月光を杯に満たして口をつける伊達政宗の元に、片倉小十郎が現れた。「政宗様」「Ah」 それだけで、小十郎が何を言いに来たのかを察した政宗は、口の端を片方だけ持ち上げた。「まだ、眠れそうに無い。付き合え、小十郎」 軽く杯を持ち上げた政宗を、白々とした月の明かりが照らしている。端麗な顔立ちにある右目の眼帯が、美貌を隠すどころか、怪しげな凄みを添えている。剣呑さを称えた切れ長の瞳に、小十郎の喉が動いた。「どうした? 小十郎」「いえ」 動かぬ小十郎に、政宗が面白そうな声を出す。軽く目を伏せた小十郎が膝を進めた。 近寄った小十郎は、目を伏せたまま顔を上げない。少しの乱れも無い小十郎の髪に、政宗は唇を寄せた。ビクリと小十郎が身を硬くする。クックと喉を鳴らした政宗が、小十郎に杯を突き出した。「Moonlight adds sweetness」 低く呟いた政宗は、小十郎の顎に手を添えた。上向かせた小十郎に顔を寄せる。「あの後、部屋でこもって仕事をしていたそうだな」「各所よりの報告がございましたので」 ふん、と政宗は鼻を鳴らした。「過敏になった肌で、下帯も着けずに歩きまわると困った事になるから、じゃねぇのか?」「そのような事は……」 小十郎の目が、政宗の視線から反れた。それが、肯定を示している。朝から苛まれ続けた小十郎は、玩具や戒めを解かれた体をもてあまし、人前に出る事を避けた。政宗は予想をしていたとでもいうような顔で、つまらなさそうに「まあいい」と呟く。「こもるな、とは言わなかったからな」 政宗の指が小十郎から離れる。小十郎は安堵と失望を味わいながら、息を吐いた。「小十郎」 政宗が、からかう瞳で手のひらを見せる。「あいにく、杯はひとつしか無いんでな」 差し出した手のひらに、政宗は杯を傾け酒を零した。「呑めよ」 じん、と小十郎の牡が痺れる。鼓動が早くなり、息が熱くなった。「どうした。俺の酒は、呑めないか?」「――ご相伴に、預からせていただきます」 恭しく礼を取った小十郎は、舌を伸ばした。政宗の手のひらに顔をかぶせて酒を舐める。辛口の酒のはずが、ひどく甘く感じた。 獣のように舌で酒を掬う小十郎の姿に、政宗の頬が上気する。物騒な気配の漂う愉悦を滲ませた政宗は、小十郎の舌を指で挟んだ。小十郎の動きが止まる。石のように硬くなった小十郎を宥めるように、政宗は舌の上を指でなでた。「――っ」 政宗の指にかかる、小十郎の息が甘い。左目を細めた政宗は、小十郎の口を指で開き口腔を探った。「んっ、ふ……」「舐めろよ。酒、まだ残っているだろう?」 小十郎の舌が、政宗の細く長い指に絡む。濡れた音をさせて指をしゃぶる小十郎の牡が震え、袴を押し上げた。「ふ……」 小十郎の目じりが淫靡に光る。その姿に欲を凝らせた政宗は、小十郎の口から指を離し、首をなぞって懐に手を入れた。「っ、あ」 鍛え抜かれた胸筋を、濡れた指が走る。尖った場所を見つけた指が、くるくると肌をからかった。小十郎が、うっとりとした息を吐く。「いじくられんのが、待ち遠しくてたまらなかったみてぇだな」 からかわれ、はっとして唇を結んだ小十郎の下肢がわなないている。気付いていながら政宗は、それを無視した。「小十郎」 唇が触れるか触れないかの位置で、政宗は艶っぽい息を吐いた。「脱げ」 返事の変わりに、小十郎は甘い熱を吐いた。震えながら着物を落とす小十郎を、酒で唇を濡らしながら政宗が眺める。「――政宗様」 裸身となった小十郎が、乞うように掠れた声を出した。中心が屹立している。満足そうに笑んだ政宗が手招くと、小十郎は淫蕩に揺れた瞳で訴えた。「もう一献いただけるのであれば、望む杯がございます」「ほう?」 面白そうに、政宗が片眉を上げる。「いいぜ。好きな場所で飲ませてやる」 うやうやしく頭を下げた小十郎が、政宗の帯に手をかけた。袴をめくり下帯が現れると、小十郎が恍惚とした息を漏らした。「それでいいのか」 手を止めた小十郎に問えば、首が振られた。丁寧に下帯を外せば、そそりたつ政宗が現れる。そこに顔を近付けて、小十郎は目を上げた。