馬を下りた伊達政宗に続き、彼の側近であり軍師でもある片倉小十郎も、地に足を着けた。ぶるると馬が鼻を鳴らす。政宗は馬の首を軽く叩き、馬小屋へ足を向けた。小十郎もそれに続く。「あ、筆頭! 片倉様、チィーッス」 馬番が頭を下げ、政宗は片手を持ち上げて挨拶とした。小十郎は厳しい顔で何も言わない。それはいつもと変わり無いのだが、馬番の男は小十郎の顔の赤味が、いつもよりも強い気がして首を傾げた。「片倉様、顔が赤いようですぜ」「……そうか?」「それに、なんだか息も荒いような気がしますが」「気のせいだ」 そっけなく小十郎が答える。彼の眉に漂う微妙な緊張に、馬の細かな様子にも気付く馬番は目を止めた。「もしかして、熱でもあるんじゃねぇですか」「問題ない」「ですが……」 しつこく言うのも出来ないと、馬番は政宗を見た。政宗は何やら楽しげな様子で、二人のやり取りを眺めている。 馬番は、そっと小十郎を案じ顔で伺った。小十郎は幾分か辛そうな気配を残しつつも、笑みを浮かべる。「心配はありがたく受け取っておく。が、俺の体は俺が一番よくわかっているんでな。大丈夫だ」「そんなら、いいんスけど。片倉様、あんま無茶しねぇでくださいよ」「ああ」 小十郎が穏やかに目じりをゆるめた。「小十郎」 政宗がニヤつきながら呼ぶ。「ちょっと、この奥で軽く汗を流さねぇか?」 刀の柄に手を乗せた政宗に、小十郎の背が緊張に伸びた。眉をしかめた小十郎が、ちらりと馬番を見る。彼らの力量は常人とはかけはなれている。それを知っている馬番は、小十郎が余波を気にしているのだろうと察し、手綱を握った。「河原で馬を洗ってきます。お二人はどうぞ、ごゆっくりなさってください」 馬番の言葉に、政宗がクックと喉を鳴らした。「良い判断だ。それじゃあ、ゆっくりさせてもらおうじゃねぇか。――なあ、小十郎」「……はい」 政宗の笑みが艶冶な事に首を傾げつつ、馬番はもう一人を呼びに行き、二人でこの小屋にいる馬のすべてを連れて、河原に出て行った。政宗が顎で奥の林を指す。小十郎が強張った様子で頷けば、政宗は獰猛な光を左目に煌かせた。 政宗の行く後を、小十郎が歩く。馬小屋から十分に距離を取った頃、政宗は身を翻して小十郎の襟元を掴み、傍の木に彼を押し付けた。「ぐっ」「ずいぶんと、そそられる顔をしてんじゃねぇか。小十郎」 ねっとりとした淫猥な声に、小十郎が胴震いをする。「政宗様」 小十郎の薄く掠れている息を掬うように、政宗は彼の唇に舌を伸ばした。「んっ」 口を開いて受け入れた小十郎の襟元に、政宗の手が差し込まれる。しっとりと汗ばんでいる肌に、政宗の指が吸いついた。「んっ、ふ……ふは、んっ」 小十郎の口腔が、政宗の舌に蹂躙される。たくましく鍛え抜かれた胸筋に、細く長い政宗の指が食い込んだ。筋肉の弾力を確かめるように這う指の一本が、プツリと尖っている色づきを捕らえる。「はっ、ふ、んぅう」「こんなに硬くして……動くたびに擦れて、気持ちよかったんじゃねぇか?」「は、ぁ……そのような、事は」 小十郎の目じりが赤い。そこに舌を伸ばしながら、政宗は声を低めた。「馬に乗っている時の顔、すっげぇクるモンがあった……ずっと尻を締めていたから、ずいぶんと感じていたんだろう?」 政宗の手が小十郎の尻の谷をなでた。布越しに、縄の感触が伝わってくる。