カタン、と襖の向こうで音がした。「政宗様」 低く、押し殺した片倉小十郎の声が聞こえる。「Ah、入れ」 唇の端を片方だけ持ち上げた政宗の声に、襖が静かに開かれた。「失礼致します」 す、と膝を滑らせて入ってきた男が、ぴったりと襖を隙間無く閉める。その後姿に、政宗は声をかけた。「どんな風になってんのか、袴を落として見せてみろ」 びくりと震えた小十郎が振り向き、承知と短く答えた。その顔が淫靡にうわずっている。震えながら立ち上がった小十郎が、期待を潤ませた瞳で政宗を見つめ、腰帯を解き袴を落とすと、着物の裾を持ち上げた。「どうぞ、ご覧下さい」 月明かりに浮かび上がった小十郎の下肢は、これ異常ないほどの性欲を浮かべていた。 脈が浮き出るほどに怒張した陰茎が、荒縄で腰に縛り付けられている。その先から欲蜜があふれぬように、きっちりと栓がしてあった。無防備な蜜嚢は膨れ上がり、多量の蜜を含んでいることを示している。「軍儀の後から、よくガマンをしたな。褒めてやるぜ、小十郎」「は。ありがとうございます」 折り目ただしく礼を言う小十郎の顔は、淫靡な笑みを浮かべている。息は荒く、甘い。「come」「は」 足元を震わせて近づいた小十郎の陰茎の根を、蜜嚢ごと政宗は乱暴に掴んだ。「ひっ」 小十郎の膝が、くずおれる。「誰が、座っていいと言った?」「は、ぁ、申しわけございませ、ぁ、はんぅうっ」 蜜嚢を揉まれ、小十郎が身悶える。腰を動かし政宗の手に擦り付ける姿に、政宗は唇を舐めた。「誰にも、気取られてねぇだろうな」「ぁ、はぁ、だ、大丈夫っ、ぁ、です、は、ぁあ、あ」「栓も、きっちり閉まってんな」「ひぃいっ」 蜜筒をふさぐ銀色の飾りをねじれば、小十郎が細い悲鳴を上げた。「鬼の小十郎が、こんな状態で偉そうに命令を下して、軍規を乱すんじゃねぇとか言ってるなんざ、知れたらどう思われるだろうな」「ぁはっ、は、はぁあ、あ、政宗様ぁ」 蜜嚢を揉み、クビレに指をひっかけて擦りながら栓を押せば、小十郎がうっとりと天を仰ぎ涎をたらした。「イイ子にしていた褒美をやんなきゃなんねぇな」 きらりと小十郎の目が期待に輝いた。それに応えるように、政宗は自分の下肢に手を伸ばし、下帯の横から陰茎を取り出した。「跨んな」「ああっ、政宗様」 極まった声を出し、政宗の腰をまたいだ小十郎が政宗の陰茎を掴み、秘孔にその先端を押し当てて一気に腰を沈める。「んはぁあああっ」「くっ、は、すげぇな。そんなに、欲しかったかよ」 飲み込んだかと思えば、狂ったように腰を打ち振る小十郎の胸に手を伸ばし、ふっくらと逞しく盛り上がった胸筋を脇から寄せ上げ揉みながら、色づく蕾に爪をかけた。「んああぁあっ、ひっ、ひぃ、ぁ、はぁあ」 からみつく小十郎の肉筒が、さらに締まる。「ぅ、く、すげぇな。食いちぎんなよ、ぁ」「はぁあ、政宗様っ、政宗様ぁああっ」「ふ、まるで、獣だな、ぁ、く」 恥も外聞も無く乱れきる小十郎に促されるまま、政宗は彼の中に熱を放つ。「んぁあああっ」 どっと吹き上がったそれを受け止めながら、小十郎は放てぬ陰茎を大きく震わせ、架空の絶頂に仰け反った。「はっ、はぁああ、あっ、あはぁあう」 ぶるぶると震える小十郎を床に転がし、政宗は牡を引き抜く。自分の放ったものがあふれるまえに、小十郎の尻に藁でできた張型を突っ込んだ。「ひぎっ」 ぐりぐりとねじりながら押し込み、震える小十郎の陰茎に口付ける。「犬には、ふさわしいornamentだろう」 その張型の藁は、途中で馬の毛を編みこまれており、くわえ込まされた小十郎の尻に尾が生えているようにも見えた。