「ここで、いただきとうございます」「All right」 政宗が杯を傾ける。月光を反射しながら、酒が牡にかかった。小十郎が舌を伸ばし、酒を呑む。「は……んっ、ふ」「うまいか?」「……おいしゅう、ございます」 舐めるだけでは足らず、小十郎は喉奥まで飲み込んだ。舌を絡め上あごで擦り、吸い上げる。牡にじゃれる小十郎の髪に、政宗の指が絡む。「食いちぎられそうだな」 揶揄する政宗の声など耳に入らぬように、小十郎は牡にむしゃぶりついている。「は……ふぅ」「もう、酒はなくなっちまっただろう?」「政宗様の……蜜が」 喋る間も惜しむように、小十郎は舌を牡から離さず呟いた。「Ah?」「この小十郎には、最上の美酒」「Ha!」 楽しげに声を放ち、政宗は小十郎の顎を掴んで、無理やり顔を上げさせた。「言うじゃねぇか、小十郎」 噛みつくように、政宗が口を吸う。「ん、ぅ」 口腔を蹂躙されながら押し倒された小十郎の陰茎が、求めるように震えている。たっぷりと唇を愛した政宗が顔を離せば、彼の下肢は震えて濡れていた。「漏らしてんじゃねぇよ」 クスクスと鼻を鳴らしながら、陰茎の先を政宗が指で弾く。「っ、は……申し訳ございません」 腰をわななかせつつ、謝罪した小十郎の胸があえいでいる。「もっと、足を広げて抱えて見せろ」 羞恥に肌を染めながら、小十郎は従った。膝に腕をかけて体を丸めた小十郎の、尻までもが政宗の目にさらされる。「そんな、期待の目で俺を見ちまうほど、疼いちまってんのか」「ぁ、あ」 政宗の指が蜜嚢に触れ、下へと滑る。双丘の谷にある秘窟に触れた指が、ゆっくりと沈んだ。「ふ、ぅう」 小十郎の四肢に力がこもり、筋肉が盛り上がる。夕方に張型を抜いてから一刻(二時間)ほど経っていたが、そこはまだ猥らに咲いていた。「俺が注いだモンで、まだ濡れているな」 指で探れば、小十郎が身を捩る。「は、ぁ……政宗様」「ん?」 内壁を探るたびに腰をくねらせ、それに合わせて揺れる陰茎を楽しんでいた政宗が首を傾げる。「う……」 小十郎が震える睫の下で、望みを訴えていた。「何だよ? 言いたい事があるなら、はっきり言え、小十郎」 望みが何かわかっているはずなのに、言葉にしろと命じる政宗から目をそらした小十郎の唇が迷う。政宗は秘孔を指で探りつつ、面白そうに彼の反応を観察した。「ほら、どうした?」「ん……は、ぁ」 小十郎の肌は泡立ち、肉筒は疼いて蠕動している。胸乳の尖りは甘痒く震えて、陰茎はもどかしい切なさに捕らわれていた。「小十郎――?」「うっ」 低く艶冶な政宗の声に、小十郎の脳が愛撫された。「どうした。言えねぇのか」「は、ぁ……政宗様」 自らの足を引き寄せていた腕を離し、小十郎が身を起こす。膝を立てて政宗の首にすがりついた小十郎は、苦しげに呻いた。「何を、望めば良いのか……」「Ah?」「どこもかしこも疼いて……わからぬのです」「Ah――Ha」 ニヤリとして、政宗は小十郎の背をなでた。「ひ、ぅ」 それだけで、小十郎は高い声を上げた。「あらゆる性技で、乱され尽くしてぇって所か」 政宗の息が小十郎の耳に注がれた。「は、ぁ……」 鼻にかかった声を上げ、小十郎は陰茎から蜜を零す。「淫乱」「も、申し訳ございません」「No……褒めてんだ」 頬に唇を寄せた政宗は、小十郎の腰を膝に乗せるように引き寄せた。「このまま、ゆっくり腰を落としな。小十郎」 無言で頷き、小十郎は屹立した政宗で自分を貫くべく、腰を落とした。「はぁ、ふ、うぅ」 政宗の切先が小十郎の秘孔を開く。慎重に沈む小十郎の秘孔が、クビレまで飲み込んだ。「は、ぁ、ああ」 秘孔の口がクビレを絞る。喜びにわななく内壁は、さらに奥へ導こうと動くのに、咥えることを切望していた入り口が、逃すまいと咥えている。動きを止めた小十郎の肩に、政宗が唇を押し当てた。「満足か? 小十郎」「んぅ……もっと、ぁ、奥に」「いいぜ。好きなところまで、飲み込め」 そう言われても、先に進む事が出来ない。肩につかまり震える小十郎を、政宗は楽しげに見やりながら唇で胸乳と遊んだ。