その奥にある秘孔は、政宗の注いだ子種を留めるため、張形で栓がしてあった。「馬に揺すられて、張形締め付けて……着物で乳首が擦られんのにも感じながらの巡察は、どんな気分だった?」 息を呑んだ小十郎の瞳が、淫靡に揺れていた。「竜の右目と呼ばれている鬼の片倉小十郎が、張形咥え込んで歩きまわっていると知れたら、どんな騒ぎになるだろうなぁ」「政宗様」 愉快そうに喉を震わせる主を、たしなめるように呼ぶ小十郎の足が震えている。尻にあった政宗の手が、前に動いた。「栓をしてなきゃ、漏らしたみてぇにビシャビシャにしていたんじゃねぇか?」 小十郎の陰茎は、蜜口に紙縒りのように細く編まれた紐が差し込まれ、縛られていた。「どんなふうになってんのか、帯を解いて見せてくれよ。小十郎」「ここで……ですか」 小十郎が戸惑う。夕刻とはいえ、まだ日は落ちていない。しかも野外だ。二人の所在は、馬番が知っている。何かあれば誰かが報告に走り来る可能性があった。室内ならば、まだいい。襖を開ける前に声がかかる。だが、ここでは何もかもを見られてしまう。「ここで、だ」 小十郎の動揺の理由を知りつつ、政宗は命じた。耳元に唇を寄せ、息を吹き込む。「玩具に犯されながら、巡察していたんだ。ここで脱いでも平気だろう」「――っ!」 小十郎の腰が大きく震える。荒くあえぎはじめた小十郎の胸に、政宗は唇を寄せた。「脱げよ、小十郎」「……はい」 小さく、けれどハッキリと返答した小十郎から、政宗は身を離した。小十郎が指を震わせながら帯を解き、着物を落とす。足の備えに手をかけた小十郎に「それはいい」 と、政宗が声をかけた。「真っ直ぐに立て」「――は」 足首に袴をからませたまま、小十郎は政宗に向けて体を開く。が、顔は恥ずかしげにうつむかせ、背けていた。堂々とさらされた体躯と、恥らう顔の対比に、政宗が唇を舐める。「ずいぶんと苦しそうだな」 政宗の声は、小十郎の下肢に向けられていた。下帯の代わりに、政宗が縛った縄で、怒張した陰茎が押さえ込まれている。ギチギチと軋む音がしそうなほど、縄は陰茎に食い込んでいた。「こんな状態で、刀の扱いについて、あれこれと指導されてたなんて知ったら、どんな顔をするだろうなぁ? アイツら」 声を弾ませながら、政宗は小十郎の前にしゃがんだ。縄からはみ出している蜜嚢を指でつつく。「うっ」「もっと腰を落として、脇を締めて刃に力を込めろとか、真面目くさった顔で注意をしてくる相手が、魔羅に縄を食い込ませて喜んでいる変態だなんて知れたら……別の刃に力を込めちまうんじゃねぇか? Hot pantsのせいで、な」「は、ふぅう」 蜜嚢を握られ、小十郎の喉が仰け反る。縄に抑えられ、紐で縛られている陰茎に、政宗の舌が伸びた。「紐もこんなに食い込んで、痛いだろう? Ah……For you who liked self-torture lechery, was it joy?」 クスクスと鼻を鳴らしつつ、政宗は獰猛に脈打つ陰茎に舌を這わせる。「は、ぁあ……っ、う、ふ」「どうして欲しい? 小十郎」 足の付け根に跡をつけながら政宗が問えば、小十郎が拳を握った。「ど、どうぞ……政宗様のお好きになさってください」「Fum……?」 わずかに首を傾げた政宗が、小十郎を見上げる。