「は、はひっ、は、はぁ、あ、政宗様ぁ」 長時間、戒められて達せられぬ苦痛に近い快楽に、小十郎が涙をあふれさせる。「そんなcuteな顔をするんじゃねぇよ、小十郎。たまんなくなっちまうだろう」「は、ぁあ、政宗様ぁあ」「よしよし、イキてぇんだろ? My pretty mad dog。犬の用足しは、散歩のときって相場は決まってんだ。早速、出かけようじゃねぇか」 問いを浮かべる潤んだ瞳に、政宗は唇を寄せた。「言っただろう。おまえにふさわしい首輪と、着物を用意したってな」 ちゅっと軽い音をさせて小十郎に口付けると、政宗は部屋の隅に畳んであった着物を手にした。「ほら。コレを着て、首輪をつけたら散歩に行くぜ?」 にっこりと、政宗はそれを小十郎の胸に押し付ける。「着替えて見せろよ」「ぁ、は、い……」 のろのろと起き上がった小十郎が、帯を解いて着物を脱ぎ、政宗に与えられたものを羽織った。「あ」「どうした?」 にやにやと、政宗が頬杖をついて眺めている。「ぁ、いえ……」「早く、着て見せろよ」「はい」 ぐっと下唇を噛み締めた小十郎が、与えられた着物に袖を通し、袴を穿いた。「良く似合ってんぜ」「ありがとうございます」 礼を言う小十郎が纏った着物は、胸の蕾の部分がくりぬかれ、袴は尻と陰茎が見えるように、裂かれていた。「尻尾があんのに、それが出せねぇんじゃ窮屈だろう? それに、犬はいちいち、袴を脱いで用を足さねぇからな」「お、お気遣いありがたく」 頬を染めて肌を震わせる小十郎に、政宗が絹糸を取り出す。それに、小十郎はごくりと喉を鳴らした。「他の奴にバレねぇように、押さえつける必要もねぇからな」「あっ」 ぶつっと陰茎を腰に縛り付けていた荒縄を切り、ぶるんと震えたそれを政宗がいとおしそうに撫でる。「はん、ぁ、はぁあ」「気持ちいいか?」「はい、ぁあ、もっと、ぁ、政宗様」 猫の喉をなでるように小十郎の牡の裏を撫で、蜜嚢を口に含む。「はんっ、ぁ、あはぁあ」 鼻にかかった甘え声を発する小十郎に目を細め、政宗は口を離すと蜜嚢ごと根元を、なめした皮の紐できつく縛り上げた。「ひっ、ぃい」 そうして蜜筒の栓を抜き、クビレに絹糸をくくりつける。「俺がいいと言うまで、出すんじゃねぇぞ、小十郎」「ぁ、はぁううっ」「もっとも、こんだけキツく縛ってりゃ、出るものも出ねぇか」 くすくすと鼻を鳴らした政宗は、クビレにくくりつけた絹糸を引っ張った。「ひんっ] それを、自分の腰帯にくくりつける。「俺の歩みに遅れねぇように、散歩しろよ」 遅れれば、クビレにかかった絹糸が絞まる。「は、い」 頷く小十郎に口付け、政宗はもう一本取り出した絹糸を、彼の左右の胸の尖りにくくりつけた。そうして、小十郎の首に枷をはめ、その枷に糸を繋げる。「いい格好だな。小十郎」「ぁ、ありがとう、ございます」 淫蕩に濁った瞳で微笑む小十郎に背を向けて、政宗は歩き出し襖を開けて廊下を出た。慌てて追いかける小十郎は、陰茎と政宗の腰帯を繋ぐ絹糸が、ぴんと張り詰めてしまわないように、政宗の歩幅にあわせる。「表の廊下に、出てみるか?」 にやりとした政宗に、小十郎が目を見開いた。「冗談だ」「冗談が、過ぎます」 いらずらっぽく細められた政宗の目に、やりかねない気配を感じて小十郎の牡が震えた。「期待してんじゃねぇのか?」 強く牡を握りながら言われて、小十郎は膝をわななかせながらも足に力を込めて堪えた。「期待など、しておりません」「そうか」 つまらなさそうに手を離した政宗の足先が、裏庭へと向いたことにほっとして、小十郎は彼に付いて歩いた。 