「は、ぁ、ああ……」 政宗の舌が尖りと踊る。その心地よさに、小十郎は顎をそらして声を放った。牡が喜び震えて蜜を流す。それを政宗の指がすくい、丹念に牡に塗りつけた。「ふは、ぁ、ああ、あ」 天に向けて、小十郎が短く甘い声を出す。強請るように政宗の髪に指を絡めて、頭を胸に押し付けながら腰を揺らした。「はふ、ぅ、ううん」 小十郎の秘孔の口が開く。ずるずると体を落とした小十郎の中に、政宗が飲み込まれていく。「は、はふぁ、あ、ああ」 根元まで繋がり、満ち足りた顔になった小十郎の尻を、政宗が叩いた。「繋がっただけで満足か?」「ふ、ぁ……政宗様」 小十郎の震える太ももは、動こうにも力が入らない。もどかしげに体を揺する小十郎から、それを察した政宗は、彼の頬の傷に唇を寄せた。「感じすぎて、どうにも出来ねぇのか」「んっ……申し訳ございません」「そう思うんなら、もっと鍛えるんだな――ああ、逆効果か」「は、ぁあ」 政宗が軽く腰を揺らせば、小十郎が甘く吼える。「朝から散々ヤって開いた結果が、これだからな」「ふ、ぅう……んぁ、政宗様」 小十郎が政宗の唇に、唇で甘える。普段の彼からは想像もつかぬ姿に、政宗の欲が膨らむ。硬さを増した陰茎に、小十郎の媚肉は喜び、熱を求めた。「言ってみな――この状態なら、欲しいものが絞れるだろう、小十郎」「は――政宗様……奥を、乱してください」「No. It is not so――小十郎、俺は、どういう風にねだればいいのかを、十分に教えたはずだがな」 優しく、けれど容赦のない言葉に、小十郎の息が荒くなる。「あ、あ――」「どうした? わかっているんだろう」 喉を鳴らした小十郎は目を伏せ、覚悟を決めて政宗の矯艶な瞳に訴えた。「この小十郎の、猥らに熟れた肉奥を……政宗様の熱き欲で掻き乱し、情けの蜜で満たしていただきたい」 ひたりと据えられた小十郎の濡れた目を見つめ、政宗は少し考える間を開けてから、やれやれと息を吐いた。「It is a passing an examination point tightly――まだ足んねぇが、合格ってことにしといてやる」 小十郎の顎に唇を当てた政宗は、そのまま体を倒し、小十郎の足を高く抱えて揺さ振った。「は、ぁあ、あ……政宗様ぁ」「もっと、もっと求めな、小十郎」「はふっ、ぁ、はぁああ、ぉ、ぅうん」 乱暴に打ちつけられて押し出される小十郎の叫びが、夜気に広がる。汗ばんだ肌を重ねて、政宗は小十郎の胸乳をつまんだ。「はひっ、ぁ、あはぁあ、政宗様」「気持ちいいんなら、そう言えよ」「ぁあ、き、きもちい……政宗様ぁあ、は、もっと、ぁあ、乱してください……っ!」「Ok……半端に残った理性を、振り切らせてやる」「はひっ、ぃあ、あはぁああ」 叫ぶ小十郎は恍惚の笑みを浮かべ、がむしゃらに政宗を求めた。政宗はそれに全力で応える。「ひっ、ひぁあおぅうっ、ま、さむ……っは、いいっ、ぁ、ああ」「もっともっと、見も世も無く乱れろよ、小十郎。――最高に淫靡な声を、聞かせてくれ」「はふっ、は、ぁあ、も、ぁあ、まさむ……っ、政宗様ぁあ、も、ぁあ、出るっ、ぁ、出てしま……っふ」「俺より先に、イッちまうつもりか?」「ふ、ぅう、ううっ」 下唇を噛み、堪えようとする小十郎のいじらしさに、政宗は唇を寄せた。「いいぜ……今日はさんざん我慢させちまったからな。好きにイけよ」 ふるふると小十郎が首を振る。「ま、政宗様より……先に、など……」 髪を乱して涙をこぼしながらも、懸命に抗う小十郎のいじらしさに、政宗の胸が熱くなる。「なら、共に飛ぼうぜ――小十郎」「ぁ、はぁああっ、ふぁう、まさっ、ぁ、あはぁああ――〜〜〜〜っ!」 小十郎の我慢が臨界を突破する。共にと求める肉壁に促されるまま、政宗も欲を放った。「は、ぁ……まさむね、さま」 惚けた声で呼ばれ、政宗は荒くあえぐ小十郎の胸に唇を当てる。「まだ、足りねぇ……」 挑む響きのささやきに、小十郎は小さく頷いた。「どうぞ、ご存分に」 主が心地よい眠りにつくまで、小十郎の性務は続く。 2014/12/21