所とその周辺を重点的に責めた。
「ひはっ、ぁ、ま、さむねど、の……ぉ、ぁ、あ」
 幸村の爪が床を掻く。串を差された陰茎が、ブルブルと苦しげに揺れている。膨らむ蜜嚢に、政宗はかぶりついた。
「んはぁあっ、ぁ、はひっ、ぁあう」
 過ぎる快楽に、幸村は首を振り身悶えた。いつもならば溢れている先走りが、串に阻まれ牡の内に溜まっていく。出口を求めて凝った悦楽が体内に逆流するようで、幸村は涙をこぼし、熱を逃そうと舌を伸ばして嬌声を上げ続けた。
「ぁふっ、ぁ、あんぅう、も、ぁあ」
 嵐に揉まれる木の葉のように、為す術もなく翻弄される幸村に、政宗の野欲が滾る。支配欲を掻き立てられた政宗は、秘孔の中で幸村が一番好む場所を強く押した。
「ぁひっ、ぃ、ぁ、あぁああ……あ」
 目を剥いて、幸村が腰を突き出す。ブルルと震えたその姿に、政宗は彼が放てぬままに果てた事を知った。
「は、ぁ……」
 淫らに瞳を濁らせて、幸村が弛緩する。臨界に達した情動のままに、政宗は幸村を貫いた。
「んはっ、ぁあ!」
 身を反らした幸村の腰を、政宗が掴む。そのまま乱暴に突きあげれば、幸村の腰がくねった。
「んぁあ、政宗殿っ、ぁ、政宗殿」
 呼びながら手を伸ばす幸村の誘いのままに、政宗は彼を抱きしめた。幸村も政宗の背に腕を回す。
「ふっ、んぅう、ぁ、政宗殿ぉ」
「ああ、幸村」
 嬌声すらも逃さぬように、政宗は唇で彼の声を覆い尽くした。
「んっ、んぅう」
 獣と化した幸村が、欲のままに政宗を求める。それに挑むように勇躍し、政宗は幸村を貪り続けた。
「んはっ、ぁ、あはぁううっ」
 幸村の声がひときわ高くなり、秘孔が締まる。政宗が弾け、熱を奥に注げば、幸村は声にならない叫びを発し、痙攣した。
「ぁ、あ……」
 声を詰まらせる幸村の頬を両手で包み、唇をついばむ政宗の欲は、硬さを失ってはいなかった。
「アンタの腹が団子に満たされたように、俺の欲が満たされるまで食わせてもらうぜ。――幸村」
「んぁ」
 陰茎に埋められた串を捻られ、幸村が跳ねる。獰猛な笑みを浮かべた政宗は、思い付く限りの痴態を幸村に求め、新たな性感帯を覚えこまされた幸村は、求められるままに艶やかに舞い乱れた。

2015/02/01



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