歩幅を気にしてはいるものの、政宗の歩む足は速く、陰茎が引かれることもしばしばで、その度に小十郎は快楽に身を震わせ、足元をおぼつかなくさせた。「遅れてんぜ」「ぁひっ、もうしわけございません」 その度に政宗は小十郎の首にはめた枷を引く。その度に、そこに繋がっている絹糸が張り詰めて、小十郎の両の胸乳が刺激された。そんな散歩を続ける間に、小十郎自慢の畑まで来る頃には、小十郎の目は快楽でうつろになり、縛られている陰茎の先からは、とろとろと蜜があふれていた。「だらしねぇな」「はっ、はぁ、あ、はぁうう」 応える余裕すらも失った小十郎に、政宗は陰茎を取り出して見せた。「少し、休憩をするか? 喉が渇いただろう」 ほら、と軽く政宗が自分の牡を扱くと、小十郎はがばりと身を伏せ口を開け、しゃぶりついた。「んふぅうっ、んむっ、んぶぅうっ」「っ、ぁ、そんながっつくんじゃねぇよ」 必死にむしゃぶる小十郎の髪を撫で、見下ろす政宗の瞳には慈悲と呼べそうなほどの愛しさが浮かんでいる。「んぅっ、んっ、んふぅうっ」「おいおい。誰が、自分を扱いていいっつった」 呆れたようにつぶやいた政宗の声を認識する余裕も無く、小十郎は政宗をしゃぶり、両手で自慰を始めていた。「ったく。仕方ねぇな」 ぐ、と小十郎の額を押せば、政宗の牡を離すまいと、小十郎がキツく吸い付いてくる。「ほら。おとなしくしろって」「んはぁっ」 首の枷についている絹糸を引けば小十郎が口を開き、政宗の牡を離した。そのまま小十郎を草の上に転がし、足の間にもぐりこんだ政宗は、クビレの絹糸を解いて怒張した小十郎の欲を口腔に引き入れた。「はふぁあ、はっ、はぁあっ」 小十郎が、うっとりとした嬌声を上げて腰を揺らす。「んちゅっ、は、小十郎。俺に、何をされてどんな心地か、言ってみろ」「はっ、はぁあ、政宗様にっ、ぁ、しゃぶられてっ、ひっ、きもちぃ」「どこが、気持ちいいんだ」「ひんっ、ぁ、ち○ぽぉ、小十郎のっ、ち○ぽがっ、ぁ、きもちぃい」「イイ子だ」 舌と上あごですり潰すように陰茎を扱き、尻に飲ませた張型を掴んでねじる。「ひぃいっ、ぁ、あはぁあおおっ、おほぉううっ」 野犬の遠吠えのように叫ぶ小十郎が、鼻息荒く涙をあふれさせ、懇願した。「はぁあっ、イキたっ、ぁあ、政宗様っ、イカせっ、ぁ、イカせてくださっ」「Ah、そうだな。このままじゃ、辛ぇだろうな」 身を起こした政宗は、小十郎の陰茎の戒めを解いた。ほっと胸を撫でおろす小十郎の胸の絹糸も外し、くしゃりと彼の髪をかき混ぜるように撫でる。「ここは、おまえの畑だな、小十郎」 なぜ、そんなことを今更言われるのかがわからず、小十郎はきょとんとした。それよりも、はやくイキたくてたまらない。「どうした。違うのか」「ち、違いません」 満足そうに、政宗がゆっくりと首を縦に振る。「動物はmarkingをするもんだ」「ま?」 政宗が何を言おうとしているのか、小十郎にはわからない。普段の冷静な小十郎であれば、あるいは察することが出来たかもしれないが、野欲にまみれた意識では、まともな思考は不可能だった。「そう。自分のナワバリに、匂い付けをする」 ぼんやりと、小十郎は楽しげな政宗を見つめた。政宗は繊細なビードロ細工に触れるように、小十郎の頬を両手で包み込み、彼の鼻先に唇を寄せた。「大切な畑に、獣が入って荒らしたら、困るだろう?」 なぜ、政宗がそのようなことを今、言い出したのかがわからない。楽しげに喉を鳴らした政宗は、小十郎の首の枷を掴み立ち上がらせ、引きずるようにあぜ道の端の岩の前に連れて行った。