盛り上がった胸筋が、大きく上下していた。ポッチリと尖った乳首に目を止めて、政宗が立ち上がる。「俺の好きなように、で、いいんだな。小十郎」「はい」 瞳を潤ませる小十郎の胸を、不機嫌に政宗が摘んだ。「ぁはっ……く、ぅう」「なら、ココをいじるだけで俺が満足して終わっても、かまわねぇのか」「うっ、ふ……」 小十郎の瞳がうろたえる。「素直になれよ、小十郎。望みを聞いてやると言っているんだ」 猫なで声で甘くささやく政宗の、怪しく光る左目に促され、小十郎は羞恥や立場を欲で隠した。「縄と紐を解いて……政宗様の、その、唇で慰めていただきたい」「もっと、ハッキリ、ヤラシく言えよ」 ごくりと小十郎の喉が鳴る。「この小十郎の、はしたなく勃起した魔羅を、縄と紐の戒めから解放し、政宗様の口でしゃぶりつくされたくてなりません」「しゃぶりつくされて、の、後は無ぇのか?」 政宗が小十郎の鼻に甘く噛みつきながら、目の奥を覗いた。「小十郎?」 淫靡な誘いの声に、小十郎の理性が溶ける。唇を噛んだ小十郎は、政宗の首に腕を回した。「政宗様に、小十郎の子種をお飲みいただき、この身に深く刺さる張形を抜き、そこに貴方様を受け入れ……っ」 小十郎の喉が震える。内腿を擦り合わせ、泣き出しそうな瞳で哀願する小十郎を、政宗はじっと見つめた。「最後まで、ちゃんと言え」「は……っ、政宗様に、奥を……ああ、もう、早く縄を解いて、犯してくださいっ! 政宗様の子種を、いますぐに」 叫び、しがみつく小十郎の背を政宗がなでる。「俺に魔羅をしゃぶられたかったんじゃ、ねぇのか?」 政宗の首に小十郎が額をすりつける。肌にかかる息の荒さに、政宗は嗜虐の笑みを浮かべた。「言っている間に、突っ込まれたくてたまらなくなっちまったのか」「っ、申し訳ございません」「誰も、咎めちゃいねぇだろう?」 小十郎の耳朶に口付け、政宗は縄を解いた。「後ろを向いて、木にしがみついてろよ。堪えて歩くお前を見ながら、俺も興奮してたんだ。すぐに、突っ込みてぇ」 甘くささやけば、小十郎が政宗の言葉を疑うように顔を上げた。その瞳に、政宗は唇を寄せる。「疑う余地も無いぐらい、熱いモノで満たしてやる」 ちゅっと軽い音をさせて、政宗が小十郎の唇を吸う。促す瞳に頷き、小十郎は指示に従った。軽く尻を突き出す格好で幹にしがみついた小十郎の背後で、政宗が帯を解く。その音の先にある行為に期待を湧かせ、小十郎は胸と股間を膨らませた。「うっ」 縄と紐が陰茎に食い込む。「待たせたな」 政宗が小十郎の縄を解いた。押さえつけられていた小十郎の陰茎が、喜びに震えた。「すぐに、望みのものを与えてやるよ」「は、ぁあ、あ」 陰茎をなでられ、心地よさげに小十郎が啼く。揺れる尻を掴み、張形を抜いた政宗は、ひくつく秘孔に勢いよく欲を突き立てた。「あはぁああっ、が、ぁ、はぁおおぅ」 獣のように小十郎が吼える。いまだ解かれていない紐が、陰茎に食い込んだ。「んはぁあっ、は、はぁおうっ」 痛みと快楽に体を揺する小十郎の背に舌を這わせ、政宗はゆるゆると腰を動かした。「はぁ……。すっげぇ、キツいな……千切れそうだ。俺がどれだけ締め付けられているか、お前も味わっているだろう? 小十郎」 政宗の手が小十郎の陰茎を包む。「はふぅうん」 甘える犬のように、小十郎が鼻を鳴らした。