「この岩なら、丁度いいだろう」 それは、政宗が座して小十郎の野良仕事を眺める岩でもあった。「この岩に、markingしろよ」「えっ……あっ」 政宗が、小十郎を岩に抱きつかせ、尻を掴んで押し付けた。「ああっ――!」 ぐり、と岩肌に陰茎がすり潰され、小十郎が声を上げる。「そのまま、おまえの匂いを擦り付けて放て」「っ、こ、ここに、ですか」「ああ、そうだ」 背後から抱きしめるように腕を回した政宗が、小十郎の胸乳を撫でた。「は、ぁ、ああ、あ」「イキてぇんだろう? 思い切り、この岩にこすり付けてぶっかけろよ。上手に出来たら、褒めてやる」「ぁ、ああ」「どうした? ほら」 両の胸乳の尖りをねじり上げられ、小十郎が背をそらした。「ひっ、ぃいいっ」 その反動で、陰茎を岩肌に擦り付けてしまう。その心地よさに、競りあがった射精欲に、小十郎の理性は砕け散った。「はんっ、はぁ、ああっ、はっ、ぁ」 岩を抱え込み、懸命に腰を擦り付ける小十郎の尻から生えた人工の尾が揺れている。彼から離れた政宗は、岩にすがりあえぐ小十郎を見ながら、ゆるやかに自身の牡を扱いていた。「はぁ、いいぜぇ、小十郎。最高にcuteだ」「ひふっ、はっ、はぁあ」 必死に股間を岩に擦り付ける小十郎が、岩を掴んでいた手を自分の胸に添えていじりだす。それに、政宗が口笛を鳴らした。「いい乱れぷっりじゃねぇか、小十郎。今、自分が何をしてんのか、言ってみな」「はんっ、はぁあ、岩にっ、ぁ、ち○ぽっ、ぁ、擦り付けて、はぁあ、あっ、乳首っ、ぁ、自分でこねてっ、ぁあっ」「気持ちいいか?」「はぁ、あっ、きもちいっ、ぁ、イク、ぁ、でるっ、ぁ、あっぁあっ、はっ、あっ、あぁああああ!」 強く岩に腰を擦り付けた小十郎が、空に向かって高く吼える。びゅくびゅくとはじけた欲が、岩肌に撒き散らされ、月光にきらめいた。「はぁ、はぁあっ、ぁ」 粟立つ肌を震わせて、小十郎が恍惚に唇をゆがめ、うっとりと目を閉じる。月の明かりを受け止めるその姿を、政宗は美しいと感じた。「小十郎」 その感歎のままに、名を口にする。そっと小十郎の背に寄り添い、抱きしめた。「Obedient dog only for me」 低く優しく耳元で紡がれた旋律に、小十郎の胸が震えた。「ああ、政宗様」 振り向いた小十郎に口付け、邪魔な尾を引き抜く。「最高の満月だ。ぞんぶんに吼えて昇りあおうぜ」「はい」 舌を伸ばし絡めあいながら、政宗は小十郎の内側に身を沈める。受け止める小十郎の頬が幸福に緩み、政宗もまた至上の喜びに身をゆだねた。「はんっ、はっ、はぁあっ、ぁ、ああっ」 政宗が揺さぶり、小十郎の腰を岩に押し付ける。岩に陰茎を擦られ、さんざんに熟れたまま焦らされた肉壁を、求める熱杭に乱されて、小十郎は歓喜の声を惜しげもなく迸らせた。「はんっ、はんぁあっ、政宗様ッ、はぁおおっ、おふぁおおおおお」「くっ、まだまだ、こんなモンじゃ済まさねぇぜ、小十郎」「ひぎっ、ぁはぁああっ、も、ぁあ、壊れっ、すご、ぁはぁおおっ」 思うさま奥までえぐる政宗に、小十郎が髪を振り乱し腰を振りたて乱れ咲く。岩肌は小十郎の欲で濡れそぼり、擦り付ける陰茎を滑らかにして、小十郎はますます岩に腰を擦り付けた。「はひっ、はぁふぉお」「くっ、ずいぶんと、その岩が気に入ったみてぇじゃねぇか」「ぁひっ、きもちぃ、ぁ、岩のっ、ぁ、擦れっ、ひぁおおっ」「そうかい。なら、もっともっと、たっぷりと小十郎の匂いを擦り付けておけよ。他の誰にも、荒されねぇようになぁ」「ぁひぃいいっ」 ど、と政宗が放ち、小十郎がぶちまける。飽くことなく繰り返される性交に、振りまかれた欲液を月光にてらてらと光らせる岩には、十分すぎるほど小十郎の欲の匂いが染み付いた。 あふ、と寝不足の顔のまま、懐手でぶらぶらと歩く政宗の姿に、いつまでも起きてこない主を起こしに来た小十郎が渋面になった。「そのように、だらしのない姿をなされては、示しがつきません」「仕方ねぇだろうが。明け方まで、誰かさんとの手合わせで体力を使い果たしちまったんだからよ」 ちらりと流し目をよこす政宗に、小十郎の目じりが他者にはわからぬほどのかそけさで、赤くなった。「誰かさんが、離してくんねぇから」「あ、あそこまで私を追い詰めた政宗様にも、咎があるかと存じますが」 ごほんと咳払いをしながらも、小声で文句を言う小十郎に、政宗の唇が皮肉に持ち上がった。「なぁ、小十郎――」「あ、筆頭、片倉様!」 小十郎に一歩近寄り、腰に手を伸ばしかけた政宗を、駆け寄ってきた文七郎と孫兵衛が知らずにさえぎった。ちっと舌を打ちながら手を収めた政宗が、息を切らす二人に体を向ける。「どうした。そんなに急いで」「ああ、筆頭、片倉様。じつは昨日、俺たち、変な声を聞いたんです」「変な声?」 政宗と小十郎の目が、鋭くなる。「夜中に、獣が吼えるような声が聞こえて、それが片倉様の畑の近くだったんで、野犬かなんかが畑を荒らしているんじゃないかって」「俺たち二人で、確認に行ったんです。そしたら、畑の岩にカピカピしたものがくっついてて」 なあ、と孫兵衛が文七郎を見て、文七郎が頷く。「あれ、きっと野犬の子種です!」 思わず吹き出しかけ、なんとか堪えた政宗の横で、小十郎が奥歯を噛み締め拳を握り、顔を赤くして震えている。それを怒りだととらえたらしい二人は、胸を張って声をそろえた。「野犬もビビるような、イカした案山子を作っておくんで、安心してください! とりあえず、報告をしとこうとおもって」 それじゃあ失礼しますと頭を下げた二人が、来たとき同様、駆け足で去っていく。全身を朱に染めてぶるぶる震える小十郎の姿に、政宗が堪えきれずに吹き出した。「っ、ぶ、ははは! 野犬とはなぁ」「笑い事ではございません。もし、その声が聞こえたときに、あの二人が見に来ていたとしたら、どうするおつもりだったのですか!」 ん? と政宗が首をかしげてニヤリとした。悪い予感に、ぞくりと小十郎の背骨が冷える。それと同時に、甘い疼きが腰に走った。「決まってんだろう? 小十郎」 政宗の腕が、小十郎の腰を捉えた。耳元に唇が寄せられる。「俺の可愛くて従順な狂犬が、どんだけ淫靡なのかを見せ付けてやるだけだ」「っ、お、お戯れを、ぁ、んぅ」 政宗の手がすばやく小十郎の袴の脇から入り込み、尻を掴んだ。「おまえが縛られてヨガる姿を見たら、あいつら、どんな顔をするだろうな? 欲しがって、群がって、全員に犯されるかもしんねぇぜ?」 ぶるりと小十郎が震えた。「そんな、ぁ、ことは」 小十郎の呼気が乱れる。「なぁ、小十郎」 舐るような低い声が、小十郎の鼓膜をすり抜け、脳を愛撫した。「俺の部屋に来いよ。今日の軍儀も、最高にStimulating decorationを、この着物の下に着けたいだろう?」 きらりと光る政宗の瞳に、甘い蜜をとろかせた小十郎の目が応えた。「ぁ、は」 理性に邪魔をされ、了承の言葉を発せぬ唇が熱い息をこぼす。それを唇で拾った政宗は、そのまま舌を差し込んで、小十郎の胸をまさぐった。「最高に愛してるぜ、小十郎」 言葉にする代わりに、小十郎は政宗の腰に腕を回し、差し込まれた舌に舌を絡めた。 2013/09/30