「このままじゃ、俺も自由に動けねぇからな」「ぁひっ」 小十郎の陰茎を縛る紐が解かれ、蜜筒から引きぬかれた。だらだらと先走りがあふれ出る。「おいおい。漏らしっぱなしじゃねぇか」「は、ぁあ……申し訳ありませ……っう」 先端を捏ねられた小十郎は、謝罪しつつもうっとりと目を細めた。「溜まってたモン、好きなだけ出させてやるよ」 小十郎の腰を掴んだ政宗が、激しく腰を振り立てる。先に呑まされていた彼の子種と、張形で広げ続けられていた秘孔は、政宗の躍動に喜んだ。「はひっ、はんっ、はふぁあっ、あ」「どうだ、小十郎。感想を言ってみな」「ひふっ、ぁあ、奥っ、ぁ、政宗様の、魔羅ぁあ、は、おおきっ、あ、熱いので、ナカっ、ぁあ、グチャグチャ……は、はぁあ、きもちぃ」 木に腕を回し、小十郎が体を揺する。跳ねる陰茎が蜜を散らして、木や草を濡らした。「すげぇ絡んでくるぜ、小十郎――最高だ」 政宗の息が荒い。それにさらなる興奮を覚えた小十郎は、身をくねらせて彼を求めた。「ふひっ、はふぁおおっ、ま、まさむねさまぁあ、は、ぁあっ」「小十郎……お前の魔羅がどうなってるか、知りてぇ。教えてくれよ」「んはぁあっ、ああ、いっぱぁ、あ、出てっ、ぁ、ああっ、止まりませ……っ、は、ぁあ」「何が、出っぱなしなんだ?」「ふっ、ふぅうっ、ぁ、あ、子種ぇ、ああ、小十郎の子種が、ぁ、ずっと、漏れて」「はしたねぇなあ? 張形を突っ込んだまま人前に出た事に、そんなに興奮していたのか」「ひっ、ぁあ、まさむねさまっ、ぁあ、もっと、ぁあ……ください、政宗様をぉ!」「Ok……なら、飛ばしていくぜ」「んはぁああっ」 髪を振り乱し、小十郎が嬌声を上げる。獣のように欲を貪る彼に負けまいと、政宗も励んだ。汗が、鍛え抜かれた肌を伝う。「んぁ、あ、はぁあっ、ぁ、まさむねさまぁあ」「俺も、限界だ――っ!」「っ、はぉおぉううううっ」 政宗が奥に放てば、遠く高く吼えながら小十郎も果てた。ビクビクと痙攣する小十郎を抱きしめ、うなじに唇を寄せる。「はふ、ぅう……政宗様」 全てを放ち終え、落ち着いた小十郎が背後に顔を向けると、政宗の唇が頬に寄せられた。「最高だ」 熱っぽくささやいた政宗が、小十郎から離れる。小さく呻いた小十郎は、内側からあふれた子種に太ももを濡らされ震えた。「政宗様」 掠れた声で呼べば、政宗は悪童のような顔をして前髪を掻きあげ、ゾクリと小十郎の腰がわななく。「そんなヤラシー顔を、すんじゃねぇよ。そそられる」 小十郎の顎に指をかけ、政宗は顔を寄せて呟いた。「この後は、書類に目を通さなきゃなんねぇんだろ? そんな顔をされたら、帰れなくなっちまう」「は。――申し訳ございません」 目を伏せた小十郎の額に唇を押し付け、政宗は彼に着物を着せた。張形も縄も紐も無く帯を締められ、小十郎は問いを瞳に乗せる。「無防備な状態で、夜まで過ごせ。下帯が無きゃあ、勃ったらすぐにバレちまうから、気をつけな」 懐紙を取り出し、くるくると張型を巻いて懐にしまった政宗は、ぽんと小十郎の尻を叩いた。「俺の子種、漏らさねぇように締めとけよ」「っ!」 カッと顔を赤くした小十郎に、軽い笑い声を向けた政宗が歩きだす。「戻るぜ、小十郎」「――は」 短く答えた小十郎は、失われた圧迫を求めるように蠢く、自分の体に息を詰めながら後に続いた。 2014/12/15